
2020年後半のリリース以降、ご好評いただいておりました「有名ストラテジスト監修コアレンジャー」ですが、今回2021年末までの相場を想定したロジックとしてバージョンアップされました!
ストラテジストによる解説動画はコチラ
こちらのレポートではファンドマネージャー等を経て、現役のトレーダーでもある志摩力男氏の予想するスイスフラン/円相場の予想レンジをもとに組成した自動売買プログラム「志摩力男監修コアレンジャースイスフラン/円」と、相場の先行きについて解説致します。
1.概論
1- 1. 設定値
通貨ペア:CHF/JPY
想定期間:2021年4月~2021年12月末
ストラテジスト想定値
サブレンジ(売り):123.00~120.00円
コアレンジ(売り買い): 120.00~116.00円
サブレンジ(買い):116.00~113.00円
自動売買プログラム設定値
※ストラテジスト想定レンジの±100pipsの範囲にてレンジ幅設定


1-2.有名ストラテジスト監修コアレンジャーの選び方
有名ストラテジスト監修コアレンジャーは、これまでのコアレンジャーとは異なり、「ストラテジストによる将来の相場予測に基づくレンジ設定」という新しいアプローチで作成されております。
そのことから、過去の相場におけるシミュレーション結果である、自動売買セレクトの期間収益率やリスクリターン評価の値はあまり参考になりません。
自動売買プログラムを選択する上では、ストラテジストの解説レポートを確認し
①運用通貨ペアがレンジ相場を形成すると思えるか
②ストラテジストの相場予測の考え方が腑に落ちるか
③設定値の中で上手くレンジ相場になりそうか
という点から自動売買プログラムを選出して頂けますと幸いです。
1-3.注意点
ストラテジストによる相場想定は、2021年4月時点のものです。
今後の相場状況等の変化により、想定が変更される可能性がございます。
相場の状況と、解説レポートの内容、及び自動売買ロジックの注文設定をご確認いただき、お客様のご判断のもとで運用をご検討ください。
2.想定レンジ根拠
2-1. ファンダメンタルズ分析によるスイスフランの安定性とスイスフラン/円の類似
前回も言いましたが、スイスフランは世界で最もファンダメンタルズが良好な通貨の一つです。スイスの経常収支は常に大きな黒字であり、かなり大きなマイナスの政策金利(-0.75%)、そして継続的に行われている為替介入にも関わらずスイスフランは安定しています。
為替市場では「円」と「スイスフラン」は似たような性質を持つ通貨として見なされています。両者とも比較的大きな経常収支黒字があり、それが累積している「債権国」通貨です。マーケットの不安定時、いわゆる「リスクオフ」の時、両通貨とも上昇しやすい性質があります。
反対に、市場環境が良いときは(いわゆる「リスクオン」時)、金利が低いのでむしろ売られる傾向があります。
スイスは先日発表された「米為替報告書」の「監視リスト」入り常連国であります。日本も同じ様に「監視リスト」常連国です。
その意味でも両者は似ていますが、日本と違い、スイスは為替介入を継続的に行っているので、外貨準備の金額がとてつもなく大きくなっています。「米為替報告書」にスイスの外貨準備が1兆ドルと書かれていますが、これは日本の外貨準備に近い数字です。
わずか人口850万人ほどの国が、世界第3位の外貨準備を保有しているのは、すごいことではあります。
2-2.テクニカル分析によるスイスフラン/円の類似と動向
次に、テクニカル面を分析してみます。
このところのスイスフランの動きですが、2020年10月から2021年3月末まで、安値113.27円、高値118.86円の5.59円レンジでした。半年間で6円のレンジもないというのは、ちょっと驚きです。特に12月3日以降は、安値115.90、高値118.86円とわずか2.96円でしかありませんでした。
2021年に入って、米長期金利上昇を反映してドル円が上昇し、久しぶりに為替市場は大きく動いた感じがあったのですが、円もスイスフランも同じような動きをしたということなのでしょう。
長期チャートを見ると、ブレグジット時(2016年6月23日)の101.65円から緩やかな上昇トレンド内にあります。この原稿の執筆時点で、スイスフラン円は118.30円前後で取引されていますが、このところの上限近辺です。2017年高値118.60円を抜けると、上昇に勢いが付きそうに見えましたが、今のところそのような動きにはなっていません。しかしながら、リスクとしては上方向に見えます。
過去半年と同じ様に、狭いレンジ内で推移するかどうかとなると、それは難しいと思います。膠着相場の後は、動く相場が来ます。こうしたことは順番でしょう。過去4年間狭いレンジ取引に終始していたドル円も、今年に入って円安方向にモメンタムが付いてきています。
現時点では、米長期金利が低下してきたのでドル円の上昇も一服ですが、動きやすくなって来ています。
2-3.新型コロナのもたらす、スイスフラン/円への影響
コロナの影響で、世界はワクチン争奪戦になっています。最初は英国と米国が先行しましたが、今後は欧州における接種が追いつくことになるでしょう。欧州経済は、未だにフランスがロックダウン下にあるなど、コロナ克服に時間がかかっています。しかし、時間の問題です。かつての様に先の見えない状況ではなく、効果のあるワクチンがあります。そして、やがては多くの国に行き渡ることになります。
日本も、ファイザー社から9月末までに必要な量を確保できることが約束されました。先進国の中では、ワクチン接種に大きく遅れている日本ですが、追いつくことになりますが、欧州の方が先行するので、ユーロ円やスイス円は堅調推移が期待されます。
スイス円は、下限が116円程度であり、いずれ119円を突破して122~125円方向に向かうのではないでしょうか。
2-4.スイスフランに内在するリスク
気を付けなくてはいけないのは、スイスフランは世界で最もファンダメンタルズの良い通貨の一つなので、過去何度か急騰しました。記憶に新しいのは2015年のスイスショックでしょう。
2015年1月、ECBが量的緩和を開始する直前に、スイス中銀はそれまでサポートしてきたユーロスイス1.20の防衛ラインを突如放棄し、スイスフランは瞬間的に30%急騰しました。スイス円では、120円以下で取引されていたのが、160円に吹っ飛びました。
同じことが簡単に起こるとは思わないですが、そういう性質の通貨であることは頭に入れておいた方が良いでしょう。
スイス円のリスクは上方向です。ゆっくりとした動きが今後も続くでしょうが、売り上がり過ぎることは危険です。できれば、ロング回転で行きたいものです。