1.マーケットの見通し
アメリカ経済の先行きに対する楽観的な見方や、継続的な利上げ観測、さらにはトランプ政権による税制改革への期待感も膨らみ、為替市場はドル全面高の展開となっています。地政学的リスクによるリスク回避的な動きが一時的に強まる可能性がありますが、10月に入ってから発表された経済指標がいずれも予想を上回る好数値となり、足元の景況感に悪材料が見当たらないことからドル円相場も9/8に付けた107円台前半を底値として上値追いの流れが継続中です。
一方ユーロ圏では、地域格差はあるものの景気の緩やかな回復基調が継続しており、量的緩和縮小観測も強まりつつありますが、ECB内ではなお慎重派が多く、また、ユーロ相場の上昇を懸念する声も聞かれることから、資産買入れ額の縮小にはなお時間を要する可能性が高いと見られます。景気の底堅さや量的緩和縮小の可能性を先取りして強まったユーロ買いも1.20台を見てやや沈静化しており、調整下げの動きが強まりつつあります。
2.ドル/円
日足は9/8に付けた107.32を直近安値として反転、上昇の流れに入っていますが、113円台の強い上値抵抗を前にして足踏み状態となっています。しかし、この間に短・中期の移動平均線が収縮し始めており、一方向へ動き出す可能性が高くなり始めています。21日移動平均線は10/5現在111.43に、120日、200日線は111.25と111.94にあり、現状は全てを上抜けた位置をキープしており、一段の上昇の可能性に繋げていますが、111円割れを見た場合は短期トレンドが変化してドル下げ方向へのリスクが点灯します。一方、週足も上値トライの動きが継続中ですが、10月第1週の週足の抵抗が112.60-70にあり、これを上抜けて越週するかこの下に入り込んで越週するかに注目しています。113円超えの越週となれば、10月第2週以降もう一段の上昇の可能性が高くなり、上値余地を探る動きが継続、逆に112.50以下の越週となった場合は下値リスクを残すことになります。現状は31週、62週移動平均線が111.20と110.00に位置しており、下値をサポートした状態ですが、113円超えの越週となった場合でも長期的な上値抵抗が114.60~115.10ゾーンに控えており、これを一気に上抜けるのも難しいでしょう。月足を見ると、9月足はタクリ足の陽線となり、下値トライに失敗した形で越月しています。この反動で、10月は月初から上値追いの動きが先行していますが、この月足の上値抵抗が115.00-50にあり、続伸に繋げた場合でもこれにぶつかる可能性にも注意が必要です。一方で10月足の下値抵抗が109.50~110.00にあり、これを下抜けて越月しない限り、下値余地も拡がり難い形です。31ヵ月移動平均線は10/5現在113.61にあり、上値抵抗として働く可能性があります。
今月の戦略
ドル買いは112.40-50で押し目買い。損切りは短期トレンドが変化する110.90に置く必要があります。但し、10/6の終値が112円台を維持出来ずに終えた場合は、下値リスクがやや高くなり、今後のドルの上値トライの流れの中でも113円が壁となる可能性が点灯するので一旦撤退した方がいいかもしれません。ドル売りは目先天井を確認するまで様子を見るか、104.10-20超えがあれば売り狙い。損切りは114.80で浅めに一旦撤退です。
【ドル/円(日足チャート)】
3.ユーロ/ドル
ユーロ/ドルは、9/8に付けた1.2092を直近高値として調整下げ局面に入っています。中期トレンドがユーロ強気の流れを維持していることから、急落にも繋がっていませんが、週足ベースでは調整下げに入って2週間が経過したところで、通常の調整下げ期間に鑑みれば少なくともあと1~2週間は下値余地を探る動きが続く可能性も高いと見られます。調整下げに留まるなら1.1500~1.1460を大きく下抜けない可能性も高いと見られるものの、調整下げに入って日が浅いことから、反発余地がまだ限られ易いので、値頃感からのユーロ買いは控えた方がいいでしょう。短期トレンドは1.19台を回復すればニュートラルな状態に戻しますが、1.20台に日足の実体を戻すまでは下値リスクを残します。21日移動平均線は1.1875にあり、上値を押え込んでいますが、120日、200日線は1.1480、1.1149に位置しており、中期トレンドをサポートした状態です。しかし、62ヵ月移動平均線が1.2060に位置しており、重要な節目にぶつかった可能性があることから、今月のユーロ買いはしっかり底をついて、立ち上げが確認されるまでは慎重に臨む必要がありそうです。
今月の戦略
ユーロ買いは1~2週間は様子見とします。可能性が低いとみますが1.1200以下があれば買い場探しの戦略で。ユーロ売りは1.1760-70で戻り売り。損切りは浅い場合で1.1860、深い場合は短期トレンドをニュートラルな状態に戻す1.1910に置く必要があります。
【ユーロ/ドル(日足チャート)】
4.ユーロ/円
ユーロ/円は9/22に付けた134.41を直近高値として反落、調整局面に入っています。中期トレンドが強い状態を維持していることから、急落にも繋がっていませんが、130円割れで越週した場合は、一段の下落リスクが灯します。現状は132.10-20の下値抵抗を終値ベースで守っていますが、132円割れで終えた場合は130円方向への一段の下落リスクに注意が必要でしょう。21日移動平均線は132.32に位置しており、若干下抜け始めていますが、“ダマシ”の範囲内です。また、120日、200日線は127.71と124.76に位置していますが、短期線とのかい離がまだ大きいので、急反発にも繋がり難いと見られます。調整下げが浅い場合は130円台に留まる可能性があり、130円割れの越週とならない限り、130円台接近場面での売りも慎重に。31週、62週移動平均線は125.95と121.94にあり、中期トレンドはユーロ強気の流れを維持しています。
今月の戦略
ユーロ買いは調整下げ終了まで様子見か130.20-30で軽く試し買い程度に。損切りは一段の下落リスクが点灯する129.40で撤退です。ユーロ売りは132.50-60で戻り売り。損切りは浅い場合で133.10、深い場合は、短期トレンドをニュートラルな状態に戻す134.10に置く必要があります。
【ユーロ/円(日足チャート)】