金価格の上昇は続くのか?(2025/10/22)

金価格の高騰が続いていますが、現在の上昇が本当の上昇なのかは、歴史的な高値圏にあって、不透明感が残ることは確かです。
 要因として想定されるのは、世界的にインフレが続いていること、世界情勢がウクライナ紛争を発端に、中東まで拡大。地政学リスクの懸念が引き続き金の投資を促しているようです。

 ただ、金の過去の動きをみていると若干注意です。
 金価格は、過去2回の大暴騰を示しましたが、その2回とも上昇は続いていません。

 まず、1979年から1980年ですが、インフレによりFRBがドルの下落を容認するとの思惑の高まりから、100ドル近辺から910ドルまで、一時9倍まで上昇しています。ただ、その後は300ドル前後まで下落するという87%の下落となっています。



 次は2010年から2011年で、リーマンショック後、FRBの景気刺激的なQEが通貨安やインフレへを招くとの思惑から、681ドル近辺から1920ドルまで一時上昇、これもその後は1046ドルまで47%下落しました。



 では、今回の状況はどうでしょう。

 以下は、ドル・インデックスと金価格を比較したチャートです。通常金は、ドルと反比例する動きとなりますが、だいたい過去もその例に沿っています。ただ、2022年からは、ドルが高止まりするにも、金価格が急騰しています。この時期が丁度2022年のロシアのウクライナ侵攻による大幅なインフレ懸念が高まった時期です。そうなるとやはり現状の金価格の上昇は、ロシアのウクライナ侵攻を背景とした、欧米とロシアの第2冷戦への危機が背景と見て間違いないようです。



 確かに金価格は歴史的な高値にあって、今後どこまで上昇するのか、それともそろそろ上昇が終了するの断定できませんが、テクニカル的な観点から見てみると、第2回目の上昇が、1000ドル近辺を越えて、2000ドル近くと2倍の上昇になっています。これをベースに、「2倍」というキーワードに焦点をあってみると、今回の上昇もこの2100ドル前後から急騰していて、もし、これも2倍程度までの上昇と考えると恐らく4138-4458ドルのゾーンが一旦の高値つきとなる可能性があるレベルです。



 既に金価格は4381ドルまで上昇しており、この「2倍ルール」が正しければ、そろそろ上値つきの可能性があるかもしれません。恐らくその場合は、3000ドル前後まで50%の調整は十分あると見ています。

 でもただ、「2倍ルール」を信じてもその信憑性には疑義はあるでしょう。金価格や他の資源価格の上昇は、一部に世界経済の構造が変わったのだと指摘する方もいますが、今回の上昇がロシアのウクライナ侵攻に端を発し、加えて金の買い手がロシア、中国やポーランドが中心であることを考えるなら、もしロシアとウクライナの停戦が実現するなら、相場の下落のきっかけとなるかもしれませんので注意しておきましょう。