南アランドが急落!今後の南アランドは大丈夫か?(主要通貨チャート分析)

インヴァスト証券の山口です。

下の棒グラフは、3月31日の終値と3月27日の終値を利用して計算した、先週の日本円に対する主要通貨の騰落率を示したものになります。

(日本円を0%として、プラスは円よりも強い通貨、マイナスは円よりも弱い通貨)

 

先週は南アランドが急落。

ズマ大統領が、南アへの投資を呼び込むため外交中だったゴーダン財務省を途中帰国させ解任したことで、南アランド/円は先週末比で7%以上下落いたしました。歳出拡大を志向するズマ大統領は過去2014年にも緊縮財政を志向するゴーダン財務相と対立しゴーダン財務相は退任、後任のネオ財務相も緊縮財政志向だったため、ズマ大統領はネオ財務相を更迭し、後任にバンルーエン国会議員が指名されましたが、南アランドの下落を受けゴーダン財務相が復帰したという流れです。

今回、ゴーダン財務相が解任されたことを受けて、今後ズマ政権が財政拡大路線をとるような場合、米国の利上げとあいまって南アランドは更に売られやすくなる可能性があり注意が必要です。

なお、それ以外の通貨は相対的に資源国通貨が買われ、ユーロやスイスなどが売られる展開となりました。

 

【南アランド/円 週足チャート(TFX)】

 

チャート的には上昇トレンドと読み取れる南アランド/円ですが、上述のとおり今後のゾマ政権の動向により不透明感があり要注意です。

南ア経済は、失業率は20%台後半と高く、経常収支(対GDP比-1.7%:2016年)も財政収支(対GDP比-4.1%:2016年)も赤字となっており、2017年も赤字の拡大も予想されています。

これまでのゴーダン財務相は各国に対し南ア経済の説明や南アへの投資キャンペーンがあり、且つ、南アにおいては財布の紐も硬い財務相だったわけですが、後任の金融やビジネスの経験は乏しい)ギガバ財務相とゾマ政策によっては、世界的な南アからの資金引き上げや南ア債の格下げなどの可能性もあるということです。
※米格付け会社のスタンダード&プアーズ(S&P)社は3日に外貨建て南ア国債の格付けを「BB+」に、ランド建て南ア国債も「BBB-」に格下げし見通しをネガティブとしました。

※米格付け会社のムーディーズも格下げを検討中で、4月7日に発表予定でしたが7日には発表しないことが報じられています。

南アランド/円はレバレッジを2倍から3倍程度にして数年タームでの長期投資をされる方が多く、ポジショントレード(スイングトレード)的な観点で取引される方は少ないと思いますが、このような観点では戻り売りを考えたいところ。

長期的な観点ではレバレッジをできるだけ低く抑えて、安値を拾うタイミングを計りたいところです。

 

【ユーロ/米ドル 週足チャート(TFX)

 

ユーロ/米ドルは大幅反落。ECBのテーパリング観測や米国オバマケア代替案がまとまらなかったことなどでユーロ/米ドルは52週移動平均線手前となる1.0906まで上昇したものの、株高リスクオンによるドルの買戻しとECBの早期利上げ期待の後退により1.07ドルを割る展開になりました。今週はECB理事会の議事要旨が公表されますが、テーパリングなど内容によっては再度早期利上げ期待が高まる可能性があります。

その場合は一時的にユーロ/米ドルが上ぶれると考えられますが、長期下降トレンド継続と見ており、戻り高値での売りを考えています。

 

【ユーロ/円 週足チャート(TFX)

 

先週のユーロ/円は3手続落。

ユーロ/円は52週移動平均線が下向きとなっており長期下降トレンドにあると見られます。先週、先々週と52週移動平均線に支えられる形で推移していますが、これを下回る場合は下げの速度が加速します。

レジスタンスは119.80前後に位置する26週移動平均線や120.75前後に位置する13週移動平均線で、ここをバックに戻り売りを考えたいところです。

 

【英ポンド/円 週足チャート(TFX)

 

英ポンド/円の週足は引き続き52週移動平均線、13週移動平均線に上値を抑えられる形で推移しています。また、今週は再度26週移動平均線が位置する139.10を上回って寄り付いており、26週移動平均線と52週移動平均線に挟まれた三角保ち合いも煮詰まりも極限を迎えつつあります。

このように売り買いこう着が続く場合、その均衡が破れるとこう着状態が長いほど強いトレンドになりやすいため、レンジブレイクのタイミングを計っていきたいところです。

(どちらかというと下へのブレイクを考えています。)

 

【豪ドル/円 週足チャート(TFX)

 

先週の豪ドル/円は26週移動平均線に下支え、上値は13週移動平均線に抑えられるような形で小幅反発。価格と26週移動平均線、52週移動平均線との位置関係から、現在の豪ドル/円は長期上昇トレンドで、昨年末や年明けにつけた83.75前後がサポートとして考えられ、押し目買いを考えたいところです。

ただし、83.75で下支え切れずに、この水準を下回るようであれば、これまでの相場推移は団子天井で推移してきたと読み取れるため、高値圏での値幅分(4円幅程度=88円-84円)をサポートライン84円から差し引いた80円前後が目標価格として意識されるため、買いは手仕舞いし途転売りを考えたいところです。

 

【ピボットによる今週の主要通貨の予想レンジとトレンド】

今週の主要通貨の予想レンジとトレンドです。仕掛け作成の上で参考にしてください。

なお、予想レンジは週足のPIVOTを利用して算出しています。トレンドは200日移動平均線と一目均衡表から上昇トレンドなら「↑」、下降トレンドなら「↓」で示しています。

(PIVOTの算出、200日移動平均線と一目均衡表の判定は東京金融取引所くりっく365の為替レート及びチャートを利用しています。)

※PIVOTとは・・ J.W.ワイルダーが考案した「リアクション・トレンドシステム」のことで、一般的にはPIVOT(ピボット)と呼ばれています。

※PIVOTの使い方

 四本値から算出された価格から2つのモードで使い分けをします。

 1.リアクションモード

   保ち合い相場(横ばいトレンド)を想定して、B1・B2で買い、S1・S2で売ります。

   上記の表の予想レンジ1はB1とS1で、予想レンジ2はB2とS2で想定レンジ幅を表示しています。

 2.トレンドモード

   LBOP(ロウ・ブレイク・アウト・ポイント)を下回ったら下降トレンド、HBOP(ハイ・ブレイク・アウト・ポイント)を上回ったら上昇トレンドと想定(リアクションモードでの取引は停止)して、取引をおこないます。