FXのスプレッドと手数料の違い|変動する要因や注意点をわかりやすく解説

FX取引では手数料とスプレッドというコストがかかります。しかし、国内FX会社では手数料がかからないケースがほとんどのため、コストを抑えるには、スプレッドの仕組みを理解する必要があります。この記事ではFXにおける手数料とスプレッドの違いやスプレッドの変動要因、注意点について解説します。この記事を読むことで、FXでより多くの利益が狙えるかもしれません。

FXのスプレッド・手数料とは

FX取引では「手数料」と「スプレッド」の2つのコストがかかります。この2つのコストはどのような費用で、どのタイミングで発生するものなのか解説します。

スプレッドとは

FXを含む外貨取引は、外貨に「買値」と「売値」が設定されています。仮に米ドル/円で買値110.125円、売値110.120円だった場合、110.125円の米ドル買いでエントリーしても、売値が110.120円なのでこの時点で売却すると0.5銭分損をしてしまいます。

この場合利益を出すには、売値が110.125円よりも上昇していなければなりません。つまりスプレッドは新規注文時に発生する実質的なコストと考えることができます。

では仮に買値110.126円、売値110.120円だったらどうなるでしょうか。110.126円のときに米ドル/円で買いエントリーをした場合、売値が110.126よりも上昇したタイミングで売却しなければ利益になりません。

したがってスプレッドの値幅は、狭いほうが利益を出しやすいと考えることができます。

手数料とは

まずFXの口座を開設したり、通貨を売買したりすると次のような手数料がかかる可能性があります。

【手数料が発生する可能性がある項目】

  • 口座開設手数料・・・口座開設時にかかる手数料
  • 口座維持費用・・・口座を維持管理するための手数料
  • 取引手数料・・・通貨を売買する際にかかる手数料(スプレッドとは異なる)
  • 入金手数料・・・FX口座に入金するときの手数料
  • 出金手数料・・・FX口座から、登録している金融機関に出金するときの手数料
  • ロスカット手数料・・・ロスカットが生じたときにかかる手数料

FXのスプレッドと手数料の違い

FX取引でかかる可能性がある手数料のうち、取引手数料とスプレッドの違いが分かりにくいかもしれません。

取引手数料は、取引をするたびにFX会社に支払う手数料のことで、取引通貨量などに応じて決まっているのが一般的です。これに対しスプレッドは売値と買値との差額のことを指します。

先に述べた通りトレードをする側にとってスプレッドは、FX取引における実質的なコストにあたりますが、FX会社にとっては利益となります。そのため取引手数料をはじめとしたその他の手数料を、無料とすることができるのです。

FXのスプレッドが変動する要因

スプレッドは売値と買値が同じ幅で変動する「固定スプレッド」と、特定の要因によって売値や買値、あるいはその両方が変動する「変動スプレッド」があります。しかし国内のFX会社の多くは「原則固定スプレッド」を採用しており、基本的に固定スプレッドとしながらも、以下のような要因でスプレッドが変動することがあります。

  • 重要な経済指標
  • 突発的なイベント
  • 市場の流動性

スプレッドが変動する各要因について、それぞれ詳しく見ていきましょう。

重要な経済指標

重要な経済指標の前後は為替レートの変動幅が大きくなるため、スプレッドが広がることがあります。特に世界が注目する雇用統計FOMCの政策金利発表前後は注意が必要です。

重要な経済指標発表日時(日本時間)
米国雇用統計12日を含む週の翌週から数えて3週目金曜日(基本的に第1金曜日)の22時30分(夏時間は21時30分)
FOMC政策金利発表6週間おきに年8回開催、2日間に渡って開催され、発表時間は2日目の4時(夏時間は3時)

突発的なイベント

突発的なイベントが起こると、為替相場が一方的に上昇、あるいは下降するため、スプレッドが拡大します。突発的なイベントとは、政変やテロ、戦乱、要人発言によるサプライズ発言などが挙げられます。例えば2020年春には、新型コロナウイルスの感染拡大に対する不安から、スプレッドが急拡大する局面がありました。

市場の流動性

流動性とは、市場における売買相手の見つけやすさのことを指し、市場参加者が少なく売買相手が見つかりにくいことを「流動性が低い状態」、市場参加者が多く売買相手を見つけやすいことを「流動性が高い」といいます。

市場の流動性が低いと売買相手が見つからず、新規注文や決済ができなくなるリスクがあるためスプレッドが高くなることがあります。

そのためFX初心者は、市場参加者が多く、流動性が高い時間帯での取引がおすすめです。流動性が高い代表的な時間帯は以下の通りです。特にロンドン市場とニューヨーク市場が両方とも開いている時間帯は、取引が活発に行われる傾向があります。

時間帯特徴
8~16時:東京時間東京為替市場での取引が中心、アジア・オセアニアの市場参加者が多い
17~翌朝3時(夏時間は16~翌朝2時):ロンドン時間欧州為替市場での取引が中心、世界1位の取引量を誇るロンドン市場が開く時間帯。欧州勢の参加が多い
22~翌朝7時(夏時間は21~翌朝6時):ニューヨーク時間ニューヨーク為替市場での取引が中心、アメリカの市場参加者が多い

FXのスプレッドによる取引コストの計算方法

スプレッドによるコストは、「スプレッド×取引通貨量」で計算できます。各通貨ペアのスプレッドから、実際にどれくらいの取引コストがかかるのか計算してみましょう。ここではクロス円とクロス通貨(外貨同士)に分けて紹介します。

【クロス円の計算例】

  • 通貨ペア ユーロ/円
  • 売値159.940円/買値159.945円
  • スプレッド0.5銭
  • 取引通貨量 1万通貨

0.5銭×1万通貨=5,000銭※
5,000銭×0.01=50円
スプレッドが0.5銭で1万通貨の取引をしたときにかかる手数料は50円です。

【クロス通貨の計算例】

  • 通貨ペア ユーロ/米ドル
  • 売値 1.07842ドル/買値 1.07846ドル
  • 取引通貨量 1万通貨
  • 1ドル145円

1.07846-1.07842=0.00004ドル
0.00004ドル×1万通貨=0.4ドル
0.4ドル×145円=58円

1万通貨取引をしたときにかかる手数料は58円です。

FXのスプレッドに関する注意点

FXのスプレッドについて注意すべきてんが3つあります。

  • スプレッドはFX会社によって異なる
  • スプレッドは通貨ペアによって異なる
  • 高レバレッジでの取引はロスカットしやすい

スプレッドはFX会社ごと、通貨ペアごとに異なります。そのため自身が取引したい通貨ペアのスプレッドが、最も狭いFX会社を選ぶことで利益が出しやすくなります。また高レバレッジで取引をすると、スプレッドが原因でロスカットが発生する可能性がある点には注意が必要です。

スプレッドはFX会社によって異なる

スプレッドは、カバー取引先が提示する為替レートをもとに、各FX会社が設定しています。そのため、スプレッドはFX会社によって異なります。

カバー取引先とは、FX会社が自社のリスクを回避する目的で、カバー取引を行っている金融機関のことです。

FX会社の顧客が利益を出すと、そのFX会社は利益分を投資家に支払わなければなりません。つまりFX会社にとってみれば、顧客の利益は損失となるわけです。

仮に多くの投資家が一斉に利益を出すと、その分FX会社は投資家に支払わなければならず、資金繰りが悪化するかもしれません。そこでFX会社はカバー取引先に、顧客からの注文と同じ注文をします。そうすることで、顧客に利益が出てもFX会社も同等の利益を得られるため、損失を回避することができるのです。この一連の取引のことをカバー取引といいます。

多くのカバー取引先を持っているFX会社は、そのなかから最も有利な為替レートを選んで取引ができるため、スプレッドを抑えやすくなります。

FX会社のスプレッドは、各FX会社の公式サイトで確認できます。

スプレッドは通貨ペアによって異なる

世界で最も取引量が多い通貨は米ドルで、以降、2位がユーロ、3位が円と続きます。つまり各通貨はそれぞれ流動性に違いがあるということです。

取引量が少なく、需要も少ない通貨は流動性が低いためスプレッドが広くなります。一方、取引量が多く需要が高い通貨は流動性が高いためスプレッドが狭くなります。

スプレッドが広い通貨ペアと狭い通貨ペアの一例を紹介します。

【スプレッドが広い通貨ペア】

  • ユーロ/ポーランドズロチ
  • 米ドル/カナダドル
  • 豪ドル/NZドル

【スプレッドが狭い通貨ペア】

  • 米ドル/円
  • ユーロ/円
  • ユーロ/米ドル

高レバレッジでの取引はロスカットしやすい

高レバレッジで取引すると、取引通貨量を増やせますがその分、スプレッドによる取引コストも発生することになります。ユーロ/円をスプレッド0.5銭で1万通貨取引したときの取引コストは、50円であることを先の事例で紹介しましたが、仮にこのケースで25倍のレバレッジをかけて25万通貨分の取引をした場合、取引コストは1,250円に上ります。

したがって証拠金維持率ギリギリで取引をしている場合、ロスカットが生じる可能性が高くなります。流動性が低い時間帯や、スプレッドが広い通貨ペアで取引をすると、さらにそのリスクが高まるため注意が必要です。

ロスカットを回避するために、流動性の高い通貨ペアを選ぶ、流動性の低い時間帯での取引や高レバレッジのトレードは避けるなどの対策を立てましょう。

まとめ

FX取引では手数料とスプレッドの2つのコストがかかります。しかし主要な国内FX会社の多くは、スプレッド以外の手数料を無料にしています。スプレッドは狭いほど投資家にとっては利益を出しやすくなるため、FX取引をするうえでスプレッドの比較は大変重要です。

スプレッドはFX会社ごと、通貨ペアごとに異なります。自身がトレードしたい通貨ペアがあるときは、狭いスプレッドで提供しているFX会社を選ぶ方がいいでしょう。

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トライオートFXもマイメイトも、自身で1からトレードルールを設定する必要はなく、すでに用意されたもののなかから選ぶだけでも自動売買を始められます。