FXのシステムトレードとは?メリットやデメリット・裁量トレードとの違いを解説

FXのシステムトレードと聞くと難しく聞こえるかもしれません。しかしFXのシステムトレードの中には、あらかじめ設定されたトレードルールから選ぶだけで始められるものもあるため、初心者でも始められます。この記事ではFXのシステムトレードのメリットとデメリット、システムトレードで勝てない主な原因などについて解説しています。FX初心者やこれからFXをはじめたい人はぜひ最後までお読みください。

FXのシステムトレードとは

FXのシステムトレードとは、自動売買ツールを活用して、あらかじめ定めたトレードルールに基づいて機械的・継続的に行うトレードのことです。

例えば相場が1ドル100円と101円の間を行ったり来たりするレンジ相場を形成していたとします。この場合、1ドル100円に近づいたら買いを入れて、101円に近づいたら決済すれば利益になります。さらに101円に近づいたら今度は売り注文を入れて、100円まで戻ってきたところで決済すれば利益になります。もしレンジ相場で、このようなトレードを繰り返せば、何度も利益が狙えるかもしれません。

自動売買との違い

システムトレードと自動売買は混同されがちですが、厳密にいうと意味は異なります。

システムトレードとは、あらかじめ設定したトレードルールに基づいてトレードをする「手法」のことです。

一方、自動売買とは自動売買ツールを使ってトレードすることを指します。FXのシステムトレードは、自動売買ツールを利用して実行するケースが多いことから、一般的に「システムトレード=自動売買」と解釈されるのが主流です。

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FXのシステムトレードのメリット

FXのシステムトレードには、主に以下の3つのメリットがあります。

  • 売買チャンスを逃さない
  • 専門的な知識がなくても取引できる
  • 感情に左右されずに取引できる

各メリットについて詳しく解説します。

売買チャンスを逃がさない

システムトレードはツールを使って新規・決済を行います。そのため仕事中や就寝中でも売買チャンスを逃すことがありません。

例えば米ドル中心でトレードをしている場合、ニューヨーク時間とロンドン時間が重なる21時~翌2時(冬時間の場合は22時~翌3時)は取引参加者も多く取引が活発に行われるため、利益が狙える時間帯です。

しかし日中仕事をしている人がこの時間帯にトレードに集中すると、翌日の仕事に差し支えるかもしれません。システムトレードなら自身が就寝中でも、設定した要件を満たせば自動的に新規・決済が行われます。

専門的な知識がなくても取引できる

システムトレードは「開発型」「選択型」の2種類があります。

このうち選択型は、あらかじめ用意されたトレードルールの中から選ぶだけで1から自身で設定する必要がないため、FX初心者でも始められます。また過去に出した利益や勝率といった情報を参考にトレードルールを選択できることから、高度な知識や分析力がなくてもシステムトレードができます。

ただしこうした過去の実績はあくまでも参考であり、将来の利益を約束するものではない点には注意が必要です。

開発型と選択型の特徴や違いについては、後述します。

感情に左右されずに取引できる

自分で売買タイミングを判断する場合、利益の確定や損切りを自分で行う必要があります。しかし、利益が出ていると「もう少し利益が狙えるかもしれない」、逆に損失が発生すると「もしかしたらプラスに転じるかもしれない」といった感情が入ってしまい、利益を逃したり、損失を拡大させたりする場合があります。

システムトレードでは、あらかじめ設定した価格に達すれば機械的に淡々と新規・決済が繰り返されるため、このように感情に流されたトレードで失敗することがありません。

また裁量トレードは、売買や決済を検討するたびに市況や自身の期待などを熟慮するため、トレードの回数が多くなると精神的な負担を感じる場合があります。しかしシステムトレードは、あらかじめ決めたルールに沿ってトレードをすることから結果に一喜一憂する必要がなく、精神的な負担が軽減されます。

FXのシステムトレードのデメリット

FXシステムトレードの2つのデメリットを紹介します。

  • 相場の急変動への対応が難しい
  • 取引手数料がかかる場合がある

相場の急変動への対応が難しい

重要な経済指標の発表直後や、政治の不安定化や戦乱などが原因で相場が急変動する場合がありますが、システムトレードではこうした相場の急変動に対応できないことがあります。

政治の不安定化や戦乱などを予想することは困難ですが、重要な経済指標はほとんどの場合日程が決まっています。そのため、あらかじめチェックして発表前までにポジションを持たないようにする。あるいは定期的にシステムトレードの設定内容をチェックしたり、他のシステムトレードと入れ替えたりすることで、相場が急変動した時のリスクはある程度抑えられます。

取引手数料がかかる場合がある

多くのFX会社では取引手数料が無料で、スプレッドのみとしています。しかし、システムトレードは取引手数料がかかるケースが少なくありません。取引手数料がかかる場合、スプレッドと取引手数料の両方を負担する必要がある点に注意が必要です。

FXのシステムトレードの種類

FXのシステムトレードには複数の種類がありますが、ここでは開発型選択型の2種類を紹介します。自身にあったシステムトレードを選ぶために、両者の違いを理解しましょう。

開発型

開発型は、1からトレードルールをプログラミングできるタイプのシステムトレードです。自身のトレードスタイルや戦略に応じて柔軟な設定が可能な反面、ある程度プログラミングやFXに関する知識が必要になります。またすでにプログラミングされたシステムトレードを購入して、一部変更を加えられるタイプもあります。

選択型

選択型は、すでに完成したトレードルールの中から自身に合ったものを選ぶタイプのシステムトレードです。一定期間の収益や勝率といった情報をもとに選ぶだけでシステムトレードが始められるため、プログラミングやFXの知識があまりない初心者に向いています。ただし開発型のように自身のトレードスタイルや、戦略に応じてプログラミングに変更を加えることができません。

FXにおけるシステムトレードと裁量トレードの違い

裁量トレードとは、自身の判断で手動で取引をする方法です。そのときの市況やテクニカル指標などの情報をもとに、新規・決済のたびに判断をします。

裁量トレードはその場の状況に応じて柔軟に判断ができる、相場の急変やトレンド転換を素早く察知できる点がメリットです。しかし感情が入ってしまい、利益確定のチャンスを逃したり損切りが遅れたりするデメリットがあります。また裁量トレードを1日に何度も繰り返すと、精神的にも負担になります。

システムトレードはルールに基づいて機械的に新規・決済が行われる方法です。そのためシステムトレードはトレードに感情が入ることがありません。また何度取引をしても、24時間取引をしても疲弊する心配もありません。

ただし相場の急変や、経済指標の発表内容が想定外だったときなどに、柔軟に対処するのは困難です。仮に実行したシステムトレードがうまくいったとしても、相場の状況は常に変わるため定期的に見直すことも大切です。

 メリットデメリット
システムトレード・機械的にトレードが行われるため、利益確定や損切りのタイミングが遅れることがない
・長時間あるいは何度取引をしても疲れることがない
・相場の急変や経済指標が予想外だったときなどに柔軟に対処できない
・定期的な見直しが必要(完全に放置できるわけではない)
裁量トレード・状況に応じて柔軟な判断ができる
・相場の急変やトレンド転換を素早く察知できる
・感情が入ってしまい利益確定や損切りが遅れることがある
・何度もトレードをすると精神的に疲れる

FXのシステムトレードがおすすめの人の特徴

システムトレードは設定したトレードルールに基づいて機械的・継続的に売買が繰り返されるため、忙しくてFX画面に向き合う時間が作れない人や、FX初心者に向いています。

またFX初心者でなくても、裁量トレードでどうしても感情が入ってしまい結果が出ていない人は、一度システムトレードを試して様子を見てみるのも良いかもしれません。

システムトレードで勝てない原因

システムトレードは感情に流されないトレードができる、売買チャンスを逃さないといったメリットがあるにもかかわらず「勝てない」と言われることがあります。なぜシステムトレードは「勝てない」と言われるのでしょうか?主な原因を3つ紹介します。

リスク分散していない

相場は絶えず変動しているため、1つのトレードルールだけでシステムトレードをしていると損切りを繰り返してしまうことがあります。

FXに限らず、投資は値動きの特徴が異なる複数の資産を組み合わせた分散投資で、リスクを抑えて運用するのが基本です。

FXでも複数の値動きの特徴が異なるトレードルールを組み合わせることで、リスクを抑えられます。

高すぎるレバレッジで取引している

レバレッジとは少ない資金で大きな金額の取引ができる仕組みのことです。レバレッジを高くすると、少ない証拠金で大きな利益が狙えますが、その分為替レートが変動したときの損失も相対的に大きくなります。

国内のFX会社はレバレッジと25倍まで設定できますが、初心者のうちは高くでも5倍程度とどめておきましょう。

証拠金ギリギリで取引している

FX取引をするときにFX会社に預け入れる資金のことを証拠金と言います。証拠金はFX取引を行うときの担保のような位置付けです。

各FX会社は以下の計算式を用いてFX口座のロスカットライン(証拠金維持率)を判定しています。

ロスカットライン=有効証拠金÷必要証拠金×100

仮にFX会社が定めている証拠金維持率を下回るとロスカットとなり、保有しているポジションがすべて強制的に決済されてしまいます。ギリギリの証拠金で取引をしていると、各FX会社が設定している証拠金維持率を下回りやすく、ロスカットになる可能性が高いため注意が必要です。

ロスカットは投資家の損失の拡大を防ぐためのものですが、発動すると大きな損失になります。ロスカットにならないよう、システムトレードでも証拠金維持率をチェックしておきましょう。証拠金維持率は高いに越したことはありませんが、各社が設定している証拠金維持率に近づいたら、すみやかに追加で証拠金を差し入れるか、含み損を抱えているポジションを決済するなどの対策が必要です。

システムトレードができるおすすめのツール

システムトレードができるおすすめのツールを2つ紹介します。どちらもあらかじめ用意されたトレードルールから選ぶこともできるため、初心者でもシステムトレードが始められます。

トライオート

トライオート自身でトレードルールを簡単に作ることができるシステムトレードです。上昇相場だけでなく、下落相場、レンジ相場など局面にあったトレードルールを作れるため、あらゆる場面で利益が狙えます。

また人気ストラテジストや人気ブロガー、トライオートユーザーなど上級者がすでに作成したトレードルールをそのまま利用できることから、FX初心者でも上級者と同等の運用が可能です。

トライオートは1からトレードルールを作ることも、すでに用意されたトレードルールの中から選ぶこともできるため、あらゆるFXトレーダーにおすすめです。

まとめ

システムトレードは専門的な知識がなくても始められる他、機械的に売買されるため感情に左右されることなく、24時間売買チャンスを逃さないというメリットがあります。しかし急な相場変動には対応できない場合がある点や、取引手数料とスプレッドの両方がかかる可能性がある点はデメリットと言えるでしょう。システムトレードは忙しくてFX取引をする時間が作れない人や、FX初心者に向いていますが、始める前にこうしたメリットとデメリットを確認しておくことが大切です。

インヴァスト証券のトライオートFXはあらかじめ設定したトレードルールの中から選ぶだけで、すぐにシステムトレードが始められます。自身でチャートや経済指標をもとにしたトレードをするのは不安という人は、システムトレードの活用をご検討ください。