ユーロポンド-2022年相場予想と戦略-

【英国とECBの金融正常化の進展次第】


※本記事は2021年12月末時点に作成しております。文中の内容は作成時点の情報に基づくものとなっております。

【2021年のユーロポンド相場を振り返って】

 2021年のユーロポンド相場は、新型コロナウィルスの感染状況や英中銀とECBの金融政策を睨んで、揉み合い気味の相場展開も結局安値圏で引ける形となりました。
 年初は、英国とEUのFTA交渉が、関税ゼロを維持することでどうにか決着をつけ、EUからの完全離脱が決定したことから、年初の0.9086ポンドを高値に、ジョンソン首相がロックダウン(都市封鎖)の解除計画を発表しました。一方の欧州ではロックダウンの延長が続き、3月にECBがパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の増額を決定したこともあって、0.8472ポンドまで下落しました。英国で英アストラゼネカ社が、ワクチンの開発に成功したことで、ワクチン接種が欧州より、比較的早く進んだことなども影響があったかもしれません。
 一旦この位置は維持されて0.8720ポンドまで反発、スコットランドの議会選挙で、英国からの独立派が勝利しましたが、この結果による悪影響は見えませんでした。
 夏場には、ECBが物価目標を「2%に近いか、それを下回る水準」から「2%」に変更しましたが、これにも反応はみえず、クリーンエネルギーの供給不足が、欧州天然ガスの急騰を招きました。また、海外からのエネルギーに依存する欧州経済に対する懸念で、0.8450ポンドまで下値を拡大しました。ただ、欧州委員会が、2021年の成長率見通しを大幅に引き上げたこと、9月のECB理事会で、パンデミック緊急購入プログラムの購入ペースの減速を決定したことで0.8658ポンドまで反発しました。
 しかしながら一方で、英中銀の要人が労働力や供給不足を受けて、利上げの必要性を何度も繰り返し発言したことで、ユーロポンドの上値を押さえました。ただ、11月の英MPCでは政策金利の引き上げが発表されることはなく、市場では肩透かしとなりました。ただ、10月英消費者物価指数が前年比で4.2%まで上昇したことで、ユーロポンド相場は、0.8378ポンドの年間安値まで下落し、最終的に11月の英消費者物価指数が、5.1%まで急騰しました。これを受けて、12月には英中銀がサプライズとなる0.15%の利上げを最終的決定したことで、上値を抑える形で、2021年の相場を終了しようとしています。

有限会社フォレックスラジオ作成

【2021年の主な材料】

 以下が現在、判明している今年のイベントや材料です。注目度の高いものは太字で表示しています。ただ、あくまで予定であり、変更されることがあります。

 リポートの作成時点では、情報量が少ないのは残念ですが、2022年は、米国の中間選挙を始めとして、欧州の選挙や日本の参議院選挙など選挙が多く予定されています。特にフランスの大統領選は、アフター・メルケルを睨んで、結果次第では影響があるかもしれません。また、これは決定ではありませんが、昨年5月のスコットランドの国民投票で勝利したスコットランド国民党の二コラ・スタージョン首相が、スコットランドの独立の是非を問う2回目の住民投票の実施時期を検討しているようです。こういった点が、ユーロポンド相場の下支えとなる可能性に注意しましょう。
 政治の為替市場に与える影響は不透明ですが、近年のウイグルの人権問題、香港や台湾への圧力を受けた米中の対立の姿を見ると中国の全国人民代表大会や共産党大会での決定、また対ロでもウクライナ情勢次第では、緊張感が高まるかもしれません。こういった地政学リスクの高まりは、株価の下落を伴ってクロス相場に悪影響を与えますので、政治情勢もしっかりチェックしておく方が良さそうです。
 一方金融政策では、FRB、英中銀やECBが一定の金融正常化の道を歩んでいます。金融性正常化のスピード感のギャップが、相場に影響を与える可能性に注目して対応しましょう。ただ、インフレの高止まりが続いた場合、中央銀行が金融引き締め姿勢を更に強めるよう動くこともありそうです。その場合株価の調整を伴って、リスクオフの動きが大きく広がる可能性にも留意しておきましょう。

【2021年の注目点】

 2021年の相場環境を踏まえて、2022年のユーロポンド相場の注目点をまとめてみました。

・ブレグジット・コロナ後の英欧経済
・英中銀とECBのスタンス
・リスクファクターは?

〇 ブレグジット・コロナ後の英欧経済

 現状コロナ過で、経済データーの不透明さもあって、英国と欧州の景況感差を見極めるのは難しく、一応両国PMIを参考しますが、あまり見るべきものは無さそうです。
 ただ、大手の投資銀行のJPモルガンなども「2022年は世界的に完全回復の年となる」と直近のリポートで予想しています。来年は世界的に、パンデミックの流行が終了し、コロナ前の正常な状態に戻ることを前提としています。
ただ、一方で2021年の「リベンジ消費」に反動が出るとの指摘もあります。この点は、今後の展開を見なければなりませんが、ポンドやユーロ相場は、PMIの強弱に比較的連動しますので、毎月の両国のPMIの状況を良くチェックしておきましょう。

≪英経済≫

 今年ブレグジット移行期間を終了して、完全なブレグジットが実現しました。一時物流やFTA交渉で混乱が想定されていましたが、この問題の金融市場への影響は、あまり見えていません。また、新型コロナウィルスの感染拡大で、各国で都市封鎖(ロック・ダウン)や行動規制が続きましたが、一方でワクチンの接種が一定の効果を示し、英国でも「ウィズ・コロナ」政策に足取りを向けているようです。
 以下は、英国製造業・非製造業・建設業PMIの推移を示したチャートです。パンデミックでの急落から大きく戻っていますが、PMIは、アンケート調査ですので、だいたい「60」台がピークとなるケースが多く、若干調整気味となっています。また、ブレグジットの影響もあって、移民の労働力供給不足が伝えてられています。こういった面が景況感の圧迫につながる可能性あるので注意です。

≪欧州経済≫

 今年も新型コロナウィルスの感染拡大が続き、年初から欧州圏でも都市封鎖(ロック・ダウン)や行動規制が実施されましたが、一方ではワクチン接種が進み、経済自体は、想定外に立ち直りを見せました。
 以下は、ユーロ圏の製造業・非製造業PMIの推移を示したチャートです。一昨年の大幅なPMIの低下も、今年は、製造業で63.3、サービス業でも59.8まで回復しました。このPMIは、「50」が景気の分水嶺と言われていますが、一方で過去好況の時でも、「60」前後がピークとなっています。今回も若干ピークが見えています。欧州の雇用環境も、あまり強いものではありません。ユーロ圏のPMIが「50」を大きく割れていくとは思えませんが、世界的な景気回復が、特に原油や天然ガスの海外調達に依存するユーロ圏経済を圧迫する可能性も残っています。

有限会社フォレックスラジオ作成
〇 英中銀とECBのスタンス
〈英中銀のスタンス〉

 英中銀は、遂に16日の英中銀金融政策委員会(MPC)で、政策金利の引き上げを、賛成8、反対1で決定しました。それまで英中銀の要人が、さんざん利上げ発言を繰り替えしていましたが、肩透かしとなっていたことで、サプライズとなったようです。
 また利上げ幅は、0.15%と低いレベルですが、英中銀は通常0.25%ずつ政策金利を変更することが多く、最後の利下げがゼロ金利を避けるために、0.15%としたことで、それに準じたものです。来年段階的に英中銀が、金融引き締めを続けるか、ポンド相場には大きな注目となります。
 一方資産の購入に関しては、国債買い入れ枠の8750億ポンド、社債買い入れ枠の200億ポンドは据え置きを全会一致で決定しています。この点も米国が既にテーパリングの終了を来年3月に終了することを決定していることに比べると、未だ警戒感が残っているようです。 

 また英国の消費者物価指数の動向をチェックしておきましょう。 
 直近大きく前年比で5.1%まで急上昇していますが、前年の反動の面も強く、過去リーマンショック前後の上昇も5%前半がピークとなっています。また英中銀も「英インフレは4月に6%付近でピークを迎えると予想」との声明を出しています。オミクロン株の状況次第では、英中銀が慎重姿勢を続ける可能性に注意しておきましょう。 

 今後も英中銀のMPCの発表は注意です。以下に、ご参考までに、今年の英中銀の金融政策委員会の結果発表予定日を掲載しておきます。 

02月03日:政策金利及び議事録、四半期インフレリポート公表
03月17日:政策金利及び議事録公表
05月05日:政策金利及び議事録、四半期インフレリポート公表
06月16日:政策金利及び議事録公表
08月04日:政策金利及び議事録、四半期インフレリポート公表
09月15日:政策金利及び議事録公表
11月03日:政策金利及び議事録、四半期インフレリポート公表
12月15日:政策金利及び議事録公表

〈ECBのスタンス〉

 ECBは、今年の12月の会合で2022年の金融正常化の予定を発表しました。現在「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)」を、2022年3月末で終了するとしています。一方従来から実施している「資産購入プログラム(APP)」は、2022年4-6月期に現行の200億ユーロから400億ユーロへ増額し、2022年7-9月期は月額300億ユーロ、10月以降は200億ユーロの購入を続ける予定です。今後の経済の行方次第で変更する可能性もありますが、このシナリオでは、2023年前半に資産購入が終了し、もし金利を引き上げるとしても、2023年中盤となりそうです。ラガルドECB総裁も、前回の理事会で、「ECBが2022年に利上げする可能性は非常に低い」と述べています。
 一応ECBも徐々に金融の正常化に足取りを強めています。ただ、欧州では雇用の改善に停滞が見えること、米国に比べて景気がそれほど強くないことは留意しておきましょう。

 では、ユーロ圏を代表するドイツの10年物国債のテクニカルもチェックしておきましょう。最低金利となる-0.660%からは反発していますが、利回りの上昇も0.00%を前に上げ渋って、下段のスロー・ストキャスティクスがデッド・クロス気味です。テクニカル面からは、ECBの正常化の動きから、大幅低下はないとしても、更なる上昇は当面難しそうです。

 参考にECB理事会の日程を掲載します。
02月03日
03月10日(ECBスタッフの成長率見通し公表)
04月14日
06月09日(ECBスタッフの成長率見通し公表)
07月21日
09月08日(ECBスタッフの成長率見通し公表)
10月27日
12月15日(ECBスタッフの成長率見通し公表)

〇 リスクファクターは?
≪北アイルランド問題≫

 英国が欧州から完全分離してから間もなく1年となりますが、EUとの通商問題をめぐる対立はまだ解決を見ていないようです。一応EUと英国では関税ゼロを維持していますが、「北アイルランド議定書」によって、北アイルランドでは、未だ英国からの物品に通関手続きが必要となっています。特に過去30年間にわたる北アイルランド紛争に対するセンシティヴな懸念や物理的な問題もあって、なかなか解決に至らないようです。
 英国サイドの強硬姿勢もありますが、今後EUの裁判所が英国に制裁金の支払いを命じる可能性や金融制裁を課す可能性も指摘されています。問題が複雑で詳細は省きますが、英国は、フランスとも漁業権などで問題を抱えています。現状金融市場で、あまり大きくクローズ・アップされていませんが、今後この問題が大きくあるなら注意しておきましょう。

≪スコットランドの独立問題≫

 スコットランドの独立問題も注意です。
今年の5月6日の住民投票で、スコットランド国民党(SNP)は、129議席中64議席を獲得、単独過半数にはあと1議席足りませんでしたが、連立を組む緑の党が8議席を確保したため、保守党を見事に打ち破った形となっています。
 スタージョン首相は、この時の声明で、2022年初頭に、住民投票に向けた法案を提出する可能性を除外しないと述べています。ジョンソン首相は、この問題は2014年の住民投票で決着しており、当然拒否する方針ですが、この問題が、来年のユーロポンド相場の波乱要因となる可能性が残っていることは注意しておきましょう。 

≪仏大統領選≫

 仏の大統領選は、1回目投票日が来年の4月10日、決戦投票日が来年の4月24日に予定されています。現在のところ、現職大統領であるエマニュエル・マクロン氏が再当選するだろうと予想されています。その場合大きな変化はありませんが、その他以下のような多くの候補が立候補すると見込まれています。もし2017年にマクロン氏と一騎打ちになったルペン氏や若者に人気の高いメランション氏などが優勢となってくるようなら、アフター・メルケルを睨んで、独のシュルツ新首相の手腕が不透明なだけに、EUの連帯に懸念が広がる可能性が残ることは、注意しておきましょう。

中道右派共和党イルドフランス地域圏議長バレリー・ペクレス氏 (54)
極右政党・国民連合マリーヌ・ルペン氏(53)
極右の政治評論家エリック・ゼムール氏(63)
急進左派「不屈のフランス」の創設者ジャン=リュック・メランション氏 (70)
ヨーロッパエコロジー・緑の党ヤニック・ジャド氏(54)
中道左派の社会党はパリ市長アンヌ・イダルゴ氏(62)

【テクニカル面】

 テクニカル面からまず、ユーロポンドを構成するポンドドル相場の月足をチェックしておきましょう。
 ポンドドルは、英国が国民投票で、ブレグジットを決定した2016年から売りに押されるも下値を1.1378ドルで支え1.4337ドルまで反発、その後パンデミックの影響で、再度1.1412ドルまで下落後この位置を支えて反発が、最高値2.1162ドルからのレジスタンスを越えるも1.4251ドルで抑えられています。
 チャート形状からは、ダブル・ボトムが下値を支え、上値はダブル・トップが押さえています。つまりこのレンジ、ざっくりと1.14ドル前後や1.43ドル前後をブレイクするまでは、新たな方向感となりづらい形となりそうです。来年以降こういったブレイク・アウトが発生するかですが、それまでは揉み合いと見る方が良いでしょう。
 ただ、フィボナッチ・リトレースメントから見ると反発が1.1378ドルから1.17188ドルの50%で抑えられていること、上昇サポートを割れていること、加えて下段のスロー・ストキャスティクスが、デッド・クロスしていることを考えると2022年は弱い展開が想定されそうです。
 上値は、1.37ドル-1.40ドル・ゾーンが抑えるとレジスタンスが有効です。あくまで1.4251ドルや1.4377ドルの戻り高値を越えて、1.5018ドルのブレグジット国民投票時の高値がターゲットとなります。
 一方下値は、現状の安値1.3163ドルが維持されると良いがですが、維持出来ない場合、1.3135ドル、1.2676ドル-1.2855ドル、1.2073ドル-1.2360ドル・ゾーンの月足の戻り安値圏がターゲットとなります。その場合も1.20ドルのサイコロジカルが維持されると良いですが、1.1412ドルや1.1378ドルの安値を割れると相場が崩れ、1.0525ドルの1985年2月の安値までポイントが無くなるので注意です。
 従って2022年のポンドドルの想定レンジを1.2500ドル~1.4000ドルとします。 

 次にユーロドルの月足です。
 歴史的な高値の1.6040ドルからの調整を、1.0341ドルの安値で支えて、反転も2018年2月の1.2555ドルや1.2349ドルの戻り高値で押さえられています。この位置は、1.1640ドル-1.1876ドル-1.2042ドルのネック・ラインとも概ね一致する位置です。また、1.2555ドルや1.2349ドルの戻り高値が、ダブル・トップとして機能している可能性もあって、現状は調整気味です。下段スロー・ストキャスティクスもデッド・クロスから下落しています。1.1603ドルや1.1704ドルのそれまでの安値が、上値を抑えると弱く、超えても1.1910ドルの戻り高値やサイコロジカルな1.20ドルでは売りとなり易そうです。
 一方下値は、現状の1.1186ドルの安値が維持されると良いですが、割れると1.1100ドル、更に長期のサポートが控える0.7229-67ドルまでターゲットとなります。ただ、こういった位置が支えることが出来れば、更に下落は拡大しないと思われますが、1.0636ドルや1.0341ドルの安値まで割れると相場が崩れて、0.9600ドルまでターゲットとなります。
 従って、ユーロドルの2022年の想定レンジを1.0800ドルから1.2000ドルとします。

 それでは、ユーロポンド自体の月足チャートを見てみましょう。
 直近では、0.9804ポンドの歴史的な高値からのレジスタンスを、0.9498ポンドの上ヒゲで一時上方ブレイクするも、オーバー・シュートに留まり、その後は軟調な展開が続いています。既に上値は0.8670ポンド-0.8720ポンドの戻り高値圏が抑えると特に弱く、超えても0.8813-53ポンドの窓の上限です。また、0.90ポンドのサイコロジカルにレジスタンスが控え、0.9085ポンドの上抜けから、0.9230ポンド-0.9292ポンドの戻り高値圏を越えるまでは、弱い状況が続きそうです。 
 一方下値は、現状の安値0.8378ポンドを維持するなら良いですが、0.8273-83ポンドの下ヒゲ、0.8238ポンドの戻り安値を割れると相場が崩れ、0.80ポンドのサイコロジカルがターゲットとなります。この維持は若干不透明ですが、割れると0.7691ポンド-0.7758ポンドのネック・ラインまでターゲットとなりますが、最終サポートが切り上がって来るとされます。また、フィボナッチ・リトレースメント(0.5680ポンド~0.9804ポンド)の50%が0.7742ポンドに相当します。もし、下落しても、この位置は絶好の買い場となりそうです。このリスクは、0.7516ポンド-0.7590ポンドを割れるケースですが、その場合も0.7252ポンドや、0.7105ポンドという過去の高値が維持されると更に突っ込み売りはできませんが、ただ0.6935ポンドを割れると相場が崩れ0.6545-45ポンドなども視野となります。
 また、モメンタムを示すスロー・ストキャスティクスの位置では、まだ調整的な下落が続く可能性ですが、今後更に下落した場合、売られ過ぎ圏も近くなっていることは注意しましょう。

 加えてポンドドルとユーロドルの想定レンジから作成したマトリックス・チャート(価格帯によるクロス円の位置)を見てみましょう。
 ポンドドルの2022年の想定レンジを1.2500ドル~1.4000ドル、ユーロドルを1.0800ドル~1.2000ドルとしましたので、これから算出されるユーロポンド相場の最大想定レンジは、0.7714ポンド~0.8600ポンドとなります。少し幅が広いので、基本は英欧金利差から軟調を想定して、0.8000ポンドから0.8932ポンドとして、これを参考に2022年のユーロポンドの想定レンジを、0.7950ポンドから0.8950ポンドとします。

【予想レンジと戦略】

 以上を踏まえてユーロポンド相場の来年の見通しと戦略についてお話します。
 一応新型コロナウィルスの感染が、終息に向かう前提で予想をしています。もし、更に強いウィルスが出現して、再び経済が大きく落ち込んだり株価の大幅調整があった場合は、見直しの必要があるかもしれません。また年間の見通しや戦略は、そう簡単に当たるものではありません。あくまで現在の状況で判断したものですので、くれぐれも自己責任でご参考にして頂ければ幸いです。

 来年のユーロポンドの想定レンジを、0.7950ポンドから0.8950ポンドとしました。

 基本的な戦略としては、英国が既に利上げスタンスに入っていること、ECBは2023年まで利上げがないことで、早期には戻り売りを検討します。まず、0.8720ポンド越えをストップとして、0.87ポンド方向への上昇を売る形です。また超えるなら0.89ポンドへの上昇で売り直して、ストップを0.9095ポンドとしましょう。この位置まで売り上がるのも一考ですが、特にユーロポンドは、追いかけて売るのは危険で、何かの材料で上ヒゲが出るケースで売りを狙うのが得策です。ターゲットは、0.8273-83ポンド、0.8238ポンドの動向を見ながら段階的に買い戻して、0.80ポンド手前や前後ではしっかりと利食っておきましょう。
 一方こういった下落では買いも検討してみましょう。0.80ポンドから0.7691ポンド-0.7758ポンド方向への下落では、買いを狙ってみましょう。ストップは0.7516ポンド-0.7590ポンド割れ。または0.6935ポンドをストップに、0.72ポンドのミドルまで買い下がるのも一考です。ただ、こういった下落では、それ以前の安値圏である0.8238-83ポンドのゾーンが抑えると利食いで、超えても0.8720ポンドの戻り高値を前に、上げ渋りではしっかりと利食っておきましょう。

※文章中に使用されている、高値・安値等の価格につきましては、筆者が作成に利用したデータ元の価格であり、インヴァスト証券がトライオートFXにて提示した過去の価格とは異なります。