トレードするからには、たくさん利食いしたい…その一方で、安全を確保したい。そんな希望を持ってしまいます。しかし、一般的には、利食い重視ならリスクも取る設定が必要です。
そこで今回は、安全と利食いを両立させることを目指して、自動売買プログラムを制作しました。
1.原油ETFで自動売買プログラムを制作
今回選択したのは、原油ETFです。制作した自動売買プログラムのシミュレーション結果は、以下の通りです。
画像左上にある「リスクリターン評価」がBadだし、2018年から2020年初めまで取引していないし、取引開始当初は大きくマイナスだし、全然良い点がないように見えます。
しかし、これで十分です。
シミュレーションは、制作した自動売買プログラムを使って、過去の価格で取引した場合の結果です。今考えているのは、過去ではなく将来です。
何を言いたいのか?ですが、下のチャートをご覧ください。
1-1.原油ETFのプライスチャート
上のチャートを見ますと、左側で価格が大きく下落しています。2020年初めの、新型コロナウイルス問題を受けた値動きです。
トライオートETFの原油ETFは、ニューヨークで上場しているUSO(United States Oil Fund)の価格を参照しています。そして、USOはWTI原油先物価格に連動します。
このWTI原油先物ですが、2020年5月限で価格がマイナスに落ち込みました。
マイナスということは、「原油を買う人はお金をもらえる」「原油を売る人はお金を支払う」ということですから、まさに異常事態です。
とはいえ、上のプライスチャートを見ますと、価格はマイナスになっていません。最低価格は17ドル台です。
これは、USOが保有していたのは5月限だけでなく、様々な限月を保有していたからです。
この記事を書いている時点で、新型コロナウイルス問題は解決していません。ワクチンも開発されていません。しかし、新型コロナウイルスの存在を前提とした生活に移行しつつあります。
すなわち、今後何かショックがあっても、2020年初めのようなパニック的な状態になりづらく、以前よりも冷静に対応できるのでは?と想定可能です。
この想定に基づき、2020年4月の安値を基準とする設定を採用しました。上のプライスチャートの赤帯部分で、売買します。
(なお、「想定可能」なので、絶対ではありません。この辺りは、トレードする人の考え方によるでしょう。)
1-2.シミュレーションを再度確認
以上の前置きを踏まえて、シミュレーションを再度確認してみましょう。
しばらく取引がなかったのは、暴落後の価格で自動売買プログラムを作っているからです。そして、取引開始当初の成績が悪いのは、暴落時に取引しているという想定だからです。
しかし、その後に絞りますと、実現損益(緑色の帯)が順調に増えている様子が分かります。今回の自動売買プログラムは、この部分に注目しています。
1-3.暴落後の価格推移
では、どの範囲でどのように自動売買プログラムを作るかについて、検討していきましょう。下は、暴落からその後にかけての値動きです。
最低価格は17ドル台です。そこで、最低価格よりも少し下を下限にしました(約15ドル)。そして上限ですが、30ドル前半まで上昇しているので、こちらもキリ良く35ドルとしました。
下は、暴落部分を除いたチャートです。
縦軸の目盛りを見ますと、0.5ドル単位になっています。そして、値動きの様子を見ますと、概ね1日で0.5ドル以上動いていると分かります。
そこで、利幅は0.5ドルとしました。
「0.5ドル下落したら買い、0.5ドル上昇したら利食い」でも良いのですが、20ドルの範囲で注文を出します。そこで、注文の本数を100本(0.2ドルごとに買う)としました。
今までと同様の動きを繰り返すなら、毎日何回も約定を繰り返すと期待できます。
ちなみに、買い注文です。史上最安値附近での取引ですから、ここからさらに下落するか、それとも上昇するか…と考えるとき、下落よりは上昇の確率が高そうという理由からです。
地球全体の人口は増え続け、それに伴い、長期的に見て原油への需要は高まると予想できます。その一方で、原油埋蔵量は有限です。
将来、何かのショックで急落することがあるとしても、最終的には価格は上昇するのでは?という考え方です。
そして、USOが2020年5月限でマイナスに転じた時のETF価格よりもさらに下の価格を想定した売買設定ですから、安全への配慮もなされています。
2.価格が注文範囲を外れたら
最後に、ETF価格が注文範囲を外れて推移する場合を考察します。
上昇の場合、全ての注文が利食いで終了します。さらに追撃するかどうかですが、その時の相場状況次第です。
上昇する前に、「今の価格は史上最低付近だから、長期保有で少し持っておこう」という考え方もできるでしょう。
一方、下落の場合ですが、含み損を抱えることになります。そして、利食いで得た額もあります。どちらの金額が大きいか?でトレードの合計損益が決まります。
さらに下落が続くかも?と感じる場合は、損切りです。「いや、史上最低価格付近だから、しばらくしたら復活するだろう」と感じる場合は、取引継続です。
ただし、「これ以上の含み損になったら諦めよう」という価格を設定しておくことも、トレードの世界で長生きするために必要です。
価格下落への不安を多少なりとも感じる場合は、取引1回あたりの数量を減らすと、リスクに晒す資金を減らせます。すなわち、安全度が増します。
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