円安と円高ならどっちがいい?個人でできる対策方法も解説

円安・円高は個人の場合、外貨資産を多く持っているか円資産を多く持っているかで、企業の場合は輸出企業か輸入企業かで見方が変わります。

この記事では、円安・円高のメリット・デメリットから、円安のときの対策についても解説します。円安・円高のどっちがいいか知りたい人、個人でできる対策を知りたい人は、ぜひ参考にしてください。

円安と円高のどっちがいい?消費者・企業の2観点から解説

円1単位で交換できる他通貨の単位数が相対的に少ない状態を円安、多い状態を円高と言います。 

円安・円高のどっちが得かということは一概には言えず、海外旅行が好きな消費者や輸入企業にとっては円高にメリットが多く、国内で外貨建て資産を運用している人や輸出企業にとっては円安にメリットが多くなり、立場によって有利・不利が異なります。

円安と円高のメリット比較

円安になると、個人消費者にとっては外貨建て資産の相対的価値が上昇し、輸出企業にとっては為替差益が増えるというメリットがあります。一方、円高局面では、個人消費者にとっては輸入品が安くできる、海外旅行に行く人が多くの外貨と交換でき、輸入企業にとっては原材料が安く購入できるなどのメリットがあります。

円安メリット円高メリット
・外貨建て資産の相対的価値が上昇する
・輸出産業にとって為替差益が増える
・輸入品が安く購入できる、海外旅行に行く人に有利
・輸入企業は安く輸入できる

円安のメリット

個人消費者の円安のメリットは、外貨建て資産の相対的価値が上昇する点です。例えば外国株式を1万ドル保有している場合、1ドル100円のときに円に換金すると100万円ですが、より円安の1ドル110円の時期に換金すると、110万円を受け取れます。

一方、企業の円安のメリットは輸出産業の為替差益が増える点です。輸出産業は輸出品を海外で販売すると外貨で代金を受け取りますが、保有している外貨をより円安のときに換金すれば、為替差益が大きくなります。

円高のメリット

個人消費者の円高のメリットは、輸入品を安く購入できる点です。1,000ドルの商品を購入する場合、1ドル100円のときに購入すると10万円が必要ですが、より円高の1ドル80円のときに購入した場合は8万円で購入できます。

また、海外旅行に行く人にとってもメリットがあります。海外旅行で自由に使えるお金が10万円あったとすると、1ドル100円であれば交換できるのは1,000ドルですが、1ドル80円のときには1,250ドルと交換が可能です。

企業の円高のメリットは、個人と同様の理由で、割安に輸入品が購入できる点です。輸入企業や原材料の大半を輸入に頼っている企業にとっては、大きなメリットがあると言えます。

円安と円高のデメリット比較

円安になると、個人消費者にとっては輸入品が割高になり、輸入企業にとっては仕入れコスト増になるデメリットがあります。一方、円高局面では、個人消費者にとっては海外資産の相対的価値が減少する、輸出企業にとっては支払額が増えるというデメリットがあります。

円安デメリット円高デメリット
・輸入品が割高になる
・輸入企業にとってはコスト増になる
・海外資産の相対的価値が減少する
・輸出企業にとっては支払いが増える

円安のデメリット

個人消費者の円安のデメリットは、輸入品が割高になる点です。1,000ドルの商品があるとすると、1ドル100円なら10万円で購入できますが、円安で1ドル120円のときに購入した場合は12万円支払う必要があります。

また、企業の場合も個人消費者と同様の理由で、円安は輸入企業にとってのデメリットになります。また、原材料の大半を輸入に頼っている企業は、円安になると仕入れコスト増につながります。

円高のデメリット

個人消費者の円高のメリットは、海外資産の相対的価値が減少することです。1万ドルの外貨預金を円に換金する場合、1ドル100円であれば100万円が受け取れますが、円高で1ドル80円のとき換金すると80万円しか受け取れません。

円安の方がいい立場は「輸出企業や外貨資産を多く持つ個人消費者」

円安の方がいい立場は、輸出企業や外貨資産を多く持っている個人消費者です。

輸出企業者の場合、製品価格が100万円だとすると、1ドル100円のときに販売すると輸出先では1万ドルで購入できますが、円安で1ドル125円のときに販売すると、輸出先では8,000ドルで購入できるため需要が高まります。また、代金を外貨で受け取った場合、円安のときに外貨を換金するとより多くの円を獲得できます。

一方、個人消費者も、外貨建ての資産の相対的価値が増加するため、円安の方がいい立場と言えるでしょう。

【円安で受けられる恩恵例(企業)】

  • 輸出企業が輸出先で商品を安く販売できる
  • 外貨で受け取った商品代金を円安時に円に換金すると、より多く受け取れる

【円安で受けられる恩恵例(個人)】

  • 外貨建て資産の相対的価値が上昇する

円高の方がいい立場は「輸入企業や円資産を多く持つ個人消費者」

円高の方がいい立場は、輸入企業や円資産を多く持っている個人消費者です。

輸入企業は、海外から輸入する際、円高の方が有利に働きます。例えば1万ドルの商品を購入しようとした場合、1ドル100円のときは100万円で購入できますが、円高で1ドル80円になると80万円で購入できるためです。また、原材料を多く輸入している企業にとっても円高は有利に働きます。

一方、個人消費者の場合は円資産を多くもつ消費者がいい立場と言えるでしょう。例えば500ドルの商品があったとすると、購入するために必要な金額は1ドル100円のときなら5万円ですが、1ドル80円のときであれば4万円で購入できます。つまり円高局面では、円資産を持っているとより多くの輸入品が購入できるということです。

【円高で受けられる恩恵例(企業)】

  • 輸入企業が輸入品を購入するとき
  • 輸入企業が原材料を輸入するとき

【円高で受けられる恩恵例(個人)】

  • 輸入品をたくさん購入できる
  • 海外旅行で多くの外貨と交換できる

個人消費者は「円高」のほうがよく「円安」はデメリットが多い

ここまで、円安・円高のメリットとデメリットについて、個人消費者、企業というそれぞれの観点で見てきました。日本は資源が乏しく、エネルギーや食品を海外からの輸入に頼っていることから、個人消費者という立場で見ると、どちらかと言えば円高のほうが円安よりもメリットが大きい傾向があります。

しかし、個人消費者と企業を含めた国全体で見れば、円安・円高のどちらもメリット・デメリットがあるため、一概にどちらがいいとは言えません。大切なのは、円安・円高のどちらに傾いても、リスクを抑えられる対策を立てておくことです。

個人でできる円安への対策方法は?

個人の場合はどちらかというと、円高のメリットの方が大きい傾向があります。そのため、円安になったときの対策を立てておくことが大切です。

外貨預金を活用する

外貨預金とは日本円を外貨に換えて預ける預金のことです。日本円よりも金利が高いため、円預金よりも大きく増やせる可能性があるうえ、円高のときに外貨預金を始めておけば、円安局面で為替差益が期待できます。

ただし、外貨預金は金利が円預金よりも有利な反面、為替変動の影響により元本割れする恐れもあります。元本割れリスクを避けるためには、毎月1万円、2万円のように一定額を定期的に積み立てる方法が有効です。

外国株へ投資する

外国企業の株式に投資をする方法です。外国株は日本円から外貨に交換して外貨で運用されるため、外貨預金と同様、円安対策になります。外国株は、利益の一部を投資家に還元する配当金に力を入れている企業が多く、年に一度、半年に一度など配当を出している企業もあります。

外国株は価格変動が大きくリスクが高い金融商品のため、複数の銘柄を併せ持って金融商品の値動きを抑える分散投資を心がけてください。もともと分散投資効果が働いているETF(上場投資信託)という商品もあるため、個別銘柄を選ぶのが難しいときはETFも検討してみましょう。

FXで外貨運用をおこなう

FXを活用した外貨運用も円安対策になります。例えばFXで米ドル円の通貨ペアを選び、円買いからスタートすると、円安局面で為替差益が生まれます。また米ドル円の通貨ペアで円買いからスタートした場合、保有しているだけでスワップポイントという利益が、ほぼ毎日受け取れます。

FXはリスクが大きいイメージがあるかもしれませんが、レバレッジを抑えれば外貨預金より低コストでの運用が可能です。

まとめ

円安・円高どっちが得かを比較すると、個人消費者の立場で見た場合は円高のメリットの方が大きくなりますが、国全体でみれば円安・円高のどちらがいいか一概には言えません。大切なことは、円安・円高のどちらに傾いても、リスクを抑えられる対策を立てておくことです。

個人消費者の場合は円高のメリットの方が大きいため、円安のリスクに対して対策を立てておけば、資産全体の運用のリスクを抑えることにもつながります。個人でできる円安への対策としては、外貨預金、外国株への投資、FXがあります。FXは運用次第で、外貨預金よりも低コストの運用が可能です。

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