相場動向を探るコツ「マーケットの建玉状況(建玉比率)による相場分析手法」

 

こんにちは!インヴァスト証券の山口です。

 

先週末のWEBセミナーでは、チャットで以下のご質問をいただきました。

 

「ロング対ショートのリアルポジション比率はどこから見れますでしょうか?」

 

 

「ロング(買い建玉)とショート(売り建玉)のポジション状況(建玉比率)」

ロング(買い建玉)とショート(売り建玉)の状況や比率をみることで、マーケットに参加している投資家の心理状況を俯瞰することが可能です。

 

例えば、米ドル/円で買い建玉(ロングポジション)が多いのか、売り建玉(ショートポジション)が多いのかを知ることで、米ドル/円に対しての投資家の相場感をイメージすることができるということです。

 

「CFTCが発表するCOTレポートのIMM通貨先物ポジション動向」

ん~。はじめて見る人は「なんのこっちゃ??」ですね。

建玉比率で良く知られているものに、COT(Commitments of Traders)レポートというものがあります。

 

COTレポートは、毎週土曜日(日本時間、米国では金曜日の取引終了時)にCFTC(全米先物取引委員会)が発表するレポートで、通貨先物を含む各先物取引の「火曜日の取引終了時点での建玉状況(ポジション状況)など」を確認することができます。

 

CFTCのWEBサイト(http://www.cftc.gov/index.htm

 

日本時間4月23日(米国では4月22日)に発表された「日本円先物取引」のポジション状況

 

この表で

「NON-COMMERCIAL」は「非商業筋(=ファンドなどの投機筋、大口投機家)」、

「COMMERCIAL」は「商業筋(=流通業者・ヘッジャーなどの当業者)」

「NONREPORTABLE POSITIONS」は「報告の必要が無い建玉(小口投資家)」

を意味しており、「NON-COMMERCIAL」のLONG(買い建玉)とSHORT(売り建玉)、更にそれらを差し引きしたNETポジション(買い建玉 – 売り建玉)が注目されます。

 

 下のチャートは「シカゴ日本円先物」の「売り建玉」と「買い建玉」の推移をグラフ化したものです。

これを見ていただくと、2015年末までは、「日本円先物」の建玉状況は買い建玉より売り建玉の方が多く、それ以降は逆転しているということがわかります。

 

更に、この買い建玉と売り建玉を差し引きした「NETポジション」と米ドル/円のチャートを合わせたものが下のグラフになります。

 

「マーケットのプロ」である大口投機家の売買動向を見ることで、プロがどういった予想をしているのかがわかります。

また、実際に日本円先物のネットポジションがマイナス側となっている際には(投機筋は日本円を売っているため)米ドル/円は円安方向に動きやすく、プラス側となっている際には(投機筋は日本円を買っているため)米ドル/円は円高方向に傾きやすいといえませんか。

 

ちなみに現在の円相場は、大口投機家のポジション動向は日本円の買い越しとなっているので、多くの大口機関投資家は今後の円高を予想していると考えられます。

 

 

「個人投資家のポジション動向(くりっく365)」

個人投資家のポジション動向を知る上では、各社が独自に提供しているものもありますが、FXの個人投資家の売買動向を俯瞰する上では、インヴァスト証券でも取り扱っている「くりっく365」のポジション動向が参考になるかもしれません。

 

東京金融取引所「くりっく365」では、毎週火曜日に各通貨ペアの前週火曜日時点での建玉状況を公開しています。(こちらもリアルタイムのポジションではありませんが。。。)

 

東京金融取引所「くりっく365」のWEBサイト(http://www.click365.jp/

 

以下のチャートはくりっく365の米ドル/の建玉状況の推移をグラフにしたものです。

 

赤いラインで示した買い建玉は左軸、青いラインで示した売り建玉は右軸で示しています。

日本国内の個人投資家の多くは、「米ドル/円」の買い建玉を持つ傾向が高いとことがわかります。

 

更にNETポジションと米ドル/円チャートを合わせて表示したものが下のグラフです。

 

よーく、見ていただくと、NETポジションが減少傾向のとき(緑の矢印が下向きのとき)、米ドル/円相場は上昇傾向にあり、増加傾向のとき(緑の矢印が上向きのとき)に米ドル/円相場は下落傾向にあるとみえませんか?

 

個人投資家は安くなったら買い建玉して、値段が上がれば早めに利食いをおこない、逆に思惑と反対に値段が下がっても、損切りはあまり積極的におこなわないと言われます。そして、この建玉動向はそういった傾向を表しているものと思われます。

 

 

「プロの建玉比率、個人投資家の建玉比率で見方が逆に」

ここまででお伝えした通り、建玉(ポジション)動向や売買比率を見る場合、その建玉が大口期間投機家(プロ)のものか、個人投資家のものかを理解して、相場分析やお取引にご利用いただくのがいいと思われます。

 

具体的には、CFTCの建玉明細のように、プロの建玉比率を見る際には、

・買いが増える傾向か

・売りが増える傾向か

・NETポジションは買い越しか、売り越しか、また、それが増加傾向か、減少傾向か

を元にプロの相場観に追随するような取引を考えます。

 

また、くりっく365などの個人投資家が中心となる建玉動向を見る際には、

・買いが増える傾向か

・売りが増える傾向か

・NETポジションは買い越しか、売り越しか、また、それが増加傾向か、減少傾向か

を元に個人投資家の相場観とは真逆になるような取引を考えます。

 

 

「インヴァスト証券で提供しているポジション動向の情報」

さて、最初の質問「ロング対ショートのリアルポジション比率はどこから見れますでしょうか?」に戻りますが、インヴァスト証券でもマーケットの建玉状況を提供しております。

まず、リアルタイム性はありませんが、弊社HP上で「くりっく365売買情報」を提示しております。こちらは口座をお持ちでは無くてもご覧いただけますので、ご参考にしてください。(http://www.invast.jp/fx/service/summary/report.html)

 

また、シストレ24ではトレードツールの「ミラートレーダー」で「センチメント」というツールがございます。こちらはリアルタイムのものになりますが、当社シストレ24口座をお持ちお客様のみがご覧になれるものとなります。

当社トレードツール「ミラートレーダー」にログインいただき、チャート画面の左上にある「センチメント」というアイコンをクリックいただくと、黄色い四角で囲ったような棒グラフが表示されます。

 

セミナーではあまり詳しくお伝えできませんでしたが、是非、こういった情報もご活用いただければと思います。

 

※本内容は投資判断の参考となる情報の提供を目的としておりますが、投資の際の最終決定はご自身の責任と判断でなされるようお願いいたします。

※本内容は当社が信頼できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その情報の正確性、完全性を保証するものではありません。