「パナマ文書」と「Brexit(脱EU)」

こんにちは!インヴァスト証券の山口です。

 先週末のWEBセミナーのアンケートで、セミナー内で触れたパナマ文書とポンドに関し、

 「パナマ文書がポンド・ドルに与える影響についてブログなどでお教えくださるとありがたいです。」

 とのご要望がありました。

 そこで今回は「パナマ文書」と「Brexit(脱EU)」と題し、ポンド/米ドル相場についてお伝えしていこうと思います。

 

 「パナマ文書」

まず、皆さんもご存知の通り、『パナマ文書』とは、大雑把にいえば、パナマのもサック・フォンセカ法律事務所の顧客情報を、ドイツの地方紙やアメリカの調査報道団体が入手したことから始まる、各国要人のオフショア市場での租税回避問題になります。

 

「キャメロン首相の租税回避疑惑」

このパナマ文書にはイギリスのキャメロン首相のお父さんが取締役をしていたオフショア信託「ブレアモア・ホールディングス」があったことから、英国内でキャメロン首相が租税回避をしていたのかどうかという疑惑が浮上しています。

これに対し、キャメロン首相は、キャメロン首相本人と奥さんのサマンサさんが、同社の株を一時保有していたと認めており、(2010年の5月にキャメロン内閣が発足しましたが)首相になる前(2010年)に売却し、税金も納めていると発言しています。

 

「ノブレス・オブリージュの精神」

ノブレス・オブリージュ(仏: noblesse oblige)とは、直訳すると「高貴さは(義務を)強制する」となります。

これは、財産や権力、社会的な地位のあるものは、それなりの責任(自発的に無私の行動:例えば社会福祉への貢献など)を果たさなければならないという意味でいいかと思いますが、特に貴族制度や階級社会が残るイギリスでは、上流階級に対し「ノブレス・オブリージュの精神」が求められています。

 

「担税力とノブレス・オブリージュと租税回避」

担税力とは、税金を支払う能力のことです。

キャメロン首相のように家柄も良く、資産家で高収入でれば担税力があると思われます。

また、ノブレス・オブリージュの精神があるのであれば、租税回避という考えは持ちにくいと思われます。

 

「国民感情は反キャメロンに向かいやすい」

EU残留を掲げるキャメロン首相にとって、6月23日の国民投票を控えてこういった話が出てきたことは、ノブレス・オブリージュの精神に反するとして、国民の感情をBrexit(脱EU)に向かわせやすいということです。

 

「英ポンド/米ドルの動向とテクニカル」

さて、英ポンド/米ドルです。

英国の脱EUは、ユーロ圏の貿易や交流の多い英国経済にとってマイナス要因が大きいと考えられます。

そういったことを受けて、英ポンド/米ドルは2014年に1.7193をつけてから下落基調での推移となっています。

 

英ポンド/米ドル週足チャート

テクニカル的に見ると、価格は13週移動平均線を上回って推移しているものの、52週・26週移動平均線が下向きで推移しており、下降トレンドの反発局面にあると考えられます。

特に昨年末から年明けにかけては(世論調査の結果がEU残留を離脱支持が上回っていたことや原油価格が下落したことを材料に)英ポンド/米ドルの下落モメンタムが強かったこともあり、現在の値動きはスピード調整となっていると思われます。

個人的には6月23日の国民投票まで上値の重い展開が続きそうというのが英ポンド/米ドルの印象で、国民投票の結果が実際に離脱支持となる場合には、6月23日以降も英ポンド/米ドルは下値を模索する展開となる可能性があります。

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