FXにおけるエンベロープとは?使い方や計算式・設定手順を解説

エンベロープとはFXにおけるテクニカル指標の一つで、売買サインや、支持・抵抗のラインを見つける際に役立ちます。この記事では、エンベロープの計算方法や設定方法、ボリンジャーバンドの違いについても解説しています。FXのテクニカル指標について勉強している方、これからテクニカル指標を活用したトレードを検討している方に役に立つ内容です。

FXにおけるエンベロープとは

エンベロープとは、移動平均線から上下に乖離させた線のことを指します。エンベロープの上限・下限を反転ポイントとして売買サインとする、あるいは支持・抵抗ラインの目安にするといった活用方法があります。

エンベロープは移動平均線からある程度まで乖離した価格は、再び移動平均線近くまで価格が戻る確率が高という考え方に基づいています。

ボリンジャーバンドとの違い

エンベロープはボリンジャーバンドと形が似ているため、見分けが付きにくいかもしれません。しかしボリンジャーバンドの移動平均線の上下にある線は標準偏差を使って計算されているものであるのに対し、エンベロープは移動平均線に単純に平行線を引いたものという違いがあります。

そのため、ボリンジャーバンドは価格変動が小さいとバンドの幅が狭くなったり、大きくなるとバンドの幅が広がったりしますが、エンベロープにはそれがありません。

エンベロープの使い方

エンベロープを使ったトレード方法を紹介します。エンベロープは順張り、逆張りどちらでも利用できます。

順張り

ローソク足が移動平均線を上から下抜けしたタイミングが売りシグナル、下から上抜けすると買シグナルとなります。

逆張り

移動平均線の真上にあるバンド(アッパーバンド)にタッチ、あるいは上抜けしたら売りシグナル。移動平均線の真下にあるバン(ロワーバンド)にタッチ、あるいは下抜けしたタイミングを買シグナルと判断します。

エンベロープの計算式

エンベロープの計算式は移動平均線の上にあるアッパーバンドと、下にあるロワーバンドに分けて計算します。
アッパーバンド:移動平均線+移動平均線✕n%
ロワーバンド:移動平均線-移動平均線✕n%
n:移動平均線との乖離率

FXでエンベロープを設定する手順

エンベロープを使うときは、移動平均線と乖離率を設定する必要があります。エンベロープの設定方法について解説します。

①移動平均線の期間を設定する

使用するインジケーターで「エンベロープ」を選んだ後に、まずは移動平均線の期間を選択します。

為替相場の1ヶ月あたりの平均的な営業日数は概ね22日のため、移動平均線は20か25を選択します。

20は価格の変動に敏感に反応し、25は20よりゆっくりと価格に反応する分ダマシが少ない傾向があるため、自分が扱いやすいほうを選びましょう。なおダマシとは、相場のセオリーとは異なる値動きをしてしまうことです。

②乖離率を設定する

乖離率の設定値は、通貨や取引する時間帯、値動きの大きさによって変更が必要です。乖離率があまり広すぎると、まったくバンドにタッチしないため、売買サインの判断がつかなくなってしまいます。ある程度、ローソク足の上限、下限がタッチする範囲を選択しましょう。

一般的にFXトレードでは、25日移動平均線の2~3%上下が目安と言われています。

エンベロープの活用で注意が必要なタイミング

エンベロープを活用したFXトレードをするときは、以下の4点に注意が必要です。

  • イベント発生時
  • 強いトレンド相場
  • 流動性が低いとき
  • ブレイクアウトしたとき

各項目について詳しく解説します。

イベント発生時

アメリカの雇用統計や、FOMC、消費者物価指数(CPI)といった重要な経済指標や、FRB理事長などの要人発言があると、内容次第で大きくトレンドが変わることがあります。

エンベロープをはじめとしたテクニカル指標が、機能しない可能性があるため、このような重要なイベントはあらかじめ日程を確認しておき、トレードを控えるようにしましょう。

強いトレンド相場

強いトレンド相場では一方的に価格が動くため、逆張りトレードをすると大きな損失につながる可能性があります。エンベロープを使ってトレードする場合、順張り・逆張りどちらにするか、相場を見て慎重に検討しましょう。

流動性が低いとき

流動性が低い時期や、時間帯にトレードをすると、ローソク足がアッパーバンド、ロワーバンドどちらにも届かないため、エントリーポイントが見つけにくい可能性があります。
流動性が低いときはスプレッドも高い傾向があるため、トレードを避けたほうが良いかもしれません。

ブレイクアウトしたとき

節目となる価格を一旦超えると、そのまま大きなトレンドが発生することがあります。これをブレイクアウトと言います。トレンドが発生すると、移動平均線まで戻ってこないため、エンベロープが機能しない場合があります。トレード前に長期のローソク足などを使って、市場で意識される可能性のある価格帯を確認しておきましょう。

まとめ

エンベロープとは、売買サインや、支持・抵抗ラインを見つける際に役立つテクニカル指標です。ただしイベント発生時や強いトレンド相場など、為替市場の動向によっては、エンベロープを活用したトレードは控えたほうが良い場面もあります。またエンベロープは利用する前に移動平均線の期間と乖離率を設定しないと十分機能しないため、活用を検討している方は、移動平均線と乖離率の目安を覚えておきましょう。

エンベロープのようなテクニカル指標をまだ上手に使いこなせないという方は、FXの自動売買システム を活用してみましょう。インヴァスト証券の「トライオートFX」は、あらかじめ設定したトレードルールに基づいて、自動席に売買が繰り返されます。トレードルールは1から作る必要はなく、あらかじめ用意されているものから選択することも可能です。

またAIを活用した自動売買システムもあります。「マイメイト」はエージェントというキャラクターが、過去のトレードを分析し、実際のトレードに活かします。学習はトレード後も行われるため、学習内容を活かしたトレードが期待できます。