FX初心者は、手軽に始められて大きな損失を防止できる少額取引がおすすめです。この記事では、FXの少額取引とはどのような取引を指すのか?また少額取引のメリット・デメリット、注意点についても解説していますこれからFXを始めたい人や、少額取引から始めたいFX初心者、少額取引にあったFX会社の選び方を知りたい人はぜひ最後までお読みください。
FXにおける少額の取引とは?
FXは自己資金が少額でも取引が始められます。FXにおける少額の取引とは、取引通貨数が少ない取引のことを指します。
FX取引をするときに必要な証拠金は、以下の計算式を使って計算します。
必要証拠金=基準レート×取引通貨数×保証金率(証拠金率) |
保証金率とはFXの取引額に対して、預けておかなければならない証拠金の割合のことです。国内のFX会社は一般的に保証金率が4%のため、仮に1ドル130円のときに1,000通貨で取引をする場合、130円×1,000通貨×4%(保証金率)=5,200円の証拠金が必要です。また100通貨で取引をするときは、520円の証拠金があれば取引ができます。
FXを少額で始めるメリット
FXを少額で始めるメリットは主に以下の3つです。
- 必要資金が少ないため手軽に始められる
- 損失を抑えられる
- ポジションを複数保有できる
各メリットについて詳しく解説します。
必要資金が少ないため手軽に始められる
FXは、取引を始めるときの必要資金が少ないため、手軽に始めることができます。
例えば株式投資の場合、東京証券取引所では、国内株式の取引単位を100株単位としているため、株価1,000円の株式を100株購入しようとすると、必要資金は10万円です。
しかし、FXは先に述べたように理論上は5,200円程度から、少し余裕を持ったとしても2~5万円の資金があれば始められます。さらに最近では、1通貨、10通貨のようにより小さい取引単位でもトレードができるFX会社もあります。
そのためFXは手軽に始められる投資手法といえるでしょう。
損失を抑えられる
為替レートが変動する最小単位のことをpipsと言いますが、取引通貨が少ないほど1pips変動したときの損失額も小さくなります。
例えば米ドル/円で100通貨分の取引をすると、100pips変動したときの損失額は100円です。しかし1万通貨で取引をしていた場合、損失額は10,000円になります。
変動幅 | 1万通貨 | 1,000通貨 | 100通貨 |
1pips | 100円 | 10円 | 1円 |
10pips | 1,000円 | 100円 | 10円 |
100pips | 10,000円 | 1,000円 | 100円 |
また少額投資なら、精神的な負担も軽減されるでしょう。
FXで身の丈に合わない無理な金額を投資すると、為替の値動きが気になって仕事に集中できずに、ミスをしてしまうなど、私生活にも影響を及ぼしかねません。
特にFX初心者は、精神的負担を抱えないためにも少額からの取引をおすすめします。
ポジションを複数保有できる
少額の取引は1ポジションあたりに必要な証拠金が少ないため、複数のポジションを保有しやすくなります。複数のポジションを保有できる分、初心者でも多くの実戦トレードの経験を積むことができるでしょう。
デモトレードを使えば実戦同様のトレードも可能ですが、すべてのFX会社がデモトレードを用意しているわけではありません。またデモトレードで使用するのは実際の自己資金ではないため、本番トレードと同じ緊張感で取引に臨むことが難しく、トレード経験に結びつきにくい可能性があります。
FXを少額で始めるデメリット
一方で、FXを少額で始めるうえで考えられるデメリットを3つ紹介します。
- 狙える利益は少ない
- ロスカットされやすい
狙える利益は少ない
10,000通貨を購入して10,000円の利益が出る取引に対して、1,000通貨分しか購入していなければ当然利益も10分の1の1,000円になります。
少額投資のFXは、トレードの経験を積むことはできても、大きな収益には繋がりにくいでしょう。
ロスカットされやすい
ロスカットとは、FX取引で一定額以上の損失が発生したときに、さらなる損失の拡大を防ぐ目的で保有している全てのポジションを強制的に決済する仕組みのことです。
少額でトレードできると、複数のポジションを持てるので、ポジションを増やしてしまいがちです。売りポジション、買いポジションいずれのケースも保有しているポジションが偏っていると、為替レートが上下したときのインパクトも相応に大きくなります。
ロスカットにも繋がりやすいので、少額トレードをするときは過度に多くのポジションを持つことは避けましょう。また、高レバレッジのトレードもロスカットに繋がりやすいので、有効証拠金が少ないときは、レバレッジの低いトレードをおすすめします。
FX初心者には少額取引がおすすめ
少額取引なら、1回あたりの取引で生じる損失が相対的に少なくなります。仮にトレードで損失が生じても、大きく自己資金を損なう可能性が低いため、取引頻度を増やせます。
FXの知識を身に付ける手段としては、本やインターネットで身に付ける方法も有効ですが、実戦に勝るものはありません。
初心者のうちはまず少額から始めて知識や経験を積み重ね、トレードに慣れてきたら取引通貨を増やしたり、レバレッジを高く設定したりして大きな金額での取引を検討してみましょう。
FX初心者が少額取引で失敗する原因
少額取引をしても、FXで失敗することはあります。ここではFX初心者が少額取引で失敗する原因のうち、代表的なものを紹介します。
損切りできない
損切りとは、自身の想定とは異なる方向に為替レートが動いたときに、損失を承知で決済することです。
FXは新規注文をして為替レートが変動しても、決済をしなければ実際の損益にはなりません。仮に決済をすれば利益が出る状態のことを「含み益」、逆に決済をすると損失が出る状態のことを「含み損」といいます。
このうち含み損が出ている状態で、決済するのが「損切り」です。ちなみに含み益が出ている状態で、決済することを「利益確定」といいます。
FX初心者は含み損が出ると、いつか価格が戻ることを期待して、そのままポジションを保有してしまいがちです。しかし含み損をそのままにしておくと、かえって損失が拡大してしまう可能性があり、結果的に自己資金を大きく減らすことにつながりかねません。
勘や運任せで取引を行う
為替はチャートの形やテクニカル指標、各国の政策金利や景気などさまざまな要因で変動します。そのためこれらの情報を持たずに勘や運任せで取引を行っていても、いっこうにトレードの勝率は上がらず、損失が拡大してしまうかもしれません。
FXはギャンブルではありません。FXは投資であり、テクニカル指標や、経済指標などをもとに戦略を立ててトレードをすることで、勝率を高められます。
FX初心者が少額取引をするときの注意点
FX初心者が少額取引をするときは、以下の点に注意しましょう。
- まずはトレードの勝率アップを心がける
- ポジションを持ち過ぎない
- 多くの通貨ペアで取引をしない
注意点についてそれぞれ詳しく解説します。
まずはトレードの勝率アップを心がける
少額のFX取引は取引通貨量が少ないため、大きな利益を狙うのは難しいでしょう。
FX初心者のうちは、まず少額取引で実戦トレードの経験を積んでトレードの勝率をアップさせることをおすすめします。勝率が上がってきたら取引通貨量を増やし、大きなリターンを狙うというステップを踏むと良いでしょう。
ポジションを持ち過ぎない
常にポジションを持っていたい心理状態のことを、「ポジポジ病」といいます。ポジポジ病は大きな損失を抱える要因になり得ます。
FXに限らず、投資には「休むも相場」という格言があります。
この格言は相場の先行きが不透明な時期や、トレードの負けが込んでいる時期は一旦トレードを休んで客観的に全体的な相場を見渡してみることの重要性を表すものです。
FXは次のような時間帯はトレードに向いていません。
- 早朝など取引参加者が少ない時間帯や
- 重要な経済指標の発表直前
取引参加者が少ない時間帯はスプレッドが拡大したり、急なニュースで為替が変動したりする可能性があります。また重要な経済指標の発表前後は為替が大きく動く可能性があります。
初心者はポジポジ病に陥りがちで、トレードに向いていない時間帯でもポジションを抱えてしまいがちです。このような時間帯にポジションを保有していると、相場の急変で大きな損失につながるかもしれません。FX取引に向いていない時間帯や負けが続いたときなどは、一旦ポジションを持たずにトレードをお休みして、次のチャンスを狙うのも1つの戦略と考えましょう。
多くの通貨ペアで取引をしない
ポジポジ病に似ていますが、少額取引は1つのポジションを保有する際の証拠金が少なくて済むため、多くの通貨ペアで取引をしてしまいがちです。
1つの通貨ペアのトレードがうまくいかないと、別の通貨ペアも試したくなることもあるかもしれません。しかし初心者のうちは通貨ペアを絞り、時間をかけて値動きの特徴などを把握するよう心がけましょう。
FX初心者が少額取引を成功させるコツ
FX初心者が少額取引を成功させるには、取引をしたあとに振り返りを行い今後のトレードに役立てることが大切です。また闇雲なトレードはせず、FX取引ツールを活用したトレードを心がけましょう。以下、FX初心者が少額取引を成功させるコツについて詳しく紹介します。
取引の振り返りを行う
FXは自身で立てた戦略で利益が出る場合もあれば、損失が出ることもあります。取引の振り返りにより、将来同じような局面に遭遇したときに、利益が出たトレードは再現しやすくなり、失敗したトレードは対策を立てて成功トレードに転換できる可能性があります。最終的にトレードの勝率アップにつながるでしょう。
振り返りは、なぜその取引をしたのか、極力詳細に情報を残して後から確認できるようにしておくことが大切です。振り返るときは以下のような情報を残しておくと良いでしょう。
- 注文した日時、数量、価格
- 決済した日時、数量、価格
- 通貨ペア
- そのときに注文(決済)した理由
- 失敗トレードに対する対策
FX取引ツールを活用する
FX取引ツールとは、新規注文や決済、テクニカル分析、FX関連ニュースの閲覧機能など、FX取引をするうえで必要な機能を搭載したアプリやソフト全般を指します。
各FX会社は、高機能なものや外出先でも取引しやすいものなど、さまざまな取引ツールを用意しています。
初心者でも操作しやすいものを選ぶことで、注文や決済時の操作誤りが少なくなり、トレードの失敗が減らせるでしょう。なおかつ高機能なテクニカル指標を備えた取引ツールを使用したり、複数のテクニカル指標を組み合わせたりすることで、エントリーポイントや利益確定ポイントを発見しやすくなり、トレードの勝率向上にも役立ちます。
結果的にFX取引ツールを使用することで、初心者でもFXで成功しやすくなるでしょう。
少額取引に適したFX会社の選び方
FX会社のなかには、少額取引に適している会社もあります。少額取引ができるFX会社選びのポイントは次の4つです。
- 最低取引単位が小さいものから選ぶ
- スプレッドの狭いものから選ぶ
- 取引ツールの使いやすさから選ぶ
- 約定力の高いものから選ぶ
最低取引単位が小さいものから選ぶ
FXの最低取引単位とは、取引に必要な最低取引通貨の単位のことです。
例えば、最低取引単位1,000通貨であれば、1,000通貨単位で購入することができます。
米ドル/円の通貨ペアで、1ドル100円のとき、最低取引単位10,000通貨なら100万円から取引が可能。最低取引単位1,000通貨であれば、10万円から取引が可能になります。
つまり、最低低取引単位が小さいFX会社の方が、少額で柔軟な買い付けが可能ということになります。
少額のFX取引をするときは、最低取引単位が小さいFX会社を選びましょう。
スプレッドの狭いものから選ぶ
スプレッドは通貨の売値と買値の差額のことで、FX取引の実質的なコストにあたります。例えば米ドル/円の通貨ペアで、買値110.125円でドルを購入した場合、0.5銭よりも円安にならないと利益になりません。しかし仮にスプレッドが0.2銭だった場合、0.2銭よりも円安になれば利益になります。つまりFXはスプレッドが狭いほうが、利益が出しやすくなるのです。
少額のFX取引は取引額が少ないため、利益も少ない傾向があります。少しでも少額のFXトレードで利益を出すために、スプレッドはなるべく狭いFX会社を選びましょう。
取引ツールの使いやすさから選ぶ
少額でFX投資をするときは、取引ツールが使いやすいFX会社を選びましょう。使いやすい取引ツールの事例としては、下記が挙げられます。
- わかりやすいアイコンを使っていて、各ボタンがどのような機能を持っているのかがすぐにわかる
- 少ないステップで売買ができる
- 自分の使いやすい画面にカスタマイズできる
- チャートやテクニカル指標が充実している
- 経済ニュースが充実している など
約定力の高いものから選ぶ
投資家が希望通りの価格で約定できる力のことです。約定力がないと、自分が希望する金額よりも高値、あるいは安値で約定してしまう可能性があります。少額でのFX取引は利益が少ない傾向があるので、FX会社の約定力は重要な問題です。
投資家が希望した金額で約定できる確率のことを約定率と言います。少額でのFXは約定率の高いFX会社を選びましょう。
まとめ
FX初心者のうちは、1回あたりの取引で生じる損失が相対的に少なくなるため、少額取引がおすすめです。一度の取引で大きく自己資金を損なう可能性も低いため、取引経験を積むことができます。
FX初心者は最初から大きな利益は狙わず、まずは少額取引でトレードの勝率を向上させてからレバレッジを大きくしたり、取引数量を増やしたりしたりすると良いでしょう。