FXのファンダメンタルズ分析とは？特徴ややり方・情報源を解説

ファンダメンタルズ分析とは、国や企業などの経済状況を示す指標であるファンダメンタルズをもとに、株価や為替の値動きを分析する方法です。この記事では、ファンダメンタルズ分析を使ったFXトレードを始めたい人向けに、ファンダメンタルズ分析のメリット・デメリット、分析のやり方、テクニカル分析の違いなどについて解説しています。FX初心者やファンダメンタルズ分析に興味がある人は、ぜひ最後までお読みください。

FXのファンダメンタルズ分析とは

ファンダメンタルズとは日本語で「経済の基礎的条件」と訳され、国や企業などの経済状況を示す指標を指します。国で言えば経済成長率や物価上昇率、失業率、財政収支などがこれにあたり、企業では業績や財務状況、PER（株価収益率）やPBR（株価純資産倍率）、ROE（株主資本利益率）などが該当します。

こうしたファンダメンタルズをもとに、株価や為替の値動きを予測する分析方法がファンダメンタルズ分析です。

FXのファンダメンタルズ分析のメリット

FXのファンダメンタルズ分析は、中長期的に相場を予想できる、相場が動くタイミングをあらかじめ把握できるといったメリットがあります。各メリットについて詳しく紹介します。

中長期的に相場を予測できる

ファンダメンタルズ分析は過去のファンダメンタルズを分析して、将来の中長期的な値動きを予測する分析手法です。短期のトレードでは常にチャートやテクニカル指標を注視して、トレードチャンスに即座に反応しなければなりませんが、ファンダメンタルズ分析を活用したトレード手法では、必ずしもそうする必要はありません。

分析にもある程度の時間がかけられるため、短期トレードよりストレスを感じることなくトレードができるでしょう。

相場が動くタイミングをあらかじめ把握できる

ファンダメンタルズのなかでも企業の決算発表や、経済指標などは発表が近くなると為替レートが動くことがあります。こうした発表はある程度スケジュールが決まっているため、相場が動くタイミングが比較的把握しやすいと言えるでしょう。

例えば失業率が前月比でプラスだったら買いポジションを持つ、マイナスだったら売りポジションを持つなど、市場参加者は経済指標が発表されたらどう動くのか、発表内容によって異なる複数のシナリオを用意しているのが一般的です。そのため経済指標発表後は、大きなトレンドが形成されることがあります。

ファンダメンタルズ要因となりうる情報のスケジュールを把握しておけば、素早くトレンドに対処できるかもしれません。

FXのファンダメンタルズ分析のデメリット

一方、FXのファンダメンタルズ分析は短期的な取引には向かない、すでに織り込み済みで、為替相場に影響がないケースがあります。こうしたファンダメンタルズ分析のデメリットについても見ていきましょう。

短期的な取引には向かない

ファンダメンタルズは基本的に中長期的な値動きを予測する分析方法のため、スキャルピングやデイトレードなど短期的な売買への活用には向いていません。短期的なトレードの場合は、テクニカル分析が向いています。

ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の違いについては、この後の章で紹介します。

為替相場に影響がないケースがある

市場参加者がファンダメンタルズの値動きを先読みして、対策を立てた結果が為替相場に反映している状態のことを「織り込み済み」といいます。すでに織り込み済みの場合、ファンダメンタルズが発表されても、為替相場にはほとんど影響を与えない可能性があります。

何らかのファンダメンタルズが発表されて、自身では大きく為替相場が動くと思っていたものが、すでに織り込み済みで予想通りの値動きをしなかった場合、損切りなどの対処が必要になるかもしれません。

FXのファンダメンタルズ分析のやり方

FXにおける代表的なファンダメンタルズ分析のやり方としては、以下のような情報を活用する方法があります。

• 経済指標から判断する
• 金融政策から判断する
• 要人発言から判断する
• 地政学的リスクから判断する

それぞれ詳しく紹介します。

経済指標から判断する

経済指標とは、政府や中央銀行などが発表する経済に関連する統計データのことです。経済指標はその国の経済の健康状態を表すともいわれており、良好な経済状況である国の通貨は買われやすいなど、その発表内容が為替相場に大きな影響を与えることがあります。

特に世界のGDPの約4分の１を占め、基軸通貨である米ドルを法定通貨とするアメリカの経済指標は、世界の経済動向や金利、為替などに大きな影響を与えるものが数多くあります。

金融政策から判断する

金融政策とは各国の中央銀行が、物価や経済の安定を目的として、金利や通貨の供給量を調整する施策のことです。中央銀行が政策金利を引き上げれば、民間の銀行の金利が上昇し、融資を受けにくくなるため経済が縮小する傾向があります。一方、金利を下げれば融資を受けやすくなるため、経済が活性化する可能性が高まります。

またアメリカが政策金利を引き上げると、金利の低い日本の通貨が売られるなど、一国の金融政策は、国内の経済だけではなく、他国の通貨価格にも影響を与えることがあります。

したがって各国の金融政策を理解しておくことは、ファンダメンタル分析をするうえで大変重要です。

要人発言から判断する

要人発言とは各国の政府高官や高級官僚、中央銀行の総裁など、経済政策や金融政策を担う重要人物による発言を指します。こうした要人の発言は、内容次第では為替相場に大きな影響を与える場合があります。

経済指標のように日程が決まっているものもあるため、あらかじめ確認しておくと良いでしょう。

地政学的リスクから判断する

地政学リスクとは政治の混乱や、戦乱、天災などによって、特定地域あるいは世界経済の見通しを不透明になるリスクのことです。ロシアのウクライナ侵攻により、ルーブルの対ドルレートが継続的に下落するなど、地政学リスクは関連国の法定通貨の価格に大きな影響を与えます。

FXのファンダメンタルズ分析に欠かせない情報源

ファンダメンタルズ分析で利用する情報源としては、ニュースや新聞、インターネットの他、FX会社が提供しているニュースなどがあります。どの方法でも一定の情報を得ることは可能ですが、大切なのは毎日少しずつでも情報源に触れることです。

各国の金融政策や景気には流れがあります。

例えばアメリカは新型コロナウイルスの影響で不況になり、ゼロ金利政策をとりました。その後、コロナから回復し、急激に需要が増えたことから物価が上昇。人手不足から賃金も上昇し、急激なインフレを迎えます。インフレ対策としてアメリカの中央銀行にあたるFRBはゼロ金利を解除して急ピッチの利上げを行い、2023年9月の段階ではインフレは少しずつ鈍化しています。

毎日少しずつでも情報源に触れて、金融政策や景気の一連の流れをつかめるようになれば、ファンダメンタルズ分析の精度は高まっていくでしょう。

ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の違い

ファンダメンタルズ分析は、経済成長率や物価上昇率、失業率、財政収支といったファンダメンタルズをもとに、将来の為替レートを予測する方法、テクニカル分析は、FXのチャートをもとに将来の値動きを予測する方法です。

一般的にファンダメンタルズ分析は中長期的なトレード手法、テクニカル分析は短期的なトレード手法に向いています。

複数の分析手法との併用がおすすめ

ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析のどちらが優れているか？一概に優劣をつけることはできません。

例えばどれだけテクニカル分析をしても、要人発言といったファンダメンタルズ要因をチェックしておらず、大きな為替変動に巻き込まれてしまうこともあり得るからです。

逆にファンダメンタルズ分析しかしていないと、テクニカル分析では明らかな売買シグナルが出ているのに見落とす可能性もあるでしょう。

どちらの手法も一度に勉強するのは難しいかもしれませんが、両方活用できたほうが、より為替相場に対する視野が広がり、トレードの勝率も上がるでしょう。

まとめ

ファンダメンタルズ分析は、ファンダメンタルズをもとに、将来の為替レートを予測する方法で、中長期的な相場予測に向いています。一方、短期的な取引をしたいときはチャートをもとに将来の値動きを予測するテクニカル分析が向いています。ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析のどちらが優れているか、一概に優劣はつけられません。むしろ、どちらの分析方法も勉強しておいたほうが、為替相場の視野が広がりトレードの勝率が上がるでしょう。

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