だいまん氏 11月のリアルトレード戦略

1.イントロダクション

 10月相場は、突然の衆議院解散・総選挙から株高が大きく拡大したが、為替市場は、この動きに全く連動せず不透明感が残る展開となった。また、朝鮮半島リスクが継続、トランプ政権の減税改革案の進展にも困難が継続しているが、株価が全く、こういった悪材料を異に介していないことは、逆にバブル・リスクが高まっているような気がしてならない。

 11月の相場は、こういった面に最大の注意をして対応したいが、分からない動きには、手を出さないのも良いのかもしれない。しっかりと動きが出てから見極めて対応する予定。

2.11月のこれからの注目材料

11月10日:日経平均オプションSQ、APEC首脳会議(11日まで)、トランプ大統領APEC出席(各国首脳と会談)、ユーロ圏第3四半期GDP・改定値
11月13日:東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議
11月14日:東アジア首脳会議(EAS)、トランプ大統領・ルテルテ・フィリピン大統領と会談、中国10月小売売上高・鉱工業生産・固定資産投資、英10月消費者・生産者・小売物価指数
11月17日:アストロ:原油重要変化日
11月15日:米10月小売売上高・消費者物価指数
11月22日:米FOMC議事録(10月31日ー11月1日分)、アストロ=海王星の逆行終了
11月23日:東京市場休場(勤労感謝の日)、南ア準備銀行政策金利公表、米感謝祭
11月27日:レザ・ザッラブ氏裁判開始(トルコのイラン幇助)
11月28日:英第3四半期GDP・改定値
11月29日:スイス国民議会議長・全州議会議長選挙
11月30日:中国11月財新製造業PMI、OPEC総会
11月xx日:スロベニア大統領選挙
(尚、指標やイベントの発表・開催は、予告なく変更になる場合がありますので、その点はご考慮ください)

 まず最大の注目は、上旬のトランプ大統領のアジア歴訪となるが、既に日本、韓国、中国に訪問しているが、北朝鮮が全く挑発行動に出ていないことは不思議な感じがする。過去あれだけミサイル発射実験や核実験を行って来た経緯を見ると、この絶好のタイミングで、実施しないのは、国連や米国の経済制裁が大きく影響しているのか注目される。ただ、いずれどこかのタイミングで、挑発行動に出ることは間違いなく、そういった一時的なリスク回避の動きには注意しておきたい。加えてトランプ政権の税制改革案に関して、議会での審議が続いているが、財政問題などから審議は難航しており、一応感謝祭まで決着をつけるとしているが、内容が後退するならこちらも大きな失望となる可能性には留意しておきたい。
 その他では、今月はあまり大きな材料はない。
金融政策としては、米FOMC議事録は、この時政策金利が据え置かれており、12月の利上げの思惑にも、影響は大きく出ない見通し。ただ、南ア中銀に関しては、利下げのリスクが残ることは注意しておきたい。
 一方経済指標としても、米国では良好な指標が続いており、この面は織り込みの範囲で、ユーロ圏や英国の経済指標も、結果で相場が一喜一憂しても大きな流れにつながりづらそうだ。また、中国の指標に対しても、直近では市場の関心度が低下しており、こうやって見ると、相場は総じて、感謝祭・クリスマス休暇、年末を控えて、フローの動き以外は、大きなトレンドの変更が出る展開となるとは考えづらい。
 またアストロ的には、今月はあまり大きなイベントはなく、更に最近ではあまり当たっていないので特別懸念とする必要はないと考える。 

ドル円

近くて遠い115円~揉み合いが続きそう?

 ドル円相場は、107.32の安値から一時ダブル・トップの高値を超える上昇も、114.73で上値を押さえられて調整が続いている。ただその後も下値は113円台を守っており、底堅いともいえるが、以前申し上げたトリプル・トップ形成の可能性もあり、この113円維持では良いが、しっかりと割れると一定の調整も想定される。
 割れるケースから下値は、112.00-50ゾーンが視野となるが、この維持では堅調が続くが、111.45-70ゾーンまで割れると、日足の雲の上限割れが実現して、下限となる110.30-111.00ゾーンまで視野となるが、こういった位置では買いが入り易い。このリスクは、109.55-60や109.20-30を割れるケースで、あまり想定はしていないが、その場合108.15-50まで視野となる。
 一方上値は、114.73の高値を超えて、115円のサイコロジカル、115.1-20が視野となるが、引き続き売りが出易い。3月10日の高値115.51から115.62を超える動きとなって、強気見通しが高まる形となる。

 一方月足チャートからは、モメンタムを示す下段のスロー・ストキャスティクスが、堅調な反転を見せており、この107.32の安値が一旦の下値付きは間違いなく、押し目では買いが良い状況だが、ただ、月足の125.83の高値からのロング・ランのレジスタンスに現状上値を抑えらえており、こういった位置をしっかりと超えるまでは、利食いを優先しながら買い回転を利かせることが理想的となる。


 従って、11月のドル円の「具体的な戦略」としては、現状の113円台は、下げないリスクを勘案するなら一部買っておいて、ストップを112.95とする。ただ、これも114.73の高値を超えるまでは利食いながら対応したい。
 また何かのリスク・イベントが顕在化して、113円をしっかりと割れるなら、本格的に買い場を探したいが、できれば112円ミドルから前半まで買い下がって、このストップを111.65に置くか、思い切るなら111円まで買い下がるのも一考で、その場合のストップは111円のクリアな下方ブレイク。更に110.30-50なども買い狙いで、このストップは109.50や109円割れなどで対応したい。
 ただ、こういった下落では、既にトリプル・トップが確定することで、113-114円台は反発があっても、利食い場となりそうだ。 

ユーロドル

ヘッド&ショルダーが完成

 ユーロドル相場は、波動的に短期5波のトップつきから指摘した日足のネック・ラインとなる1.1613-62を割れて、1.2092をトップとしたH&Sが完成した。
 下値は現状1.1554で、この位置からファン・ラインやマイナーサポートが控え、更に1.15まではサイコロジカルなどが維持されると直ぐに下落は進まない。ただし、1.1470-80などを割れると1.1435-40、1.1370-00、1.1325-35などが視野となるが、買いが入り易い。このリスクは1.1313の戻り安値や1.1268-96の安値を割れるケースとなるが、それでも200日移動平均が1.1285レベルに控え、サイコロジカルな1.10と合わせて最終サポートからも買い場と見たい。また、フィボナッチ・リトレースメント(1.0341から1.2092)から見ても、38.2%=1.1423、50%=1.1217、61.8%=1.1010などは支えられる位置となる。
 一方上値は、1.1690-1.1730の窓が押さえると弱いが、1.1835-60-80の戻り高値を超えると雲の上抜けが実現して、強気が蘇るが、それでもサイコロジカル的には、1.20台は利食い場となりそうだ。

 従って戦略としては、月足のモメンタムが未だ買いを維持しており、まず下げないリスクを勘案するなら現状の1.15台は慎重に買い場探し。ストップは1.1470-80として、更に1.1313の安値、1.1268-96のそれ以前の高値、1.1119の戻り安値を睨みながら、良い買い場を探すか、さもなくば思い切って、1.10台まで買い下がることも検討したい。このストップは1.0840や1.10738割れで設定する。ただし、当面は1.17や1.18では利食いながら対応する程度で考えておきたい。また売りも1.1835-50や1.1860-80をストップに検討することも検討したい。 

3.今月の注目通貨ペア

トルコリラはリスクが残るが?

 トルコリラ相場は、10月9日にトルコと米国のビザ相互発給停止を要因に一時急落したが、11月7日には、このビザ発給の一部解除が報じられるも反発が鈍い。この要因となったトルコ・クーデターの首謀者とされるヘズメト代表者のフェトッラー・ギュレン氏の引き渡し問題が引き続き懸念として残るが、もうひとつ大きなスキャンダルが待ち受けている。
 それは、11月27日から開始されるレザ・ザッラブ氏の裁判である。同氏は、イランとトルコの両方の国籍を持つが、アメリカがイランの経済制裁中に、トルコを経由して、イランに金や外貨の調達の援助をしたとして、マイアミで逮捕されている。しかも、この裏で、エルドアン大統領が関与していると言われ、もしこの事実が裁判で明らかになった場合、エルドアン大統領は、米国では犯罪者となる。加えて、このスキャンダルに関与していたトルコのザーフェル・チャールヤン元経済相やトルコのハルク・バンクの副頭取であるアッチラ氏も逮捕されており、一部司法取引に応じる可能性が指摘されている。
 この問題が大きくなった場合、トルコリラ相場は再度売りに晒される可能性が残ることは留意しておきたい。
 一方テクニカル面で、トルコリラ円は、2度29円レベルを支え、一時32.40レベルまで反発も、この位置を上値に10月9日に29.06まで再調整。ただ、これも支える展開となったが、この戻りが31円を超えることが出来ずに、現状再調整中。通常トリプル・ボトムとして、3度下値を支えれば、相場は堅いと見るが、今後は4度目の下値トライとなっており、下方ブレイク・リスクが高まっている。
 トルコリラ円の場合、スプレッドが一時的に大きくなることで、テクニカル面では、不透明感が残るが、高金利や少なくともトルコ資産の割安感を睨むと慎重な買い下がりを検討したい。ただ、前述の通り29円を割れるケースも想定して、買い下がりの余裕を持って、対応したいが、もし、最安値の29円から32.40までの反発幅を逆に下げると仮定すると29円から3.40円下げた2.60(ざっくりだが)までのリスクもあるかもしれない。こういった下落を考慮しながら、慎重に買い下がって、中長期的に金利差を取ることが良さそうだ。