
スキャルピングとは数秒から数分で売買を繰り返し、利益を積み重ねるFXの取引手法の1つです。スキャルピングはFXのなかでもリスク・リターンともに大きい傾向にある取引手法ですが、やり方次第では成功する可能性は十分あります。
この記事では、スキャルピングのメリット・デメリットと、初心者がスキャルピングで成功するコツについて紹介します。FXのスキャルピングで利益を出してみたい人は是非最後までお読みください。
FXのスキャルピングとは

スキャルピングとは数秒から数分といった短い時間で売買を繰り返し、小さな利益を積み重ねていく取引手法です。スキャルピングとは「皮を剥ぐ」という意味もあり、細かい取引によって薄皮を剥ぐように、薄い利益を蓄積させていきます。
他の取引手法との違い

FXの取引手法は、主にスキャルピングの他、デイトレード、スイングトレード、長期トレードの4種類があり、1日あたりの取引回数や、保有時間などが異なります。各取引手法の違いをまとめてみました。
ポジションの保有時間 | 使用するチャート | 特徴 | |
スキャルピング | 数秒から数分 | 1分足、5分足 | 短期間で大きなリターンを狙える可能性があるリスクが高い取引手法コストが高くなりやすい |
デイトレード | 数時間から1日 | 5分足、15分足、1時間足、4時間足 | 当日中に利益が確定するコストが高くなりやすい |
スイングトレード | 数日から数週間 | 日足、週足 | パソコンやスマホに張り付いている必要がないスワップポイントが狙える急な相場変動を見落とす可能性がある |
長期保有 | 数ヶ月 | 月足 | スワップポイントが狙える為替変動が大きくロスカットされることがある |
FXのスキャルピングに向いている人の特徴
FXのスキャルピングに向いているのは、以下のような人です。
- FXトレードの十分な時間を費やせる人
- 大きなリターンを狙いたい人
- 判断力がある人
為替レートは取引時間中、絶えず為替レートが変動しています。そのため、スキャルピングは売買のタイミングを見逃さないように、常に取引画面を注視している必要があります。時間に余裕があり、FXの取引画面を常に確認できる人の方がスキャルピングにおいては有利です。
また、スキャルピングは1トレードあたりの利益は少額でも、トレードの頻度が多いため、積み重ねると最もリターンが大きくなる可能性があります。わずかな時間で、売買を瞬時に見極める判断力も求められるでしょう。
FXのスキャルピングに向いていない人の特徴
一方、以下のような人は、FXのスキャルピングは向いていません。
- 集中力がない
- トレードにあまり時間を費やせない
- 判断力がない
スキャルピングは小さな利益を積み重ねていく取引手法なので、1つ1つのトレードの売買タイミングを常に見落とさないよう、集中力が求められます。そのため、トレードにあまり時間を割けない人もスキャルピングには向いていません。
また判断力がない人がスキャルピングをすると、売買のタイミングを逸してしまい、利益が積み重ならない可能性があります。
FXでスキャルピングをおこなうメリット
FXでスキャルピングをするメリットは以下の通りです。
- 価格変動のリスクを抑えられる
- 資金効率の良いトレードができる
- 就寝中のチャートの動きを心配する必要はない
- マイナススワップを気にする必要がなくなる
- 取引経験を積みやすい
価格変動のリスクを抑えられる
為替レートは取引時間中、常に値動きをしています。そのため、ポジションを保有していると自分が意図しない方向に、上昇したり、下落したりして、損失が発生する可能性があります。
しかしスキャルピングは1トレードあたりの時間が短いので、大きな価格変動にさらされるリスクが抑えられます。
資金効率の良いトレードができる
FXでは、例えば10万円の資金でポジションを保有すると、この10万円はポジションを決済しない限り自由に使ったり、再投資したりすることができません。
しかしスキャルピングは、何度も売買を繰り返すため、同じ資金で何度でもトレードができます。何度でもトレードができるので、利益を生み出す機会が増えることからスキャルピングは資金効率の良いトレードと言えるでしょう。
就寝中のチャートの動きを心配する必要はない
ポジションを保有したまま就寝すると、その間に大きく為替レートが動いて損失が発生するかもしれないという精神的不安が生じる可能性があります。しかしスキャルピングは取引時間が数秒から数分という短い取引手法なので、ポジションを保有したまま就寝することはなく、そうした精神的不安は生じません。
マイナススワップを気にする必要がなくなる
スワップポイントは受取る場合も、支払う場合(マイナススワップ)も、ポジションを翌日以降に持ち越したときに発生します。スキャルピングはポジションを翌日に持ち越すことはないので、マイナススワップを気にする必要がありません。
取引経験を積みやすい
スキャルピングは短時間のトレードを何度もおこなうため、取引経験も蓄積されます。ただしやみくもに取引をしても、取引経験にはなりません。取引経験になるトレードは、十分に仮説を立て、仮説を検証したものに限られることを心得ておきましょう。
FXでスキャルピングをおこなうデメリット
FXでスキャルピングをするデメリットは以下の3つです。
- 集中力が必要となる
- トレード環境を整えなければならない
- 取引コストが高くなりやすい
集中力が必要となる
スキャルピングは集中力がない人に向いていないことは先に述べた通りですが、集中力が発揮できる環境も必要です。例えば、仕事が終わって疲れている状態や、生活費を取引に使ってしまい、取り返そうと気持ちが焦っているような場合、集中力を欠いてしまい、トレードがうまくいかない可能性があります。
トレード環境を整えなければならない
通信環境が悪かったり、使用しているパソコンのスペックが低かったりすると、発注のタイミングがズレてしまい、思ったような約定価格で注文できない可能性があります。わずかな利益を積み上げるスキャルピングは、こうした約定価格のズレが命取りになるかもしれません。
スキャルピングをするときは、通信環境、パソコンのスペックといったトレード環境も整えましょう。
取引コストが高くなりやすい
FX会社で取引手数料が必要になることはほとんどありませんが、売値と買値の差額であるスプレッドという形で、取引のたびにFX会社にコストを支払います。
スキャルピングは取引頻度が多いことから、何度もコスト負担が発生し、結果的に取引コストが高くなる傾向があります。
FX初心者がスキャルピングを成功させるコツ
FX初心者がスキャルピングを成功させるコツを紹介します。
- 売買判断に迷わない
- スプレッドの狭いFX会社で取引する
- 取引の活発な時間帯を把握しておく
- 利益確定の基準はpipsで設定する
- インジケーターを活用する
売買判断に迷わない
スキャルピングは数秒から数分という短時間で生じる、為替差益を狙うトレードです。「もう少し上昇するかもしれない」「一旦下落したけれど、もう少し様子を見てみよう」といった理由で売買判断に迷いが生じると、かえって損失の発生や、損失の拡大につながります。
売買判断に迷わないために、いくらまで含み益が出たら利益確定するか、損失の場合は、含み損がいくらになったら損切りをするか、ルールを決めておくことが必要です。
スプレッドの狭いFX会社で取引する

FXでは売値と買値の2つの価格があり、この価格差をスプレッドと言います。仮に売値110.120円、買値が110.125円とすると、スプレッドは0.5銭です。このスプレッドは、FXにおける取引コストにあたることから、極力スプレッドが狭い方が取引コストを抑えられます
スキャルピングは他の取引手法よりも売買回数が多いので、とりわけスプレッドは重視する必要があるでしょう。
取引の活発な時間帯を把握しておく
スキャルピングはある程度、為替レートの値動きがないと利益を出しにくい傾向があります。また、通貨の流通量が少ない時間帯は、スプレッドが広い傾向があります。そのためスキャルピングをするときは、取引の活発な時間を選びましょう。
取引が活発な時間は、ロンドン市場で取引が行われる16:00以降です。21:00頃からはニューヨーク市場でも取引が始まり、ロンドン市場とニューヨーク市場の両方で取引が行われる21:00から24:00あたりは、最も取引が活発になる時間帯になります。
利益確定の基準はpipsで設定する
スキャルピングの売買判断に迷わないために、利益確定や損切ルールを決めておくことが大切です。利益確定の基準や損切の基準はpipsを基準に設定しておくと良いでしょう。pipsとはFX取引に使用される単位のことです。
FX取引でpipsを使うのは、FXには多くの通貨があり、米ドルが「何ドル」上下したか、日本円が「何円」上下したかなど、各通過の単位で表現をすると、通貨単位がバラバラでわかりにくくなるためです。
pipsを使うと、さまざまな通貨の単位を共通の単位で表せます。
売買判断に迷わないために、あらかじめ何pipsまで上昇したら利益確定するか、逆に何pipsまで下がったら損切りするかなど、あらかじめルールを決めておきましょう。
インジケーターを活用する
スキャルピングで成功するために、インジケーターも活用してみましょう。インジケーターはチャートの内容をより分かりやすくするためのもので、チャート画面上や、チャートの下部に別画面で表示されています。
インジケーターには、今後のトレンドの方向性を予想する際に利用される「トレンド系インジケーター」と、相場に対する売られすぎ・買われすぎを判断する「オシレーター系インジケーター」の2つがあります。
スキャルピングで売買ポイントを見つける際に、チャートに加えて、こうしたインジケーターも活用しましょう。
【トレンド系】
- トレンドライン
- 移動平均線
- ボリンジャーバンド
【オシレーター系】
- MACD
- RSI
FXでスキャルピングをおこなう際の注意点
FX会社によってはスキャルピングが禁止されていることがあります。これは、注文をうけた証券会社やFX会社が為替変動リスクを回避するためのカバー取引に影響を与えることなどの理由があります。禁止されているFX会社の口座でスキャルピングをすると、口座が凍結されることがあるので注意しましょう。
スキャルピングが禁止されているかどうかは、各FX会社の約款に記載されています。
まとめ
スキャルピングはFXにおける取引手法の1つです。FXの取引手法のなかでも、リスク・リターンが最も大きい傾向があるので、自分に向いているかどうかを理解したうえでスタートしましょう。
また、スキャルピングは初心者でも利益を出すことが期待できます。売買判断に迷わないようルールを決める、スプレッドの狭いFX会社を選ぶ、取引の活発な時間帯にトレードをするといったような、今回紹介したコツもぜひ活用してください。