日銀短観とは?調査方法やわかること・見方についてわかりやすく解説

日銀短観の正式名称は「全国企業短期経済観測調査」で、日銀が四半期ごとに調査し公表する経済指標です。また日銀短観は調査から公表までの機関が短いことから速報性があり、経営者の生の声が反映されていることから、毎回投資家からの注目が集まります。

この記事では、日銀短観の概要や使い方について解説しています。投資に関する知識をより深めたい方は、是非最後までお読みください。

日銀短観とは

日銀短観の正式名称は「全国企業短期経済観測調査」で、日本の中央銀行である日本銀行が、全国の企業動向を正確に把握し、金融政策の適切な運営に資することを目的として、四半期ごとに発表しています。

日銀短観は、調査から公表までの期間が短いことが特徴です。速報性が高く、経営者へのアンケートから現在の業績や将来の物価見通し、景況感などについて、現場経営者の生の声が確認できることから、毎回注目を集めている調査です。

また調査結果は日銀のホームページでも公開されますが、その注目度の高さから、新聞やFX会社のアプリ経由でも概要を知ることができます。

日銀短観の調査方法

日銀短観は資本金2,000万円以上の金融機関を除く民間企業のうち、事前に調査協力を得られた企業を調査対象としています。調査方法は所定の調査表による郵送、あるいはオンラインの2通りで、毎年3月、6月、9月、12月に調査。それぞれ4月初、7月初、10月初、12月央に調査結果を発表しています。

日銀短観で調査する内容は主に以下の5つです。

  • 判断項目
  • 年度計画
  • 四半期項目
  • 新卒者採用状況(6月と12月のみ)
  • 業況判断指数(DI)

日銀短観からわかること

日銀短観は調査結果の内容から大きく分けて、企業の業況、設備投資の動向、企業の物価見通しの3つを読み取ることができます。日銀短観から読み取れる内容について、詳しく解説します。

企業の業況

企業の業況とは現時点における企業の景気動向のことで、日銀短観の業況判断指数(DI)で確認ができます。DIとはDiffusion Indexの頭文字をとったもので、業況判断半産指数(DI)がプラスであれば景気が良く、マイナスの場合は景気が悪いという目安になります。

また業況判断指数(DI)は前回の発表と比べてみると、経営者の景況感の変化に気付くことがあります。

設備投資の動向

設備投資とは企業が自社の業務の拡大や継続のために、必要な設備に投資をすることです。

仮に、設備投資がプラスの場合は、企業の経営者が今後の業績に明るい見通しを持っている可能性があります。一方設備投資がマイナスの場合は、今後の業績に不安を感じていて、設備投資を控えているかもしれません。

このように設備投資の動向は、経営者の中・長期的な展望を理解するのに役立ちます。

企業の物価見通し

日銀短観の企業物価見通しとは、1年後・3年後・5年後の販売価格と物価全般の見通しについて、それぞれ調査したものです。経営者が将来の物価上昇率についてどのように考えているのかがわかります。

日銀短観の見方

日銀短観の中でも特に注目を集めるのが、業況判断指数(DI)です。前回の発表と比べる以外に、将来の先行きについても見ておくと、経営者が今後に明るい展望を持っているかどうかがわかります。

業種別にも確認ができるため、どの業種の経営者が明るい展望を持っているのか、あるいは不安に感じているのかもわかります。

業績判断指数(DI)の算出方法

日銀短観を作成する時のアンケートの中に、「回答企業の収益を中心とした、業況について」という質問があり、これに対して「良い」「さほど良くない」「悪い」という3つの選択肢を設けています。業況判断指数(DI)は、この質問に対し、「良い」と回答した社数の構成比から、「悪い」と回答した社数の構成比を差し引いて計算します。

仮に「良い」と回答した方が35%、悪いと答えた方が25%としたら、業況判断指数(DI)は10%です。

日銀短観が公表される時の相場の動き方

日銀短観は多くの結果が入り交じるため判断が難しいと感じるかも知れませんが、まず相場の影響力が強い大企業の業況判断指数(DI)をチェックしましょう。多くの業種で「最近」と「先行き」でプラスになっていれば、米ドル円の通貨ペアの場合は円高に向かう可能性があります。ただしそれ以上にアメリカの景気が良ければ、あまり為替レートは動かないかもしれません。

通貨ペア同士の力関係の影響もありますが、日銀短観は多くの投資家が注目している経済指標なので、内容次第では為替レートが大きく動く可能性があることは知っておきましょう。

また日銀短観発表前に予想値が発表されますが、予想値と大幅に乖離した時も、為替レートが動くかも知れません。不安な方は、日銀短観前後は保有ポジションを減らすか、ポジションを持たないのも一つの方法です。

日銀短観以外の国内重要経済指標

日銀短観以外の日本の重要指標も紹介します。日銀短観と同様、内容次第で株式相場や為替相場に大きな影響を与える可能性があるため、知っておきましょう。

【日本の重要指標】

指標  公表元   頻度  特徴
実質GDP内閣府四半期GDPとは一定期間内に製造されたモノやサービスの付加価値の総額のこと。名目GDPと実質GDPがあり、実質GDPとは物価の営業を差し引いたものを表す。強い数値が出れば円が強くなり、円高になる可能性がある。
消費者物価指数総務省毎月全国の世帯が購入する各種の財・サービスの価格の変動を測定したもの。基準年より高くなるとインフレになり、金融政策の見直しがあると、大きく為替レートが動く可能性がある。
企業物価指数日本銀行毎月企業間で取引される商品価格を測定したもの。数値が高いと企業物価が、消費者物価にまだ反映されていないと受け止められ、インフレを招く可能性がある。
貿易収支財務省毎月輸出額から輸入額を差し引いて計算する。輸出を輸入が上回れば貿易黒字となる。輸入が多ければ貿易赤字になり、円安になりやすいと言われている。
金融政策決定会合日本銀行1~2回今後、日本の金融政策が変わると、大きなトレンド転換が起こる可能性がある。

まとめ

日銀短観は日銀が四半期ごとに調査を実施して公表する経済指標です。同指標は実際に経済活動の最前線で働いている経営者の予想も含まれていることから、毎回、投資家から注目されています。

日銀短観は内容次第で大きく為替レートが値動きする可能性があることから、できれば毎回の発表内容をチェックして、為替レートがどのように動くのかチェックしておくと良いでしょう。