FXのマイナススワップとは?原因や対策・運用成功のコツについて解説

FXは為替差益だけでなく、スワップポイントによる利益も狙えます。しかしスワップポイントは、選んだ通貨ペアやポジションによっては、マイナススワップとなり損失が発生する可能性があるため注意が必要です。この記事では、FXスワップポイント狙いの運用をしたい人向けに、マイナススワップの注意点や対策、スワップポインの運用を成功させるコツについて解説しています。

マイナススワップとは

スワップポイントとは「金利差調整分」のことで、2国間の金利差から得られる利益のことです。通貨ペアのうち、金利が高いほうの通貨を買って低いほうの通貨を売り、そのポジションを保有したまま翌営業日に持ち越すとスワップポイントという利益が得られます。

例えば、2023年12月時点では、日本よりもアメリカのほうが高金利です。そのため米ドル/円の円売り米ドル買いポジションを保有して翌日に持ち越すとスワップポイントが得られます。なおスワップポイントが付与されるタイミングや金額はFX会社によって異なるので、事前に確認しておきましょう。

また保有する通貨ペアのポジションによっては、金利の支払いが必要になる場合があります。このように保有することで金利の支払いが必要になることで、発生する損失のことをマイナススワップといいます。

スワップポイントがマイナスになる原因

スワップポイントがマイナスになる原因は、主に以下の3つです。

  • 通貨ペア
  • 為替の大変動
  • 政策金利

マイナススワップは通貨ペアのうち、金利が高いほうの通貨を売り、金利が低い通貨を買うことで起こります。例えば米ドル/円の通貨ペアで売りポジションを保有した場合にマイナススワップが生じます。

また2023年12月時点ではユーロ圏よりもアメリカのほうが高金利です。そのためユーロ買いドル売りポジションを保有したときもマイナススワップとなります。

さらに為替の大変動や景気が原因で、各国の政策金利が大きく変動したり、相場の影響でカバー先のスワップが大きく動いたりすると、これまでスワップポイントが受け取れていたものがマイナススワップに転じる可能性もあります。

FX会社は顧客から注文があったときに、自社のリスクを回避するために、顧客から受けた注文と同じ取引を金融機関な行います。このような取引のことをカバー取引と言い、FX会社から注文を受けた金融機関のことをカバー先と言います。

FX会社はカバー取引をすることで、多くの顧客が一斉に利益を出したときに生じる自社のリスクを軽減させているのです。

マイナススワップでの塩漬けはロスカットの可能性も

塩漬けとは、このまま決済をすると損失が確定する「含み損」の状態を、損切せずに放置しておくことです。またロスカットとは含み損が一定の水準を超えた場合に、損失の拡大を防ぐため、すべてのポジションを強制的に決済する仕組みのことです。ロスカットは、大きな損失を招く可能性があります。

マイナススワップの状態を塩漬けにしておくと損失が積み重なり、FX会社が定めるロスカットの水準に達してしまうこともあるため、注意が必要です。ただしロスカット制度があっても、相場の急変などの理由により入金額以上の損失が発生する可能性がある点はご留意ください。

マイナスのスワップポイントへの対策

マイナススワップでロスカットが生じると、大きな損失につながる可能性があります。そのためマイナススワップは極力避けることが大切です。以下、マイナススワップポイントへの対策を紹介します。

マイナススワップのポジションを避ける

マイナススワップになるポジションを保有しないことで、マイナススワップによる損失は避けられます。各FX会社は通貨ペア別、日別のスワップポイントカレンダーを公開しているため、注文をする前に確認しておきましょう。

例えば、ユーロ/米ドルの通貨ペアで、12月12日の1ロット※あたりのスワップポイントが買い▲50円、売り50円と表示されていた場合、その日にユーロ買いドル売りポジションを持っているとマイナススワップが生じることになります。ユーロ売りドル買いポジションを保有すると、その日はプラスのスワップポイントが受け取れます。

※最小取引単位のこと

サヤ取りを行う

今後、対米ドルで円高が予想される場合のように、マイナススワップが発生するとわかっていても米ドルの通貨ペアで売りポジションを保有しておきたいケースがあるかもしれません。このような場合はサヤ取りが有効です。

サヤ取りとは、複数の通貨あるいはFX会社を活用して、売り買い両方のポジションを保有して利益を狙うトレード手法のことをいいます。

例えばユーロ/米ドルの通貨ペアで、A社が「買い▲50円、売り50円」、B社が「買い▲51円、売り51円」というスワップポイントを提示していた場合、A社でユーロ買いドル売りポジション、B社でユーロ売りドル買いポジション併せ持つことで、1円の利益が得られます。

ただしスワップポイントは日々変動しているうえ、各通貨ペアの金利の特徴についても理解しなければならないことから、サヤ取り初心者にとって難易度が高い取引手法です。

自動売買を行う

FXの自動売買とは一定のルールを設定すると、設定したルールに基づいて自動的かつ継続的に新規注文や売買を行ってくれるシステムのことです。

自動売買の結果マイナススワップになるポジションを保有する場合があります。しかしマイナススワップのポジションを保有していても、自動売買なら、あらかじめ定めたルールに該当すれば自動的に決済されるため、マイナススワップのポジションが塩漬けになる可能性が抑えられます。

自動売買は自身で1から設定しなくても、すでに設定された自動売買のなかから選んで運用することもできるため、FX初心者でも始められます。

スワップポイントの運用を成功させるコツ

FXでリスクを抑えてスワップポイントを狙うには、どのような方法があるのでしょうか。スワップポイントの運用を成功させるコツを3つ紹介します。

通貨ペアを分散する

為替は絶えず変動するため、スワップポイントで利益が出ても為替差損が生じる場合があります。為替変動によるリスクを抑えつつスワップポイントを確保するには、通貨ペアの分散が有効です。

通貨ペアの分散とは、複数の通貨ペアを併せ持って運用することをいいます。

代表的な例として、米ドル/円・ユーロ/ドルの組み合わせです。米ドル/円とユーロ/円はおおよそ同じ値動きをしますが、仮に米ドル/円やユーロ/円で為替差損が出たとしても、ユーロ/米ドルの通貨ペアを保有することで、為替変動リスクを軽減することができます。

ただし保有するポジションによっては、マイナススワップが出る可能性があるため、各通貨ペアのスワップポイント合計がプラスになるか確認が必要です。

証拠金をこまめに確認する

証拠金とはFX取引をする際に必要な資金のことです。証拠金が各FX会社の定めた基準を下回ると、ロスカットになる場合があります。

長期間コツコツとスワップポイントを貯めていても、為替レートが大きく変動したことで生じた為替差損が原因でロスカットになる場合があります。

急な為替レートの変動でロスカットが生じることがないよう、証拠金をこまめに確認しておきましょう。

ハイレバレッジで取引しない

レバレッジとは「てこの原理」のことで、少ない資金で大きな取引ができる仕組みことです。高いレバレッジのことをハイレバレッジといいますが、ハイレバレッジにするほど取引通貨量が多い取引をしやすくなるため、少しの為替レートの変動でも大きな損失につながる傾向があります。

つまり、ハイレバレッジにするほど為替差損によるロスカットが生じやすくなるため、FXでスワップポイント狙いの運用をするときは低いレバレッジでのトレードを心がけましょう。

マイナススワップが発生した場合の確定申告

マイナススワップが発生したときは、他の為替差益やスワップポイントによる利益と相殺ができます。また、マイナススワップを含め、その年のFXの損失が利益と相殺しきれずに残った場合、確定申告をすることで損失を翌年以降3年間繰り越すことができます。

FXの確定申告についてはこちらの記事をご覧ください。
FX取引にかかる税金はいくらから?計算方法や確定申告の流れを説明

まとめ

FXは為替差益だけではなく、スワップポイントで利益を狙うこともできます。ただし、スワップポイントは通貨ペアや保有するポジションによってはマイナススワップになり、損失になる場合もあるため注意が必要です。スワップポイントの運用を成功させるには、低いレバレッジで分散投資を心がけ、証拠金をこまめに確認しましょう。

FX初心者でスワップポイントを狙いたいときは、FX自動売買の活用もおすすめです。インヴァスト証券のFX自動売買システム「トライオートFX」は、あらかじめ設定したトレードルールに基づいて自動的に売買を繰り返します。

また自動売買にはAIを活用したものもあります。「マイメイト」はエージェントと呼ばれるAIが、過去のトレード内容を学習し、今後のトレードにその学習内容を反映させる仕組みです。

トライオートFX、マイメイトいずれも1からトレードルールを設定する必要がなく、あらかじめ用意されたトレードルールのなかから、自身にあったものを選ぶだけで始められます。