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≪どうなる?2026年のメキシコペソ円相場~年間相場見通しと戦略≫ 

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“堅調が想定されるも、トランプ大統領の“ドンロー主義”政策がリスク”

※本記事は2025年12月末時点に作成しております。文中の内容は作成時点の情報に基づくものとなっております。

【2025年のドル円相場を振り返って】

 2025年のメキシコペソ円相場は、トランプ相互関税などの逆風にも、堅調に値を回復した。
 年初は7.539からスタート。ただ、日銀が半年ぶりに政策金利を0.25%引き上げ0.50%としたこと、メキシコ中銀も、政策金利を前年の10%から0.50%の幅で4会合利下げを実施、トランプ大統領が、突然、フェンタニルの密輸問題からカナダとメキシコに対する関税を25%に引き上げ、加えて世界的に関税を引き上げることを次々と発表、特に対抗措置として中国が、レアアースの輸出規制を発表したことなどから、世界的な株価の大幅下落を伴って、大きなリスクオフの動きが一時広がり、メキシコペソ円は、6.850の年間安値まで下落しました。
 ただ、その後は中国の対応が強固だったことから、米政権が対中関税を緩め、主要諸国もトランプの相互関税に対して、迎合的な態度を示したことから、株価が年初来安値圏から反転に転じたことなどから、メキシコ中銀が8月から利下げ幅を0.25%に変更、リスク回避の動きに巻き戻しの動きが優勢となりました。
 ただ、米フェンタニル制裁法によって、トランプ政権がメキシコ金融機関に制裁を発表、メキシコの関税を追加で30%に引き上げ、中東やウクライナ情勢の不安、米国が債務上限法の問題から米政府が史上最長の政府閉鎖となったことから、米雇用統計など重要な経済指標の発表が滞ったことなどから、メキシコペソ円は上げ渋りました。
 一方日本では、参院議員選挙で、自公民が過半数割れとなり、石破首相が辞意を表明、自民党総裁選で高市氏が勝利、公明党が連立から離脱を表明するも、想定外に日本維新の会が新規に連立を組むことになり、高市総理が実現。高市氏の政策が財政拡張や低金利政策を目指していることから日本株高、円売りの「高市トレード」が強まったことで、日経平均株価が年末に向けて5万2千円台まで上昇、円売りの拡大で、メキシコペソ円は、年初来高値となる8.763まで上昇して、年内の取引を終了しました。

【2026年の主な材料】

 以下が現在、知り得る2026年のイベントや材料です。注目度の高いものは赤字で表示しています。ただ、あくまで予定ですので変更される可能性があることは、ご了承ください。

【2026年の注目点】

  2025年の相場展開を踏まえて、2026年の注目点をまとめてみました。

 ・米中間選挙
 ・トランプ相互関税の違憲判決と債務上限問題
 ・“ドンロー主義”行方
 ・メキシコ中銀と日銀の政策スタンス
 ・高市トレードと円買い介入
 ・2026年のメキシコ圏経済

〇 米中間選挙

 今年はトランプ大統領2期目で米中間選挙の年となります。この行方はトランプ政権の最大の関心事となりますが、現状の見通しは、下院は民主党有利、上院は共和党が票を維持すると見通しが主流となっています。3月の一部予備選からスタートしますが、この話題は夏場以降まで、市場の大きな関心とはなりづらいでしょう。
 ただ、その場合は昨年の「トリプル・レッド」から議会に捻じれが発生します。捻じれとなった場合、米下院でトランプ大統領の3回目の弾劾裁判が行われる可能性が一部指摘されています。この話題も問題となるのは来年以降となるでしょうから、年内の相場に影響を与えることはなさそうです。ただ、またぞろ相場の混乱となることは、一応念頭に入れておきましょう。

 尚以下は米国の中間選挙の年の相場傾向を1990年の価格を基準に調整したNYダウ、ドル・インデックス、ドル円の年初からの動向を比較したチャートです。
 総じてNYダウは、中間選挙前に調整を強める傾向があることは覚えておいてください。また、ドル自体やドル円はあまり上昇傾向が見えていないことも注目しましょう。
 確かに毎回そうなるとは断言できませんが、現状の株価高や円安を考慮するとこのような展開となる可能性も考慮しておきましょう。

〇 トランプ相互関税の違憲判決と債務上限問題

 昨年トランプ大統領が、議会の承認を得ないまま、IEEPA(国際緊急経済権限法)を根拠に、合成麻薬フェンタニルの国内への流入を理由としてカナダとメキシコ・中国への追加関税を発令したことをスタートに、世界的に相互関税を発動させた行為が、大統領権限の逸脱に当たると米司法の第1審と2審で、「大統領権限を逸脱している」などとして違憲とするとの判断が示されています。
 これに対して、今年1月以降最高裁が最終判断を示します。違憲と判断されれば政権側が1335億ドル、日本円で約20兆円の関税収入を企業に返還する必要に迫られる可能性があると報じられています。一方トランプ政権は、敗訴しても法的な根拠を差し替えれば同様の関税を徴収しつづけることができるとしています。この結果がどうなるかはわかりませんが、トランプ大統領は、この関税収入を当てにして、様々な税制優遇や財政政策を既に発表しています。もし、この関税収入の返還を迫られた場合、現状既に米国の債務上限法 の上限にまで達している財政赤字に、更に赤信号が灯ります。
 米国の債務上限法では、政府が国債発行などで借り入れできる金額の法的な上限を定めていて、これは政府支出の予算編成とは異なる枠組みで定められています。上限に達すると、議会の承認がない限り新たな借入ができなくなり、国債の元利払いが滞る「デフォルト(債務不履行)」が発生します。
 ご存じの通り昨年10月には、これに抵触する形で、史上最長の政府閉鎖となっています。現在は、一旦引き延ばしの形で政府閉鎖は解除されていますが、今後も財政出動の状況次第では、また上限を上回る可能性が高く、前述のトランプ関税の違憲判決と絡めると考えると本年も大注意の話題となりそうです。その場合、FOMCが利下げを段階的に実施しても、国債の増発から米長期金利が下げ止まらず、これが米経済を圧迫し、米国の格下げのリスクにもつながるかもしれません。その場合米金融市場に大きな悪影響を与える可能性も想定されそうです。
 今年もこういったリスクが最大の注意ですが、参考に下記に米10年物国債利回りの、月足チャートを掲載しておきます。テクニカル面からは、若干揉み合い気味ですが、下値はサポートが支えています。こういった状況が続くなら、下段のスロー・ストキャスティクスが既に反転の兆しを示しており、金利が再度5%方向への「悪い金利」上昇リスクとなることは考慮しておきましょう。

〇 “ドンロー主義”行方

 昨年トランプ政権誕生後、フェンタニルの問題などからカナダ、メキシコや中国に大幅な関税を一方的にかけたことなどから、リスクオフの動きが広がりました。
 現状は、トランプ相互関税も落ち着いていますが、一方でトランプ大統領の新たな政策方針が明らかになっています。
 それは最近話題となっているトランプ大統領の“ドンロー主義”です。これは「Donald Trump+Monroe Doctrine」の合成語で、一般的に「西半球重視政策」(以下地図を参照)を指します。
 ドンロー主義とは、1823年にジェームズ・モンロー大統領によって提唱されたヨーロッパ諸国のアメリカ大陸への介入を拒否する孤立政策ですが、トランプ大統領は、「アメリカは西半球の家主であり、不法侵入者を追い出す権利がある」と主張して、より積極的な介入と経済的利活用を掲げています。昨年トランプ大統領が、突然米国の安全保障をたてに、グリーンランドの領有や今年のベネゼエラへの軍事介入もこの一環のようです。
 現在これがどこまで拡大するかは不透明ですが、更にメキシコやコロンビアへの介入にまで言及しています。もし、トランプ政権が、更に軍事力を行使して、実際にこの政策を進めると特に隣接するメキシコ経済、強いて世界的に大きな影響を与えるでしょう。
 この問題は、まだまだ進捗が不透明ですが今年の地政学リスクとして、強く意識しておきましょう。

〇 メキシコ中銀と日銀の政策スタンス

 メキシコ中銀は、インフレの高騰を受けて、2021年6月の4%から2023年3月までに、11.25%まで政策金利を引き上げました。ただ、2024年には、消費者物価指数の落ち着きもあって、3月0.25%の金利引下げからスタート、年内10.0%まで政策金利を引き下げ、2025年も、4会合連続0.50%の利下げ、8月からは0.25%の利下げを3回実施、7.0%まで政策金利を引き下げています。
 また、12月最後のメキシコ中銀の会合の声明では、「利下げは4対1で決定。1人の委員が金利据え置きを主張」、「追加利下げの時期について検討」、「2026年第3四半期にインフレ率が3%の目標に達すると予想」、「インフレリスクのバランスは引き続き上振れ傾向にある」、「貿易摩擦は経済成長の下押しリスク」としています。
 2026年、メキシコ中銀がどういった政策スタンスを取るかは不透明ですが、現在メキシコ消費者物価指数は、前年同月比で3.80%まで低下しており、過去のレベル(2.13-2.15%)から見ても、そろそろ利下げも良いレベルであることは、注目しておきましょう。

 一方日銀は、昨年1月に0.25%の利上げ後、12月まで金利を据え置いたことから、日銀が利上げに消極的との見方から、円安をフローしました。現状日本の政策金利は、0.75%まで上昇していますが、高市政権のプレッシャーや日本経済自体が総じて強い状況とは言えず、今年も利上げには慎重な姿勢を続けそうです。もし利上げがあっても0.25%の利上げが1回、最大でも2回程度が限界となるでしょう。
 
 通常円相場は、日本と各国の金利差の影響を大きく受けますが、現在日墨金利差とメキシコペソ円は、2013年から2021年の間は金利差との連動性が見えていませんが、総じて金利差との連動性に整合性はあるようです。現在は若干離れていますが、今後日銀は最低でも今年1回の利上げ、メキシコ中銀の今後の方針は不透明ですが、特にメキシコの政策金利は、下記チャートの通りFRBの政策との連動性が高いことから、米国が今年1-2回利下げすることを考えると、メキシコ中銀も2回程度の利下げが想定されます。
 そうなると更に日墨金利差は5%程度まで拡大する可能性が高く、金利差の面からは、メキシコペソ円相場が、この上昇を維持出来るとは考えない方が良さそうです。

 メキシコ中銀の金融政策決定会合は年8回、米国のFOMCに準じて開催されます。金融政策決定会合での今後の行方には、注意を払っておきましょう。
≪メキシコ中銀の政策金利公表≫
(議事録公表日)
(01月08日)
02月05日(02月19日)=02月26日四半期金融報告公表
03月26日(04月09日)
05月07日(02月19日)=05月27日四半期金融報告公表
06月25日(02月19日)
08月06日(02月19日)=08月27日四半期金融報告公表
09月24日(02月19日)
11月05日(02月19日)=11月26日四半期金融報告公表
12月07日(02月19日)

 以下が2026年の日銀金融政策決定会合や議事録の公表日です。日銀の政策の行方が、来年のドル円相場を左右するでしょう。しっかりと押さえておきましょう。
≪日銀金融政策決定会合≫
(議事録公表日)
01月23日+展望リポート公表(03月25日)
(01月28日:12月18-19日開催分の議事録)
03月19日(05月07日)
04月28日+展望リポート公表(06月19日)
06月16日(08月05日)
07月31日+展望リポート公表(09月28日)
09月18日(11月05日)
10月30日+展望リポート公表(12月23日)
12月18日

〇 高市トレードと円買い介入

 昨年高市総理就任前後から、円売り株高や日本の長期金利上昇が強まっています。市場の理解としては、高市氏のこれまでの発言や政策姿勢から、一般に以下のような政策スタンスを持つと認識されています。
 ・積極的な財政政策(大型補正、国防・産業投資)
 ・デフレ脱却を重視、金融引き締めに否定的
 ・安全保障・防衛関連支出の拡大志向
 ・トランプ政権に対する迎合

 これらを前提に、高市政権の支持率の高さもあって、期待感から特定の資産が有利になるとの思惑で株買い、円売り、国債売りが行われる取引が「高市トレード」と呼ばれています。
 ただ、注意しなければならないことは、高市政権に、未だこういった実績がある訳ではありません。自民党自体の支持率は低く、今後予想される衆院解散総選挙でも、連立の混乱もあって政権維持も確定的ではありません。期待感先行の取引であって、ファンダメンタルズというより、政治イベントドリブンのテーマ取引として理解するのが適切です。
 一方では国民の間から円安による物価高に不満が高まっています。前述の「高市トレード」から円安が拡大していることにも物価安定を目指す高市総理に批判が見えています。どうにか政権としては、人気取りもあって円安を止めようと片山財務大臣や財務省から円安牽制発言が続いていますが、全く効果は見えていないようです。  そうなるとやはり財務省の「伝家の宝刀」、円買い介入は現実味を帯びてきます。

 ただ、実際2022年や2024年も、財務省が強力な円買い介入を実施しましたが、需給面の円売りニーズが強く、効果は一過性で終わっています。
 過去、当局の介入は「短期的には効果があるが、中期的には効果はない」と指摘されるように、相場のトレンドを変えることはありません。ただ、一方では超長期で考えると1995年の超円高時期の円売り介入、2003-4年の溝口介入と結果的に効果を示したと言えます。ですがこういった介入は全て「円売り介入」であって、自国通貨である円は、無尽蔵に介入が可能ですが、他国通貨である「円買い介入」には限界があると言えます。
 それでは「ドル売り(円買い)」介入の原資となる日本の外貨準備の状況を見てみましょう。
 以下は直近介入前の2022年からの外貨準備と「円買い介入」の状況をプロットしたチャートです。
 2022年の介入後外貨準備はある程度増額しています。また、2024年も959億ドル程度の介入を実施しましたが、それほど外貨準備額は減少していません。若干決済の時差やスワップ取引などを利用していた場合、増減の具体的な要因は把握できませんが、外貨準備のほとんどが米国債で運用されています。つまり、「円売りドル買い介入」を実施しない場合でも、米国債からの運用益で外貨準備は増加します。これはざっくりとした計算ですが、もし年2%の運用利回りと仮定した場合で、毎年200億ドル程度、3%なら300億ドル程度外貨準備が増える計算になります。2022年の介入額は約426億ドル、2024年は959億ドルで、これを短期で続けながら1兆ドルレベルを維持するのは難しいとしても、現在は2023年レベルまで外貨準備を回復しており、この運用利回りを考慮すれば「円買い介入」の余地はあると思います。
 一方介入レベルに関しては、「急激な変動を避けるため」と言っても、財務省や財務官がどういうレベル感や論理でタイミングを決めているか根拠は不透明です。ただ、実際の介入実績から2022年は恐らく150円の防衛、2024年は160円の防衛が主眼となっているように感じられます。そうたびたび出来るわけではありませんが、少なくとも次の161.95の高値を脅かす状況となれば、間違いなく介入してくるとみています。
 実際この点に関しては、想像しても意味はありませんが、少なくとも円安が一過性に進んだ場合も、安易にドル円の上値を追いかけるのは避けておいた方が良いでしょう。
 近年「円買い介入」が実施された場合、一気にドル円相場では、4-5円の円高が進むケースが多いようです。ユーロ円の現状相場からは5-6円円高に進む可能性もあります。
 あくまでこういったタイミングで、円が上昇した場合に円を売る姿勢の方が、メリットが大きいことは覚えておいてください。

〇 2026年のメキシコ圏経済

 2026年のメキシコ経済は、緩やかに回復するが成長力は抑制的で、インフレ抑制と投資回復が鍵となるという見通しが大勢です。リスクは、米国との貿易関係(USMCAの見直し等)やトランプ関税の不透明性が引き続き懸念として、メキシコ経済に影響を与えそうです。
 2026年のメキシコの成長率を、OECDは1.2%程度、2025年の0.7%から回復するとして、エコノミスト調査では、中央値で1.2%~1.3%程度に前年の見通しから上方修正、一部の機関(IIF)は、より弱い見通しとして0.9%程度の成長との予想をしています。
 総じて0.9%から1.3%程度の見通しになっていますが、引き続き低い伸びとなる見込みです。消費は堅調ですが投資や公共支出は抑制的です。成長力は限定的という見方が中心です。
 一方2026年のインフレ率は、市場予想では平均インフレ率が約3.8〜4.0%前後、IMFの見解では、インフレは2026年後半にかけてメキシコ中央銀行の目標である「3%」付近へ収束する見込みとされています。 インフレは引き続き監視が必要ですが、長期的に安定方向への動きが期待されています。
 従って、メキシコ中銀は、新税制や貿易政策の影響などインフレ・リスクがあるため慎重な姿勢を維持しています。最近の動きでは一時的な利下げ停止の議論も出ています。経済成長が緩やかであるため、利下げ余地はあるものの、インフレ動向を見極めながらの金融政策運営となる可能性が高いです。
 以下はメキシコの製造業PMIの推移です。一旦「50」割れから戻し気味です。今後もメキシコ経済の動向次第です。

【テクニカル面】

≪ドル・メキシコペソ≫
 テクニカル面からは、メキシコペソ円を構成するドル・メキシコ相場の月足をチェックしておきましょう。
 ドル・メキシコペソは、25.7895の高値示現後は、16.2613まで下落も、この位置は9.8560からサポートの位置で支えられて反発も、21.2943で上値を押さえられて再度調整気味です。下段のスロー・ストキャスティクスも買われ過ぎ反転下落しており、今後も調整局面が続きそうです。
 下値は、1.17前後のサポートを維持するなら良いですが、16.2613の戻り安値を維持できずに割り込むと、過去の高値圏からは、14.5932-15.5990ゾーンがターゲットとなりますが、支えられるなら堅調が続きそうです。リスクは、これを割り込むケースで、その場合11.4841-11.9366などがターゲットとなります。
 一方上値は、あくまで21.2943を超えるケースで強気で、越えると22.1577、23.2294、24.8931がターゲットとなりますが、利食いが出易いでしょう。最大のリスクは歴史的な高値となる25.7895越えですが、その場合どこまで上昇するかは全く五里霧中となります。
 従って、ドル・メキシコペソの2025年の想定レンジを15.0000から20.0000を中心とします。

≪ドル円≫
 次に2011年からの月足チャートをみてみましょう。
 75.31の歴史的な安値から125.86まで反発後、102.59が下値を支えてサポート形成から、151.95の高値、127.23を支え、161.95まで上値拡大しています。
 エリオット的な波動の観点から見ると、まず長期波動からは75.31から125.86を第1波、125.86から102.59を第2波、102.59から151.95を第3波、151.95から127.23を第4波と仮定するなら、次の第5波の位置が焦点となります。ただ、この位置は151.95と161.95の可能性が指摘されますが、その後は高値圏で保合となっており、第5波の確定は139.58-89のネック・ラインをしっかりと割れるまでは確定できません。
 一方より短い期間として102.59からの上昇波動から見ても、161.95の高値が第5波のトップにならない限り確定は難しい状況です。しかも、161.95から158.87の高値を結んだレジスタンスを現状は上抜けています。
 これを前提に考えるとまだ高値付きは確定できておらず、下段に示したスロー・ストキャスティクスの面からは、既にゴールデン・クロスが示現していて、今後も上昇波動が続く可能性が示唆されています。その場合で161.95の高値を超えるなら、上値は161.95から139.58の下落幅22.37を161.95から上げた184.32までの上昇が指摘されることになります。辛うじて上昇が止まるとしても、最低でも2026年も140-162円レンジでの揉み合い相場とみるしかなさそうです。 

 一方1989年からの超長期のドル円相場の月足チャートを見てみましょう。
 ドル円相場は、1990年の160.35の高値から、2011年10月の75.31まで下落後、2022年10月には、160.35の高値と、147.66や125.86の高値を結んだレジスタンスを越えて、上下しながらも151.95まで急反発しました。ただ、この位置から127.23まで急落。チャート形状から「D」の75.31をボトムとして、「C」と「E」をアームとした「リバースH&S」が一旦確定したと見られました。
 ただ、下値は「D」をベースとしたネックラインが逆サポートして、更に反転がこの高値を超えて、161.95まで上昇しています。つまりこのリバースH&Sの前提が崩れた形となっています。
 また、日柄からは「C」から「D」の経過日数が13年2ヵ月で、この「D」から同日数の結果を考えると2024年12月が次のピークとなるべきです。これは実際には2025年1月の158.87がこれに該当する形で、日柄からみたピークは「E」の位置となります。
 この「E」がピークとなるのか、そうでないのかは、2026年の相場を見る上で重要となります。
 もし、この「E」がピークとなるなら、「G」への下落は、3年4か月経過の2028年4月まで続く形が想定されます。一方「E」がピークとならない場合は、逆に「F」への方向への上昇が、「A」からの経過を考えると2032年4月まで続く可能性が指摘されます。その場合の次のターゲットは、1978年の安値177.06、更には1981年の安値199.06となります。

 つまり結論的には、テクニカル面からだけでは、2026年の相場を見通すことは難しいと思われます。基本は買いも、残念ながらあくまで今後の動向を確認しながら対応することをお勧めします。
 従って、ドル円の2026年の想定レンジを140.00から162.00とします。

≪メキシコペソ円≫
 以下は、2007年からのメキシコペソ円の月足チャートです。
 メキシコペソ円は、11.512から下落が4.232まで拡大も、これを維持して反発が、一時9.463まで拡大しましたが、この位置では上値を押さえられて調整が、9.463と4.232のフィボナッチ・リトレースメント50%となる6.850を維持する形です。
 現状はスロー・ストキャスティクスが、反転上昇に転じており、今後9.463の戻り高値を目指す動きとなりそうです。ただ、これを越えるかは不透明ですが、越えると9.763の窓の上限が視野となりますが、この位置も上値を押さえそうです。ただ、超えると10.991や11.512がターゲットとなります。
 下値は、4.232の安値からのサポートとなる7.000前後が維持されると良いですが、6.850を割れると6.377、6.021-6.438のネック・ゾーンまで調整しますが、維持では堅調が保てそうです。このリスクは5.387や5.135を割れるケースとなります。

≪マトリックス・チャート≫
 それでは、ドル・メキシコペソ相場とドル円相場の想定レンジから作成したマトリックス・チャート(価格帯によるクロス円の位置)を確認しておきましょう。
 ドル・メキシコペソの2024年の想定レンジを15.0000~20.0000、ドル円を140.00~162.00としましたので、ここから算出されるメキシコペソ円の最大想定レンジは7.000から10.800となります。

【予想レンジと戦略】

 それでは、以上を踏まえてメキシコペソ円相場の2025年の見通しと戦略についてお話します。来年のメキシコペソ円の想定レンジを7.000~10.000とします。

≪2026年の注意点≫
 ・米中間選挙や地政学リスクを睨んで荒れた展開となる可能性を考慮しましょう。
 ・テクニカル的には押し目買いですが、上値追いは避けましょう。
 ・円買い介入が入った場合の下落では、常に買いから攻めてみましょう。
 ・トランプ政権の“ドンロー主義”が強まるなら、リスク回避の動きが拡大することは、
  考慮しておきましょう。
 ・クロス円の場合、ストレートの動き次第では、テクニカル的なポイントと合致するとは限りませ
  ん。オーバー・シュート的な騙しの動きも留意してください。

≪2026年の具体的な戦略≫
 メキシコペソ円の中期的戦略としては、あくまで押し目を待っての買い戦略です。できれば8円方向への調整から買い下がりましょう。ストップは6.850割れで対応。ターゲットは、9.463や10.000を前に上げ渋るならしっかりと利食います。また、売り戦略としては、こういった位置では上げ渋りを確認できれば狙ってみることも検討できますが、10.991や11.512を超えるなら止めておく形。売りの場合のターゲットは、下げが甘ければ買い戻しながらの対応、こちらも8円が維持するなら利食い優先となります。
 一方、もし6.850を割れるケースでは、調整が6円前後まで下げる可能性でみて、あくまでこういった位置での買い直しが良いでしょう。その場合のストップは6.377や5.387を割れるなら止める形。こういった買いの利食いは、6.850が抑えると利食い優先、越えても8円を手前にしっかりと利食っておきましょう。 
 また、タイミング的な注意点は以下となります。こういった面も勘案しながら、戦略を立てて頂ければと存じます。(詳細は、ドル円相場の2026年見通しの「ドル円の季節性」を参照ください)

① 1-3月期は、本邦のレパトリ・シーズンで円高気味となり易いこと。
② 4月からは、本邦の新年度入りもあって、円売りが入り易い。
③ 一方ドル円でも、例年アノマリー的に、7月や8月中旬に瞬間的な円高が示現することが多いことは
  注意ですが、逆にこの時の急な円高は、年末に向けて絶好の円の売り場となることも、覚えておい
  てください。
④ 9月のレイバーデー明けからは、年末に向けて方向性が出易い時期です。
  この時期に一定の動きが見えた場合、逆張りで向かわないようにしましょう。 

 以上一応テクニカルやファンダメンタルズ面からシナリオをたてましたが、ひとつの例として考えてください。この通りとなるほど、相場は簡単ではありません。あくまで私個人の35年来の経験則から想定したイメージ的なものですので、ご理解頂ければ幸いです。

だいまん氏
1957年生まれ。青山学院大学英米文学科卒。アジア系外銀にて、外国為替の貿易事務に5年、マネー、債券、為替ディーラーを10年歴任。ディーリングおよび決済関連業務に精通。2002年の資金部次長時代に、20年間勤務した同銀行を退職。銀行在籍時より運営していた為替予想サイト「円を救え」をベースに、個人の為替証拠金取引の拡大を支援するために、相場予想および為替取引の個人向け実地教育を中心とした(株)FXSCを設立。著書に「外貨建て投資入門&実践ガイド」エム・ケイ・ニュース社佐藤利光・だいまん共著がある。ホームページ:「円を救え」短期為替予想サイト