≪どうなる?2026年のユーロ円相場~年間相場見通しと戦略≫
“ECBは据え置き継続、ウクライナの情勢の変化には注意”
※本記事は2025年12月末時点に作成しております。文中の内容は作成時点の情報に基づくものとなっております。
【2025年のユーロ円相場を振り返って】
2025年のユーロ円相場は、堅調な上昇から歴史的な高値を更新しました。
年初は162.81からスタート。ただ、日銀が半年ぶりに政策金利を0.25%引き上げ0.50%としたこと、ECBが0.25%の利下げを実施したことから154.80まで一時下落、またトランプ大統領が、カナダとメキシコに対する関税を25%に引き上げ、その後も世界的に関税を引き上げることを次々と発表、特に対抗措置として中国が、レアアースの輸出規制を発表したことなどから、世界的な株価の大幅下落を伴って、大きなリスクオフの動きが一時広がりました。ただ、独連邦議会選挙で、SPDが第3党へ転落するも、CDU/CSUとSPDは連立交渉中の2025年3月に基本法(憲法に相当)を改正し、防衛費やインフラ投資を債務ブレーキの枠外とする規定を設けました。これにより大規模な財政出動が可能となり、6月には2025年度予算案と2026~2029年の中期財政計画を閣議決定し、従来の緊縮路線から成長と近代化を重視する積極投資路線への転換を打ち出しました。加えて中国の対応が強固だったことから、米政権が対中関税を緩め、主要諸国もトランプの相互関税に対して、迎合的な態度を示したことから、株価が年初来安値圏から反転に転じたことなどから、ECBが3月、4月、6月と0.25%の利下げを継続するも、リスク回避の動きに巻き戻しの動きが優勢となりました。
その後も中東やウクライナ情勢の不安が続きましたが、ECBが7月から政策金利を2.15%で据え置きを決定したことがユーロ相場の下支えとなりました。ただ、米国が債務上限法の問題から米政府が史上最長の政府閉鎖となったことから、米雇用統計など重要な経済指標の発表が滞り、市場に警戒感が残りました。一方日本では、参院議員選挙で、自公民が過半数割れとなり、石破首相が辞意を表明、自民党総裁選で高市氏が勝利、公明党が連立から離脱を表明するも、想定外に日本維新の会が新規に連立を組むことになり、高市総理が実現。高市氏の政策が財政拡張や低金利政策を目指していることから日本株高、円売りの「高市トレード」が強まりました。日経平均株価が年末に向けて5万2千円台まで上昇、日本の長期金利の上昇や仏の財政不安にも、ユーロ円相場も前年の歴史的高値となる175.43を上抜け、184.92まで上値を拡大して年内の取引を終了しました。

【2026年の主な材料】
以下が現在、知り得る2026年のイベントや材料です。注目度の高いものは赤字で表示しています。ただ、あくまで予定ですので変更される可能性があることは、ご了承ください。

【2026年の注目点】
2025年の相場展開を踏まえて、2026年のユーロ円相場の注目点をまとめてみました。
・米中間選挙
・トランプ相互関税の違憲判決と債務上限問題
・ECBと日銀の政策スタンス
・ウクライナ情勢
・高市トレードと円買い介入
・2026年のユーロ圏経済
〇 米中間選挙
今年はトランプ大統領2期目で米中間選挙の年となります。この行方はトランプ政権の最大の関心事となりますが、現状の見通しは、下院は民主党有利、上院は共和党が票を維持すると見通しが主流となっています。3月の一部予備選からスタートしますが、この話題は夏場以降まで、市場の大きな関心とはなりづらいでしょう。
ただ、その場合は昨年の「トリプル・レッド」から議会に捻じれが発生します。捻じれとなった場合、米下院でトランプ大統領の3回目の弾劾裁判が行われる可能性が一部指摘されています。この話題も問題となるのは来年以降となるでしょうから、年内の相場に影響を与えることはなさそうです。ただ、またぞろ相場の混乱となることは、一応念頭に入れておきましょう。
尚以下は米国の中間選挙の年の相場傾向を1990年の価格を基準に調整したNYダウ、ドル・インデックス、ドル円の年初からの動向を比較したチャートです。
総じてNYダウは、中間選挙前に調整を強める傾向があることは覚えて置いてください。また、ドル自体やドル円はあまり上昇傾向が見えていないことも注目しましょう。
確かに毎回そうなるとは断言できませんが、現状の株価高や円安を考慮するとこのようなら展開となる可能性も考慮しておきましょう。



〇 トランプ相互関税の違憲判決と債務上限問題
昨年トランプ大統領が、議会の承認を得ないまま、IEEPA(国際緊急経済権限法)を根拠に、合成麻薬フェンタニルの国内への流入を理由としてカナダとメキシコ・中国への追加関税を発令したことをスタートに、世界的に相互関税を発動させた行為が、大統領権限の逸脱に当たると米司法の第1審と2審で、「大統領権限を逸脱している」などとして違憲とするとの判断が示されています。
これに対して、今年1月以降最高裁が最終判断を示します。違憲と判断されれば政権側が1335億ドル、日本円で約20兆円の関税収入を企業に返還する必要に迫られる可能性があると報じられています。一方トランプ政権は、敗訴しても法的な根拠を差し替えれば同様の関税を徴収しつづけることができるとしています。この結果がどうなるかはわかりませんが、トランプ大統領は、この関税収入を当てにして、様々な税制優遇や財政政策を既に発表しています。もし、この関税収入の返還を迫られた場合、現状既に米国の債務上限法の上限にまで達している財政赤字に、更に赤信号が灯ります。
米国の債務上限法では、政府が国債発行などで借り入れできる金額の法的な上限を定めていて、これは政府支出の予算編成とは異なる枠組みで定められています。上限に達すると、議会の承認がない限り新たな借入ができなくなり、国債の元利払いが滞る「デフォルト(債務不履行)」が発生します。
ご存じの通り昨年10月には、これに抵触する形で、史上最長の政府閉鎖となっています。現在は、一旦引き延ばしの形で政府閉鎖は解除されていますが、今後も財政出動の状況次第では、また上限を上回る可能性が高く、前述のトランプ関税の違憲判決と絡めると考えると本年も大注意の話題となりそうです。その場合、FOMCが利下げを段階的に実施しても、国債の増発から米長期金利が下げ止まらず、これが米経済を圧迫し、米国の格下げのリスクにもつながるかもしれません。その場合米金融市場に大きな悪影響を与える可能性も想定されそうです。
今年もこういったリスクが最大の注意ですが、参考に下記に米10年物国債利回りの、月足チャートを掲載しておきます。テクニカル面からは、若干揉み合い気味ですが、下値はサポートが支えています。こういった状況が続くなら、下段のスロー・ストキャスティクスが既に反転の兆しを示しており、金利が再度5%方向への「悪い金利」上昇リスクとなることは考慮しておきましょう。

〇 ECBと日銀の政策スタンス
ECBは、パンデミックでマイナス金利まで引き下げていた政策金利を、ウクライナ紛争を受けた原油・資源価格の上昇を背景に、2022年6月から引き上げを開始。2023年9月の会合では、4.50%まで引き上げましたが、2024年6月から利下げを開始。2025年では、1月から6月まで4会合連続で0.25%まで利下げし、政策金利を2.15%まで引き下げた後は、現状は2.15%で据え置きを継続しています。
今年の欧州委員会やOECDのユーロ圏インフレ率の予測は、ECBのインフレ目標に迫る1.70%から2.00%程度まで低下する見込みとなっています。また、成長の見通しは、プラスを維持するも緩やかなものとなることが主流となっています。
そうなると今年ECBは、大きな市場の混乱がない限り、政策金利を現状で維持する可能性が高いと見られています。
一方日銀は、昨年1月に0.25%の利上げ後、12月まで金利を据え置いたことから、日銀が利上げに消極的との見方から、円安をフローしました。現状日本の政策金利は、0.75%まで上昇していますが、高市政権のプレッシャーや日本経済自体が総じて強い状況とは言えず、今年も利上げには慎重な姿勢を続けそうです。もし利上げがあっても0.25%の利上げが1回、最大でも2回程度が限界となるでしょう。
通常円相場は、日本と各国の金利差の影響を大きく受けますが、現在日欧金利差は直近ピークの4%台から2%を割れる水準まで落ちています。ただ、ユーロ円相場は、この金利差を無視する形で、上昇を続けています。ただ、前述の通りECBが今年一杯政策金利を据え置き、日銀の利上げが1回程度に留まるなら、日欧金利は1%まで低下する可能性があります。流石にアベノミクス・黒田バズーカの時期の金利差がほぼゼロの時代に戻ることはなさそうですが、ユーロ円相場がこの上昇を維持出来るとは考えない方が良さそうです。

参考に2026年のECB理事会の開催日程を掲載します。特に来年前半は、ECBの利下げが続く可能性が高いことで、注目しておいて下さい。
≪ECB理事会≫(議事録公表日)
02月05日(03月05日)
03月19日(04月16日)
04月30日(05月28日)
06月11日(07月09日)
07月23日(08月13日)
09月10日(10月08日)
10月29日(11月19日)
12月17日(01月07日)
(4週間後の木曜日に議事録公表)
以下が2026年の日銀金融政策決定会合や議事録の公表日です。日銀の政策の行方が、来年のドル円相場を左右するでしょう。しっかりと押さえておきましょう。
≪日銀金融政策決定会合≫(議事録公表日)
01月23日+展望リポート公表(03月25日)
(01月28日:12月18-19日開催分の議事録)
03月19日(05月07日)
04月28日+展望リポート公表(06月19日)
06月16日(08月05日)
07月31日+展望リポート公表(09月28日)
09月18日(11月05日)
10月30日+展望リポート公表(12月23日)
12月18日
〇 ウクライナ情勢
トランプ政権は、来年2月で4年目に突入するウクライナ戦争の終結に向けて、昨年年末に、ウクライナとロシアに対して「28項目の包括的和平案」を提示しました。内容の全ては公開されていませんが、次のような内容・条件が含まれていたとされています。
・領土問題に対する大きな譲歩:ウクライナが現在支配している
東部ドンバス地域やクリミアの扱いに関し、現在の戦闘線を「凍結」し、
ロシア側の実効支配を事実上認める。
・軍事力の制限:ウクライナ軍の規模や兵器の種類に制限を設ける。
・ロシアとの関係正常化の示唆:ロシアを国際的な枠組みに戻す可能性や、
米露の共同の安全保障のメカニズム形成を示唆する。
・NATO非加盟・安全保障保証の枠組み:トランプ案では、ウクライナがNATO加盟を放棄する
代わりに、米国と欧州主要国が集団的安全保障保証を提供する枠組みを設ける。
(NATO第5条に類似した保証を提供するという提案)
ただ、ウクライナ側は強い反発を示し、一部削除・修正されたことも報じられています。この修正版では、当初報じられた軍の規模制限などの厳しい条項の一部が外されたとされています。
国際社会では、トランプ案は従来の欧州中心の和平構想に比べてロシア寄り・ウクライナに譲歩を強いる側面が強いとの評価が出ています。批判的な見方としては、この案によって侵略を事実上容認する結果になりかねないとの指摘があります。
現状は、提案された案は議論・修正が続いており、現在も最終合意には至っていません。
今年もウクライナ情勢は、ユーロ相場に大きな影響を与えると思われます。
今後も状況の改善が見えない場合、2026年中もリスクオフに対する警戒感が続くでしょう。
一方解決が見えた場合、株価などは好感すると思われますが、ただドルが買われるかはわかりません。ウクライナ戦争での懸念が、過去4年上値を押さえていた欧州通貨、特にユーロ、スウェーデン・クローナ、ノルウェー・クローネ、ポーランド・ズロチなどの対ドルでの買い戻しにつながる可能性で見ています。また、原油や金には利食いが出てくるでしょうが、特に大幅な上昇を示現している金相場には、大きな調整リスクとなるかもしれません。
以下に現状のNYのドル建て金価格の月足チャートを確認してみましょう。
金価格は2024年1月からの急騰を続けています。テクニカルからは、歴史的高値で、上値の目途の算出は不可能です。一応上昇がスタートする前の2020-2023年の高値の平均値2096ドルの2倍、1.5倍、3倍の値段を目途とすると既に2倍を超えていることで、今後1.5倍の5240ドル、3倍の6288ドルまでの上昇もあるのか注目しておきましょう。ただ、こういった一過性の上昇を見る限り、ウクライナや中東情勢が一定の落ち着きを示し、世界的にインフレが収拾するなら調整リスクが大きくなる可能性もあり、少なくとも上昇前のネックラインとなりそうな3500ドル程度までの下落は想定しておきましょう。

〇 高市トレードと円買い介入
昨年高市総理就任前後から、円売り株高や日本の長期金利上昇が強まっています。市場の理解としては、高市氏のこれまでの発言や政策姿勢から、一般に以下のような政策スタンスを持つと認識されています。
・積極的な財政政策(大型補正、国防・産業投資)
・デフレ脱却を重視、金融引き締めに否定的
・安全保障・防衛関連支出の拡大志向
・トランプ政権に対する迎合
これらを前提に、高市政権の支持率の高さもあって、期待感から特定の資産が有利になるとの思惑で株買い、円売り、国債売りが行われる取引が「高市トレード」と呼ばれています。
ただ、注意しなければならないことは、高市政権に、未だこういった実績がある訳ではありません。自民党自体の支持率は低く、今後予想される衆院解散総選挙でも、連立の混乱もあって政権維持も確定的ではありません。期待感先行の取引であって、ファンダメンタルズというより、政治イベントドリブンのテーマ取引として理解するのが適切です。
一方では国民の間から円安による物価高に不満が高まっています。前述の「高市トレード」から円安が拡大していることにも物価安定を目指す高市総理に批判が見えています。どうにか政権としては、人気取りもあって円安を止めようと片山財務大臣や財務省から円安牽制発言が続いていますが、全く効果は見えていないようです。
そうなるとやはり財務省の「伝家の宝刀」、円買い介入は現実味を帯びてきます。
ただ、実際2022年や2024年も、財務省が強力な円買い介入を実施しましたが、需給面の円売りニーズが強く、効果は一過性で終わっています。
過去、当局の介入は「短期的には効果があるが、中期的には効果はない」と指摘されるように、相場のトレンドを変えることはありません。ただ、一方では超長期で考えると1995年の超円高時期の円売り介入、2003-4年の溝口介入と結果的に効果を示したと言えます。ですがこういった介入は全て「円売り介入」であって、自国通貨である円は、無尽蔵に介入が可能ですが、他国通貨である「円買い介入」には限界があると言えます。
それでは「ドル売り(円買い)」介入の原資となる日本の外貨準備の状況を見てみましょう。
以下は直近介入前の2022年からの外貨準備と「円買い介入」の状況をプロットしたチャートです。
2022年の介入後外貨準備はある程度増額しています。また、2024年も959億ドル程度の介入を実施しましたが、それほど外貨準備額は減少していません。若干決済の時差やスワップ取引などを利用していた場合、増減の具体的な要因は把握できませんが、外貨準備のほとんどが米国債で運用されています。つまり、「円売りドル買い介入」を実施しない場合でも、米国債からの運用益で外貨準備は増加します。これはざっくりとした計算ですが、もし年2%の運用利回りと仮定した場合で、毎年200億ドル程度、3%なら300億ドル程度外貨準備が増える計算になります。2022年の介入額は約426億ドル、2024年は959億ドルで、これを短期で続けながら1兆ドルレベルを維持するのは難しいとしても、現在は2023年レベルまで外貨準備を回復しており、この運用利回りを考慮すれば「円買い介入」の余地はあると思います。
一方介入レベルに関しては、「急激な変動を避けるため」と言っても、財務省や財務官がどういうレベル感や論理でタイミングを決めているか根拠は不透明です。ただ、実際の介入実績から2022年は恐らく150円の防衛、2024年は160円の防衛が主眼となっているように感じられます。そうたびたび出来るわけではありませんが、少なくとも次の161.95の高値を脅かす状況となれば、間違いなく介入してくるとみています。
実際この点に関しては、想像しても意味はありませんが、少なくとも円安が一過性に進んだ場合も、安易にドル円の上値を追いかけるのは避けておいた方が良いでしょう。
近年「円買い介入」が実施された場合、一気にドル円相場では、4-5円の円高が進むケースが多いようです。ユーロ円の現状相場からは5-6円円高に進む可能性もあります。
あくまでこういったタイミングで、円が上昇した場合に円を売る姿勢の方が、メリットが大きいことは覚えておいてください。

〇 2026年のユーロ圏経済
2025年のユーロ圏経済は、ECBの政策金利の引き下げの効果もあって、比較的堅調となりました。では、2026年はどうなるでしょう。
一応欧州委員会、OECDやECBのスタッフ予測では、AI投資・消費者の回復を要因として、穏やかな拡大が想定されています。ただ、貿易・輸出の減速が重荷となるリスクも指摘されており、経済は抑制された回復基調を維持する一方、大きな加速は見込まれていません。
・成長はプラスだが緩やか(GDP成長率の予測は0.9%~1.4%中心)
・インフレ率は、1.7%~2.0%程度まで低下する見込みで、これはECBのインフレ目標(2%)に近い水準です。
・雇用は底堅いが構造的課題が残る。
・金融政策は慎重な進行が予想され、急激な変動は想定されにくい。
・貿易・地政学リスクや投資環境が不確実性を高める要因。
従って、ユーロ圏経済は2026年に「安定的で緩やかな成長」を維持する一方、外部環境や構造的課題による下方リスクが依然として存在するという見通しがコンセンサスとなっています。こういった状況を踏まえると2026年中、ECBは現状の2.15%の政策金利を維持すると考えます。
参考に以下にユーロ圏の製造業とサービス業PMIの推移を掲載しておきます。
現状景気の分水嶺となる「50」を挟んだ動きとなっています。今年もこの動きが続くなら前述の通り、ユーロ圏経済の穏やかな展開が想定されそうです。

【テクニカル面】
≪ユーロドル≫
それでは、ユーロ円を構成するユーロドル相場の1999年からの月足チャートを見てみましょう。
歴史的な高値1.6040からの調整を、1.0341の安値で一旦支えるも、反転が2018年2月の1.2555や1.2349の戻り高値でダブル・トップを形成。その後0.8225からのサポートを割れて、0.9536まで下値を拡大しました。ただ、この位置はユーロドルの歴史的な安値からの反発時のネック・ラインとなる0.9596-0.9601を若干割れた位置で、一定の反発が実現しました。その後1.1276と1.1214で小さなダブル・トップをつけて再度調整気味の展開から1.0178で支えて、ダブル・トップを前に1.1919まで反発しました。
現状は1.1919が上値を抑え続けるなら、下段のスロー・ストキャスティクスの買われ過ぎからの反転下落を実現する可能性が高く、その場合1.1276-14の小さなダブル・トップ、1.1065程度前の調整の可能性が残っています。更なる調整は不透明ですが、この位置を割れると1.0178や1.0000のサイコロジカルの戻り安値が再視野となり、もし、0.9536まで割れると下落は0.9298や0.9568,更に0.8344、最悪のケースは、0.8225のユーロドルの歴史的な安値割れとなります。
上値は、あくまで1.1919を超えて、過去のネック・ライン、1.2349や1.2555の戻り高値がターゲットとなりますが、時期にもよりますが、恐らく1.6040の高値からのレジスタンスに接地する形からは上抜けは簡単ではなさそうです。
以上を踏まえて、テクニカル面からユーロドルの2026年の想定レンジを1.1000から1.2000を中心に考えます。ただ、もしウクライナ情勢に大きな変化が出た場合、混乱が生じる可能性があることは注意ですが、悪い状況となれば、これは想定するのは危険ですが、もしロシアが戦略核をつかうなんてことがあれば最悪です。その場合0.9500や0.9000などのリスクとなるかもしれません。一方解決の道が見えて、ウクライナが完全に平和が訪れるなら、1.2000越えもあるかもしれません。

≪ドル円≫
テクニカル面からまず2011年からの月足チャートをみてみましょう。
75.31の歴史的な安値から125.86まで反発後、102.59が下値を支えてサポート形成から、151.95の高値、127.23を支え、161.95まで上値拡大しています。
エリオット的な波動の観点から見ると、まず長期波動からは75.31から125.86を第1波、125.86から102.59を第2波、102.59から151.95を第3波、151.95から127.23を第4波と仮定するなら、次の第5波の位置が焦点となります。ただ、この位置は151.95と161.95の可能性が指摘されますが、その後は高値圏で保合となっており、第5波の確定は139.58-89のネック・ラインをしっかりと割れるまでは確定できません。
一方より短い期間として102.59からの上昇波動から見ても、161.95の高値が第5波のトップにならない限り確定は難しい状況です。しかも、161.95から158.87の高値を結んだレジスタンスを現状は上抜けています。
これを前提に考えるとまだ高値付きは確定できておらず、下段に示したスロー・ストキャスティクスの面からは、既にゴールデン・クロスが示現していて、今後も上昇波動が続く可能性が示唆されています。その場合で161.95の高値を超えるなら、上値は161.95から139.58の下落幅22.37を161.95から上げた184.32までの上昇が指摘されることになります。辛うじて上昇が止まるとしても、最低でも2026年も140-162円レンジでの揉み合い相場とみるしかなさそうです。

一方1989年からの超長期のドル円相場の月足チャートを見てみましょう。
ドル円相場は、1990年の160.35の高値から、2011年10月の75.31まで下落後、2022年10月には、160.35の高値と、147.66や125.86の高値を結んだレジスタンスを越えて、上下しながらも151.95まで急反発しました。ただ、この位置から127.23まで急落。チャート形状から「D」の75.31をボトムとして、「C」と「E」をアームとした「リバースH&S」が一旦確定したと見られました。
ただ、下値は「D」をベースとしたネックラインが逆サポートして、更に反転がこの高値を超えて、161.95まで上昇しています。つまりこのリバースH&Sの前提が崩れた形となっています。
また、日柄からは「C」から「D」の経過日数が13年2ヵ月で、この「D」から同日数の結果を考えると2024年12月が次のピークとなるべきです。これは実際には2025年1月の158.87がこれに該当する形で、日柄からみたピークは「E」の位置となります。
この「E」がピークとなるのか、そうでないのかは、2026年の相場を見る上で重要となります。
もし、この「E」がピークとなるなら、「G」への下落は、3年4か月経過の2028年4月まで続く形が想定されます。一方「E」がピークとならない場合は、逆に「F」への方向への上昇が、「A」からの経過を考えると2032年4月まで続く可能性が指摘されます。その場合の次のターゲットは、1978年の安値177.06、更には1981年の安値199.06となります。

つまり結論的には、テクニカル面からだけでは、2026年の相場を見通すことは難しいと思われます。基本は買いも、残念ながらあくまで今後の動向を確認しながら対応することをお勧めします。
従って、ドル円の2026年の想定レンジを140円から162円とします。
≪ユーロ円≫
最後にユーロ円自体の月足チャートです。
ユーロ円相場は、169.97の史上高値示現後は、94.12で下値を支えて、149.79の高値から109.57まで値を下げた後、114.41でサポートを形成、2020年以降は堅調な上昇を続け歴史的な高値超えて175.43、更にこれも154.42-80を維持して、高値を超えて184.92まで上昇しました。
今後も更に上昇を継続するかは不透明ですが、波動的には、169.97と94.12から形成された大きな三角保合を抜けた時の安値114.41からの波動が、既に第5波の位置にあることは注意しておきましょう。ただ、現状は計算値からは、高値付きは断定できず、149.79から94.12まで下落を149.79から上げた205.46、114.41から175.43までの上げ幅を154.42から上げた205.46などが算出されます。これはあくまで直近高値やサイコロジカルな190円や200円を越える状況となりますが、あくまで計算値からの想定であることはは留意しておいてください。
一方下値は、①のサポートからは165円から170円が維持されると堅調が続くも、154.42を割れてくると下段のスロー・ストキャスティクスが買われ過ぎから反転に転じ、②のサポートと重なる149.79方向までの調整リスクとなります。こういった位置は流石に維持されると思いますが、最悪は③のサポート・レベルとなる137.50までの下落となります。

≪マトリックス・チャート≫
また、ドル円とユーロドルの2025年の想定レンジから、マトリックス・チャート(価格帯によるクロス円の位置)を確認しておきましょう。
ユーロドルの想定レンジを1.1000~1.2000、ドル円を140.00~162.00としましたので、これから算出されるユーロ円の最大想定レンジは154.00~194.40となります。ただ、ここまで大きなレンジは想定できないので、このレンジの中心値となる174.20に過去10年の平均変動幅28円を勘案して、160.00から188.00がレンジとして想定されそうです。

【予想レンジと戦略】
以上を勘案して、2026年のユーロ円の想定レンジを、160.00から188.00とします。
≪2026年の注意点≫
・米中間選挙や地政学リスクを睨んで荒れた展開となる可能性を考慮しましょう。
・テクニカル的には押し目買いですが、短期的には円買い介入を常に意識して対応。
・歴史的な高値圏で様子見を考えるなら、介入が入った場合の下落では、
常に買いから攻めてみましょう。こういった下落局面をじっくりと待つことも一考です。
・原油価格の低迷から日本の貿易収支に改善が見えるならトレンドの変更の可能性も
考慮しましょう。
・ウクライナ情勢が完全に終息するなら、ユーロは大きな買い戻しとなるでしょう。
・クロス円の場合、ストレートの動き次第では、テクニカル的なポイントと
合致するとは限りません。オーバー・シュート的な騙しの動きも留意してください。
≪2026年のユーロ円の戦略≫
それでは、ユーロ円相場の来年の具体的な中期戦略についてお話します。
歴史的な高値圏にあって、ここからの上昇は様子見が良いでしょう。積極的なら売りも検討する形ですが、その直近の高値を超えるなら止めるスタンスが良く、利食いも下げが甘ければ買い戻しながら対応するか、コストにストップ・ロスを置いて、ポジションを維持するのが安全でしょう。あくまで買いは、しっかりと押し目を待つ形が良く、前述の通り、当局の円買い介入が入る局面では、常に良い買い場となりますが、これもそれまでの高値が上値を抑えるなら利食いを優勢しましょう。
レベル感からの買い場は160-170円ゾーンですが、これも154.42や153.14の戻り安値をしっかりと割れるなら止めるスタンス。またもし、149.73の過去の高値を割れるケースでは、トレンドが変わる可能性があるので、買い戦略は短期的なものに限られそうです。
また、タイミング的な注意点は以下となります。こういった面も勘案しながら、戦略を立てて頂ければと存じます。(詳細は、ドル円相場の2026年見通しの「ドル円の季節性」を参照ください)
①1-3月期は、本邦のレパトリ・シーズンで円高気味となり易いこと。
②4月からは、本邦の新年度入りもあって、円売りが入り易い。
③一方ドル円でも、例年アノマリー的に、7月や8月中旬に瞬間的な円高が示現することが
多いことは注意ですが、逆にこの時の急な円高は、年末に向けて絶好の円の売り場となることも、
覚えておいてください。
④9月のレイバーデー明けからは、年末に向けて方向性が出易い時期です。
この時期に一定の動きが見えた場合、逆張りで向かわないようにしましょう。
以上一応テクニカルやファンダメンタルズからシナリオをたてましたが、ひとつの例として考えてください。この通りとなるほど、相場は簡単ではありません。あくまで私個人の35年来の経験則から想定したイメージ的なものですので、ご理解頂ければ幸いです。
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だいまん氏 |
| 1957年生まれ。青山学院大学英米文学科卒。アジア系外銀にて、外国為替の貿易事務に5年、マネー、債券、為替ディーラーを10年歴任。ディーリングおよび決済関連業務に精通。2002年の資金部次長時代に、20年間勤務した同銀行を退職。銀行在籍時より運営していた為替予想サイト「円を救え」をベースに、個人の為替証拠金取引の拡大を支援するために、相場予想および為替取引の個人向け実地教育を中心とした(株)FXSCを設立。著書に「外貨建て投資入門&実践ガイド」エム・ケイ・ニュース社佐藤利光・だいまん共著がある。ホームページ:「円を救え」短期為替予想サイト |

