FXで確定申告が必要なのはいくらから?ケース別にわかりやすく解説

FXで利益が出ると、年収や副業の所得などによっては、確定申告が必要になる場合があります。この記事では、FXで確定申告が必要、あるいは不要なのはどのようなケースか、それぞれ解説しています。また、確定申告が必要であるにもかかわらず、怠った場合のペナルティも紹介します。FXの確定申告で不安を感じている人は、ぜひ最後までお読みください。

FXで確定申告が必要なのはいくらから?

FXによる収入があると、確定申告が必要になる場合があります。

FXの収入がいくらあると確定申告が必要になるかは、年収や副業の所得、扶養に入っているかどうかで異なります。FXで確定申告が必要になるケースは以下の通りです。

  • 年収2,000万円を超える場合には利益額にかかわらず必要
  • FXや副業での所得が年間20万円を超える場合に必要
  • 扶養に入っている人はFX所得が48万円を超える場合に必要

各ケースについて詳しく紹介していきます。

年収2,000万円を超える場合には利益額に関わらず必要

年収2,000万円を超えている人は、FXの利益に関わらず確定申告が必要です。

一般的に、会社に属している人は確定申告の必要はありません。しかし、年収2,000万円を超えている人は、年末調整が行われないことが所得税法190条に定められているため、会社員でも確定申告が必要です。年末調整が行われないと、社会保険料控除や生命保険料控除といった控除が適用されず、源泉徴収されている税額が正確ではない可能性があるため、確定申告をしなければなりません。

また年収2,000万円を超える人は、配偶者特別控除や住宅ローン控除といった控除も利用できなくなる可能性もあります。

FXや副業での所得が年間20万円を超える場合に必要

FXや副業での所得が年間20万円を超える場合も、確定申告が必要です。

副業に具体的な定義はありません。しかし、本業の収入がある人が、FXの他、アフィリエイトやWebライティング、不動産投資、株式投資など本業以外の仕事で収入を得ていれば、一般的にそれらは副業にあたります。

また、収入と所得は混同されがちですが、収入はお勤めの人であれば総支給額、個人事業主であれば売上のこと、所得とは収入から必要経費を引いて残った金額のことを指します。

なお、必要経費とは、事業で使用する費用のことです。FXであれば、パソコン、通信費、セミナー参加費、セミナー会場に行くまでの交通費などが必要経費にあたります。ただし、厳密にはプライベートとの切り分けが難しいケースもあるでしょう。この場合、FX以外の用途との使用割合に応じて按分(あんぶん)します。

扶養に入っている人はFX所得が48万円を超える場合に必要

扶養に入っている人は、FX所得が48万円を超えると確定申告が必要です。この48万円とは、「基礎控除」という所得控除の金額のことです。基礎控除は、合計所得金額が2,400万円以下であれば誰でも48万円の所得控除が受けられ、それを超えると段階的に控除額が減少していきます。

例えば、FX収入が50万円、必要経費が5万円だった場合、FXの所得は45万円です。ここから基礎控除48万円を差し引くと所得が0円になることから、確定申告をする必要がありません。

所得金額に関わらずFXで確定申告が必要なケース

所得金額に関わらず、損益通算繰越控除を利用するときは、確定申告が必要です。損益通算や繰越控除はどのようなときに活用するのか紹介します。

損益通算を行う場合

損益通算とは、複数の所得の損益を合算できる仕組みのことです。例えば、お勤めで給料をもらっている人が、副業の不動産投資で損失(赤字)が出た場合、給与所得と不動産所得の損失を合算できます。

仮に給与所得が500万円の場合の所得税率は20%ですが、不動産所得で50万円の損失が出ていた場合、給与所得と不動産所得の損失を合算すると所得が450万円となり、所得税だけで10万円分軽減されます。

FXでも損益通算が可能ですが、損益通算できるのは「先物取引に係る雑所得」に分類される所得に限られます。したがってFXは、前述の不動産所得の損失と損益通算はできません。FXと損益通算ができるのはCFD(差金決済取引)、商品先物、日経平均先物などの所得です。

例えば、FXで利益が40万円、日経225先物で10万円の損失が出ていた場合は、損益通算できるため、合計した30万円が課税対象となります。

繰越控除を行う場合

繰越控除とは、他の所得から控除しても損失が控除しきれなかったとき、翌年以降の3年間損失を繰り越して控除できる仕組みのことです。ただし、FX場合、繰越控除ができるのはCFD(差金決済取引)、商品先物、日経平均先物「先物取引に係る雑所得」に分類される所得などに限られます。

仮に、2023年にFXで120万円の損失が発生し、2024年にFXで40万円の利益が出た場合、2023年の損失を繰り越して40万円の利益と相殺できるため課税されません。また、2025年もFXで30万円の利益が出ても、2023年時点で相殺しきれなかった損失80万円と相殺できるため課税されません。

2026年も同様で、FXで35万円の利益が出ても2025年度に相殺しきれなかった損失50万円と相殺が可能です。

2027年以降は2023年に生じたFXの損失120万円のうち、2026年末時点で相殺しきれていない損失が15万円残っていますが、繰越控除ができるのは損失が控除しきれなかった年以降3年間のため、これ以上の繰り越しができません。

※本章の内容は2024年1月時点の税制をもとに記述しています。

FXで確定申告が不要なケース

FXで確定申告が不要なケースは、会社員か学生・専業主婦(夫)かで条件が異なります。

会社員の場合、確定申告が不要なケースは以下の要件をすべて満たす場合です。

【会社員で確定申告が不要となる条件】

  • 年収2,000万円以下(会社から年末調整を受けている人)
  • 給与を1ヶ所のみから受け取っている
  • 給与・退職所得以外の所得の年間合計額が20万円以下

学生・専業主婦(夫)の場合、確定申告が不要なケースは以下の要件をともに満たす場合です。

【学生・専業主婦(夫)で確定申告が不要となる条件】

  • FX取引の利益とその他の所得の合計が48万円(基礎控除)以下
  • FX取引の利益とその他の所得、アルバイトなどの給与所得の合計金額が103万円以下

ただし所得税の申告が不要でも、住民税の申告は必要です。

FXで確定申告をしなくてもバレない?

FXで確定申告をしないと、以下の理由から税務署にバレる可能性があります。

  • FX会社は「支払調書」を、税務署に提出することが義務付けられている
  • 税務署はマイナンバーを通じて納税者が確定申告をしているかを把握できる

2009年1月1日より、FX会社は顧客の損益などが記載された支払調書を、税務署に提出することが義務付けられました。またFXの口座開設をする際、マイナンバーの提出が必要です。税務署はマイナンバーを通じて、FX取引で利益を出している人が確定申告をしているかすぐに把握できます。

したがってFXでどれくらい利益を出しているのか、確定申告をしているかといった情報を、税務署に秘密にしておくことはできないのです。

仮に確定申告をしていない、あるいは少ない金額で申告していることがバレると、加算税という追加の税金に加え、確定申告期限の翌日から完納する日までの日数に応じた延滞税が生じます。

さらに隠ぺいや仮装など悪質と判断された場合、重加算税という非常に重たいペナルティが課されます。

FXの確定申告が不要となる特定口座はある?

特定口座とは、上場株式や投資信託などの譲渡で得た利益の計算を証券会社が行い、投資家の確定申告などの手続きを軽減するための口座です。特定口座には「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」があり、「源泉徴収あり」を選ぶと税金が源泉徴収されるため、確定申告をする必要がありません。

しかしFXは、「先物取引に係る雑所得等」以外の所得とは別に税額を計算して納税する「申告分離課税」のため、原則、確定申告が必要です。つまりFXでは特定口座(源泉徴収あり)のような仕組みはありません。

まとめ

FXによる収入があると、確定申告が必要になる可能性があります。しかし、FXでどれくらい利益が出ると確定申告が必要になるかは、年収や副業の所得、扶養に入っているかなどの要件によって異なります。

確定申告が必要であるにもかかわらず怠ると、加算税や延滞税といったペナルティが課されるため注意が必要です。また損益通算や繰越控除など、確定申告で税金が軽減できる場合もあります。少しでもFXの資金を有効活用したい人は、税金についての知識を身に付けることが大切です。

ただし、FX初心者でFXの基本的な知識に加えて、税金の知識まで身に付けるのは難しいと感じる人もいるでしょう。そのような人は、FXの自動売買システムを活用しましょう。

インヴァスト証券の「トライオートFX」は、あらかじめ設定したトレードルールに基づいて機械的・継続的にトレードが繰り返されます。トレードルールは自身で1から設定しなくても、すでに用意されているトレードルールのなかから選ぶだけでも始められます。

FXの自動売買システムにはAIを使うタイプもあります。「マイメイト」はエージェントと呼ばれるキャラクターに過去のトレードを学習させ、トレード開始後もエージェントは市場の値動きを学習して、その内容をトレードに反映させます。

マイメイトもすでに稼働しているエージェントの利益率や勝率などをもとに選んで、運用を始められるため、FX初心者におすすめです。