米大統領選の行方とその後の相場展望

11月8日に米大統領選挙が行われる予定ですが、現状、民主党のヒラリー・クリントン候補が優勢というのが、専らの見通しとなっているもようです。

ただし、ブリグジットのような想定外のことが現実に起きる世の中ですので、トランプ候補が勝つことも考えておくべきかと思います。

まず、クリントン候補が当選の場合、これは、リスクが回避された(リスクオン)として、結果がでた直後は、ドル買い/円売りになるものと思われます。一方、トランプ候補が当選の場合、リスクが発生したとして、リスク回避のドル売り円買い(リスクオフ)になるものと思われます。
この点については、私の見方は、基本的に大勢意見と変わらないと思います。

しかし、過去振り返ってみますと、あまり大統領選の結果によって、相場が動いたという記憶がありません。

2008年9月~2011年8月 月足

確かに、2008年のオバマ大統領が初めて選出された時(11月4日)は、その前の9月の108円円台から2011年8月の75円台まで、ドル/円は下げ続けています。

しかし、これは、世界を震撼とさせたリーマンショックに伴う大相場であって、大統領選によるものではありません。

2012年10月~2013年5月 月足

さらに、2012年のオバマ大統領が再選された時は、前回とは逆に、今度は10月の78円台から急上昇し、翌2013年5月には、一時103円台をつけました。

しかし、この原因は、ひとつには、東日本大震災による全国の原発が停止したため、その代替エネルギーとして液化天然ガス(LNG)が前年から大量輸入されたことや、より直接的には、10月以降、アベノミクスがスタートし、これを好感した米系ファンドが、日本株買い円売りを猛烈に行ったためでした。

そういうわけで、確かに選挙直後は、最初に申し上げたような、クリントン氏ならリスクオンでドル買い円売り、トランプ氏ならリスクオフで、ドル売り円買いにはなるものと思いますが、相場は、大統領選の話題では長続きはしないのではないかと見ています。

したがって、大統領選一辺倒になるのではなく、もっと、マーケットが関心を持っているものがないか、日々チェックする必要があると考えています。
今の段階で申し上げれば、ポンド・ユーロ・ドル/円の行方については、広範囲に観察することが大事ではないかと見ています。

(執筆時:2016年10月17日)