金曜日の海外市場は、アジア時間に、黒田日銀総裁が岸田総理と会見し、「1日に為替が2円も3円も動くのは急激な変化」と述べたことで、円の買い戻しが優勢となるも、米長期金利の高止まりが続き、巻き戻しが優勢で引けた。米10年物国債利回りは3.249%から3.331%で推移した。また米7月卸売売上高は予想を下回ったが影響は限られ、ブラード・セントルイス連銀総裁が「2022年末までに政策金利を3.75-4.00%に引き上げることが望ましい」、ウォラーFRB理事が「9月FOMCでは再度の大幅利上げを支持する」、ジョージ・カンザスシティ連銀総裁は「強い経済はFRBに利上げの余地を与える」とタカ派的な発言が続いたが、特段の反応は見えなかった。尚、サマーズ元米財務長官は、「一連のファンダメンタルズを考慮すればドルには一段の上昇余地がある。日本当局が円の形勢を一変させるために為替介入に踏み切ったとしても、その効果は疑わしい」との見方を示している。
ドル円は、141.50まで下落後、米2年物国債利回りが2007年11月以来の水準まで上昇幅を拡大したこともあって142.82まで反発、ユーロドルは、カジミール・スロバキア中銀総裁が「ユーロ圏のインフレは許容できないほど高い」、クノット・オランダ中銀総裁が「0.75%は強力なシグナルだが更にステップが必要」などの発言から1.0113まで反発後、「10月のECB理事会では、0.75%ではなく0.50%の利上げの可能性が高い」との一部リポートもあって1.0032まで下落、ポンドドルも1.1649から1.1551まで売りに押された。
一方クロス円では、ユーロ円が142.64まで下落後143.44まで反発、ポンド円も164.31から165.46、オージー円は97.08から97.67、NZD円は86.79から87.17まで買い戻され、カナダ円は108.92まで下落後109.78まで反発も、弱い加8月雇用統計を受けて押し戻された。