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ノルウェー/スウェーデン(NOK/SEK)|相場・特徴・見通し

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チャート(2015年2月~2025年1月)

月足・終値(インヴァスト証券作成)

通貨ペアの特徴

ノルウェーはEU非加盟国、スウェーデンはEU加盟国、という相違があるが、両国とも共通通貨ユーロは導入していない。ノルウェー・クローネ(NOK)とスウェーデン・クローナ(SEK)の間の為替相場NOK/SEKの動きを振り返ると、2023年10月以降、概ね0.95~1.00の狭いレンジで上下動してきた。5年ほどを振り返っても、2022年を除き、概ね1.00を中心に0.95~1.05のレンジで推移。レンジトレードが成立しやすい状況が続いてきたことがわかる。NOK/SEKには安定しやすい要因、変動をもたらす要因、双方がある。

両国は貿易を通じた経済関係が相応に高い。ノルウェーの輸出に占めるスウェーデンのシェアは4位、輸入では1位。スウェーデンの輸出に占めるノルウェーのシェアは2位、輸入では3位となっている。そのため物価や金融政策が相応に連動しやすく、NOK/SEKが一方的に上下することを抑止し、ある程度のレンジに収まる要因となりうる。
一方、両国の経済産業構造が異なることが、両国間の為替相場(NOK/SEK)を不安定にする要因だ。ノルウェーは世界9位の石油産出国。1969年に北海油田が発見され、70年代の石油危機による原油高騰で採掘が採算に乗り石油天然ガス生産が拡大した。一方、急峻な地形と豊富な雪解け水により、国内の電力電源構成比は9割以上が水力。石油天然ガスを欧州諸国中心に輸出している。輸出国に占める比率で英国が1位、ドイツが2位、オランダが3位、となっているのはそのためだ。原油価格が上昇すれば貿易黒字が拡大。またエネルギー価格による物価変動を受けにくいことからインフレ率は相対的に安定しやすい。

ノルウェー政府は石油資源が将来枯渇したときに備えて原油収入を基金として蓄え、その残高は政府年間予算の5倍に達する。中央銀行がその政府系投資ファンドの運用にあたり、ほとんどを海外に投資している。その結果、原油価格上昇による収入増・貿易黒字増加は、海外への投資増・資本収支の赤字となり、対外収支変動による為替需給が相殺される。そのためNOK/SEKは原油価格動向にある程度相関しつつも比較的安定しやすい。ただ原油価格動向により通貨強弱感が振れやすく、金利差よりも相関が高いことに留意が必要だ。原油価格の急騰・急落はレンジを脅かすリスクとなる。
スウェーデンはパルプ・製紙・鉄鋼・機械・造船などの工業が発達しており工業生産高が北欧トップだ。自動車のボルボ、サーブ、家具のイケア、衣料品のH&M、携帯のエリクソン、など日本でも馴染みのある企業も多い。同国経済は欧州ほか世界全体の消費動向からの影響は相対的に大きい。このところスウェーデン中銀はインフレ率の急速な低下にともない利下げを急いでいる。政策金利は2024年4月まで4.00%だったが5月に利下げ開始。2025年1月の会合の利下げで2.25%まで急激に低下した。ECBが利下げ姿勢を鮮明にしているが政策スタンスは近い。これに対しノルウェー中銀はなお4.50%に維持しており、両国の政策金利差がノルウェー優位に大きく拡大している。NOK/SEKは金利差が拡大しているほどにはNOK高には振れていない。この点には留意が必要だ。

2025年の予想レンジ

0.95~1.00

原油価格が安定推移するなかでは0.95~1.00のレンジでの推移を想定。
ただし政策金利の動向から1.00~1.05への上方シフトのリスクには留意。
原油価格急騰の場合にもレンジが上振れる可能性がある。
これに対し下方ブレークの可能性は低いとみる。

貿易

貿易相手国 ノルウェー スウェーデン
輸出 輸入 輸出 輸入
1位 英国 21% スウェーデン 11% ドイツ 11% ドイツ 19%
2位 ドイツ 16% ドイツ 11% ノルウェー 10% オランダ 9%
3位 オランダ 10% 中国 10% フィンランド 7% ノルウェー 8%
4位 スウェーデン 7% 米国 7% 米国 7% デンマーク 7%
※ブルームバーグより筆者作成

消費者物価上昇率

※ブルームバーグより筆者作成

政策金利

※ブルームバーグより筆者作成

NOK/SEKと原油相場

※ブルームバーグより筆者作成

NOK/SEKと2年債金利差

※ブルームバーグより筆者作成