ユーロ相場の堅調が続く?(2025/10/02)

ユーロ相場の堅調が続いています。ドル安要因もありますが、特に今年は年末に向けて、ユーロ市場で特殊要因があります。
 それは、ブルガリアがが、27番目として通貨ユーロを導入します。来年1月から通貨統合が行われて、ブルガリアの通貨「レフ」が、完全になくなり、貨幣を含めて、全てユーロに変わります。
 ただ、ブルガリア・レフは長らく 1ユーロ=1.95583レフでペッグされていますので、短期的に大きな為替市場への影響はなさそです。しかしながら、過去の例を見る限り、新たな国がユーロに参加する年の前年年末のユーロドル相場には、一定のアノマリーがあります。
 その例は以下に示したギリシャ加盟以降のチャートをご覧ください。

 まず、2007年にスロベニアがユーロを導入した時の前年の10月からのユーロドルの日足チャートの動きです。赤い線が、丁度ニューイヤーですが、この時は10月からユーロは買われています。この要因だけではないので何とも言えませんが、年末を前に利食いが出た後、年初で高値をつけて、その後売り込まれています。


 
 次に2008年のマルタとキプロスが通貨統合した年の動きですが、両国は規模が小さいので他の影響の方が大きいと思いますが、やはり年末から年初に向けて、ユーロ買いからその後利食いにおされる動きとなっています。


 
 2009年のスロバキアですが、こちらも同じような動きです。



 2011年のエストニアですが、やはり年末に買われて、年初に売られています。


 2014年のラトビアです。これもわずかでですが、同様な展開となっています。



 2015年リトアニアです。この時は年末から売り込まれていますが、年初に更に下げていることは注目です。



 最後にクロアチアのケースですが、こちらもコンバージョン・レートが事前に決定していましたが、ユーロは堅調に上昇、年初に若干利食いが出ていますが、総じてユーロが強い年となっています。


 こうやって見るとペッグしていない国の場合は、国を挙げた為替ヘッジのニーズが発生することから、ユーロ買いが出る傾向が明白です。
 事前にペッグしているケースでも、ユーロ圏の拡大のシグナルとして投資家に安心感を与えることや為替リスクが消えるため、新たに参加する国やユーロ全体に資本流入が増える要因となっている可能性があるようです。
 過去7回のユーロ加入では傾向的に、前年年末に向けて、思惑的にユーロが買われます。ただ、その反動から年初に一気に利食いが出るケースが見えていることは注意です。

 これを参考にすれば、今回も年末に向けては、ユーロ相場がしっかりとする可能性が高く、戦略的には、押し目でのユーロ買いはワークしそうです。ただ、年初ではこういった思惑が高まっているなら、しっかりと年初には利食って置くことが必要そうです。