IMFの世界経済見通しは下方修正!チャンスは世界にある?

こんにちは!インヴァスト証券の山口です。

  7月19日にIMF(国際通貨基金)が発表した「世界経済見通し(改定見通し)」は2016年の世界の経済成長率が3.1%(4月時点の見通し:3.2%)、2016年が3.4%(3.5%)と、4月時点の見通しからそれぞれ0.1%ずつ下方修正されました。

IMFが予想する今年の日本の成長率は0.3%(同:0.5%)で、来年は0.1%(同:0.3%)で、4月の見通しに比べると今年は0.2%下方修正、来年は0.2%の上方修正となっています。 「経済見通しが下方修正された」というニュースを聞くと、「今は投資をするタイミングではないかな?」なんて思ってしまうかもしれません。

でも、ちょっと待ってください。相場の世界は「人の行く裏に道あり花の山」と言います。 そこで、この記事では「世界経済見通し(WEO)改訂見通し」からイメージされるETFの運用アイデアをお伝えしていきます。 チャンスは日本より世界にある?  

見通しは下方修正でも世界の経済成長は来年から加速する?

まず、はじめに、今回IMFが発表した世界経済見通しは、冒頭のとおり、今年、来年の「世界」の経済成長率が4月に比べ0.1%ずつ下方修正されました。

下の表は今回IMFが発表した2016年、2017年の経済成長率予想と4月に発表した予想を比較したものになります。

しかし、一番上の「世界」の行を良く見ると、2015年、2016年(予想)で経済成長率は3.1%と下げ止まり、来年は3.4%と加速していることがわかります。

更に長い期間の見通しが下のグラフになります。

これはIMFが4月に発表した詳細データと7月発表のデータを加味して作成した世界と地域別の経済成長率のグラフで、2015年までは実績値、2016年から2021年まではIMFの予想値です。

世界の成長率は黒い棒グラフですが、来年以降の加速が予想されていることがわかります。

今回、世界の経済成長率は下方修正された訳ですが、長期的な世界の経済成長が加速するというシナリオから、世界経済全体に投資できれば、リターンを得られるのではないでしょうか?  

世界中の株式に簡単に投資をする方法

~iシェアーズ MSCI ACWI ETF【ティッカー:ACWI】~

それでは、具体的にどうすれば世界経済全体に投資できるのかというと、思い浮かぶのはMSCI ACWIインデックスです。

MSCI ACWIインデックスは、米国のモルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI Inc.)が算出する代表的な株価指数の1つで、「ACWI」とは世界中のすべての国の(株価)指数を意味する「オール・カントリー・ワールド・インデックス」の頭文字をとったものです。

サッカーで例えれば日本の超有名なトッププレイヤーの集まりが日本代表で、株式で言えば日経平均株価指数やTOPIX。そしてこのMSCI ACWIインデックスはそういった世界各国の超有名なトッププレイヤーの集まりというイメージです。

ちなみにMSCI ACWIインデックスに連動するETFは数多くあり、中でも有名なのは「iシェアーズ MSCI ACWI ETF【ティッカー:ACWI】」です。

下の円グラフは投資対象の国別の組み入れ銘柄のシェアと、業種別のシェアになります。

投資対象国は日米欧などの先進国はもちろん、中国やインドやブラジル、ちょっと変わったところでは、ピラミッドやスフィンクスがイメージされるエジプト、また、世界三大がっかり名所で有名な?人魚姫のデンマーク、小便小僧のベルギー、マーライオンのシンガポールなども含まれています。  

下のチャートは、ACWIと、日本(日経平均)、米国(NYダウ)、ドイツ(DAX)、フランス(CAC40)、中国(上海総合)、インド(SENSEX)、ブラジル(ボベスパ)の値動きを、2010年1月を1として指数化して比較したもので、更にこの6カ国の株価指数を単純平均したグラフも加えています。

ACWIと6ヵ月平均のグラフを見ると、ACWIが米国株など先進国株のウェイトが大きい分、2010年半ばから2015年あたりまで上ぶれしていますが、世界中の株式に投資をするということで、大体、似たような値動きになっています。

また、世界中に幅広く分散投資をすることから変動率も低めになります。

上のグラフはACWIと先程の6つの国の株価指数の月末比を、2010年からの値動きの2016年7月までで平均したものとその標準偏差です。

水色の平均変動率をみると、NYダウ以外の株価指数に比べてACWIの方がより値動きが小さめです。裏を返せば、期待値も小さいということです。 また、ピンク色の標準偏差を見ると、NYダウとフランスのCAC40以外の株価指数に比べACWIの方が毎月の変動率にブレが小さいです。

これはACWIが多くの株価指数に比べて安定した値動きだということです。裏を返せば、他に比べてリスクが小さめだということです。 1万円を下回る元手で世界に投資ができる「iシェアーズ MSCI ACWI ETF【ティッカー:ACWI】」。ちょっと面白そうじゃないですか?   ちなみにチャート的には以下のようになっています。

長期的な観点では今後もチャートに描画した「上昇トレンドチャネル内」での推移になると考えられます。

また、中期的なトレンドは赤色と青色のボックスで示したトレンドチャネルで確認でき、今年の4月に青色の下降トレンドチャネルを価格が上回ったため、上昇トレンドに転じた可能性があると見ており、これは、チャート下段のストキャスティクスの反転でも確認できます。 移動平均線は48カ月移動平均線が上向き、それ以外は下向きですが、価格は12カ月移動平均線を上回り、現在は、24カ月移動平均線が現在はレジスタンスラインになっているものと思われます。  

先進国では日本株や欧州株は厳しい!?やっぱり米国株!

今回のIMFの経済見通しを見るとイギリスの成長率は、イギリスのEU離脱支持を受けて、今年は0.2%、来年は0.9%下方修正されました。

また、日本の経済成長率は2020年にオリンピックを控えているにも関わらず、他の先進国に比べても相当低い数値です。冒頭にお伝えの通り、今年は円高の影響により0.2%の下方修正。また、来年は0.2%の上方修正ですが、その最大の理由は、来年予定されていた消費増税が2019年10月に先送りされたためで、日本経済が自律回復するようなポジティブな要因ではありません。 今年・来年と経済成長率が2%を上回る国は米国のみです。 見通しでは日本は財政政策により上振れの可能性もあるとのことですが、大きな押し上げ効果があるかどうかは疑問です。 チャンスはどちらかというと、日本の外、世界にころがっていそうです。