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世界通貨セレクト月間レポート(2025年11月)

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2025年11月の世界通貨セレクトの通貨ペアは、各国の政策金利や経済動向により通貨ペアごとに異なる動きが見られました。

本レポートでは、月間の世界通貨セレクトの成績を振り返り、今後の運用判断に役立てていただける情報をお届けします。これから始める方も運用中の方も、自動売買選びの一助としていただければ幸いです。

収益順位

「収益順位」は、世界通貨セレクトの、2025年11月1日~30日の1か月間の実現損益(スワップポイントを除く)を比較し、ランキング形式でまとめたものです。上位の自動売買ほど、良い成績を示しています。

11月は、豪ドル/カナダドル(AUD/CAD)とNZドル/カナダドル(NZD/CAD)の2通貨ペアで、中旬に下落し、月末にかけて反発する動きが共通して見られました。こうした値動きにより取引の回転が増え、自動売買にとっては効率よく利益を積み上げやすい1か月となりました。

【1位:豪ドル/カナダドル(AUD/CAD)】
中旬にかけて価格が下落する中で新規の買い建玉が入り、その後は月末に0.917付近まで価格が反発して保有建玉が利益確定の決済となりました。
下げた場面で新規が入り、上げた場面で決済が進む流れとなり、効率よく利益を積み上げ首位となりました。

【2位:NZドル/カナダドル(NZD/CAD)】
月初の0.803付近から中旬に0.786まで下落した後、月末にかけて価格が急反発し、利益確定の決済が連続して発生しました。
短期的な上下動が増えたことで取引が活発となり、収益機会が広がった結果、2位となりました。

ディーリング部 宮野智丹
ディーリング部 宮野智丹
オーストラリアでは、インフレの高止まりが意識されるなか、オーストラリア準備銀行(RBA)が11月会合で政策金利を市場予想通り据え置きました。会合後に発表された雇用統計や消費者物価指数はいずれも堅調で、インフレ圧力の根強さがあらためて示されました。このため、市場では「RBAは早期の利下げには踏み切りにくい」との見方が広がり、豪ドルの下支えにつながりました。

カナダでは、雇用統計が強かった一方で、消費者物価指数は鈍化しており、インフレは落ち着きつつあると受け止められています。ただ、カナダ銀行(BOC)は最近の声明で、住宅ローン負担の重さや外需の弱さといった景気の下押し要因が残ると指摘しており、当面は政策金利を据え置くとの見通しが中心です。主要輸出品の原油は、OPECが「2026年の原油市場は供給過剰に傾く可能性が高い」と示したことで需給見通しが変化し、価格は下落しました。

AUD/CADは、オーストラリア・カナダともに金融政策で慎重姿勢が続くなか、金利差に基づく明確な方向感が出にくく、比較的落ち着いた推移となりました。

レンジ内推移

※上図は、2024年12月~2025年11月にかけてのデータをもとに作成しています。
※本グラフにおける「100%」は各通貨ペアの想定レンジ上限、「0%」はレンジ下限を示しています。
「レンジ内推移」は各自動売買で設定しているレンジ帯における、月末時点の価格位置を表したものです。

世界通貨セレクトのレンジ帯は長期運用を目的に、過去10年間の相場を参考に設定しています。

11月の豪ドル/NZドル(AUD/NZD)は、ニュージーランド準備銀行(RBNZ) が利下げサイクルの終盤を示唆したことで NZドルが買い戻され、一時は1.160超えまで上昇したものの、その後は上下動を経てレンジ内へ戻りました。

12月は、RBAの政策金利の据え置きが既に発表されており(12/9)、ニュージーランドのGDP発表が注目材料となります。豪ドル・NZドルともにファンダメンタルズ次第で振れやすい展開が続く可能性が考えられます。

一方、豪ドル/カナダドル(AUD/CAD)は、月初から中旬にかけてレンジ中央より下で推移した後、中旬〜下旬にかけて上昇し、月末には再びレンジ中央付近へ戻りました。 短期的には上下への振れが大きくなり、10月と比べると値動きが活発な月となりました

注目の通貨ペア-「豪ドル/カナダドル」

11月の豪ドル/カナダドル(AUD/CAD)相場は、オーストラリアとカナダの金融政策に基づく明確な方向感が出なかったことから、大局的にレンジ内で比較的落ち着いた推移が続きました。

RBAは12月会合で政策金利を3.60%に据え置き、インフレの根強さを踏まえた慎重姿勢を維持しました。
一方、カナダ銀行(BOC)は10月に政策金利を2.25%へ引き下げ、利下げサイクルが終盤に差し掛かったとの見方を示しており、12月会合でも慎重な運営が意識されています。
また、最新のインフレ指標では、オーストラリアの物価は再加速傾向がみられる一方、カナダでは2%付近での安定が確認されており、金融政策の温度差が続いています。

現在のAUD/CADは、金利差の観点ではAUDがやや優位な構図となるものの、12月のカナダ中銀会合を控えて、政策スタンスの変化が相場の新たな材料となる可能性があります。
今後は、オーストラリアのインフレ動向とカナダの景気指標に加え、両国の金融政策の方向性がどの程度継続するかが注目されます。

世界通貨セレクト月間レポートでは、運用に役立てていただける情報を発信してまいります。
今後ともよろしくお願いいたします。