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豪ドル/NZドル 高値圏へ | 自動売買の影響と対策は?

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はじめに

2025年7月以降、AUD/NZD(豪ドル/NZドル)は上昇傾向を強め、9月中旬には約2年10ヶ月ぶりに1.12台へ到達しました。背景にはニュージーランドの追加利下げ観測と景気の落ち込み、豪州の利下げに対する慎重な姿勢と世界の資源需要の高まりがあります。
本記事では価格上昇の要因と自動売買の対策について解説します。

価格上昇の要因

ニュージーランド経済の弱さと利下げ
ニュージーランド準備銀行は8月の会合で政策金利を3.0%に引き下げました。総裁は「米国の輸入関税が経済回復を遅らせている」と述べており、市場では追加利下げが見込まれています。9月18日に発表された4-6月期GDPは前年同期比-0.6%と落ち込み、景気後退への懸念からNZドルは売られやすい展開となっています。

豪州の金融政策スタンスと資源需要の高まり
一方で、豪州準備銀行は、同様に8月の会合で政策金利を引き下げましたが、「ペースは急がず段階的に進める」との方針を示しました。市場では「年内は1回程度の利下げにとどまる」との見方が強く、豪ドル高を支える要因となっています。

さらに中国のインフラ投資期待を背景に鉄鉱石の輸入が拡大し、価格が上昇しています。豪州は鉄鉱石の主要な輸出国であるため、価格上昇と最大の貿易相手国である中国の需要回復が重なったことで、豪ドル高に繋がっています。

AUD/NZDの値動き

9/19現在、AUD/NZDは1.12半ばで推移しています。
過去およそ10年間の推移を振り返ると、高値は2015年につけた1.14台、2022年に1.15手前があります。これらの水準まで上昇した後は、いずれも反落しレンジの中央へ戻る動きとなりました。現状も1.12に達しており、今後の動きが注目されます。

※2014年1月1日~2025年9月18日におけるAUD/NZDの週足・終値の推移(インヴァスト証券作成)

レンジ戦略では、一定の範囲内で上下動を繰り返すことを狙いとしており、レンジ内での上下動は収益機会につながる可能性があります。一時的な相場の変動に一喜一憂するのではなく、中長期的な視点で安定した運用を継続することが重要です。
ただし、価格が一方向に推移する場面では、評価損やマイナススワップの負担が大きくなる場合があります。この対策として複数銘柄を組み合わせたポートフォリオ運用が有効です。

複数銘柄稼働で損失をカバー

ポートフォリオとは一つの銘柄に集中するのではなく、複数の通貨ペアを組み合わせて運用する方法です。値動きや現在のスワップの方向が異なる通貨ペアを組み合わせることで、利益と損失を相殺しやすくなり、安定した収益を狙うことが出来ます。いくつか組み合わせの例を紹介します。

AUD/CAD
豪州とカナダはエネルギーを中心とした資源国で、両中央銀行は利下げに慎重な姿勢を取っています。そのため比較的安定した値動きの一方、足元では豪ドル高を背景に上昇しています。同じ豪ドルでも、AUD/CADにおいては10年間のレンジの中心に向かう動きとなっています。

EUR/GBP
ユーロ圏と英国の要因で価格が推移しやすいため、AUD/NZDと値動きの連動性が低い通貨ペアです。そのため豪ドル高が進む場面でも影響を受けづらいため、損益の分散が図られ、運用のバランスを取りやすくなります。世界通貨セレクトの自動売買ロジック「ユーロ/英ポンド」においては、現在はスワップを受け取れる売注文の価格帯で推移していることから、AUD/NZDのマイナススワップと相殺する効果が期待できます。

さらに今後上昇が続いた場合、証拠金の余力を高めるため入金や一部の建玉を決済する方法が考えられます。いずれも有効比率を改善し、ロスカットを防ぐ効果があります。

まとめ

AUD/NZDの上昇は、ニュージーランド経済のマイナス成長と利下げ観測、豪州の慎重な金融政策と資源需要の回復が重なったことが背景にあります。過去の値動き同様、高値圏では反落の可能性もありますが、複数ペアの稼働や証拠金管理によって安定的な運用を目指していきましょう。