消費者物価指数(CPI)とは?注目される理由や見方について分かりやすく説明

消費者物価指数という言葉は聞いたことはあるけれど、実はあまりよくわからないという方はいませんか?消費者物価指数はFX投資家に限らず、世界中の多くの投資家が注目している重要な経済指標です。

この記事では、消費者物価指数が注目されている理由や、簡易的な計算方法について紹介します。これから投資を始めたい方や、投資初心者の方はぜひ最後までお読みください。

消費者物価指数(CPI)とは

消費者物価指数とはConsumer Price Indexの略でCPIとも言われ、全国の世帯が購入する財・サービス価格の平均的な変動を測定することを目的とした指数です。

日本においては総務省統計局が、原則として毎月19日を含む週の金曜日の午前8時30分に、全国の前月分の消費者物価指数を公表しており、総務省統計局のウェブサイトでも閲覧できます。

生産者物価指数との違い

生産者物価指数とは、生産者が出荷した時点での製品や原材料などの販売価格の変動を測定した経済指標です。

両者は混同しがちですが、消費者物価指数は消費者が実際にモノやサービスを購入するときの小売価格の動向を表したもの、生産者物価指数は生産者が出荷したときの販売価格の動向を表したものという違いがあります。

出荷時の製品や原材料価格が上昇すると、いずれ商品に価格転嫁が進むことから、生産者物価指数は消費者物価指数の先行指標として活用できるでしょう。

消費者物価指標が投資家から注目される理由

一般的に景気が良くなると受給がひっ迫し、インフレ(物価上昇)となり消費者物価指数は上昇します。一方、景気が悪くなるとモノが売れなくなり、デフレ(物価下落)となり消費者物価指数は低下します。消費者物価指数はその国の景気動向も表すことから「経済の体温計」とも言われます。

ただし過度にインフレが進行すると、物価が高くなりすぎて国民が不満を感じるようになるでしょう。そこで各国の中央銀行は政策金利を引き上げてインフレを抑制しようとします。

逆に過度にデフレが進行すると、今度は企業の業績が悪化によって賃金が下がり、国民が不満を感じるかもしれません。そこで各国の中央銀行は政策金利を引き下げて、デフレを解消しようとします。

このように消費者物価指数は各国中央銀行の政策金利の判断材料になり、各国の経済に大きなインパクトを与える可能性があることから、多くの投資家が注目しているのです。

消費者物価指数の算出方法

消費者物価指数はどのように算出されているのでしょうか?消費者物価指数の仕組みと、計算方法について解説します。

基準年とは

消費者物価指数は、基準年と対比した結果を表したものです。例えば、2023年1月の消費者物価指数の総合指数は104.7ですが、これは2020年の物価を100として計算しています。この消費者物価指数を計算するうえで基準となっている2020年のことを基準年と言います。

基準年は西暦の末尾が0と5の年に改定され、併せて指数に採用する品目なども見直されます。

消費者物価指数の計算式

消費者物価指数は、暮らしに必要な商品を買い物かごに入れて、買い物かご全体の費用が物価の動きでいくらに変わったかを表しています。

消費者物価指数の計算は複雑なので、ここでは消費者物価指数の仕組みを理解していただくために、簡易的な事例に置き換えて計算してみましょう。

まず2022年に米、牛肉、食パン、キャベツ、ワイシャツ、たばこ、これらを購入するのに全部で3万円かかったとします。

そして2023年になり、個々の商品価格は上がったり下がったりして、最終的にすべて購入するのに合計3.5万円かかったとしましょう。

この場合2022年を100とすると2023年の消費者物価指数は、3.5万円÷3万円=116.6になり、2022年に比べて2023年は大きく物価が上昇したと判断することができます。

消費者物価指数の見方

消費者物価指数は、どのような場面で活用できるのでしょうか?消費者物価指数の見方について解説します。

基準を確認するために用いられる指標

消費者物価指数には、すべての対象商品によって算出された「総合指数」の他、「生鮮食品を除く総合指数」や「生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数」が用いられることがあります。

なぜなら、生鮮食品は天候要因や季節要因で値動きが激しく、エネルギーは海外要因で変動する原油価格の影響を受けることから、これらの要因を除いたほうが消費者物価の動向を把握しやすい場合があるからです。

なかでも天候要因を除いた「生鮮食品を除く総合指数」はコア指数とも言われ、重視されています。

また、アメリカ等の外国で重視されている「食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数」を見ることもあります。

 除外する品目
生鮮食品を除く総合指数生鮮食品
生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数生鮮食品、電気代、都市ガス代、プロパンガス、灯油、ガソリン
食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数食料(酒類を除く)、電気代、都市ガス代、プロパンガス、灯油、ガソリン

物価を確認する方法

消費者物価指数は基準年と比較した数字が公表され、基準年と比べて100を超えていると、物価が上昇局面にあると判断できます。ただし、景気回復局面とインフレが必ずしも同時に起こるとは限らず、時間差で起こることもあります。また、景気後退局面にもかかわらず物価が上昇するスタグフレーションの場合もあるため、消費者物価指数以外の他の経済指標も併せてチェックしておくことが大切です。

アメリカの指標が中心になりますが、併せてチェックしておきたい経済指標を紹介します。

【消費者物価指数以外にチェックしておきたい経済指標の一例】

  • 米雇用統計
  • FOMC(連邦公開市場委員会)
  • ISM製造業景況指数
  • ISM非製造業景況指数

まとめ

消費者物価指数(CPI)には「総合指数」「生鮮食品を除く総合指数」「生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数」などがあります。なかでも天候要因を除いた「生鮮食品を除く総合指数」はコア指数とも言われており、重視されている指標です。

消費者物価指数は多くの投資家が注目している経済指標で、とくにアメリカの消費者物価指数は世界中に大きな影響を与える可能性があります。FXの場合は為替レートが大きく動き、トレンドが転換してしまうほど影響が大きい指標のため、できれば毎月チェックしておきましょう。