FXの確定申告のやり方を徹底解説|書類の書き方や提出方法・納付方法

FXの確定申告のやり方が分からず、不安を感じていませんか? 確定申告はさまざまな提出方法や納付方法があるため、詳しく知ることで自身にとってやりやすい方法が見つかるかもしれません。この記事では、FXの確定申告に不安を感じている人向けに、必要書類や提出方法、納付方法、FXで損失が出ていても確定申告が必要なケースについて紹介します。

FXの確定申告のやり方

確定申告には期限があります。毎年1月1日から12月31日の間に生じた所得について、翌年2月16日から3月15日までの間に確定申告を行い、所得税を納めなければなりません。

期限までに確定申告ができなかった場合、申告によって納める税金の他に、無申告加算税や延滞税といったペナルティが課されます。

確定申告の期限に遅れることが無いよう、あらかじめ必要書類や書類の記入方法について把握しておくことが重要です。

確定申告の必要書類

FXの所得について確定申告をするときの必要書類と、入手方法は次の通りです。

必要書類概要入手方法
先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書FXで得られた所得について記入する書類。FX会社のサイトからダウンロードできる年間取引報告書をもとに記入する・国税庁のWebサイトからダウンロード
・税務署で直接入手
申告書B(第一表、第二表)所得の種類を問わず、誰でも利用できる申告書。収入や所得、社会保険料控除などの金額を記入する・国税庁のWebサイトからダウンロード
・税務署で直接入手
申告書第三表申告分離課税の所得がある場合に使用する申告書。先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書の内容を転記する・国税庁のWebサイトからダウンロード
・税務署で直接入手
所得税及び復興特別所得税の申告書付表(先物取引に係る繰越損失用)損失の繰越控除をするときに必要な書類。翌年以降に繰り越すFXの損失額や、前年から繰り越している損失などを記入する・国税庁のWebサイトからダウンロード
・税務署で直接入手
本人確認書類運転免許証、健康保険証、マイナンバーカード、住民票
マイナンバーカードが分かる書類マイナンバーカード、マイナンバーカードの通知カード、マイナンバーが記載された住民票など

必要書類の記入方法

必要書類を揃えたら、実際に記入していきましょう。以下、FXの確定申告で必要な書類の記入方法を紹介します。

先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書

FXで得られた収入と必要経費、所得金額を記入する書類です。先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書は以下の流れで記入します。

  1. 所得の種類は「雑所得用」に〇を付ける
  2. 氏名欄に納税者本人の名前を記入
  3. 取引の内容の「種類」欄に「外国為替取引」、「決済の方法」欄には「仕切」と記入
  4. 決済年月日と数量は記入不要
  5. FX会社のサイトからダウンロードできる「年間取引報告書」をもとに総収入金額を記入
  6. セミナー参加費や通信費、パソコン購入代金などの必要経費を記入
  7. 総収入金額から必要経費の合計額を引いた金額を「所得金額」欄に記入

確定申告書第一表

所得の種類を問わず、確定申告の際は第一表、第二表に記入します。確定申告書第一表は、勤務先から渡される「給与所得の源泉徴収票」をもとに以下の流れで記入していきます。

  1. 用紙上部に自宅や事務所の住所や氏名、フリガナ、マイナンバー、生年月日などを記入
  2. 収入金額等の「給与」欄に、支払金額欄の金額を記入
  3. 所得金額等の「給与」欄に、給与所得控除後の金額を記入
  4. 所得から差し引かれる金額欄に、各種控除額を記入
  5. 税金の計算欄の「源泉徴収税額」欄に、源泉徴収税額を記入
  6. 第三表「93」の金額を、税金の計算「31」に記入

勤務先で源泉徴収されているときは、源泉徴収税額欄に金額を記載します。

確定申告書第二表

確定申告書第二表は、第一表の内容の根拠となる情報を記載します。確定申告書第二表も「給与所得の源泉徴収票」をもとに記入していきます。

  1. 住所、屋号、氏名、フリガナを記入
  2. 所得の内訳の「所得の種類」と「種目」欄に「給与」と記入し、給与支払者の情報や収入金額、源泉徴収税額を記入
  3. 右側の社会保険料控除等に関する事項欄に、社会保険料や生命保険料、地震保険等の支払額を記入

社会保険料控除等に関する事項欄に記入する金額は、あくまでも支払額です。社会保険料はそのまま記入できますが、生命保険と地震保険については、源泉徴収票に記載されている金額は「控除額」なので、間違えないように注意してください。

確定申告書第三表

申告分離課税の所得がある人は確定申告書第三表の提出も必要です。FXは申告分離課税のため、第三表の提出をしなければなりません。第三表は、先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書の内容をもとに記入します。

  1. 住所、屋号、氏名、フリガナを記入
  2. 収入金額の「先物取引」欄に「総収入金額の計」を記入
  3. 所得金額の「先物取引」欄に「所得金額」を記入

左側の税金の計算欄には、以下の流れで記入します。

  1. 「総合課税の合計額」に、第一表の「所得金額等」の合計額を記入
  2. 「所得から差し引かれる金額」に、第一表の「所得から差し引かれる金額」の合計額を記入
  3. 「12対応分」欄に、「総合課税の合計額」から「所得から差し引かれる金額」を引いた金額を記入
  4. 「72対応分」欄に、所得金額の先物取引に記入した金額を記入

次に右側の税金の計算欄で税金の計算をします。

  1. 「12対応分」欄に記載した金額をもとに、国税庁が公開している「所得税の税率」から税額を計算
  2. 1.で計算した金額を「75対応分」欄に記入
  3. 所得金額の先物取引に記入した金額に所得税率15%を乗じた金額を「80対応分」に記入
  4. 左側の税金の計算の「75~82対応分」の情報を、右側の税金の計算の「83~90対応分」に記入
  5. 「83~90対応分の合計」を「91に記入」
  6. 5.の情報を第一表の「31に記入」

確定申告書の提出方法

確定申告はe-Taxと郵送、税務署に持ち込みなど、さまざまな提出方法があります。各提出方法の概要やメリット・デメリットを紹介します。

e-Tax

e-Taxとは、所得税の確定申告をはじめとした各種国税の手続きが、インターネットなどの電子的な方法で行えるシステムのことです。e-Taxなら、税務署に足を運ばなくても確定申告ができるうえ、24時間いつでも提出ができます。またe-Taxを利用しない場合、青色申告特別控除額は最大55万円ですが、e-Taxを利用する場合は控除額が10万円アップして65万円になるため、税金の軽減効果があります。

ただし、e-Taxを利用するには、マイナンバーカードと、それを読み込むICカードリーダーを用意しなければなりません。現状「ID・パスワード」方式なら、マイナンバーカードを発行していなくてもe-Taxは利用可能です。しかし暫定的な方式のため、ID・パスワード方式は今後も利用できるとは限りません。

確定申告の時期は税務署が混雑しているので、できれば足を運ぶのは避けたい。確定申告は慣れているので、税務署の人に教えてもらわなくても問題ない人、青色申告控除額を65万円まで活用したい人などはe-Taxでの確定申告がおすすめです。

郵送

確定申告書類は、郵送での提出も可能です。確定申告書類を作成したらポストに投函するだけなので、税務署まで足を運ぶ必要がありません。また、確定申告は3月15日が提出期限ですが、郵便の場合、3月15日の消印が押してあれば期限内に提出したとみなされます。

ただし、郵送すると費用がかかるうえ、提出時に書類不備のチェックができません。そのため郵送での提出は、確定申告に慣れている人や、日中忙しくて税務署が開いている時間に提出できない人などにおすすめです。

税務署に持ち込み

確定申告の書類を、直接税務署に提出する方法です。確定申告の内容まではチェックしてもらえませんが、その場で必要書類のチェックをしてもらえます。また不明な点があれば、すぐにその場で職員に質問をして適切なアドバイスが受けられるでしょう。

そのため、はじめて確定申告をする人におすすめの提出方法といえます。

しかし、確定申告書類を税務署に持ち込む場合、税務署に足を運ばなければなりません。また確定申告の時期は税務署が混雑し、開庁前から長蛇の列ができていることがあります。税務署は休日や夜に提出する人のために時間外収受箱を用意しているため、混雑を避けたい人はあえてその時間を選んで提出しても良いでしょう。

ただしその場合、職員に不明な点を質問できるというメリットがなくなってしまいます。

所得税の納付方法

確定申告は期限までに、確定申告書の提出だけでなく、所得税の納税まで済ませる必要があります。所得税はさまざまな納税方法があるため、特徴やメリット・デメリットを理解して、自身にあった方法を選びましょう。

所得税の納税方法は以下の通りです。

  • 口座振替
  • クレジットカード納付
  • スマートフォンアプリ納付
  • インターネットバンキング
  • コンビニ納付
  • 現金納付

各納付方法について詳しく見ていきましょう。

口座振替

自身が指定する口座からの自動振替で納税する方法です。はじめて利用するときは、納付期限までに「預貯金口座振替依頼書」を税務署か金融機関に提出する必要があります。ただし一度口座振替を利用すれば、翌年以降も自動的に指定口座から引き落とされます。なお金融機関によっては、預貯金口座振替依頼書はe-Taxによる提出が可能です。

口座振替は自動振替で納税されるので、支払い忘れる心配がありません。そのため口座振替は、普段忙しくて税金を納めに行く時間がない人におすすめです。しかし口座残高が不足していると、自動振替ができずに納税期限が過ぎてしまい、延滞税がかかるため注意が必要です。

クレジットカード納付

e-Taxや国税クレジットカードお支払いサイトで、カード情報や納税額などを入力するだけで、クレジットカードでも納税できます。またクレジットカードによってはポイントが貯まる場合があります。

しかし納税額に応じた手数料がかかるうえ、領収証が発行されません。決済画面などを印刷して保管しておく方法もありますが、どうしても領収証がほしい人は別の納税方法を選びましょう。

クレジットカードで納付をした場合、カード代金の引き落とし日まで支払いを先延ばしできます。分割払いやリボ払いで支払いもできるため、資金繰りに余裕を持たせたい人はクレジットカード納付がおすすめです。

スマートフォンアプリ納付

e-Taxや国税スマートフォン決済サイトから、必要事項を入力し、スマホアプリ決済で納税する方法です。2022年12月より、所得税はスマートフォンアプリで納税できるようになりました。

普段から利用しているスマートフォンアプリであれば、事前準備なしでいつでもどこでも納税ができます。ただし、一度に納付できる金額の上限は30万円までです。また領収証が発行されない点もデメリットといえるでしょう。

スマートフォンアプリ納付は納税額が少額で、手早く納税を済ませたい人におすすめです。

インターネットバンキング

金融機関のインターネットバンキングやコンビニATMなどで納税する方法です。e-Taxに納付情報データを登録する「登録方式」と、登録をしない「入力方式」の2つがあり、いずれもペイジー(Pay-easy)を使い、発行されたコードを利用して納付します。

スマートフォンやパソコンから納税ができるため、業務の合間に納税が可能です。ただしインターネットバンキングの利用開始手続をする必要がある他、すべての金融機関でインターネットバンキングが利用できるとは限りません。

日常的にインターネットバンキングを利用している人におすすめの納税方法です。

コンビニ納付

確定申告の際に税務署に依頼してバーコード付き納付書を発行してもらう、あるいはe-Taxからコンビニ納付用QRコードを作成し、コンビニエンスストアで納税します。

コンビニに寄ったついでに納税を済ませることができて、手数料がかからないメリットがありますが、決済時にクレジットカードや電子マネーが使えません。また一度に納付できる金額の上限は30万円と限られています。

そのため納税額が少額で、最寄りにコンビニがある人や、コンビニを頻繁に利用する人におすすめの方法です。

現金納付

金融機関や税務署の窓口で用意されている納付書を利用して、現金納付する方法です。手数料がかからないメリットがありますが、窓口が開いている時間しか納付ができません。また窓口ではクレジットカードや電子マネーが利用できないため、事前に現金の用意が必要になります。

インターネットが苦手な人や、クレジットカードや電子マネーでの支払いに不安を感じる人は、現金納付がおすすめです。

FXで確定申告が必要なケース

FXでどれくらい利益が出たら確定申告が必要になるかは、年収や副業での所得などによりますが、以下のケースでは確定申告が必要です。

  • 年収2,000万円を超えており、FXで利益が出た場合
  • FXや副業など、給与・退職所得以外の所得の年間合計額が20万円を超える場合
  • 扶養に入っている場合はFX所得が48万円を超える場合

所得は収入と混同しがちですが、収入とはお勤めの人であれば総支給額、個人事業主の場合は売上のことで、年間の収入を年収、収入から必要経費を引いて残った金額のことを所得と言います。

年収2,000万円を超える人は年末調整が行われないため、FXの利益がなくても確定申告をしなければなりません。またFXや副業など、給与・退職所得以外の所得の年間合計額が20万円を超える人や、扶養に入っている人でFX所得が基礎控除額である48万円を超える場合も確定申告が必要です。

FXで確定申告をしなくていいケース

FXで確定申告をしなくていいケースは会社員と、学生・専業主婦別に要件が異なります。

【会社員で確定申告が不要となる条件】

  • 年収2,000万円以下
  • 給与を1ヶ所のみから受け取っている
  • 給与・退職所得以外の所得の年間合計額が20万円以下

年収2,000万円以下の会社員は会社で年末調整が行われています。そのため他の勤務先から給与を受け取っておらず、給与、退職所得以外の所得の年間合計額が20万円以下であれば確定申告の必要がありません。

【学生・専業主婦(夫)で確定申告が不要となる条件】

  • FX取引の利益とその他の所得の合計が48万円(基礎控除)以下
  • FX取引の利益とその他の所得、アルバイトなどの給与所得の合計金額が103万円以下

FXの利益とその他の合計の所得が基礎控除以下であれば課税されません。また給与所得者は48万円の基礎控除に加えて55万円の給与所得控除も受けられるため、所得103万円までは確定申告が不要です。

ただし所得税の申告が不要でも、住民税の申告は必要です。

FXで損失が出た場合に確定申告をした方が良い理由

FXで損失が出た場合、基本的に確定申告は不要です。しかし税金が軽減されるため、FXで損失が出ても確定申告をしたほうが良い場合があります。

損失が出たときに確定申告をすることで、なぜ税金の軽減につながるのでしょうか。その理由を紹介します。

最大3年まで損失を繰り越せるから

他の所得から控除しても損失が控除しきれなかったとき、その翌年以降の3年間、損失を繰り越して控除できます。これを繰越控除といいますが、繰越控除は確定申告をしなければ利用できません。

例えば2023年にFXで120万円の損失が出て、2024年に40万円の利益が出たとします。2024年はFXで利益が出ているため、本来税金がかかりますが、2023年の120万円の損失と相殺できるため、利益が0円となり課税されません。

また、2025年も再び30万円の利益が出ましたが、まだ相殺しきれていない損失が80万円分残っています。そのため80万円の損失と2025年の利益30万円の利益が相殺され、税金がかかりません。2026年も同様で、相殺しきれていない損失がまだ50万円残っているため、35万円の利益が出ても相殺されて利益は0円となります。

この時点で、相殺しきれていない2023年度の損失がまだ15万円分ありますが、2024年から3年が経過したため、これ以上は繰り越しができません。

仮にこのケースで繰越控除を利用しなかった場合、2024年~2026年まで毎年利益に対して課税されてしまう可能性があります。

他のFX会社との取引で出た利益と合算できるから

損益通算とは、複数の所得の損益を合算できる仕組みのことです。仮にA社とB社という2つのFX会社で取引をしていて、A社で損失、B社で利益が出ている場合、損益通算ができます。

例えばA社で10万円の損失、B社で40万円の利益が出た場合、損益通算により課税対象となる金額は30万円です。仮に損益通算しなかったとすると、A社は損失なので税金がかかりませんが、B社では利益が40万円出ているため、40万円が課税対象になってしまいます。

なお損益通算は確定申告をしなければ、利用できません。

FXの確定申告を行う際の注意点

同じFXでも国内FXと海外FXでは課税方式が異なるため、損益通算ができない点には注意が必要です。

国内FXは申告分離課税で「先物取引に係る雑所得」と損益通算が可能です。一方、海外FXは総合課税で雑所得にあたり、仮想通貨やアフィリエイト、フリマサイトやオークションサイトから得た収入などと損益通算できます。

また国内FXは税率が一律20.315%ですが、海外FXの税率は所得に応じて約15~55%(国内FX、海外FXともに所得税+住民税+復興特別所得税を含んだ税率)です。

まとめ

確定申告は期限があり、遅れるとペナルティが課されるため、期限に遅れないように必要書類や記入方法をあらかじめ確認しておくことが大切です。確定申告方法や納税方法も税務署で直接済ませる方法から、e-Taxなどを活用した電子的手段もあるため、自身の状況にあった方法を選びましょう。

確定申告のやり方を覚えて、FXで利益を狙うことに対する不安が解消されたら、FXの自動売買を始めてみてはいかがでしょうか。

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