マーケット

≪どうなる?2026年の南アランド円相場~年間相場見通しと戦略≫

get_post_meta($thumb_id, '_wp_attachment_image_alt', true)

“金などの資源価格の上昇や高金利を頼りに投資するのは避けたい”

※本記事は2025年12月末時点に作成しております。文中の内容は作成時点の情報に基づくものとなっております。

【2025年の南アランド円相場を振り返って】

 2025年の南アランド円相場は、一時の調整からも、堅調な上昇となった。
 年初は8.33からスタート。ただ、トランプ大統領が、南アの白人迫害や土地没収を根拠に、南ア援助の停止を発表、日銀が半年ぶりに政策金利を0.25%引き上げ0.50%した一方、南ア準備銀行が0.25%の利下げ、トランプ大統領が、カナダとメキシコに対する関税を25%に引き上げ、その後も世界的に関税を引き上げることを次々と発表、特に対抗措置として中国が、レアアースの輸出規制を発表したことなどから、世界的な株価の大幅下落を伴って、大きなリスクオフの動きが一時広がりました。南アランド円相場は7.26の安値まで下落しました。
 ただ、中国の対応が強固だったことから、米政権が対中関税を緩め、主要諸国もトランプの相互関税に対して、迎合的な態度を示したことから、株価が年初来安値圏から反転に転じたことなどから、南ア準備銀行が5月に0.25%、7月に0.25%の利下げを実施、トランプ政権が南アに30%の相互関税を課すも、リスク回避の動きに巻き戻しの動きが優勢となりました。
 その後は中東やウクライナ情勢の不安、米国が債務上限法の問題から米政府が史上最長の政府閉鎖となったことから、米雇用統計など重要な経済指標の発表が滞り、市場に警戒感が残ったことで、揉み合い気味も下値を8円前後で支えて堅調を維持しました。
 一方日本では、参院議員選挙で、自公民が過半数割れとなり、石破首相が辞意を表明、自民党総裁選で高市氏が勝利、公明党が連立から離脱を表明するも、想定外に日本維新の会が新規に連立を組むことになり、高市総理が実現。高市氏の政策が財政拡張や低金利政策を目指していることから日本株高、円売りの「高市トレード」が強まりました。
 またトランプ大統領が、南アG20サミットを欠席するも、S&Pの南アフリカの格上げもあって、南アランド円は、9.48の高値をつけて、高値圏で年内の取引を終了しました。

【2026年の主な材料】

 以下が現在、知り得る2026年のイベントや材料です。注目度の高いものは赤字で表示しています。ただ、あくまで予定ですので変更される可能性があることは、ご了承ください。 

【2026年の注目点】

  2025年の相場環境を踏まえて、2026年の南アランド円相場の注目点をまとめてみました。

・米中間選挙
・トランプ相互関税の違憲判決と債務上限問題
・南ア準備銀行と日銀の政策スタンス
・高市トレードと円買い介入
・トランプ政権の圧力
・2026年の南アフリカ経済
・資源価格との連動性

〇 米中間選挙

 今年はトランプ大統領2期目で米中間選挙の年となります。この行方はトランプ政権の最大の関心事となりますが、現状の見通しは、下院は民主党有利、上院は共和党が票を維持すると見通しが主流となっています。3月の一部予備選からスタートしますが、この話題は夏場以降まで、市場の大きな関心とはなりづらいでしょう。
 ただ、その場合は昨年の「トリプル・レッド」から議会に捻じれが発生します。捻じれとなった場合、米下院でトランプ大統領の3回目の弾劾裁判が行われる可能性が一部指摘されています。この話題も問題となるのは来年以降となるでしょうから、年内の相場に影響を与えることはなさそうです。ただ、またぞろ相場の混乱となることは、一応念頭に入れておきましょう。
 
 尚以下は米国の中間選挙の年の相場傾向を1990年の価格を基準に調整したNYダウ、ドル・インデックス、ドル円の年初からの動向を比較したチャートです。
 総じてNYダウは、中間選挙前に調整を強める傾向があることは覚えておいてください。また、ドル自体やドル円はあまり上昇傾向が見えていないことも注目しましょう。
 確かに毎回そうなるとは断言できませんが、現状の株価高や円安を考慮するとこのような展開となる可能性も考慮しておきましょう。

〇 トランプ相互関税の違憲判決と債務上限問題

 昨年トランプ大統領が、議会の承認を得ないまま、IEEPA(国際緊急経済権限法)を根拠に、合成麻薬フェンタニルの国内への流入を理由としてカナダとメキシコ・中国への追加関税を発令したことをスタートに、世界的に相互関税を発動させた行為が、大統領権限の逸脱に当たると米司法の第1審と2審で、「大統領権限を逸脱している」などとして違憲とするとの判断が示されています。
 これに対して、今年1月以降最高裁が最終判断を示します。違憲と判断されれば政権側が1335億ドル、日本円で約20兆円の関税収入を企業に返還する必要に迫られる可能性があると報じられています。一方トランプ政権は、敗訴しても法的な根拠を差し替えれば同様の関税を徴収しつづけることができるとしています。この結果がどうなるかはわかりませんが、トランプ大統領は、この関税収入を当てにして、様々な税制優遇や財政政策を既に発表しています。もし、この関税収入の返還を迫られた場合、現状既に米国の債務上限法 の上限にまで達している財政赤字に、更に赤信号が灯ります。
 米国の債務上限法では、政府が国債発行などで借り入れできる金額の法的な上限を定めていて、これは政府支出の予算編成とは異なる枠組みで定められています。上限に達すると、議会の承認がない限り新たな借入ができなくなり、国債の元利払いが滞る「デフォルト(債務不履行)」が発生します。
 ご存じの通り昨年10月には、これに抵触する形で、史上最長の政府閉鎖となっています。現在は、一旦引き延ばしの形で政府閉鎖は解除されていますが、今後も財政出動の状況次第では、また上限を上回る可能性が高く、前述のトランプ関税の違憲判決と絡めると考えると本年も大注意の話題となりそうです。その場合、FOMCが利下げを段階的に実施しても、国債の増発から米長期金利が下げ止まらず、これが米経済を圧迫し、米国の格下げのリスクにもつながるかもしれません。その場合米金融市場に大きな悪影響を与える可能性も想定されそうです。
 今年もこういったリスクが最大の注意ですが、参考に下記に米10年物国債利回りの、月足チャートを掲載しておきます。テクニカル面からは、若干揉み合い気味ですが、下値はサポートが支えています。こういった状況が続くなら、下段のスロー・ストキャスティクスが既に反転の兆しを示しており、金利が再度5%方向への「悪い金利」上昇リスクとなることは考慮しておきましょう。

〇 南ア準備銀行と日銀の政策スタンス

 南ア準備銀行は、2021年11月に過去最低水準となる3.5%の政策金利から、世界的なインフレ上昇を背景に、2023年には8.25%まで引き上げた政策金利を、2025年1月、5月、7月、11月と各0.25%ずつ引き下げ、現状は6.75%まで低下させています。
 ただ、既に南アの前年同月比での消費者物価指数は、2.70%と2020年の2.10%に迫る下落となっています。南ア準備銀行が目指すインフレ目標は、3%から6%となっています。昨年11月の南ア準備銀行の理事会の声明では、「政策スタンスを緩和する余地がある」としていますが、一方でクガニャゴ南ア準備銀行総裁は、「不確実な環境下では慎重な対応が必要」としています。2026年に更なる利下げを強めるかは不透明です。また、南ア準備銀行の懸念は、対ドルでの南アランド安で、「外貨購入は為替レートに影響を与えないように行う」と今後市場介入の可能性が示唆されています。輸出に悪影響を与える南アランド高防衛にも更なる利下げには慎重になりそうです。

 一方日銀は、昨年1月に0.25%の利上げ後、12月まで金利を据え置いたことから、日銀が利上げに消極的との見方から、円安をフローしました。現状日本の政策金利は、0.75%まで上昇していますが、高市政権のプレッシャーや日本経済自体が総じて強い状況とは言えず、今年も利上げには慎重な姿勢を続けそうです。もし利上げがあっても0.25%の利上げが1回、最大でも2回程度が限界となるでしょう。
 
 通常円相場は、日本と各国の金利差の影響を大きく受けますが、現在日南ア金利差は直近ピークの8.25%から6.0%まで低下しています。ただ、過去の南アランド円相場の日南ア金利差との連動性が低く、11.50%まで金利差が広がった時期でも、南アランド買いは一過性に留まっています。2026年日銀が1回程度の利上げ、南ア準備銀行が更に利下げを継続した場合、金利差は低下を続けるようですが、あまり影響が出ない可能性は留意しましょう。南アランド円相場の決定要因は、あくまで南ア経済や政治的状況如何であることは考慮しましょう。

 以下は、2026年の南ア準備銀行理事会及び政策金利公表予定です。1月から奇数月で、年6回開催されます。
≪南ア準備銀行政策金利公表≫
01月29日
03月26日
05月28日
07月23日
09月23日
11月19日

 以下が2026年の日銀金融政策決定会合や議事録の公表日です。日銀の政策の行方が、来年のドル円相場を左右するでしょう。しっかりと押さえておきましょう。
≪日銀金融政策決定会合≫
(議事録公表日)
01月23日+展望リポート公表(03月25日)
(01月28日:12月18-19日開催分の議事録)
03月19日(05月07日)
04月28日+展望リポート公表(06月19日)
06月16日(08月05日)
07月31日+展望リポート公表(09月28日)
09月18日(11月05日)
10月30日+展望リポート公表(12月23日)
12月18日

〇 高市トレードと円買い介入

 昨年高市総理就任前後から、円売り株高や日本の長期金利上昇が強まっています。市場の理解としては、高市氏のこれまでの発言や政策姿勢から、一般に以下のような政策スタンスを持つと認識されています。
 ・積極的な財政政策(大型補正、国防・産業投資)
 ・デフレ脱却を重視、金融引き締めに否定的
 ・安全保障・防衛関連支出の拡大志向
 ・トランプ政権に対する迎合

 これらを前提に、高市政権の支持率の高さもあって、期待感から特定の資産が有利になるとの思惑で株買い、円売り、国債売りが行われる取引が「高市トレード」と呼ばれています。
 ただ、注意しなければならないことは、高市政権に、未だこういった実績がある訳ではありません。自民党自体の支持率は低く、今後予想される衆院解散総選挙でも、連立の混乱もあって政権維持も確定的ではありません。期待感先行の取引であって、ファンダメンタルズというより、政治イベントドリブンのテーマ取引として理解するのが適切です。
 一方では国民の間から円安による物価高に不満が高まっています。前述の「高市トレード」から円安が拡大していることにも物価安定を目指す高市総理に批判が見えています。どうにか政権としては、人気取りもあって円安を止めようと片山財務大臣や財務省から円安牽制発言が続いていますが、全く効果は見えていないようです。
 そうなるとやはり財務省の「伝家の宝刀」、円買い介入は現実味を帯びてきます。

 ただ、実際2022年や2024年も、財務省が強力な円買い介入を実施しましたが、需給面の円売りニーズが強く、効果は一過性で終わっています。
 過去、当局の介入は「短期的には効果があるが、中期的には効果はない」と指摘されるように、相場のトレンドを変えることはありません。ただ、一方では超長期で考えると1995年の超円高時期の円売り介入、2003-4年の溝口介入と結果的に効果を示したと言えます。ですがこういった介入は全て「円売り介入」であって、自国通貨である円は、無尽蔵に介入が可能ですが、他国通貨である「円買い介入」には限界があると言えます。
 それでは「ドル売り(円買い)」介入の原資となる日本の外貨準備の状況を見てみましょう。
 以下は直近介入前の2022年からの外貨準備と「円買い介入」の状況をプロットしたチャートです。
 2022年の介入後外貨準備はある程度増額しています。また、2024年も959億ドル程度の介入を実施しましたが、それほど外貨準備額は減少していません。若干決済の時差やスワップ取引などを利用していた場合、増減の具体的な要因は把握できませんが、外貨準備のほとんどが米国債で運用されています。つまり、「円売りドル買い介入」を実施しない場合でも、米国債からの運用益で外貨準備は増加します。これはざっくりとした計算ですが、もし年2%の運用利回りと仮定した場合で、毎年200億ドル程度、3%なら300億ドル程度外貨準備が増える計算になります。2022年の介入額は約426億ドル、2024年は959億ドルで、これを短期で続けながら1兆ドルレベルを維持するのは難しいとしても、現在は2023年レベルまで外貨準備を回復しており、この運用利回りを考慮すれば「円買い介入」の余地はあると思います。
 一方介入レベルに関しては、「急激な変動を避けるため」と言っても、財務省や財務官がどういうレベル感や論理でタイミングを決めているか根拠は不透明です。ただ、実際の介入実績から2022年は恐らく150円の防衛、2024年は160円の防衛が主眼となっているように感じられます。そうたびたびできるわけではありませんが、少なくとも次の161.95の高値を脅かす状況となれば、間違いなく介入してくるとみています。
 実際この点に関しては、想像しても意味はありませんが、少なくとも円安が一過性に進んだ場合も、安易にドル円の上値を追いかけるのは避けておいた方が良いでしょう。
 近年「円買い介入」が実施された場合、一気にドル円相場では、4-5円の円高が進むケースが多いようです。ユーロ円の現状相場からは5-6円円高に進む可能性もあります。
 あくまでこういったタイミングで、円が上昇した場合に円を売る姿勢の方が、メリットが大きいことは覚えておいてください。

〇 トランプ政権の圧力

 昨年初頭にトランプ大統領が、突然南アフリカに対する批判を強めたことが、大きな圧力となりそうです。
 1. 批判の核心―人権問題と「白人迫害」主張
 トランプ大統領は南アフリカ政府に対して、「白人少数派(特にアフリカーナー)の迫害や土地没収が進んでいる」と非難しています。彼はSNSで「白人が殺害され、農場が奪われている」と主張し、根拠を示さないままこれを強調しました。
 これは南アフリカの土地改革法が焦点になっています。この法律は、アパルトヘイト後も続く土地所有の不均衡を是正するため、国家が条件付きで土地を取得できる仕組みを整えるものであり、南ア政府はこれを人種差別是正策として位置付けています。トランプ政権はこの法を「白人農民から土地を奪うもの」と批判しています。
 2. 政策対応―援助停止と関税措置
 トランプ大統領は批判に基づき、以下のような政策措置を発表・実行しました。
 (1)対南アフリカ援助の停止
 2025年初頭、トランプ氏は行政命令に署名し、南アフリカへの米国政府の援助を停止すると表明しました。この中には、南アで最大の公衆衛生支援プログラムの一部を含む援助も含まれ、批判を招いています。
 (2)対南ア輸出品への関税強化
 さらに2025年7月には、対南アフリカからの輸出品に30%の追加関税を課す通知を行っています。トランプ政権はこれを「貿易赤字と国家安全保障への脅威への対応」と説明しましたが、南ア政府側は双方に不均衡がある貿易関係の改善を求めています。
 3.G20首脳会議をめぐる対立
 昨年南アフリカが議長国で開催されたG20首脳会議を巡って、トランプ大統領は「不参加」として強い不満を表明しました。2026年はこの米国がG20首脳会議の議長国となることから、南アフリカのこの会議への招待を拒否することが示唆されています。
 4. 南アの外交・安全保障姿勢も批判対象
 トランプ政権の批判は単に南ア国内政策だけに向けられているわけではありません。南アフリカがイスラエルを国際司法裁判所に提訴した点や、イランなどと関係を深める姿勢についても懸念を表明しています。こうした外交方針が、米国の嫌悪感と指摘されています。
 5. 国際的な評価
 世界的には、トランプ大統領の批判が唐突で根拠が薄く、南ア出身のイーロン・マスクの影響もあって、南アの立場を強く支持する向きもあります。シリル・ラマポーザ大統領や南ア外務省は、一貫して根拠のない誇張であると反論して対話を求めていますが、ご存じの通り、トランプ大統領が言い出したら根拠や事実関係は全く意味をなさないでしょう。
 そうなると2026年には、この問題が南ア相場の圧迫要因となる可能性に注意しておきましょう。

〇 2026年の南アフリカ経済

 2026年の南アフリカの経済成長は緩やかな改善が予想されています。
 OECDは、2026年の成長率を1.3%から1.4%、2025年の1.1%からはわずかな回復、スタンダード銀行の見通しでは、1.4%程度への回復を想定しています。低成長基調が継続するとの見方で、政府・企業の構造改革や電力供給改善が成長支援要因として挙げられています。全体としては、低いポテンシャル成長を維持しつつも2026年にかけて緩やかな成長を続けることが予測されています。ただ、インフラ整備に関しては、国際援助がないと長年の停電・電力供給不足が経済成長の大きな制約が続きそうです。
 雇用・労働市場(下記四半期失業率のチャート参考)は、長期的に高水準の失業率が構造的課題となっており、2025年時点でも30%超の高失業率が続いています。また、2026年に成長率の改善は見込まれるものの、増加スピードは鈍く、雇用創出効果は限定的になる可能性があります。青年層の失業率は引き続き高く、労働市場の硬直性・技能ミスマッチの解消が中長期の課題です。
 インフレに関しては、最近政府がインフレ目標を3%に引き下げたことで、物価安定の目標設定が変わりました。これにより将来のインフレ期待が低下し、政策判断の柔軟性が高まる可能性があります。ただ、ビジネス関係者の予想では、2026年のインフレ率はおおむね3.7%から3.8%程度、OECD予測でも3.6%と食料価格など一部項目が押し上げ要因になるとされます。
 南アフリカの2026年のインフレは、比較的安定的な水準を維持するとしても、前年からの上昇が想定されます。従って、更に南ア準備銀行の利下げは不透明であることは、留意しておきましょう。

 一方下記の南アの製造業PMIを見ると、現状は直近最下限の「40.5」まで低下しています。2026年の南アフリカの経済成長は緩やかな改善が予想されていますが、トランプ政権からの圧力や更なる制裁が想定されており、直近では少し警戒感を持った方が良さそうです。

〇 資源価格との連動性

 南アフリカは、金、ダイヤモンド、プラチナなど鉱物資源が豊富ですが、特に金は世界の産出量の半分を占めています。一般的に南アランド相場は、資源国通貨として認識されています。
 以下は金価格と南アランドの対ドル相場のチャートです。
 2009年から2018年は、総じて連動している形が見えていますが、それ以前は全く連動性がなく、直近でも金価格の上昇スピードが強すぎることもあって、連動性はあまり伺えません。一部金価格の上昇が南アランド相場の買い要因と指摘する声もありますが、どうもその見方には整合性が薄そうです。

 それでは、CRBインデックス(米英商品取引所等で売買されている先物商品価格から算出される国際商品先物指数)との連動性もチェックしておきましょう。
 こちらの方は、2021年まで連動性の高い状況が続いていましたが、2022年からは、商品市況の上昇に全く追いかけて行く姿が見えていません。
 ロシアのウクライナ侵攻に端を発した世界的なインフレ上昇に、商品価格が一過性の上昇となっていることが主な要因と見られますが、この連動性が今後戻って来るかは不透明です。加えて一方の商品市況も、ウクライナや中東などの紛争が一定の平穏を取り戻せば、このまま上昇が続くかも不透明です。
 金だけではなく、商品市況全般の動きに期待感を持って、南アランド円の投資をするのは避けておいた方が良いでしょう。

【テクニカル面】

≪ドル/南アランド≫
 テクニカル面からまず、南アランド円を構成するドル/南アランド相場の長期月足をチェックしておきましょう。
 ドル/南アランド相場は、最安値の5.5857から2011年頃を起点に上昇を強めています。現状は19.9201まで上昇後調整気味となっています。
 波動的には、以下が想定されます。
第1波=6.5520→17.2443
第2波=17.2443→11.5028
第3波=11.5028→19.3365
第4波=19.3365→13.4083
第5波=13.4083→19.9201
A下落=19.9201→17.9646
B上昇=17.9646→19.9328
C下落=19.9328→?

 このエリオット波動の観点からは19.9201で第5波の高値をつけた可能性が高く、加えて高値越えのABCの調整中となっています。
 現状この最終となるC下落の過程にあります。このC下落が完了しているかは不透明ですが、6.5520からサポートの位置にあることを考えると一旦維持される可能性もありそうです。
 そうなると一旦大きな第5波の波動が完了しており、焦点は次の展開となります。
 一般論として、5波の上昇が完了した後、次にどういった波動となるかは、過去上昇一辺倒の株式市場などでは、「次の上昇波を形成する」との見解ですが、為替市場では、この点は断定できません。従って、今後のドル・南アランド相場は、次のはっきりとした波動を確認する必要があります。
 そのために、上値は19.9201からのレジスタンスが抑えるか焦点です。この位置は不透明ですが、17.8238の戻り高値から19前後が抑えると弱い形です。あくまで超える動きから19.9201を越えて、サイコロジカルな20.0000、N波動の検証からは、第3波の上げ幅(7.8337)を第4波の安値13.4083から上げた21.2420、第1波の上げ幅(10.6923)を同様に第4波の安値から上げた24.1006などが想定値として挙げられます。
 一方下値は、この16.3048前後のサポートが維持されるとスロー・ストキャスティクスの売られ過ぎもあって、堅調が続きそうです。ただ、維持できずにしっかりと割れると16.1109、15.1687、14.4461などが順次ポイントとなります。こういった位置の維持は不透明ですが、維持できれば調整は深まりませんが、リスクは第4波の安値となる13.4083割れで、その場合水色のゾーンまでターゲットとなります。この位置にはフィボナッチ・リトレースメント50%の12.7529が控え、下限で第2波の安値11.5028まで調整となりそうです。
 従って、ドル南アランドの2026年の想定レンジを、16.000から19.0000とします。 

≪ドル円≫
 テクニカル面から2011年からの月足チャートをみてみましょう。
 75.31の歴史的な安値から125.86まで反発後、102.59が下値を支えてサポート形成から、151.95の高値、127.23を支え、161.95まで上値拡大しています。
 エリオット的な波動の観点から見ると、まず長期波動からは75.31から125.86を第1波、125.86から102.59を第2波、102.59から151.95を第3波、151.95から127.23を第4波と仮定するなら、次の第5波の位置が焦点となります。ただ、この位置は151.95と161.95の可能性が指摘されますが、その後は高値圏で保合となっており、第5波の確定は139.58-89のネック・ラインをしっかりと割れるまでは確定できません。
 一方より短い期間として102.59からの上昇波動から見ても、161.95の高値が第5波のトップにならない限り確定は難しい状況です。しかも、161.95から158.87の高値を結んだレジスタンスを現状は上抜けています。
 これを前提に考えるとまだ高値付きは確定できておらず、下段に示したスロー・ストキャスティクスの面からは、既にゴールデン・クロスが示現していて、今後も上昇波動が続く可能性が示唆されています。その場合で161.95の高値を超えるなら、上値は161.95から139.58の下落幅22.37を161.95から上げた184.32までの上昇が指摘されることになります。辛うじて上昇が止まるとしても、最低でも2026年も140-162円レンジでの揉み合い相場とみるしかなさそうです。 

 一方1989年からの超長期のドル円相場の月足チャートを見てみましょう。
 ドル円相場は、1990年の160.35の高値から、2011年10月の75.31まで下落後、2022年10月には、160.35の高値と、147.66や125.86の高値を結んだレジスタンスを越えて、上下しながらも151.95まで急反発しました。ただ、この位置から127.23まで急落。チャート形状から「D」の75.31をボトムとして、「C」と「E」をアームとした「リバースH&S」が一旦確定したと見られました。
 ただ、下値は「D」をベースとしたネックラインが逆サポートして、更に反転がこの高値を超えて、161.95まで上昇しています。つまりこのリバースH&Sの前提が崩れた形となっています。
 また、日柄からは「C」から「D」の経過日数が13年2ヵ月で、この「D」から同日数の結果を考えると2024年12月が次のピークとなるべきです。これは実際には2025年1月の158.87がこれに該当する形で、日柄からみたピークは「E」の位置となります。
 この「E」がピークとなるのか、そうでないのかは、2026年の相場を見る上で重要となります。
 もし、この「E」がピークとなるなら、「G」への下落は、3年4か月経過の2028年4月まで続く形が想定されます。一方「E」がピークとならない場合は、逆に「F」への方向への上昇が、「A」からの経過を考えると2032年4月まで続く可能性が指摘されます。その場合の次のターゲットは、1978年の安値177.06、更には1981年の安値199.06となります。

 つまり結論的には、テクニカル面からだけでは、2026年の相場を見通すことは難しいと思われます。基本は買いも、残念ながらあくまで今後の動向を確認しながら対応することをお勧めします。
 従って、ドル円の2026年の想定レンジを140円から162円とします。

≪南アランド円≫
 それでは、最後に南アランド円の月足を見てみましょう。
 17.78からの調整も、5.61の安値で、エリオット波動の第5波の下値をつけて、堅調に反発しています。
 上値は、特に17.78の高値から長期レジスタンスを抜けており、過去の高値圏となる8.82から11.24のゾーンに突入しています。下段のスロー・ストキャスティクスにも、まだ若干上値追いの余地が見えて、このゾーンの上限までの上昇の可能性は考慮しておいた方が良いでしょう。ただ、更なる上昇はまず、4波の高値9.30前後が抑えると上値追いは難しいですが、越えると10.82や11.24の高値までターゲットとなりますが、上抜けは難しそうです。あくまで12.85や13.10を越えて、完全なトレンド転換となる形です。
 一方下値は8円前後のサポートが維持されると堅調が続きますが、スロー・ストキャスティクスが既に買われ過ぎ圏にあって、7.26を割り込むなら調整を深めそうです。ただ、その場合も6.94のダブル・ボトムが維持されると更なる調整とはなりませんが、リスクは維持できないケースで、その場合6円のサイコロジカル、5.61が守られるか焦点となります。懸念は、歴史的な安値5.61を割れるケースですが、その場合ポイントは絞り込みづらいですが、サイコロジカルな5.50や5.00などまでの下落リスクとなりそうです。

≪マトリック・チャート≫
 以下はドル/南アランドとドル円の想定レンジから作成したマトリックス・チャート(価格帯によるクロス円の位置)です。
 ドル/南アランドのレンジを16.0000~19.0000、ドル円を140.00~160.02としましたので、ここから算出される南アランド円の最大想定レンジは7.37から10.13となります。

【予想レンジと戦略】

 それでは、以上を踏まえて、南アランド円相場の2026年の戦略についてお話します。
 来年の南アランド円の想定レンジを8.00~11.00とします。

≪2026年の注意点≫
 ・米中間選挙や地政学リスクを睨んで荒れた展開となる可能性を考慮しましょう。
 ・テクニカル的には押し目買いですが、上値追いは避けましょう。
 ・介入が入った場合の下落では、常に買いから攻めてみましょう。こういった下落局面を
  じっくりと待つことも一考です。
 ・トランプ政権が、2026年にも政治的な圧力を続けるなら注意しましょう。
 ・高金利や資源価格の動きに左右されず、あくまで南ア経済の状況から判断しましょう。
 ・クロス円の場合、ストレートの動き次第では、テクニカル的なポイントと合致するとは
  限りません。オーバー・シュート的な騙しの動きも留意してください。

≪2026年の具体的な戦略≫
 あくまで上値追いは避けて、押し目を待って買い場を探しましょう。
 できれば8円方向への下落での買い下がりで、ストップは7.26割れが理想的です。ターゲットは9.30-11.24ゾーンでの利食いとなります。また売り戦略は積極的とは思いませんが、12円越などで対応して、下げが甘ければ買い戻し、その時点までどこまで上昇しているか不透明ですが、少なく将来的なサポートからは8円ミドルなどではしっかりと利食っておきましょう。
 また、もし7.26を割れるケースでも、6.94を前に買い場探し。割れるなら直ぐに止めるか、この場合6円まで買い下がりの余裕があればベターですが、これも5.61を割れるなら止める形。またこういった下落での利食いは、8円前後が抑えるなら利食いを優先しましょう。
 
 また、タイミング的な注意点(詳細は、ドル円相場の2025年相場見通しの「ドル円の季節性」をご参照ください)は
① 1-3月期は、本邦のレパトリ・シーズンで円高気味となり易いこと。
② ドル円は、例年アノマリー的に、7月や8月中旬に瞬間的な円高が示現することが多いことは注意で
  す。ただ逆にこの時の急な円高は、年末に向けて絶好の円の売り場となることも、覚えておいてく
  ださい。
③ 9月のレイバーデー明けからは、年末に向けて方向性が出易い時期です。この時期に一定の動きが見
  えた場合、逆張りで向かわないようにしましょう。 

 以上一応テクニカルやファンダメンタルズ面からシナリオをたてましたが、ひとつの例として考えてください。この通りとなるほど、相場は簡単ではありません。あくまで私個人の35年来の経験則から想定したイメージ的なものですので、ご理解頂ければ幸いです。

だいまん氏
1957年生まれ。青山学院大学英米文学科卒。アジア系外銀にて、外国為替の貿易事務に5年、マネー、債券、為替ディーラーを10年歴任。ディーリングおよび決済関連業務に精通。2002年の資金部次長時代に、20年間勤務した同銀行を退職。銀行在籍時より運営していた為替予想サイト「円を救え」をベースに、個人の為替証拠金取引の拡大を支援するために、相場予想および為替取引の個人向け実地教育を中心とした(株)FXSCを設立。著書に「外貨建て投資入門&実践ガイド」エム・ケイ・ニュース社佐藤利光・だいまん共著がある。ホームページ:「円を救え」短期為替予想サイト