セクターETFを活用した投資戦略

1. 明暗分かれるセクター・パフォーマンス

年初来の米国株式のセクター・パフォーマンスで明暗が分かれています。

下は今年の12日の寄付きで米国セクターETFを買い付けたとして、511日(金)までのパフォーマンスを示したチャートです。

テクノロジー(XLK)とエネルギー(XLE)の上昇が目立つ反面、消費安定(XLP)の下げがきついです。

普通、消費安定セクターはマイルドな値動きをすると理解されていることから、このアンダー・パフォーマンスは嫌でも目立ちます。そこでまず消費安定セクターについて考えてみることにします。

2. 消費安定セクター

ここで「消費安定」とはトライオートETFの取扱い銘柄では生活必需品セレクト・セクターSPDRファンド(ティッカーシンボル:XLP)になります。普段の生活に密着した食品、飲料、日用品などの銘柄から構成されています。不景気になっても人々は食品や日用品を消費し続けるので「不況に強い」セクターだと考えられています。

ETFの主な組み入れ銘柄は下の通りです。

銘柄名 コード 事業内容 組み入れ比率
プロクター&ギャンブル PG 日用品 11.96%
コカコーラ KO 飲料 10.50%
ペプシコ PEP 食品・飲料 8.97%
フィリップ・モリス・インターナショナル PM たばこ 8.36%
ウォルマート WMT 量販店 7.78%
コストコ・ホールセール COST 会員制量販店 5.39%
アルトリア MO たばこ 4.44%
モンデリーズ MDLZ 食品 4.01%
コルゲート・パルモーリブ CL 日用品 3.77%
ウォルグリーン・ブーツ WBA 薬局 3.75%

普通、このセクターは業績が安定しており、決算発表に際しても余りドラマはありません。

しかし、2018年第1四半期決算ではフィリップ・モリス・インターナショナル(PM)の加熱式タバコiQOS(アイコス)の売上トレンドの鈍化が嫌気され、株価が急落する場面がありました。

嫌煙の動きが広がる中で、タバコ各社は周囲の人に迷惑をかけない新しいタイプのタバコの開発を進めていますが、とりわけ日本市場は世界に先駆けiQOSの「実験場」になっています。当初若者のアーリー・アダプター層を中心に順調な普及を見ていましたが、50歳以上のシニア層は、なかなかiQOSに切り替えようとしないというコメントが会社側からありました。

このような個別企業のニュースに加え:

  1. このところのドルの上昇で輸出比率の高いコカコーラやプロクター&ギャンブルなどの企業の今後の業績に対する懸念が広がっている

  2. そもそも消費安定セクターは現在のような好景気の局面では投資家から敬遠されやすい

などがアンダー・パフォーマンスにつながっていると考えられます。

次の2018年第2四半期の同セクターのEPS成長率は+9.5%が予想されているのですが、これはS&P500EPS成長率予想+18.8%の約半分に過ぎません。従って急いでこのセクターに投資する必要は感じられません。

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※自動売買ロジックには、スリーカードのほかに追尾があります。

3. 公益セクター

もうひとつ、パフォーマンスが冴えないのが公益セクターです。これはトライオートETFの銘柄では公益事業セレクト・セクターSPDRファンドXLU)になります。電力、ガス、水道などの企業が組み入れられています。

これらの企業は主に配当利回りを手掛かりに投資されることから、市中金利の動向に左右されやすいです。具体的には金利上昇局面ではアンダー・パフォームしやすいです。現在は金利上昇局面ですので、このグループが敬遠されるのは当然だと思います。

ちなみに2018年第2四半期の同セクターのEPS成長率は僅か+0.4%と予想されています。

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4. 資本財セクター

その意味では資本財セクターが年初来−1.6%と冴えないのは、やや意外だと思います。トランプ政権は貿易交渉を通じこのセクターを支援する政策を打ち出していますし、折から米国の景気は好調ですので、本来であればこのセクターはもっと買われても良いはずです。

トライオートETFの取扱い銘柄では資本財セレクト・セクターSPDRファンドXLI)がこれに相当します。

銘柄名 コード 事業内容 組み入れ比率
ボーイング BA 航空機製造 8.29%
ゼネラル・エレクトリック GE ジェットエンジン他 5.56%
3M MMM テープ、化学など 5.32%
ユニオン・パシフィック UNP 鉄道 4.85%
ハネウェル HON 航空、運輸他 4.83%
キャタピラー CAT 建設機械 4.01%
ロッキードマーチン LMT 軍需 3.51%
ユナイテッド・パーセル・サービス UPS 宅配 3.42%
レイセオン RTN 軍需 2.67%

この中にはゼネラル・エレクトリックのように業績不振で苦しんでいる銘柄も含まれており、そのような個別銘柄の動きに指数が押し下げられているという面もあります。

またトランプ政権が鉄鋼・アルミニュームの輸入関税を引き上げることを発表したことを受け、材料費の高騰に対する懸念からキャタピラーやボーイングなどの銘柄が下げたことも見逃せないでしょう。

次の2018年第2四半期決算での同セクターのEPS成長率は+12.9%が見込まれています。

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5. テクノロジー・セクター

一方、年初来のパフォーマンスが良いグループとしては、まずテクノロジーが挙げられます。トライオートETFの取扱い銘柄ではテクノロジー・セレクト・セクターSPDRファンドXLK)がこれに該当します。これにはアップル(AAPL)、マイクロソフト(MSFT)、フェイスブック(FB)、アルファベット(GOOG)など、お馴染みの銘柄が組み込まれています。

特にアップルとフェイスブックは決算発表前に(今度の決算は大丈夫だろうか?)という懸念が出たのですが、実際には楽々とコンセンサス予想を上回りました。そういうわけで、いま一番元気なセクターと言う事が出来ると思います。

ちなみに次の2018年第2四半期の同セクターのEPS成長率は+23.4%が見込まれています。

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6. エネルギー・セクター

エネルギーも年初来のパフォーマンスが良いセクターです。トライオートETFの取扱い銘柄ではエネルギー・セレクト・セクターSPDRファンドXLE)がこれに相当します。

ETFはエクソン・モービル(XOM)、シェブロン(CVX)、シュルンベルジェ(SLB)などの石油関連株を中心に組み入れています。

原油価格はWTIがいよいよ70ドルの大台に乗りました。石油会社の業績は原油価格に連動しているので、このところの原油価格の上昇は業績予想の上方修正を引き起こします。

次の2018年第2四半期の同セクターのEPS成長率は+125.8%が見込まれています。

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