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≪どうなる?2026年の英ポンド円相場~年間相場見通しと戦略≫ 

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“英日とも中銀の動きは鈍く、あくまで需給面での円売りが支える”

※本記事は2025年12月末時点に作成しております。文中の内容は作成時点の情報に基づくものとなっております。

【2025年のポンド円相場を振り返って】

 2025年のポンド円相場は、堅調な上昇を続けた。
 年初は196.87からスタート。ただ、日銀が半年ぶりに政策金利を0.25%引き上げ0.50%としたこと、英中銀が2月に0.25%の利下げを実施したこと、トランプ大統領が、カナダとメキシコに対する関税を25%に引き上げ、その後も世界的に関税を引き上げることを次々と発表、特に対抗措置として中国が、レアアースの輸出規制を発表したことなどから、世界的な株価の大幅下落を伴って、大きなリスクオフの動きが一時広がり、年間安値となる168.54まで下落しました。ただ、トランプ政権が英国の自動車輸入の関税率を10%の留めたこと、中国の対応が強固だったことから、米政権が対中関税を緩め、主要諸国もトランプの相互関税に対して、迎合的な態度を示したことから、株価が年初来安値圏から反転に転じたことなどから、5月も英中銀が0.25%に今年2回目の利下げを実施するも、リスク回避の動きに巻き戻しの動きが優勢となりました。
 その後も中東やウクライナ情勢の不安が続き、英中銀が7月に0.25%の利下げを決定、英国の財政不安が残り、米国が債務上限法の問題から米政府が史上最長の政府閉鎖となったことから、米雇用統計など重要な経済指標の発表が滞り、市場に警戒感が残りました。
 一方日本では、参院議員選挙で、自公民が過半数割れとなり、石破首相が辞意を表明、自民党総裁選で高市氏が勝利、公明党が連立から離脱を表明するも、想定外に日本維新の会が新規に連立を組むことになり、高市総理が実現。高市氏の政策が財政拡張や低金利政策を目指していることから日本株高、円売りの「高市トレード」が強まりました。日経平均株価が年末に向けて5万2千円台まで上昇、日本の長期金利の上昇にもポンド円相場は、2025年の高値となる211.59まで上昇後、高値圏で取引を終了しました。

【2026年の主な材料】 

 以下が現在、知り得る2024年のイベントや材料です。注目度の高いものは赤字で表示しています。ただ、あくまで予定ですので変更される可能性があることは、ご了承ください。

【2026年の注目点】

 2025年の相場環境を踏まえて、2026年のポンド円相場の注目点をまとめてみました。

 ・米中間選挙
 ・トランプ相互関税の違憲判決と債務上限問題
 ・英中銀と日銀の政策スタンス
 ・ウクライナ情勢
 ・高市トレードと円買い介入
 ・2026年の英圏経済

〇 米中間選挙

 今年はトランプ大統領2期目で米中間選挙の年となります。この行方はトランプ政権の最大の関心事となりますが、現状の見通しは、下院は民主党有利、上院は共和党が票を維持すると見通しが主流となっています。3月の一部予備選からスタートしますが、この話題は夏場以降まで、市場の大きな関心とはなりづらいでしょう。
 ただ、その場合は昨年の「トリプル・レッド」から議会に捻じれが発生します。捻じれとなった場合、米下院でトランプ大統領の3回目の弾劾裁判が行われる可能性が一部指摘されています。この話題も問題となるのは来年以降となるでしょうから、年内の相場に影響を与えることはなさそうです。ただ、またぞろ相場の混乱となることは、一応念頭に入れておきましょう。
 尚以下は米国の中間選挙の年の相場傾向を1990年の価格を基準に調整したNYダウ、ドル・インデックス、ドル円の年初からの動向を比較したチャートです。
 総じてNYダウは、中間選挙前に調整を強める傾向があることは覚えて置いてください。また、ドル自体やドル円はあまり上昇傾向が見えていないことも注目しましょう。
 確かに毎回そうなるとは断言できませんが、現状の株価高や円安を考慮するとこのようなら展開となる可能性も考慮しておきましょう。

〇 トランプ相互関税の違憲判決と債務上限問題

 昨年トランプ大統領が、議会の承認を得ないまま、IEEPA(国際緊急経済権限法)を根拠に、合成麻薬フェンタニルの国内への流入を理由としてカナダとメキシコ・中国への追加関税を発令したことをスタートに、世界的に相互関税を発動させた行為が、大統領権限の逸脱に当たると米司法の第1審と2審で、「大統領権限を逸脱している」などとして違憲とするとの判断が示されています。
 これに対して、今年1月以降最高裁が最終判断を示します。違憲と判断されれば政権側が1335億ドル、日本円で約20兆円の関税収入を企業に返還する必要に迫られる可能性があると報じられています。一方トランプ政権は、敗訴しても法的な根拠を差し替えれば同様の関税を徴収しつづけることができるとしています。この結果がどうなるかはわかりませんが、トランプ大統領は、この関税収入を当てにして、様々な税制優遇や財政政策を既に発表しています。もし、この関税収入の返還を迫られた場合、現状既に米国の債務上限法 の上限にまで達している財政赤字に、更に赤信号が灯ります。
 米国の債務上限法では、政府が国債発行などで借り入れできる金額の法的な上限を定めていて、これは政府支出の予算編成とは異なる枠組みで定められています。上限に達すると、議会の承認がない限り新たな借入ができなくなり、国債の元利払いが滞る「デフォルト(債務不履行)」が発生します。
 ご存じの通り昨年10月には、これに抵触する形で、史上最長の政府閉鎖となっています。現在は、一旦引き延ばしの形で政府閉鎖は解除されていますが、今後も財政出動の状況次第では、また上限を上回る可能性が高く、前述のトランプ関税の違憲判決と絡めると考えると本年も大注意の話題となりそうです。その場合、FOMCが利下げを段階的に実施しても、国債の増発から米長期金利が下げ止まらず、これが米経済を圧迫し、米国の格下げのリスクにもつながるかもしれません。その場合米金融市場に大きな悪影響を与える可能性も想定されそうです。
 今年もこういったリスクが最大の注意ですが、参考に下記に米10年物国債利回りの、月足チャートを掲載しておきます。テクニカル面からは、若干揉み合い気味ですが、下値はサポートが支えています。こういった状況が続くなら、下段のスロー・ストキャスティクスが既に反転の兆しを示しており、金利が再度5%方向への「悪い金利」上昇リスクとなることは考慮しておきましょう。

〇 英中銀と日銀の政策スタンス

 英中銀は、2021年12月にそれまでの歴史的な低金利政策を解除。ウクライナ情勢に端を発したインフレの急騰から、政策金利を2023年9月の5.25%まで引き上げました。ただ、2024年に入って、インフレの落ち着きや急速な利上げの影響で、落ち込みが見えた英経済に対する懸念から、0.25%の利下げを2回実施、2026年の2月に0.25%、5月、8月、12月に0.25%の利下げを順次実施、政策金利を3.75%として、2026年を迎えています。
 2026年の英国のインフレ率の見通しのコンセンサスは、2.5%から3.5%前後と見通されていますが、段階的に低下すると予想されており、成長率も緩やかで持続的な低成長傾向が中心となるとされています。
 英中銀のインフレ目標は2%となっていることもあって、この状況を踏まえると2026年には慎重な利下げ姿勢が維持される見通しです。大きなリスクが発生しなければ、年1回、最大で0.25%の利下げが限界でしょう。

 一方日銀は、、昨年1月に0.25%の利上げ後、12月まで金利を据え置いたことから、日銀が利上げに消極的との見方から、円安をフローしました。現状日本の政策金利は、0.75%まで上昇していますが、高市政権のプレッシャーや日本経済自体が総じて強い状況とは言えず、今年も利上げには慎重な姿勢を続けそうです。もし利上げがあっても0.25%の利上げが1回、最大でも2回程度が限界となるでしょう。

 通常円相場は、日本と各国の金利差の影響を大きく受けますが、現在日英金利差は直近ピークの5%台から3%に近づく水準まで落ちています。ただ、ポンド円相場は、この金利差を無視する形で、上昇を続けています。ただ、前述の通り英中銀の利下げが年一回、日銀の利上げが1回程度に留まるなら、日欧金利は2.50%まで低下する可能性があります。流石にアベノミクス・黒田バズーカの時期の金利差がほぼ0.50%の時代に戻ることはなさそうですが、ポンド円相場がこの上昇を維持出来るとは考えない方が良さそうです。

 以下は2025年の英中銀金融政策委員会の予定です。議事録は同時に公開されますが、英中銀の政策を見る上で、インフレ・リポートも重要ですが、毎回の議事録で発表される9名の総裁・副総裁及び委員の投票の結果を特に注目しましょう。
≪英中銀金融政策委員会≫
(同時に議事録公表)
02月05日+四半期インフレ・リポート公表
04月30日
05月08日+四半期インフレ・リポート公表
06月18日
07月30日+四半期インフレ・リポート公表
09月17日
11月05日+四半期インフレ・リポート公表
12月17日

 以下が2025年の日銀金融政策決定会合や議事録の公表日です。日銀の政策の行方が、来年のドル円相場を左右するでしょう。しっかりと押さえておきましょう。

≪日銀金融政策決定会合≫
(議事録公表日)
01月23日+展望リポート公表(03月25日)
(01月28日:12月18-19日開催分の議事録)
03月19日(05月07日)
04月28日+展望リポート公表(06月19日)
06月16日(08月05日)
07月31日+展望リポート公表(09月28日)
09月18日(11月05日)
10月30日+展望リポート公表(12月23日)
12月18日

〇 ウクライナ情勢

 トランプ政権は、来年2月で4年目に突入するウクライナ戦争の終結に向けて、昨年年末に、ウクライナとロシアに対して「28項目の包括的和平案」を提示しました。内容の全ては公開されていませんが、次のような内容・条件が含まれていたとされています。

 ・領土問題に対する大きな譲歩:ウクライナが現在支配している東部ドンバス地域やクリミアの扱いに関し、現在の戦闘線を「凍結」し、ロシア側の実効支配を事実上認める。
 ・軍事力の制限:ウクライナ軍の規模や兵器の種類に制限を設ける。
 ・ロシアとの関係正常化の示唆:ロシアを国際的な枠組みに戻す可能性や、米露の共同の安全保障のメカニズム形成を示唆する。
 ・NATO非加盟・安全保障保証の枠組み:トランプ案では、ウクライナがNATO加盟を放棄する代わりに、米国と欧州主要国が集団的安全保障保証を提供する枠組みを設ける。(NATO第5条に類似した保証を提供するという提案)
 
 ただ、ウクライナ側は強い反発を示し、一部削除・修正されたことも報じられています。この修正版では、当初報じられた軍の規模制限などの厳しい条項の一部が外されたとされています。
 国際社会では、トランプ案は従来の欧州中心の和平構想に比べてロシア寄り・ウクライナに譲歩を強いる側面が強いとの評価が出ています。批判的な見方としては、この案によって侵略を事実上容認する結果になりかねないとの指摘があります。
 現状は、提案された案は議論・修正が続いており、現在も最終合意には至っていません。
 
 今年もウクライナ情勢は、欧州市場に大きな影響を与えると思われます。
 今後も状況の改善が見えない場合、2026年中もリスクオフに対する警戒感が続くでしょう。
 一方解決が見えた場合、株価などは好感すると思われますが、ただドルが買われるかはわかりません。ウクライナ戦争での懸念が、過去4年上値を押さえていた欧州通貨、特にユーロ、スウェーデン・クローナ、ノルウェー・クローネ、ポーランド・ズロチなどの対ドルでの買い戻しにつながる可能性で見ています。また、原油や金には利食いが出てくるでしょうが、特に大幅な上昇を示現している金相場には、大きな調整リスクとなるかもしれません。
 ただ、英国はこういった欧州市場からは遠く、比較的ウクライナ情勢の影響は軽微とみられます。ただ、ウクライナ情勢に変化があった場合、前述の通貨ペアとのポンドクロス相場に大きな影響を当てそうです。特にユーロポンド相場に大きな影響が出る可能性でみておきましょう。
 従って、ユーロポンド相場の月足をチェックしておきましょう。
 ユーロポンド相場は、歴史的な安値となる0.5680から0.9804の歴史的な高値まで上昇後は、下値を0.6935で支えて、一旦0.9804の高値からのレジスタンスを超えるも、0.9413、0.9307、0.9498、0.9273と上ヒゲで上値を押さえられています。一方下値も、0.8238、0.8283、0.8223がトリプル・ボトムとして支えています。
 上値は、0.8980-0.8866が抑えており、現状は小さなダブル・トップとなっています。これが抑えると弱く、総じてレンジ的な展開が続く中、越えても0.9273-0.9498ゾーンの上ヒゲ圏が視野となりますが、何度も上ヒゲで抑えられており、到底上値追いできるレベルではありません。 
 下値は0.8238、0.8283と0.8223のトリプル・ボトムが支えると、このトリプル・ボトムとダブル・トップのレンジ相場、または再度上値をトライしても、トリプル。トップを形成するなら、当面このレンジでの相場展開に留まる可能性見ておいた方が良いでしょう。
 ただ、これは蛇足ですが、ウクライナ情勢に大きな変化があって、もしロシアが戦略核を使用するなど大きなリスクオフが発生した場合に、トリプル・ボトムを割れるならポンド買いにつながることで大注意です。その場合0.80のサイコロジカル前後、0.7691-0.7758のネック・ラインまでターゲットとなりますが、こういった位置は、0.5680から0.6935の安値を結んだサポート圏に当たり、更にフィボナッチ・リトレースメント(0.5680~0.9804)の50%が0.7742に相当することで、一旦維持される見通しです。ただ、一応2026年では、こういった心配はないと考えますが、一応念頭においておいてください。

〇 高市トレードと円買い介入

 昨年高市総理就任前後から、円売り株高や日本の長期金利上昇が強まっています。市場の理解としては、高市氏のこれまでの発言や政策姿勢から、一般に以下のような政策スタンスを持つと認識されています。
 ・積極的な財政政策(大型補正、国防・産業投資)
 ・デフレ脱却を重視、金融引き締めに否定的
 ・安全保障・防衛関連支出の拡大志向
 ・トランプ政権に対する迎合

 これらを前提に、高市政権の支持率の高さもあって、期待感から特定の資産が有利になるとの思惑で株買い、円売り、国債売りが行われる取引が「高市トレード」と呼ばれています。
 ただ、注意しなければならないことは、高市政権に、未だこういった実績がある訳ではありません。自民党自体の支持率は低く、今後予想される衆院解散総選挙でも、連立の混乱もあって政権維持も確定的ではありません。期待感先行の取引であって、ファンダメンタルズというより、政治イベントドリブンのテーマ取引として理解するのが適切です。
一方では国民の間から円安による物価高に不満が高まっています。前述の「高市トレード」から円安が拡大していることにも物価安定を目指す高市総理に批判が見えています。どうにか政権としては、人気取りもあって円安を止めようと片山財務大臣や財務省から円安牽制発言が続いていますが、全く効果は見えていないようです。
 そうなるとやはり財務省の「伝家の宝刀」、円買い介入は現実味を帯びてきます。

 ただ、実際2022年や2024年も、財務省が強力な円買い介入を実施しましたが、需給面の円売りニーズが強く、効果は一過性で終わっています。
 過去、当局の介入は「短期的には効果があるが、中期的には効果はない」と指摘されるように、相場のトレンドを変えることはありません。ただ、一方では超長期で考えると1995年の超円高時期の円売り介入、2003-4年の溝口介入と結果的に効果を示したと言えます。ですがこういった介入は全て「円売り介入」であって、自国通貨である円は、無尽蔵に介入が可能ですが、他国通貨である「円買い介入」には限界があると言えます。
 それでは「ドル売り(円買い)」介入の原資となる日本の外貨準備の状況を見てみましょう。
 以下は直近介入前の2022年からの外貨準備と「円買い介入」の状況をプロットしたチャートです。
 2022年の介入後外貨準備はある程度増額しています。また、2024年も959億ドル程度の介入を実施しましたが、それほど外貨準備額は減少していません。若干決済の時差やスワップ取引などを利用していた場合、増減の具体的な要因は把握できませんが、外貨準備のほとんどが米国債で運用されています。つまり、「円売りドル買い介入」を実施しない場合でも、米国債からの運用益で外貨準備は増加します。これはざっくりとした計算ですが、もし年2%の運用利回りと仮定した場合で、毎年200億ドル程度、3%なら300億ドル程度外貨準備が増える計算になります。2022年の介入額は約426億ドル、2024年は959億ドルで、これを短期で続けながら1兆ドルレベルを維持するのは難しいとしても、現在は2023年レベルまで外貨準備を回復しており、この運用利回りを考慮すれば「円買い介入」の余地はあると思います。
 一方介入レベルに関しては、「急激な変動を避けるため」と言っても、財務省や財務官がどういうレベル感や論理でタイミングを決めているか根拠は不透明です。ただ、実際の介入実績から2022年は恐らく150円の防衛、2024年は160円の防衛が主眼となっているように感じられます。そうたびたび出来るわけではありませんが、少なくとも次の161.95の高値を脅かす状況となれば、間違いなく介入してくるとみています。
 実際この点に関しては、想像しても意味はありませんが、少なくとも円安が一過性に進んだ場合も、安易にドル円の上値を追いかけるのは避けておいた方が良いでしょう。
近年「円買い介入」が実施された場合、一気にドル円相場では、4-5円の円高が進むケースが多いようです。ユーロ円の現状相場からは5-6円円高に進む可能性もあります。
 あくまでこういったタイミングで、円が上昇した場合に円を売る姿勢の方が、メリットが大きいことは覚えておいてください。

〇 2026年の英経済

 2026年の英成長率の見通しは、OECDや英国商工会議所は約1.2%成長、英産業連盟(CBI)の予測では、弱めの1.0%前後と予想しています。総じてプラス成長を維持するものの、伸びは比較的抑制されたものとなる見込となっています。これは主要先進国の中でも中程度の成長という評価と見なされています。
 一方インフレ率は、OECDは、2026年は約2.5%前後で段階的に低下すると予想、英産業連盟(CBI)やコンサルティング会社のKPMGなどの予測でも、3%台中盤から後半にかけて徐々に低下するプロセスを想定しています。これは英中銀のインフレ目標の2%をやや上回る水準です。
 雇用市場は緩みつつも失業率は低水準圏に留まる見込み、消費・投資は慎重な動きが続く可能性があり、構造的課題や外部環境のリスクが成長見通しを抑える要因となっています。
 英中銀の金融政策は利下げ方向ですが、段階的な調整に留まる見込みで、纏めると2026年の英国経済は、プラス成長を維持しながらも緩やかなペースの成長が見込まれ、インフレ低下・金融緩和の兆し・雇用緩和といった要因がある一方で、構造的な成長制約・弱い投資・消費の慎重さが重荷となるというバランスが予想されています。
 それでは、直近の英国の製造業・サービス業・建設業のPMIを見てみましょう。
 直近では、建設業で落ち込みが見えています。労働党政府の予算や政策の不確実性、高金利による投資抑制から、新規受注不足が影響しているようです。また。、建設コスト・雇用環境の悪化といった複合的な要因が絡み合っているためです。ただ、一方で製造業やサービス業では、景気の分水嶺となる「50」を挟んで上下の動きに留まっています。2026年は、恐らくPMIで「45」から「55」での間で揉み合いが続きそうです。
 そうなると前述の通り、英中銀は穏やかな利下げ姿勢を2026年も継続しそうです。

【テクニカル面】

≪ポンドドル≫
 テクニカル面からまず、ポンド円を構成するポンドドル相場の月足をチェックしておきましょう。
 ポンドドルは、英国が国民投票で、ブレグジットを決定した2016年から売りに押されるも下値を1.1378で支え1.4337まで反発、その後パンデミックの影響で、再度1.1412まで下落後この位置を支えて反発が、最高値2.1162からのレジスタンスを越えるも1.4251で再度抑えられて、ダブル・トップを形成。一時1.0350の歴史的安値まで急落後は、反転的となっています。
 ただ、一方上値は、1.3789まで上昇も、1.5014とダブル・トップを結んだレジタンス圏となる1.3789が抑えています。若干オーバーシュート気味ですが、この位置はフィボナッチ・リトレースメント(2014年7月の1.7188の高値から1.0350まで下落の50%の1.3769)と合致する位置となります。従って1.3789のこの上値が抑え続けると下段のスロー・ストキャスティクスが反転下落に転じ、一定の調整リスクとなります。あくまでこの1.3789を超えて、再度1.4376や1,4251の高値を目指すでしょうが、これも上抜けは、相当難しいでしょう。注意は1.5018の2016年6月のブレグジット時の高値を超えるケースです。
 一方下値は、1.3010の戻り安値が維持できると強いですが、割り込むなら1.2570の戻り安値圏からサポート重なる黄色ゾーンまでの調整リスクとなりますが、一応1.2037-1.2100ゾーンが上げの前のネック・ラインが視野となりますが、支えられる位置となるでしょう。リスクは維持出来ずに、1.1803を割れるケースとなります。
 従って2026年のポンドドルの想定レンジを1.2500~1.40000を中心とします。ただ、2010年からの平均年間連動幅=0.25からみると、もし大きく動くなら最大では、1.2000から1.4500となる可能性も留意しておきましょう。

≪ドル円≫
 テクニカル面からまず2011年からの月足チャートをみてみましょう。
75.31の歴史的な安値から125.86まで反発後、102.59が下値を支えてサポート形成から、151.95の高値、127.23を支え、161.95まで上値拡大しています。
 エリオット的な波動の観点から見ると、まず長期波動からは75.31から125.86を第1波、125.86から102.59を第2波、102.59から151.95を第3波、151.95から127.23を第4波と仮定するなら、次の第5波の位置が焦点となります。ただ、この位置は151.95と161.95の可能性が指摘されますが、その後は高値圏で保合となっており、第5波の確定は139.58-89のネック・ラインをしっかりと割れるまでは確定できません。
 一方より短い期間として102.59からの上昇波動から見ても、161.95の高値が第5波のトップにならない限り確定は難しい状況です。しかも、161.95から158.87の高値を結んだレジスタンスを現状は上抜けています。
 これを前提に考えるとまだ高値付きは確定できておらず、下段に示したスロー・ストキャスティクスの面からは、既にゴールデン・クロスが示現していて、今後も上昇波動が続く可能性が示唆されています。その場合で161.95の高値を超えるなら、上値は161.95から139.58の下落幅22.37を161.95から上げた184.32までの上昇が指摘されることになります。辛うじて上昇が止まるとしても、最低でも2026年も140-162円レンジでの揉み合い相場とみるしかなさそうです。 

 一方1989年からの超長期のドル円相場の月足チャートを見てみましょう。
 ドル円相場は、1990年の160.35の高値から、2011年10月の75.31まで下落後、2022年10月には、160.35の高値と、147.66や125.86の高値を結んだレジスタンスを越えて、上下しながらも151.95まで急反発しました。ただ、この位置から127.23まで急落。チャート形状から「D」の75.31をボトムとして、「C」と「E」をアームとした「リバースH&S」が一旦確定したと見られました。
 ただ、下値は「D」をベースとしたネックラインが逆サポートして、更に反転がこの高値を超えて、161.95まで上昇しています。つまりこのリバースH&Sの前提が崩れた形となっています。
 また、日柄からは「C」から「D」の経過日数が13年2ヵ月で、この「D」から同日数の結果を考えると2024年12月が次のピークとなるべきです。これは実際には2025年1月の158.87がこれに該当する形で、日柄からみたピークは「E」の位置となります。
 この「E」がピークとなるのか、そうでないのかは、2026年の相場を見る上で重要となります。
 もし、この「E」がピークとなるなら、「G」への下落は、3年4か月経過の2028年4月まで続く形が想定されます。一方「E」がピークとならない場合は、逆に「F」への方向への上昇が、「A」からの経過を考えると2032年4月まで続く可能性が指摘されます。その場合の次のターゲットは、1978年の安値177.06、更には1981年の安値199.06となります。

 以上を勘案して、ドル円の2026年の想定レンジを140.00から162.00とします。

≪ポンド円≫
 それでは、最後にポンド円の月足を見てみましょう。118.85や116.85の安値から195.89まで上昇も、これをトップに再度124.85や124.10で下値を支えて、上昇が208.11まで拡大しました。若干不透明ですが、この位置は月足のレジスタンスを上ヒゲで若干超えた形で、その後199.81の戻り高値が押さえており、騙し的なオーバー・シュートとも想定されます。特に高値の208.11と199.81でレジスタンス形成できれば、下段のスロー・ストキャスティクスも買われ過ぎから反転下落していて、上値は追えません。あくまでこういった位置を超えて、210円のサイコロジカル、215.87の高値、219.30や230.32を目指す動きとなります。
 一方下値は、180.10の戻り安値の維持では、サポートから堅調ですが、176.29-178.75の戻り安値圏まで割れると、172.13のそれ以前の高値、サイコロジカルな170円が視野となりますが、堅調を維持しそうです。ただ維持できない場合、過去の163.09-156.62の高値圏となる水色のゾーンまで突入する可能性となります。

 ≪マトリックス≫・チャート≫
 次にポンドドルとドル円の想定レンジから作成したマトリックス・チャート(価格帯によるクロス円の位置)を見てみましょう。
 ポンドドルの想定レンジを1.2500~1.4000、ドル円を140.00~162.00としましたので、これから算出されたポンド円相場の最大想定レンジは最大で175.00から226.80となります。ただ、少し広すぎることもあって、このレンジの半値の200.90から過去2010年からの変動幅39円から上下を算出すると181.40から220.40が適正水準とみます。

【予想レンジと戦略】

 以上を踏まえてポンド円相場の2026年の見通しと戦略についてお話します。
来年のポンド円の想定レンジを、マトリックス・チャートも参考に、182.00から223.00とします。

≪2026年の注意点≫
・米中間選挙や地政学リスクを睨んで荒れた展開となる可能性を考慮しましょう。
・テクニカル的には押し目買いですが、短期的には円買い介入を常に意識して対応。
・高値圏で様子見を考えるなら、介入が入った場合の下落では、常に買いから攻めてみましょう。
 こういった下落局面をじっくりと待つことも一考です。
・原油価格の低迷から日本の貿易収支に改善が見えるならトレンドの変更の可能性も考慮しましょう。
・ウクライナ情勢が完全に終息するなら、対ユーロでのポンド売りが強まるリスクを考慮しましょう。
・クロス円の場合、ストレートの動き次第では、テクニカル的なポイントと合致するとは限りません。
 オーバー・シュート的な騙しの動きも留意してください。

≪具体的なトレード戦略≫
 基本的に、未だテクニカル面で、スロー・ストキャスティクスの上昇が継続していて、まだ上値拡大の可能性が残りそうです。従って、早期には売りは慎重な立場が良さそうです。つまり未だ買いが基本戦略ですが、高値圏であることから注意が必要です。あくまで上値追いは避けて押し目があれば、買いを検討するのが良いでしょう。その場合も199.83や184.38をストップに、これに準じたレベルで検討します。利食いはこういった調整前の高値を超えないなら利食いを優勢しましょう。ただ特に176.29や178.74を割れるならトレンドが変わる可能性があることから買い戦略は注意です。その場合156.62-163.09-172.13ゾーンまでの調整リスクとなることは考慮しましょう。
 一方売り戦略は、随時高値を認識すれば検討課題ですが、その場合も下げが甘ければ買い戻しながら、また利食いもそれ以前の戻り高値を超えなければ利食っておきましょう。
 テクニカル面で、ベンチャー気味ですが、売りは215.87-230.32ゾーンで、随時検討する形となりますが、ストップは241.97や251.11越えとして、これに適応するレベルで検討してみましょう。この場合の売りは、前述の通り199.83レベルが維持されるとしっかりと利食っておきましょう。 
 また、特に財務省の円買い介入で下げた局面は、毎回絶好のポンド円の買い場となっています。ただ、介入のケースでは、ポンド円は2024年度平均で5.58円程度下落していることは考慮しておいてください。
 
 また、タイミング的な注意点は以下となります。こういった面も勘案しながら、戦略を立てて頂ければと存じます。(詳細は、ドル相場の2026年見通しの「ドル円の季節性」を参照ください)

 ①1-3月期は、本邦のレパトリ・シーズンで円高気味となり易いこと。
 ②4月からは、本邦の新年度入りもあって、円売りが入り易い。
 ③一方ドル円でも、例年アノマリー的に、7月や8月中旬に瞬間的な円高が示現することが多いことは
  注意ですが、逆にこの時の急な円高は、年末に向けて絶好の円の売り場となることも、覚えておい
  てください。
 ④9月のレイバーデー明けからは、年末に向けて方向性が出易い時期です。この時期に一定の動きが見
  えた場合、逆張りで向かわないようにしましょう。
 
 以上一応テクニカルやファンダメンタルズ面からシナリオをたてましたが、ひとつの例として考えてください。この通りとなるほど、相場は簡単ではありません。あくまで私個人の35年来の経験則から想定したイメージ的なものですので、ご理解頂ければ幸いです。 

だいまん氏
1957年生まれ。青山学院大学英米文学科卒。アジア系外銀にて、外国為替の貿易事務に5年、マネー、債券、為替ディーラーを10年歴任。ディーリングおよび決済関連業務に精通。2002年の資金部次長時代に、20年間勤務した同銀行を退職。銀行在籍時より運営していた為替予想サイト「円を救え」をベースに、個人の為替証拠金取引の拡大を支援するために、相場予想および為替取引の個人向け実地教育を中心とした(株)FXSCを設立。著書に「外貨建て投資入門&実践ガイド」エム・ケイ・ニュース社佐藤利光・だいまん共著がある。ホームページ:「円を救え」短期為替予想サイト