USO(WTI原油連動ETF)

USO(WTI原油連動ETF)

アメリカのオイルファンド(USO)はWTI原油への投資を可能にするために設計された上場投資信託(ETF)です。

この投資信託は直近のWTI原油の先物を保有することで同商品の日々の値動きに連動させており、個人では難しい原油への投資機会を、手軽さとともに提供しています。

昨今の原油価格の暴落により、たった2年の間に価格が約3分の1にまで下落した銘柄でもあります。

今日は、そのUSOについて、詳しくご紹介します。

どんなETF?

USOはニューヨーク証券取引所アーカに上場しており、投資家は様々なプラットフォームでこれを取引することができます。

このETFを提供しているのはブラウンブラザーズハリマンアンドカンパニーという企業で、米国コモディティファンドエルエルシーをパートナーにしています。

このファンドは、実際に原油先物を保有しているため、必ずその先物の限月が来る度に“ロールオーバー”と言われるプロセスが発生します。

要は、もうすぐ限月が来るものを売り、次の限月の先物を買うことで常にその原資産を保有する、というものです。

商品先物には全てこのような限月設定がされており、投資目的で保有する場合必ず限月前にポジションを解消しなければならない決まりになっています。

なので、もし原油の値動きに対して個人投資家が取引をしようとした場合、

①証拠金が高い ②流動性が不安定 ③異なる限月の商品が同時に取引されているため初心者には分かりづらい ④上記のロールオーバーが必要

などなど実際に取引するのがあまり現実的ではありません。(とあるネット証券ではWTI原油先物を取引する場合最低証拠金は約50万円)

ETF全体のエクスペンスレシオの平均が0.57%に対しこのUSOが0.72%と割高な設定となっているのも、このロール作業が理由です。

USOはWTI原油の価格に連動しているため、投資される方は原油価格や、オイル関連のニュース、エネルギー関連の情報などに注目しておくと良いです。

また、毎週発表される、バレル当たりの原油の価格の変動も見逃せません。

値下がりの背景

なぜ、原油がここまでの値下がりをしているのか。

理由はいくつかありますが、主なものとして、米国でのシェール革命、中国の景気減退、産油国による供給過多に陥っていることなどが挙げられます。

引き金となったのは、米国のシェール革命です。

天然ガス・石油ともにこれまでより容易に産出できるようになったことで、これまでは原油を輸入する立場だった米国の産油量は過去最大に、対して石油の輸入量は過去最低になっています。

一方で中国の景気は減速し石油の需要は停滞。その状況の中で、シェアを下げまいと中東の産油国が産出の手をゆるめず価格競争に乗り出してしまったという流れがあります。

その流れを受け原油価格およびそれに連動するUSOの価格は近年下落を続け、この1年でも50%以上も下落し、2月に底値をつけたあとは今のところ右肩上がりの上昇をしています。

という事で、分配金もないことから、この銘柄はどんな投資方針の方にもぴったり、とはいきませんが、これまで個人ではなかなか手出しができなかった原油に小額から投資ができるようになったと考えれば充分価値のある商品であると言えます。

このくらいの時期には、これくらいの水準位まできっと反発するだろう、というような原油の値動きに対して相場観を持っている方におすすめです。

小額からでもお取引いただけますので、まずは短期で始めて様子を見ても良いかもしれません。