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認定ビルダー「為替研究所_ユーロ/ポーランドズロチ」について

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こんにちは。為替研究所のYukiと申します。今回は認定ビルダー戦略に追加頂いた、ユーロ/ズロチの戦略について解説したいと思います。

ユーロ/ズロチについては、元々は豪ドル/NZドルと並ぶ筆者のメイン通貨で、雑誌の取材などでもこの通貨の売り戦略を何度も解説してきた通貨ペアであり、今回の設定も割と自信作なので、ぜひご覧頂ければと思います!

ユーロズロチという通貨ペアの特徴

ユーロ/ズロチという通貨ペアは、

・ユーロとズロチは同じヨーロッパの通貨であり、値動きが相関しやすい

・ユーロとズロチだと、ズロチの方が金利が高い

・そのため、ユーロを売ってズロチを買うことで、為替リスクを抑えつつスワップを狙える

という「ズロチユーロサヤ取り」でスワップ戦略として人気が出た通貨ペアですが、その後相場の動きがレンジになりやすく、また「急上昇した後に急落しやすい」という特徴から、為替差益も狙ったトレードでも人気になっていった通貨ペアです。

【ユーロ/ズロチ 月足チャート】

出典;トライオートFXチャート

この通貨ペア、とはいえかなりのマイナー通貨で、裁量トレードでもできる会社が限られていたのですが、2023年12月のトライオートのリニューアルで、ついに自動売買でも取扱いが出てきました!

実は私もこれまでも自動売買でやったらいいだろうなあと思いながら手動で半自動売買とかもやっていたのですが、今回ついに自動売買に実装され、しかもトライオートのスペックも裁量の会社と遜色ないレベルで、自動売買手数料も無料という破格の条件であったため、これはやるしかないということでこの戦略を作りました。

為替研究所_ユーロ/ズロチの設定を解説

私の設定は、以下のようになっております。

【30万円版(開始時点の想定上限4.9。ただし運用の中で上限は上がると想定)】

・4.34-4.5までは0.04(400pips)刻みで注文、利幅は0.01(100pips)
・4.52-4.7までは0.02(200pips)刻みで注文、利幅は0.02(200pips)
・4.75、4.8に利幅0.1(1000pips)

何故このような設定にしたのかを解説していきます。まずチャートを見ると、ぱっと見で以下のように思いました。

出典:トライオートFXチャートを筆者加工

その上で、この戦略を作った時点では4.33くらいと非常に低い所にあったので、「低いゾーンは買いで入ってハーフアンドハーフ的にやった方が良いのではないか?」というのが第一感でした。

ポーランドは元々「法の支配(前与党)」とEUの対立から復興基金が入ってこなかった等、EUとの対立が問題視されてユーロ/ズロチも高値で推移(ズロチ安)していたのですが、2023年の選挙で法の支配が過半数を獲得せず、野党勢力が連立政権を樹立し、トゥスク氏(BREXITとかの時のEU大統領だったあのトゥスク氏)が首相となることが決まったことで、EUとの関係改善が期待され、ズロチ高(ユーロズロチが下落)となっています。

このように、今は新政権への期待感からズロチ高となっていますが、個人的にはこのズロチ高が続くかは怪しいと思っていて、その理由としては、

・第一党は相変わらず法の支配で、野党3党の連立政権ということや、そもそもEUとの関係改善だけでそこまでズロチ高が正当化されるのかという疑問

・2024年は欧州経済はさらに悪化することが予想され、そういう時はユーロズロチは上がる傾向にある(一見ユーロ売り材料で下がりそうに思われるかもですが、欧州債務危機等の時も爆上げしてる。欧州通貨として、より弱いズロチが売られるのだと思ってます)

・ユーロズロチは4.25-4.3辺りが昔から非常に堅く、その中で「急にドカンと上がる」というのがよくある

といった辺りがあります。

そのため、はじめは今くらいの低いレンジなら買いを入れて、4.5くらいから売り始めるハーフアンドハーフ戦略も考えたのですが、実際に4.25-4.5のレンジでバックテストを行ったところ、低いレンジでの買いは全然良い結果になっていないということが分かりました(4.4上限だと、3年のバックテスト期間だとほぼノータッチで動きを読めないため、4.5を上限にしてみました)

出典;トライオート取引画面

それに対して、同じレンジで売りを入れると、こちらの方が成績が良い結果になりました。

出典;トライオート取引画面

このように、この低いレンジでも売りの方が成績が良いという結果になりました。

今は低めのレンジのため含み損も込めた「期間損益」が買いの方が悪いのは当たり前なのですが、個人的に注目したのは実現損益の方でも売りの方が良いという点で、これだと買いを入れる意味はあまりないかなと考えました。

ユーロズロチについては、買いだとマイナススワップが発生し、ポジションを持っているとジワジワと削られることもあり、それが損益にも影響したのだと思われますが(トライオートのバックテストはスプレッドやスワップの影響も込で計算してくれる)、成績もさることながら、精神衛生上「買いのマイナススワップでジワジワ削られる」というのはあまり楽しくないものでもあるので、買いを入れてのハーフアンドハーフという戦略はやめることにしました。

ただし、4.3より下については、2018年に始めた時も「そこはさすがに安すぎるから手を出せない」と考えたゾーンで、その後コロナショック・ロシアのウクライナ侵攻と続いて今めちゃくちゃ久しぶりに4.3台に帰って来たくらいの感じなので、そこはさすがに手を出さず、今くらいの4.34前後を下限として、4.5までを薄めの売りゾーン、4.5-4.7をコアレンジ、4.7より上をサブレンジとしました。

そして、上限としては5にすることも考えたのですが、そこに一直線に上がるというのはさすがにロシアとウクライナの戦争がNATOにまで拡大するとか、中東や台湾・朝鮮半島等で大規模な戦争が起こってそこから第三次世界大戦みたいなレベルのことでもないと考えづらく、そういう時は逆に一旦切った方が良いだろうと思うので、上限は4.9としました。

【30万円設定】

このまま4.3台前半以下にとどまってしまうと何も起こらないのですが、さすがにそのレンジまで仕掛けると上昇時のダメージが大きい(下で売ったものほど上がった時にダメージが大きい)、そこは割り切って仕掛けないで見ていることにしました。

直近1年の値動きだと推奨証拠金も15万円くらいなので、レートが低い内は資金を少なめに入れて、上がってきてから改めて1単位30万円でいれるというやり方も全然ありだと思います。

ちなみにこの4.34-4.5のレンジの売りですが、直近3年でバックテストしたところ、含み損込での損益分岐点が、2021年後半時点で4.53くらい、そこからロシアのウクライナ侵攻もあってほぼ確定利益が積み重ならず、ただスワップだけで耐えて、その後戻ってきた2023年前半で4.55くらい、そしてその後NBPの緊急利下げで上昇→すぐ下落という動きで確定利益を積んだ後だと4.61と、利益さえ積み重なれば、かなり上の方でも含み損込でもプラスを維持できそうなので、このくらいだと入れる価値は十分あるかなと思っています。

出典:筆者作成のロスカット計算エクセル

出典:トライオート取引画面


このような設定値幅で、それぞれのレンジについて、バックテストで最適利幅を色々と検証したのですが、以下のようになりました。


【4.34-4.5】
100pips刻みで検証



最適解近辺で50pips刻み




【4.5-4.7】
100pips刻みで検証




最適解近辺で50pips刻み

【4.75より上のサブレンジ】
確実に「長ければ長いほどいい」という結果になるのが目に見えているので、バックテストはわざわざ実施せず

このように、4.34-4.5のゾーンだと100pips、4.5-4.7だと200pips利幅が良さそうという結果になりました。ちなみに4.5-4.7のバックテストで期間損益を検証せず損益率だけで比較しているのは、この設定だとどの利幅でも全てのポジションが利確され切っていて、期間損益と期間損益率がほぼ完全比例するので、損益率だけ比較すれば十分だからというのがその理由です。

4.34-4.5のゾーンについては、4.3までは一時タッチしているので、4.3の時に利確がなされなかった500pips以上は実力が正確に反映されていない可能性が高いものの、400pips利幅までだと「利確経験」はあるはずで、そこまで不公平にはならないと考えられ、その中でも100pipsが一番良さそうという結果した。

また4.5-4.7のゾーンについては、直近1年で見ればほぼ一方的な下落トレンドで、しかも全部下までぶち抜いているので「利幅なんてなんぼあってもええですからね」状態になっていますが、直近3年で見ると200pipsくらいが一番良いという結果なので、全体的に見ても100pips-200pipsくらいが良さそうで、逆にあまり利幅を広すぎても良くないんだなと思われます。

そのため4.34-4.5は利幅100pips、4.5-4.7は200pipsを利幅としました。

4.7より上のサブレンジについては、バックテストをしたら確実に「長ければ長いほどいい」という結果になるのが目に見えているのでバックテストは実施しませんでしたが、ある程度広めにはとった方が良さそうで、その時に4.8の一番上の注文が、ちょうどコアレンジになった瞬間に利確されるくらいが綺麗かなと思って、1000pipsを利幅としました。この辺りは完全に気分の問題なので、もっと広くても、逆に値幅と同じ500pipsでも、何でも良いと思います。

以上が私の設定なのですが、これをバックテストすると、以下のように直近1年だと収益率30%超え、3年でも80%超えという感じで、なかなか悪くない設定になったと思います。

【30万円設定】

出典:トライオート取引画面

この設定の注意点

この設定のリスクとしては、

・4.33より下のゾーンで動いて、何も動かないリスク
・4.8や4.9を超えて上昇してロスカットになるリスク

があります。

前者については、最近もユーロ/ズロチはかなりの安値圏にあり、「しばらく何もない」という可能性はあると思っていますが、ただ長期では緩やかな上昇基調にあり、今の4.3はさすがに低すぎると個人的には思っているので、そう遠からず動くだろうと思って見ています。

後者については、逆にユーロ/ズロチが全体としては緩やかな上昇基調にあり、特にリスクオフ局面で一気に上がることがあることからのリスクです。

この設定については、スワップ利益やその間の利益もあることや、また過去にロシアのウクライナ侵攻で5.0まで上がった時も含めたバックテストで出た必要証拠金よりも多めの資金で運用していることから、今のところそこまでは心配していませんが、リスクとしては当然ありうることなので、その点はご自身で過去のチャートや、今の状況を踏まえて判断頂ければと思います。

なお上でも書きましたが、私自身もこの戦略を実際に運用しており、その週次実績や、現状報告はほぼ毎週ブログで公開しています。

また他にもTwitterやマシュマロではいつでも質問も受け付けておりますので、もし気になることがあれば何でもご質問頂ければと思います!