ユーロ/ドル:短期トレンドはユーロ強気。1.1100超えの越週で中期も強気に変化。

(分析)

ユーロ圏経済の足元に明るさが増す中、懸念材料であった仏大統領選の第2回決選投票もマクロン氏の勝利に終わったことから、フランスのユーロ離脱への懸念も薄らいで、ユーロ圏の政治的なリスクがやや後退、市場ではユーロの買い戻しの動きがやや優勢となっています。イギリスの離脱交渉が本格化することや、ECBの出口政策への思惑もあり、ユーロも売り買い交錯することが予想されますが、景況感が良いとはいえ、トランプ政権の経済政策に遅れが生ずる懸念もあり、今後はユーロ圏の実体経済を確認する動きの中でユーロの好材料により強く反応する可能性も高いと見られます。一方で、地政学的リスクや、移民問題などを抱えるユーロ圏の政治的なリスクも引き続き懸念材料として残ります。

チャートを見ると、日足は1.0950-60にあった強い上値抵抗を2手前の大陽線が上抜けて、短期トレンドは新たな上昇トレンド入りした可能性が点灯中です。1.1010-20、1.1050-60に強い上値抵抗が控えており、これらの抵抗をクリアするのに何度か失敗する可能性が高いと見られますが、日足の実体ベースで1.1050-60を上抜けられれば一段の上昇に繋がり易くなります。逆に、1.10台の抵抗をこなし切れずに反落、1.0800割れを見た場合は短期トレンドが変化して、4/24に空けた1.07台前半に空いた”マド”を埋める動きが強まり易くなります。この場合は1.07台の足元を固め直す動きが強まり易くなりますが、1.0650割れで終えない限り、ニュートラルな状態を保ちます。日足の下値抵抗は1.0930-40と1.0860-80にあります。21日、120日、200日移動平均線は5/5現在1.0780、1.0652、1.0836に位置しており、これらを全て上抜けており、短期トレンドはユーロ強気の状態にあります。

ユーロ/ドル週足チャート

一方週足は、4週連続陽線引けとなり、上値余地を探る動きが継続中ですが、1.1090-00に週足ベースで見た強い抵抗が控えており、これを上抜けて越週するまでは下値リスクにも警戒が必要でしょう。短期トレンドは1.0800割れで下値リスクが点灯しますが、1.0650までの下げはニュートラルな状態を維持、1.0600割れで一段の下落リスクが点灯します。逆に1.1100超えで越週した場合は、中期トレンドが変化して上昇余地が更に拡がり易くなります。週足の下値抵抗は1.0800-10、1.0720-30にあります。31週移動平均線は1.0721に位置しており、これをしっかりと上抜けてユーロの足元を支えていますが、62週線は1.0966に位置しており、現状は若干上抜けているものの、”ダマシ”となる可能性を残しています。また、31ヵ月移動平均線も1.1073に位置しており、これをしっかり上抜けて越月するまではユーロ買いも慎重に臨む必要がありそうです。

 

(戦略)

今月の戦略は、ユーロ買いは1.0900-10で押し目買い。損切りは1.0790で一旦撤退です。これが付いた場合は1.0700-10で再度軽く押し目買い、損切りは1.0640で浅めに撤退です。1.0600割れを見たら戻り売り方針に転換です。ユーロ売りは様子見か1.1110に損切りを置くなら1.1050-60で軽く試し売り程度に。