FXのスワップポイントとは?付与される仕組みや月10万円を狙える通貨ペアを紹介

スワップポイントは2ヵ国間の通貨の金利差調整分です。FXにおいて為替差益以外で利益を得られる方法で、金利差がプラスになっていれば売買せずに保有しているだけで利益を得られます。FXに興味がある方は、このスワップポイントについても理解しておく必要があります。そこで本記事ではスワップポイントで利益を得る仕組みやリスクなどをわかりやすく解説します。

FXにおけるスワップポイントとは

スワップポイント(金利差調整分)とは2ヵ国間の通貨の金利差のことを言います。この金利差を利用して、低金利通貨を売り、高金利通貨を購入すれば利益を得られます。たとえば金利-0.10%の日本円を売って、金利2.50%の米ドルを買った場合、2.60%の金利差が発生。この差額を利益として獲得できます。

反対に高金利通貨を売って、低金利通貨を買った場合は、その差額分のスワップポイントを支払う必要があるので注意が必要です。

FXでスワップポイントが付与される仕組み

スワップポイントは、保有しているポジションを翌営業日まで持ち越した場合(ロールオーバー)に発生します。そのため、その日中に決済するデイトレードやスキャルピングには、スワップポイントは付与されません。

FXの営業日の区切りは日本時間午前6時(冬場は午前7時)となっており、この営業日を跨いでポジションを保有していて、かつスワップポイントがプラスになっている場合に付与されます。また受け取れるスワップポイントは、原則、受渡日が繰り越された日数に応じて変動する仕組みです。受渡日とは原則、ポジションを保有している日の2営業日後を指します。

例えば月曜日から火曜日にかけてポジションを保有すると、2日後に到来する受渡日は水曜日から木曜日に繰り越されます。受渡日が1日繰り越されたため、この場合は「火曜日」に1日分のスワップポイントが受け取れます。

また火曜日から水曜日にかけてポジションを保有した場合は、2日後に到来する受渡日は木曜日から金曜日に繰り越されるため、「水曜日」にスワップポイントが1日分受け取れます。

では水曜日から木曜日にかけてポジションを保有した場合はどうなるでしょうか?

これまでの例にならうと、受渡日も金曜日から土曜日に繰り越されるはずです。しかし土曜日はマーケットが休業のため受渡日は月曜日まで繰り越されます。したがって、木曜日に3日分のスワップポイントが受け取れる仕組みとなっているのです。

なお金曜日から月曜日までポジションを保有した場合は、土曜日にスワップポイントが受け取れます。そのため月曜日受け取りとはなりません。スワップポイントがありません。

FXのスワップポイント運用のシミュレーション

スワップポイントは「スワップポイント×日数」で計算できます。たとえばスワップポイント28円のトルコリラ/日本円の通貨ペアを1年間運用※した場合、スワップポイントによる利益額は10,248円です。2024年1月19日現在では、1万トルコリラを購入するのに約49,000円必要なので、利益率は20.91%になります。簡単に計算しましたが、スワップポイントは日々変動するものなので、当然ですが実際はこれよりも増減が発生します。

※2024年はうるう年のため366日で計算

10万通貨の運用でFXのスワップポイントはいくら狙える?

政策金利が高い高金利通貨を10万通貨保有した場合、1ヶ月(30日間)でいくら狙えるでしょうか?おおよその金額を紹介します。

  • トルコリラ/円
     政策金利は42.5%。買いスワップポイント280円×30日=8,400円
  • メキシコペソ/円
     政策金利は11.25%。買いスワップポイント271円×30日=8,130円
  • 南アフリカランド/円
     政策金利は8.25%。買いスワップポイント184円×30日5,520円
    ※2024年1月11日時点

新型コロナ後、欧米を中心にインフレが加速し、多くの中央銀行が政策金利を急ピッチで引き上げました。新興国通貨もこれに追随するように政策金利を引き上げ、現在ではほぼピークに達している状況です。今後は利下げに転じる可能性もあるため、各国中央銀行の政策金利を注視してください。また新興国では政治・経済・社会情勢などにより相場が乱高下する可能性が高いので、経済状況などの情報を収集しつつ、ポジションの調整を行う必要があります。

トルコリラ/円

トルコはエネルギーの純輸入国のため、慢性的な貿易赤字・経常赤字を抱えています。経常赤字ということは、トルコ国内の企業がトルコリラから外貨に交換して国外の企業に支払う必要があるため、トルコリラ安になりやすい通貨と言えます。トルコリラの価格を維持するために、政策金利を高く設定して海外の資金を呼び込む必要があるのです。

また近年では、物価上昇率(CPI)の上昇率が2022年度は前年比64%、2023年度は64.77%と急激なインフレが続いています。インフレを抑え込むために、2023年12月末まで7会合連続で政策金利を引き上げてきました。

利上げペースは鈍化しつつありますが、政府が過度な中央銀行への介入を行ってきたことで、市場だけでなくトルコ国民の間でもトルコリラの信用が失墜しており、依然として対円でトルコリラ安傾向は収束していません。

トルコは地理的に欧州、中東、中央アジアといった地域の結節点に位置しており、近隣諸国の地政学リスクに注意を払う必要があります。通貨の流通量が少なく、価格変動が大きい点も注意が必要です。

メキシコペソ/円

メキシコは「資源国通貨」と言われ、原油や天然ガス、銀といった天然資源が豊富なため、資源価格の影響を受けやすい傾向があります。またアメリカと国境を接していることから、貿易面でアメリカとの結びつきが強いため、アメリカ経済の影響を受ける点も特徴として挙げられます。

メキシコも政策金利の引き上げを継続してきましたが、2023年12月に6会合連続で据え置きを発表しており、引き上げペースは鈍化傾向です。

しかし経済自体は堅調に推移しているため、大幅なメキシコペソ安になる可能性は低いでしょう。通貨流通量が少なく価格変動が大きい通貨であることから、今後も同水準の経済成長率が維持できるか、継続的な情報収集を心がけましょう。

南アフリカランド/円

南アフリカランドも資源国通貨の一種で、金やプラチナ、ダイヤモンドといった資源価格の影響を受けやすい傾向があります。南アフリカも政策金利の引き上げが続いていましたが、3会合連続で据え置きとなっています。そのため今後、大きく円安ランド高になる可能性は低いでしょう。

またアメリカの景気引き締めや、中国の景気減速から資源の需要が減退する可能性があります。ドイツとの貿易額も大きいため、景気動向を注視しておきましょう。

FXのスワップポイント運用ではマイナスが発生することがある

高金利通貨を売って低金利通貨を買い、そのポジションを保有したまま営業日をまたぐとマイナススワップが発生し、金利を支払うことになります。

仮に金利-0.10%の日本円を買って、金利2.50%の米ドルを売った場合の金利差は-2.6%、つまりこの金利差分が損失となります。

マイナススワップの発生を防ぐ最もシンプルな方法は、各通貨ペアのスワップポイントを把握しマイナススワップが発生するポジションは持たないようにすることです。

保有しているポジションを、翌営業日に持ち越さずに決済することでもマイナススワップは回避できます。

なおマイナススワップが生じるポジションをずっと持ち続けると、マイナススワップによる損失が積み重なってしまうため注意が必要です。また現在はプラススワップが発生している通貨ペアでも、各国の政策金利次第では金利差が逆転してマイナススワップに転じてしまうこともあり得ます。得られる日々のスワップポイントは、必ず確認しておきましょう。

FXのスワップポイント運用のメリット・デメリット

スワップポイントを狙うFXの運用方法は、長期的に安定した利益が狙えるメリットがある反面、マイナススワップが生じることがある、あるいは短期間で利益を出すのは難しいというデメリットもあります。各メリット・デメリットについて詳しく紹介します。

メリット

スワップポイント運用のメリットは、次の2点です。

  • 売買しなくても毎日利益の発生を狙える
  • 長期運用で大きな利益を狙える

金利差がプラスの状態を保っている場合は、そのまま保有しているだけで利益が蓄積されていきます。また、長期間保有することで、その利益は拡大。たとえば1日100円受け取れる場合、1年間保有したら36,500円の利益を得られます。

デメリット

メリットでも挙げたとおり、スワップポイントは長期保有で大きな利益を得られます。逆にいうと、短期間で大きな利益は得られないということです。

投資金額を上げればスワップポイントも大きくなるため、その分の利益も期待できますが、先にも述べているとおりスワップポイントはマイナスになることもあります。それだけリスクを抱えることになるので、少額でコツコツ蓄積させるのが、リスクを抑える方法と言えるでしょう。

FXのスワップポイント運用で稼ぐためのポイント

スワップポイント運用で稼ぐためには、次のポイントを意識しておきましょう。

  • 通貨ペアを分散して投資する
  • 証拠金が必要十分な状態か定期的に確認する
  • 低いレバレッジで取引する

また、これらに合わせて想定よりも金利が下がったり、レートの下げが激しくなったりした場合には早めに損切りをすることも心がけましょう。

通貨ペアを分散して投資する

投資の基本中の基本とも言える分散投資は、スワップポイントにおいても同じです。1つの通貨ペアに投資している場合は、その通貨ペアのスワップポイントが低下した際にその分利益が減少します。しかし、複数の通貨ペアに分散投資をすることで、1つの通貨ペアのスワップポイントが低下したとしても、別の通貨ペアのスワップポイントで損失をカバーできます。

証拠金が必要十分な状態か定期的に確認する

証拠金とは簡単にいうと担保のことです。FXではこの証拠金を担保に、証拠金の数倍の金額の取引ができるのですが、取引をするためには必要最低限の証拠金が求められます。これを必要証拠金と言い、口座の残高がこの金額を割り込んだ場合はロスカット(強制決済)が実行されます。

ロスカットはもともと損失の拡大を防ぐための仕組みですが、場合によってはロスカットされることによってスワップポイント分の利益よりも損失が大きくなる可能性があります。特に新興国通貨を扱う場合は、情勢によって相場が急暴落するおそれがあるので、必要証拠金の確認をこまめに行い、ロスカットにならないように注意しておきましょう。

低いレバレッジで取引する

スワップポイントもレバレッジによって変動しますが、レバレッジを2倍にすれば利益が出た場合も2倍になり、損失が出た場合も2倍になります。

たとえば証拠金として10万円を用意した場合で考えてみます。レバレッジ1倍だと「1メキシコペソ=10円」のときに利益ばかりを見ると美味しい話のように見えますが、忘れてはいけないのがスワップポイントはマイナスにも転じるということ。プラスの場合は1日あたり375円受け取れますが、マイナスになった場合には支払わなければいけません。これが長期にわたるとロスカットのリスクが高まるため、低レバレッジでの取引を心がけましょう。

スワップポイントの注意点

スワップポイント狙いでトレードする際には次の点に注意しておきましょう。

  • FX会社によってスワップポイントは異なる
  • スワップポイントの利益に税金が発生する

スワップポイントはFX会社によって設定が異なります。同じ通貨を取り扱っていても、A社よりB社の方が、利益が大きくなるケースがあるので、必ず各社のスワップポイントを確認しておきましょう。また、為替差益と同じくスワップポイントで得た利益にも税金がかかる点には注意が必要です。

FX会社によってスワップポイントは異なる

同じ通貨ペアでもFX会社によって付与されるスワップポイントは次のように異なります。FX会社によってスワップポイントが異なる理由は主に2つ挙げられます。1つは単純に「特におすすめしたい」などFX会社の方針によるもの。そしてもう1つは、カバー先の違いです。

FX会社は自社のリスク回避のために、顧客から受けた内容と同じ注文を銀行や証券会社にも出しています。これを「カバー取引」と言い、この場合における銀行や証券会社のことを「カバー先」と言います。

投資家が利益を出すと、FX会社は利益分を投資家に支払わなければなりません。FX会社は、仮に多くの投資家が利益を出しても、カバー取引で同等の利益を出すことにより自社の損失を防いでいます。このカバー先が提示するスワップポイントが異なるため、FX会社ごとにスワップポイントが変わってくるのです。

FX会社ポジション米ドル/円トルコリラ/円メキシコペソ/円南アランド/円
A社買い215円47円27円21円
売り-265円-57円-32円-27円
B社買い217円50円27.5円21円
売り-217円-50円-27.5円-21円
C社買い220円38円22円18円
売り-250円-68円-48円-37円
D社買い218円38.1円27.5円18.1円
売り-221円-38.1円-27.5円-18.1円
E社買い210円38.1円22.1円18.1円
売り-220円-38.1円-22.1円-18.1円
※1万通貨あたりのスワップポイント
※2024年8月15日現在

スワップポイントに限らず、各社の条件を確認せずにトレードをはじめてしまうと、得られるはずだった利益を逃すことになります。必ず各社が公表しているスワップポイントカレンダーをチェックして、できるだけ高いスワップポイントを設定しているFX会社を選ぶようにしましょう。

スワップポイントの利益に税金が発生する

為替差益で得た利益と同様に、スワップポイントの利益は課税対象となり、確定申告が必要です。獲得した利益には「所得税(15%)+住民税(5%)+復興特別所得税(0.315%)=20.315%」の税率が課されます。

投資家の多くは利益の一部を再投資することがほとんどで、その場合は納税の繰越しが可能です。しかし、こうしたケースでは脱税や申告漏れが発生することもあるため、確定申告の際は税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

まとめ

スワップポイントは2ヵ国間の金利差を利用した投資方法です。プラスの状態を保てていれば、長期的に利益を得られます。特に新興国通貨を保有するのがおすすめですが、金利は政策によって変動するので、政治情勢が安定しない新興国通貨は1日のうちで急に暴落することもあります。その間に対処できなければ損失が拡大する可能性もあるという点は注意しておかなければいけません。

当然ですが、仕事中や用事で手が離せない間にこうした事態に陥ることも考えられます。インヴァスト証券では手が離せない時間帯にも自動売買による取引ができる「トライオートFX」を提供しています。あなたの代わりに24時間自動で売買するため、投資の好機を逃しません。

FXはさまざまな知識を得る必要があるため、はじめやすいとはいえ、投資初心者の方には難しい側面もあります。投資に興味はあるけど損失が大きくなるのが怖いという方はぜひ、「トライオートFX」の自動売買で感情に左右されないトレードが可能です。