トライオートの基本

ETFの詳しい選び方とおすすめ銘柄5選

get_post_meta($thumb_id, '_wp_attachment_image_alt', true)

長期の運用に適していると最近人気のETF。でも、何でもいいから買って持っておけばよいというものでもありません。これから資産運用を真剣に検討する方に、10年後、20年後の資産を形成するためにどんな銘柄を選べばよいのか、対象資産ごとの特徴や選ぶポイント、そしておすすめの銘柄についてどこよりも詳しくご紹介いたします。

1.ETFにはどんな種類があるの?

ETFとはExchange Traded Fundの略で上場投資信託と呼ばれ、証券取引所に上場されいつでも売買ができる投資信託のことです。投資対象が幅広く、株式や債券などの主要な指数をはじめ金や原油などのコモディティまで日本国内のみならず世界中の多彩な資産に投資することができる優れた金融商品です。では、投資対象資産ごとに詳しく見てみましょう。

1-1.国内株式に投資するETF

国内株式を対象とするETFには、ベンチマークとされる株価指数が3つあります。日経平均株価(日経平均株価)、TOPIX(東証株価指数)、そしてJPX日経インデックス400です。その中で最も用いられているのが日経225です。個別株投資に興味はあるけどちょっとハードルが高いと思われる方にまずはETFをおすすめします。

日経平均株価に連動するETF

日経平均株価は東証1部上場225社の平均株価で、日経新聞社が選定、公表している日本を代表する株価指数です。この日経平均株価自体はあくまでただの数値でありそれ自体を取引することはできませんが、連動する投資信託やETFなどで取引することができます。現在上場されている日経平均連動型ETFは8種類ありますが、その中で最もおすすめは2001年から運用されており純資産4兆3,800億円と最大規模の『日経225連動型上場投資信託(1321)』です。

TOPIXに連動するETF

TOPIXは東証一部上場全銘柄を対象にした株価指数で、1968年1月4日の時価総額を100として、その後の時価総額を指数化したもので、日経平均株価と同様それ自体を取引することはできませんが、連動するETFで取引することができます。現在上場されているTOPIX連動型ETFは6種類ありますが、その中で最もおすすめは、純資産4兆7,700億円と『日経225連動型上場投資信託』よりも規模の大きい『TOPIX連動型上場投資信託(1306)』です。

JPX日経400インデックスに連動するETF

東証上場企業3,400社の中から自己資本利益率(ROE)、営業利益、時価総額の3つの指標を基に400銘柄に絞り込み選定されます。また、毎年6月の最終営業日の時価総額を基に見直され8月最終営業日に入れ替えが行われます。JPX日経400インデックス連動ETFは現在6種類上場されており、その中では『NEXT FUND JPX日経インデックス400連動上場投信(1591)』ですが、日経平均やTOPIX連動ETFに比べると純資産が4,390億円と10分の1程度となります。

1-2.海外株式に投資するETF

海外株式に投資できるETFには、日本の証券取引所に上場されているETFと海外の証券取引所に上場されているETFがありますが、日本に上場されている外国株ETFは現在僅か50種類程度です。一方、ETFの世界の純資産残高の70%を占める米国の場合、約2,000種類ものETFが上場されています。投資において選択肢が豊富なことは重要な要素ですが、海外ETFに投資するには売買手数料や両替手数料など国内ETFに比べてコストが割高になります。でも、中には国内、海外ともに上場されているETFもあります。

日本と米国両方で上場されている株式ETF

米国を代表する株価指数S&P500に連動するETFとして最も歴史が古くかつ人気があるのが『SPDR®S&P500®ETF(US:SPY、JP:1557)』です。日本では円建てとなり日々為替相場の影響を受けるため原資産のパフォーマンスと乖離が生じる可能性はありますが、円を外貨に交換する必要なく国内ETFと同様に取引することが可能です。

1-3.債券に投資するETF

日本国債に連動するETFはありません。債券ETFといえば、すべて外国債券を対象としています。日本ではご存知のような低金利の中で利回り自体を期待できる金融商品は皆無といってもいいでしょう。しかし、海外に目を向けると分配金利回りで年5%を超えるようなETFが存在しています。海外株式ETFと同様、海外債券に直接投資することもできますが、日本と海外両方に上場されているETFもあります。

日本と米国両方で上場されている債券ETF

今どきの日本では年利1%を上回るような金融商品すらありませんが、海外債券ETFには確定利回りではないものの年5%を超える分配金実績を出しているETFがあります。S&P500のようにまったく同じものではありませんが、日本では『iシェアーズ 米国ハイイールド債券ETF(1361)』、米国では『iシェアーズ iBoxx 米ドル建てハイイールド社債 ETF(HYG)』です。直近12ヶ月の分配金実績に基づく利回りは、『iシェアーズ 米国ハイイールド債券ETF』で5.4%となっています。

1-4.その他の資産に投資するETF

分散投資の対象として最も利用されるのがコモディティの中でも金と原油です。特に金は、「有事の金」という言葉で言い表されるように、現金に替わる資産として根強い人気の資産です。また、金や原油は株価との逆相関の動きをしやすい特徴があるため、ポートフォリオの一部に組み入れる考え方が定着しています。

金に連動するETF

金ETFは何種類か上場されていますが、国内外でもっとも人気があるETFが『SPDR®ゴールド・シェア(US:GLD、JP:1326)』です。NY証券取引所と東京証券取引所に上場されており、純資産300億ドル以上で金ETFでは最大規模となります。東証には円建てで上場されており、現在1口13,000円前後で購入することができます。信託報酬は0.4%(税抜)と低く、現物金との交換はできませんがリスクヘッジとしての長期保有に向いているETFです。

原油に投資するETF

世界的なインフレや、中東情勢等の地政学リスクの高まりなどにより左右される原油価格は、どちらかと言えば投資よりも投機の対象となりやすのですが、それでも株式や債券などと異なる要因で変動する資産を組み込むことでリスク分散を図る際に利用されます。国内上場ETFであれば『WTI原油価格連動型上場投資信託(1671)』、海外ETFであれば『ユナイテッド・ステーツ・オイル・ファンドWTI原油連動ETF(USO)』が有名です。

1-5.ETFの種類まとめ

ここまでご紹介したETFの種類を投資対象資産、国・地域等でまとめると下の表になります。

2.ETFを選ぶ際の3つの原則

このように投資対象が豊富なETFですが、実際に選ぶ際に何を基準にすればよいのか、その原理原則をおさえておきましょう。

2-1.出来高の多いETFを選ぶ

まず見るべきところが出来高です。出来高とは売買の合計数量のことですが、出来高が多いということは人気があるということです。たとえETFの価格が上昇していて分配金もたくさん貰えたとしても、出来高が少ないETFはいくら取引時間中売買できるといっても売りたい時に売れないということが起こり得ます。

売りたい時に売れないというリスクを避ける

これがよく言われる流動性リスクです。国内上場のETFは約200銘柄ありますが、出来高という点ではやはり日経平均連動型ETFから選ぶのが安心でしょう。一方、ETFの本場米国に目を向けると、日本とは比べ物にならないほど出来高の多い銘柄が多々あり、流動性の観点では海外ETFの方が選択肢は豊富です。

2-2.純資産額の大きいETFを選ぶ

純資産額とはそのETFの資産の合計のことで、純資産額が大きければ大きいほど十分な分散投資ができ運用効率の良いETFだと言えます。また、純資産額が大きいETFは運用期間も長く信頼の証とも言えるでしょう。

純資産額が小さいETFは避ける

一方、純資産額が小さいETFは当然出来高も少なく、また途中で上場廃止となるリスクもあります。上場廃止といっても株のように紙くずになるわけではなく、投資信託の繰り上げ償還と同じ意味で、その時点の資産は返還されます。ただ、上場廃止となるようなETFの価格が上がるとは考えにくいので、いずれにしても純資産額の小さいETFは避けるにこしたことはありません。

2-3.信託報酬の低いETFを選ぶ

もともと一般の投資信託に比べ信託報酬が低いのがETFの特徴ですが、そのETFの中でも信託報酬に差があります。この信託報酬をエクスペンスレシオとも言い、米国などでは開示指標としてファンドを選ぶ際に重要視されています。インデックスファンド運用最大手、米国バンガード社のETFは、特に信託報酬が低いことで有名です。ただ、バンガード社が運用するETFは国内には上場されていないので、外国株式を取り扱っている証券会社で外国株取引口座を開設する必要があります。

3.資産クラス、国・地域を選ぶポイント

続いて、ETFを選ぶ際にどんな考え方で対象資産クラスや国・地域を選べばよいのかご紹介します。

3-1.投資対象はまずは株と債券を中心に選ぶ

最初は株式と債券のみを対象とするのが良いでしょう。コモディティは比較的リスクが高いものなので、最初から取り入れる必要性は高くありません。また、あまり損をしたくないという人は債券への投資比率を高めるのが一般的な考え方です。

3-2.日本に偏らないこと

分かりやすさを重視するならば日経平均連動ETFに投資するのがセオリーですが、長期的な成長には疑問が残ります。10年後、20年後の成長を考えれば、米国や先進国、そして新興国の株式は押さえておきたいところです。また、国内債券を対象とするETFはないため自ずと海外債券を選ぶことになりますが、新興国には政情不安等のリスクもあるため、やはり米国債や米国のハイイールド債(高利回り社債)から選ぶのが良いでしょう。

3-3.円とドルに分散投資

海外資産を対象としたETFでも日本に上場され円建てで購入できるものもあります。しかし、円貨だけで資産を分散しても本当の分散効果は得られません。国内株式は円資産になるので、海外株式、債券は円建て、ドル建てに分散するのが良いでしょう。

4.長期投資におすすめの銘柄5選

個別株投資やアクティブ投信などに比べリスク・リターンが小さく、値動きがマイルドなのがETFの特徴ですが。そのため、10年、20年といった長期で運用してこそメリットを得られる金融商品です。様々なETFがある中で、特に長期保有におすすめの銘柄をご紹介いたします。なお、国内上場銘柄は証券口座をお持ちであればすぐに取引可能ですが、海外上場銘柄を取引するには外国株取引口座を開設する必要があります。

4-1.毎月分配の米国社債で高利回り運用

ETFは、運用期間中に得られた配当金など、信託報酬を除いた運用収益を決算時には原則分配することが法律で定められています。日本株ETFの場合、多くは年1回か2回の分配ですが、海外ETFでは四半期ごとや毎月分配のETFがあります。その中から毎月分配のETFをご紹介します。

iシェアーズ iBoxx 米ドル建てハイイールド社債 ETF(HYG)

このETFは長期債の格付けがBB以下の社債により構成され、過去12ヶ月間の分配金利回り5.14%と代表的な高配当ETFです。格付けが低いとデフォルトが心配ですが、そもそもETFは複数銘柄に分散投資されているのでそのリスクも低減されています。

こんな特徴のETFです。

  • 過去12ヶ月間の分配利回り5.14%の高配当
  • 格付けBB以下は「投機的格付け」と言われるが約1,000銘柄に分散してリスクを軽減
  • 株式ETFに比べると値動きが緩やかな傾向がある

iシェアーズ iBoxx 米ドル建て投資適格社債 ETF(LQD)

ハイイールド社債とは異なり長期債の格付けがBBB以上の社債により構成され、過去12ヶ月間の分配金利回り3.26%。ポートフォリオの安定に用いられる代表的ETFです。

こんな特徴のETFです。

  • 格付けBBB以上の信用力の高い社債に投資
  • 1,342銘柄と非常に多くの社債に分散しリスクを軽減
  • 価格変動は年間5~10%と他のETFに比べて小さい

4-2.成長を続ける米株に投資する

この10年間、日本株は僅か+9%弱の上昇率に対して米株は、ダウ平均+57%、S&P500が+60%、そしてナスダックは+130%という上昇率。日本との差は歴然です。将来人口推計などから考えても、米株への投資は日本株よりも良いパフォーマンスを続ける可能性が高いと考えられます。

SPDR®S&P500®ETF(US:SPY、JP:1557)

世界で最も歴史が古く純資産残高が最も多い銘柄として有名です。現在、ニューヨーク、シンガポール、日本の3市場に上場されており、ETFと代表する銘柄と言っても過言はありません。

こんな特徴のETFです。

  • 純資産残高約2,300億ドル(26兆円)と世界最大のETF
  • アップル、マイクロソフト、アマゾンなど米国の代表的な500銘柄に分散投資
  • 最低1年に1回構成銘柄が見直され、調子の悪い銘柄は新たな優良企業と入れ替え

S&P500®指数とは

  • スタンダード&プアーズ ファイナンシャル サービシーズ エル エル シーが開発した株式インデックスで、ニューヨーク証券取引所(NYSE Arca、NYSE Amex)、NASDAQに上場している銘柄から代表的な500銘柄の株価を浮動株調整後の時価総額比率で加重平均し、指数化したものです。1968年以来、S&P500®指数は、米国経済の主要セクターに連動する米国商務省(US Commerce Department)の景気先行指数のリストの一構成要素となっています。

ナスダック100連動ETF(US:QQQ、JP:1545)

ナスダック100指数に連動するETFです。ナスダック100指数は、ナスダック総合指数に組み込まれている大型株100銘柄から構成される株価指数です。

こんな特徴のETFです。

  • S&P500指数®に比べて値動きが大きい傾向がある
  • 金融以外の時価総額上位100銘柄で構成される
  • パッシブ運用の中でも動きのある投資をしたい方におすすめ

※QQQ:パワーシェアーズQQQトラスト・シリーズ1
※1545:NEXT FUND NASDAQ-100®連動型上場投信

4-3.全世界に投資できるETF

iシェアーズ MSCI ACWI ETF(US:ACWI、JP:1554)

米国アップルを筆頭にネスレやサムスン、インドのタタモーターズまで、新興国を含む世界46カ国、2,464もの銘柄が採用され、グローバルの株式市場の85%をカバーする株価指数、MSCI ACWIに連動するETFです。

こんな特徴のETFです。

  • これ1つで全世界の株式市場へ分散投資が可能といっても過言のないETF
  • ポートフォリオを組む時に、日本株、米株、債券の他に何かないかと考えた時に適したETF

5.まとめ

いかがでしたでしょうか。投資対象資産×国・地域×通貨という3つの軸で整理していくことポートフォリオを組む基本的な考え方、イコールETFの選び方となります。でも、最初はそれほど複雑に考えず、日本株、米株、債券の3等分から始めるのも良いでしょう。海外ETFを直接購入するのはハードルが高いと感じる方は、主要な海外銘柄は国内にも上場されていますので、まずは少額から始めてみてはいかがでしょうか。