確定申告とは?必要な人や不要でもした方が良い人の特徴・困った時の相談先について解説

FXで利益がでると金額によっては確定申告が必要です。確定申告と聞くと難しく感じるかもしれませんが、やり方を覚えれば年を追うごとにスムーズにできるようになります。この記事では、確定申告とは何か?確定申告が必要な方、不要な方の要件や、やり方について解説します。確定申告は少し苦手、あるいは、これから確定申告をする予定のため不安を感じている方は参考にしてください。

確定申告とは

確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年間の所得と、所得に対する所得税を計算する手続きのことです。なお納税額がある場合の2023年の確定申告の期間は、2月16日から3月15日となっています。

年末調整との違い

年末調整と確定申告はどちらも個人の所得税を計算する仕組みですが、年末調整は会社に勤務している方を対象とする手続きです。

会社にお勤めの方も納税をする必要がありますが、自分自身で納税額を計算する機会はあまりないでしょう。これは従業員に代わって、会社が納税をしてくれているためです。

会社員は毎月の賃金が変動することはあまりないことから、会社側が概算で税額の計算をして、源泉徴収という形で毎月賃金から天引きをしています。そして10月~11月頃になると、生命保険料控除やiDeCo(小規模企業共済等掛金控除)の控除や、その他控除がないかを確認。もし控除になるものがあった場合は、改めて従業員の所得税を再計算し、源泉徴収した金額との差額があれば還付、あるいは徴収を行います。これが年末調整です。

ただし医療費控除を受ける方や、不動産投資の収入や赤字がある方、初めて住宅ローン控除を受ける方などはお勤めの方でも確定申告が必要です。

確定申告はなぜ必要なのか

確定申告がなぜ必要なのでしょうか?その理由は主に以下の2点です。

  • 日本は申告納税制度を採用している
  • 確定申告の結果、税金の還付を受けられることがある

日本では国税通則法第16条によって、納税者の申告で納付すべき税額が確定する「申告納税制度」を原則とすると定められています。つまり納税額は自分自身で計算して、納税をしなければなりません。仮に納税が必要であるにもかかわらず、確定申告をしなかったり、本来の所得税額よりも少なく申告したりした場合には、ペナルティが課されます。なおペナルティについては、後の章でご紹介します。

また、勤めの方が医療費控除や、副業で不動産投資をして赤字が生じている場合など、確定申告をすることで税金の還付を受けられる場合があります。

確定申告の種類

確定申告には青色申告と白色申告があり、以下のような違いがあります。

 青色申告白色申告
帳簿付け精密な帳簿が必要簡易な帳簿の作成が必要
税制優遇10・55・65万円いずれかの所得控除なし

以下、青色申告と白色申告にはどのような違いがあるのか解説していきます。

白色申告

白色申告は原則的な申告方法のため、青色申告の申請書を税務署に提出していない人は、すべて白色申告になります。白色申告は簡易な方法で記帳すれば良いとされており、確定申告時に必要な書類は主に「確定申告書B」と簡易な記載の帳簿の2つで済みます。ただし白色申告は記帳方法が簡単で、確定申告時に提出が必要な書類が少なくて済みますが、税制優遇がありません。

青色申告のような税制優遇はありませんが、確定申告にあまり時間をかけたくない方は白色申告が向いています。

青色申告

青色申告をするためには、税務署に青色申告承認申請書の提出が必要です。青色申告の申請には期限があり、青色申告をしようとする年の3月15日までに書類を提出します。2023年分から青色申告をするのであれば、2023年の3月15日までに提出が必要です。

青色申告は白色申告よりも提出書類が多く、書類も複雑な反面、税制優遇があります。

青色申告は単式簿記による記帳を行い、確定申告時に損益計算書と、確定申告書を提出すれば、10万円の所得控除、複式簿記で記帳して、貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付すれば55万円の所得控除が受けられます。さらに55万円の所得控除の要件を満たし、e-Taxによる申告(電子申告)するか、国税庁の定めた要件を満たした電子帳簿保存を行っている場合は、さらに10万円の所得控除が加算され、最大65万円の所得控除が受けられます。

所得が多く税率が高い人や、少しでも税額を抑えたい人は青色申告を選びましょう。

確定申告が不要な人の条件

確定申告が不要なのは、以下の要件に該当する方です。

  • 会社が年末調整をしてくれていて、その他の収入がない方
  • 個人事業主で所得が48万円以下
  • 年末調整をした給与の他に副収入があり、副収入の所得が20万円以下の方
  • 給与が2ヶ所以上あり、年末調整されなかった方の給与と副業の所得の合計が年間20万円以下
  • 公的年金の収入が400万円未満、かつ源泉徴収を受けている

不要でもした方が良い人はこちら

確定申告が必要な人の条件

次の要件に該当する方は、確定申告が必要です。

  • 個人事業主で年間所得が48万円を超える
  • 給与所得が2,000万円を超える
  • 不動産の売却や株取引での年間所得が20万円を超える

それぞれのケースについて詳しく見ていきましょう。

個人事業主で年間所得が48万円を超える

個人事業主とは法人を設立せず、個人で事業を営んでいる方のことです。個人事業主の場合、収入から経費を差し引いた年間所得が48万円を超える場合は確定申告が必要です。

逆に年間所得48万円以下の場合は、すべての納税者に適用される48万円の基礎控除があるため、確定申告の必要はありません。

給与所得が2,000万円を超える

給与所得が2,000万円を超える方は、確定申告が必要です。これは給与所得が2,000万円を超える方は、会社で行う年末調整の対象にならないためです。

不動産の売却や株取引での年間所得が20万円を超える

勤務先で年末調整を受けていて、不動産の売却や株取引での年間所得が20万円を超える場合、確定申告が必要です。ただし株式で特定口座、源泉徴収ありを選択している場合や、NISA口座で株式を運用している場合などは、確定申告は必要ありません。

なお納税する際は、給与所得と合算した所得をもとに税額を算出します。

2箇所以上から給与を受け取っている

勤務先で給料を受け取っていて、なおかつ副業でもパートやアルバイトなどで給与を受け取っているケースが該当します。ただしパートやアルバイトの収入が20万円以下の場合や、2箇所以上から給与を受け取っていて、年末調整されない給与とその他の所得の合計が20万円以下の場合は、確定申告が不要です。

確定申告は所得や所得税額を計算して、納税するために行うものですが、還付を受けられるなどの理由で確定申告を行った方が良いケースあります。確定申告をした方が良いのは、主に以下のようなケースです。

  • 年の途中で退職した
  • 事業が赤字である
  • 副業のアルバイトで源泉徴収されている
  • 住宅ローン控除や医療費控除など控除申請する項目がある

ケースごとに詳しく解説します。

年の途中で退職した

給与収入を受け取っている方は、毎月源泉徴収という形で、概算の所得税が天引きされています。途中で退職すると、毎年会社の担当部署が10月~11月頃になると手続きしてくれていた年末調整をしてもらえません。そのため税金の払い過ぎが生じていて、確定申告によって還付を受けられる場合があります。

事業が赤字である

個人事業主は事業が赤字の場合、確定申告の必要はありません。しかし赤字でも確定申告しておくと、赤字を翌年以降に繰り越して、黒字と相殺することができます。赤字と黒字を相殺できれば、黒字が減少するため、支払う税金を軽減できるうえ、翌年の黒字でも相殺しきれなければ、翌年以降3年間までは繰越して控除が認められています。

ちなみに青色申告で前年が黒字、今年度が赤字だった場合、前年分の所得税の還付を受けることもできます。これを損失の繰戻しと言います。

副業のアルバイトで源泉徴収されている

年末調整はメインで収入を得ている勤務先でしか行えません。副業のアルバイトで源泉徴収されている部分は、年末調整をされてないことから、確定申告で税金の還付を受けられる場合があります。

住宅ローン控除や医療費控除など控除申請する項目がある

住宅ローン控除や医療費控除などの中には、確定申告をしなければ還付を受けられないものもあります。控除申請する必要があるものは、確定申告をすることで税金の還付が受けられます。なおお勤めの方の場合、住宅ローン控除は、初年度のみ確定申告が必要で、2年目からは年末調整で住宅ローン控除が受けられます。

確定申告の方法

確定申告は以下の流れで進めていきます。

  1. 必要書類を提出する
  2. 確定申告書を入手・作成する
  3. 確定申告書を提出する
  4. 税金を納付する

確定申告書は、税務署で直接もらうことも、インターネット経由でダウンロードすることもできます。特に税務署に行く用事がない方は、確定申告書を税務署に取りに行くよりも、ダウンロードして印刷した方が良いでしょう。

また作成した確定申告書は、印刷して税務署に持参する他、郵送、インターネットで税務署に送信する方法(e-Tax)などがあります。確定申告の時期になると、税務署は込み合うため、税務署に直接行かずに提出できる郵送やe-Taxをおすすめします。青色申告であれば、10万円の所得控除が加算されるため、中でもおすすめなのはe-Taxです。

関連記事:【全くわからなくてもできる】確定申告のやり方4ステップ|必要書類やスマホでの申請方法を解説

確定申告の相談先

確定申告について分からないことがあるとき、活用できる相談先と特徴を紹介します。

  • 税務署

管轄の税務署の税務相談室などが用意されています。確定申告の時期には特別な相談コーナーもあり、休日も相談できることがあります。

  • 税理士

確定申告の時期になると、無料で相談会などを開催していることがあります。ただし非常に込み合う可能性があるため、早めに相談予約をしておく必要があるでしょう。

  • 青色申告会や商工会議所など

会員を対象に、税理士を招いて個別相談会を開催していることがあります。ただしこちらも確定申告の時期になるとかなり込み合います。確定申告の時期になる前に相談会に参加して、混み合う時期は避けた方が良いかも知れません。

確定申告を怠った場合の問題

確定申告をしなかったり、確定申告の期限を過ぎたりするとペナルティが課されます。主なペナルティについて紹介します。

  • 無申告加算税

確定申告が必要にもかかわらず、確定申告をしていなかった場合、無申告加算税が課されるおそれがあります。

【無申告加算税の税率】

a)本来納付する税額のうち50万円未満の部分×15%
b)本来納付する税額のうち50万円以上の部分×20%
a)+b)=無申告加算税
  • 税務署の調査がある前に自主的に確定申告をした場合

無申告加算税の税率は5%に軽減されますが、納税期限の翌日から納付日までの日数分の延滞税も加算されます。

  • 延滞税

期限内に確定申告が行われなかった場合、納付期限翌日から確定申告を行った日までの日数に応じて以下のような延滞税が加算されます。

納期限の翌日から2ヶ月以内…7.3%と延滞税特例基準割合+1%のいずれか低い割合(令和5年は2.4%)を適用
納期限の翌日から2か月超…14.6%と延滞税特例基準割合+1%のいずれか低い割合(令和5年は8.7%)を適用

また確定申告の期限を過ぎると、65万円の控除の要件を満たしていても、青色申告控除額が10万円になってしまいます。

  • 確定申告で不正をした場合

確定申告で所得を少なく申告するなどの不正をした場合、無申告加算税や延滞税に加え、重加算税が課されます。重加算税は35~40%と重く、悪質な場合は刑事罰も科されることがあります。

まとめ

確定申告は1月1日から12月31日までの1年間の所得と所得税を計算する手続きのことです。確定申告には白色申告と青色申告があり、青色申告の方は提出書類が多く、複雑ですが、税制優遇が受けられるメリットがあります。また勤務状況や副収入の金額次第では確定申告が不要なケース、確定申告をしなければならないケース、した方が良いケースがあるため、確定申告についての理解を深めることは大変重要です。