青山竜也氏9月のリアルトレード戦略

8月の大きなイベントと言われていたジャクソンホールでのシンポジウムも無難に通過いたしました。9月のトレード戦略を考える上で、まずは現在の状況を簡単に確認したいと思います。

1.現在の状況

  • ドル円は状況が掴みづらく、トレードもしづらい状況が続いている
  • ユーロはECBの緩和終了の「ほのめかし」と共に4月後半から強い状況が続いている
  • 豪ドルなどの資源国通貨は6月から強かったが現在は一旦小休止にある
  • ドルはFRBが利上げを行っているにも関わらず弱い状況が続いている

9月の想定リスク

  • 引き続き北朝鮮リスク
  • トランプリスクによる、政府閉鎖問題と債務上限問題など

 

2.私の考える9月のトレード戦略(8月28日現在)

多くの方がご存じの通り、8月(夏)は円高になりやすいアノマリー(傾向)があります。そしてアノマリーに従えば、11月~12月は今度は円安に向かうことになり、そして9月はその中間にあたります。

AUD/JPY(豪ドル円)またはAUD/USD(豪ドル米ドル)の買い

狙い目のひとつとしては、AUD/JPY(豪ドル円)またはAUD/USD(豪ドル米ドル)の買いである。

 

 

豪ドルは、良好な指標が続いた為にオーストラリア準備銀行が会合の度に文言を修正しつつ利上げへの下地を作ってきた。これが6月から続く豪ドルの上昇である。

しかし毎度のことではあるが、高くなってきた豪ドルに対してオーストラリア準備銀行から「豪ドルが高い」と口先介入を受けて高値から反落している・・・というのが現在の状況。

反落の後で現在はレンジを形成して持ち合い状態なので、ここは押し目のひとつであると考える。

レンジの下限、または200日線をサポートにして押し目を買ってみたい・・・が同時にレンジの下限、または200日線を割る(AUD/JPNの場合)ようであれば、ロスカットはしっかりと行いたい。

AUD/JPY(豪ドル円)がいいのか、AUD/USD(豪ドル米ドル)がいいのかは難しいところ、9月もドル安が続くと思うのであれば後者。9月は夏も終わりドル安圧力が弱まると思うのであれば前者が良いと思う。

 

2つ目はやはりユーロ

狙い目の二つ目としては、やはり現在旬な通貨であるユーロである。

ユーロはご存じの通り、4月下旬のECBのドラギ総裁の発言から「緩和縮小が想定されて」ここまで強い状態が続いている。

 

 

特にユーロドルは大きな押し目を作ることなく上昇を続けている。ユーロ円よりもユーロドルのチャートの方が強い理由はご存じのように、最近続く「ドル安」がその一端を担っている。

ユーロは上昇が続いており、高い位置にあるという意味では買うのが怖い人も多いとは思うが、ここはまだ上昇トレンドを味方につけて買い目線で臨みたいところ。

EUR/JPY(ユーロ円)とEUR/USD(ユーロドル)のどちらかを買うべきかに関しては上述の豪ドルと同じで、夏が終わりかけ、これからのドルの方向性に依存してくる。9月もドル安が続くと思うのであれば後者。9月は夏も終わりドル安圧力が弱まると思うのであれば前者が良いと思う。

ただ、ユーロの場合は豪ドルと違って押し目を待っていても来ない可能性がありますので、ここは勇気をだして直近高値を超えた所を買って追いかけるのが面白いと思う。叩かれて戻ってきたら早目のロスカットを行い、そのまま伸びるようであれば勇気を持って建玉をキープしたい。

 

買い控えたい通貨はニュージランドドル

私の9月の狙い目としては、主に上記2つが面白いと思っています。

ちなみに豪ドルと似た性格のニュージーランドドルですが、こちらの買いは控えたいと思っています。

 

NZD/JPY(ニュージーランドドル円)のチャートを見る限り、AUD/JPN(豪ドル円)と似た買い戦略を取りたくもなりますが、NZD/JPYの場合は既に200日線を割っていることもあり、200日線より上で買った人達のロスカットが断続的に入ってくる可能性があり、現時点では買いはオススメできません。ただ、非常に小さな建玉での長期スワップ狙いであれば悪くはないと思います。

 

3.ドル円について

それから、肝心のドル円ですが、現在は方向感なく漂う感じの値動きが続いていますので、こちらの取り引きもオススメはしません。ドル円が一番日本人には馴染みが深く、スプレッドも小さめで、(私もそうですが)これをメインにしている方も多いとは思いますが、現在は下手に手を出すべきではないと考えます。

米国の「政府閉鎖問題」と「債務上限引き上げ問題」ですが、これは例年の恒例行事となっており、あまり心配はしておりませんが、今年は大統領がトランプさんということで、リスク回避でドル円が下に深く差し込む場面がないとは言えませんが、そこは深追いはしない方がいいと考えます。

最後に北朝鮮のミサイルやテロもそうですが、想定外のリスクが常に発生するのが相場の世界です。自分の建玉に思い入れや執着を深く持たずに、ダメだと思った時はすぐにロスカットをすることをオススメします。チャンスは今後幾らでもあります。

 

4.9月の重要経済イベント

9月は上述した通貨に影響を与える大きなイベントが、以下の日程でありますのでリスク管理はしっかりと行いたいものです。

  •  5日(火) RBA(オーストラリア準備銀行)政策金利発表
  •  7日(木) ECB(欧州中央銀行)理事会
  • 20日(水) FOMC(米国連邦公開市場委員会)
  • 21日(木) 日銀金融政策決定会合
  • 28日(木) RBNZ(ニュージーランド準備銀行) 政策金利発表