2020米国大統領選挙前と選挙後を見据えた投資攻略

1.今回の大統領選の争点と相場展開

共和党の現職のトランプ氏と民主党のバイデン氏の両者が掲げる政策の中で株式市場に影響を与える可能性が高いのは『税制』と『対中政策』が主と言えます。簡単に両者の政策を比較すると、下のようになります。

【両者の政策比較】

出所:インヴァスト証券調べ

特に注目すべきは、バイデン氏が掲げる『キャピタルゲイン課税の増税』です。この政策は金融商品の売買によって得た利益に対する税金を増税することを意味します。一方で、トランプ氏は法人税の減税と所得税の減税の真逆の政策を掲げており、政策内容を比較するとトランプ氏の当選が株式市場にとって、プラス材料が多く見えます。

しかし、トランプ氏本人のコロナ感染、所得税納付に関する報道やバイデン氏の政策実施プロセスの変更報道や親族のスキャンダルなど、様々なニュースが出てきており、どちらが優勢なのかが分からない状況です。
今回の大統領選挙は、英国のBrexit国民投票時の『EUから離脱するのか、EUに残留するのか』と似て、どちらに転ぶか分からない状況があります。そのため、今後しばらくは些細なニュースや報道により急落や乱高下といった波乱含みのボラティリティが高い相場展開を想定しています。どちらが当選しても対応できるように選挙後の相場展開を想定することが重要になります。

出所:インヴァスト証券調べ

トランプ氏が当選した場合、短期、長期ともに上昇していく相場展開が想定できます。
バイデン氏が当選した場合、短期目線では一定の利益確定の決済により株式市場の下落は見込まれるものの、これまで上昇する相場展開がすぐに崩れることは考えにくいと考えています。その背景には直近のアメリカの経済指標が改善していること、コロナウイルスのワクチンの実用化が近づいていることが挙げられます。

2.ナスダック市場の傾向

下記はナスダック100、S&P500、ダウ工業の5年間のチャートとなります。
2019年中頃まではそれぞれ似た値動きをする傾向がありましたが、今年からはナスダックの動きに他のインデックスが追随する傾向へと変化してきています。
これは定期的な銘柄の入れ替えが行われており、ナスダック100は時代にあった銘柄、かつ長期的に上昇が見込めるIT系で構成されています。コロナによりメーカー、サービス業などが低迷する一方でIT企業が躍進したことにより、ナスダック100の強さが際立ったと言えるでしょう。

出所:Bloomberg

ナスダック100トリプルはそんなナスダック100を3倍した指数であり、激しく上下しながら大きく上昇しています。大統領選挙前後は値動きが激しい相場展開を想定しており「下がったら買い、上がったら売る」という自動売買のシステムに則した運用方法が特に効果的ではないでしょうか。
長期的に上昇していく中でも、短期的に上下する中で細かく利益を確定すると、単純に長期保有するよりも利益率が上がると考えます。

3.トランプ大統領就任(2016/11/8)からナスダック100トリプル

トランプ大統領が就任(2016/11/8)してから現在までのナスダック100トリプルのチャートです。

出所:インヴァスト証券

2020年のコロナショックでは120ドルから30ドルの下落(約75%)、9月にも176ドルから110ドルの下落(約38%)の大きな下落が2度ありました。大きな下落後もチャートが示すように激しく上下しながら長期的に上昇しています。
この長期的な上昇が継続すること前提に考えれば、順張りを繰り返すことで、効率的な投資効果が得られるのではないでしょうか。

選挙という特に不確実性の高いイベント時にはリスクをコントロールが非常に大切です。
以前の記事でもご紹介しましたが、リスクを回避させる方法には次の手法が考えられます。
関連記事 最高値を更新中のナスダック100トリプル(TQQQ)の攻略を目指す

(ハイブリッド・へッジャー利用のお客様)
・売りヘッジ注文の価格を上げて、ヘッジを入れるタイミングを早くする。
・売りヘッジ注文の注文数量を変更する。
(ロング・ビルダーを利用中でヘッジなしのお客様)
・売り指値注文を入れて、ロスカットラインをコントロールする。

4.まとめ

どちらが大統領になったとしても、世界の金融市場に大きな影響を与えることが予想されます。
大統領選挙は現地時間の11月3日(日本は文化の日で祝日)に投実施されます。開票は日本時間11月4日の午前中から予定されています。ナスダックをはじめ米株全体が比較的高い価格水準で、不確実性の高い選挙が実施される今回は、正しくリスクコントロールをして相場に対応していきましょう。