≪どうなる?2026年のトルコリラ円相場~年間相場見通しと戦略≫
“長期低迷する相場に夢はあるのか?”
※本記事は2025年12月末時点に作成しております。文中の内容は作成時点の情報に基づくものとなっております。
【2025年のトルコリラ円相場を振り返って】
2025年のトルコリラ円相場は、終始軟調な展開を続けました。
年初は、4.43の高値圏からスタート。一時4.48まで反発も、日銀が半年ぶりに政策金利を0.25%引き上げ0.50%としたこと、トルコ中銀が1月に2.50%、3月に2.50%と利下げを継続、またトランプ大統領が、カナダとメキシコに対する関税を25%に引き上げ、その後も世界的に関税を引き上げることを次々と発表、特に対抗措置として中国が、レアアースの輸出規制を発表したことなどから、世界的な株価の大幅下落を伴って、大きなリスクオフの動きが広がりました。
また3月には、次期大統領選の有力候補で、最大野党・共和人民党のエクレム・イマモールイスタンブール市長を、エルドアン政権が汚職やテロ組織支援の容疑で拘束する大きな政治事件が発生しました。これは、エルドアン大統領が、次の選挙を睨んで政敵排除を企んだものと指摘されています。この事件は野党や国民の大きな反発を誘発し、一時トルコリラ売りにつながっています。
ただ、4月には、収まらないインフレ率もあって、トルコ中銀が一転、3.50%の利上げを実施、加えて中国の対応が強固だったことから、米政権が対中関税を緩め、主要諸国もトランプの相互関税に対して、迎合的な態度を示したことから、株価が年初来安値圏から反転に転じたことなどから、リスク回避の動きに巻き戻しの動きが優勢となり、一旦トルコリラ円の下げスピードも緩やかとなった。
ただ、その後も中東やウクライナ情勢の不安が続き、7月にはトルコ中銀が3.00%の利下げを発表、利下げ姿勢が再開したこと、またトルコ政府が、一部輸入自動車の消費税を引き上げ、テスラやBYDのトルコ投資が後退するとの懸念が高まり、トルコリラ円は、年初来安値となる3.50まで一時下落しました。
ただ、米国が債務上限法の問題から米政府が史上最長の政府閉鎖となったことから、米雇用統計など重要な経済指標の発表が滞り、市場に警戒感が残りました。一方日本では、参院議員選挙で、自公民が過半数割れとなり、石破首相が辞意を表明、自民党総裁選で高市氏が勝利、公明党が連立から離脱を表明するも、想定外に日本維新の会が新規に連立を組むことになり、高市総理が実現。高市氏の政策が財政拡張や低金利政策を目指していることから日本株高、円売りの「高市トレード」が強まりましたが、トルコリラ円は上昇できず、安値圏での推移を継続しました。

【2026年の主な材料】
以下が現在、判明している来年のイベントや材料です。注目度の高いものは太字で表示しています。ただ、あくまで予定ですので変更されることがあります。

【2026年の注目点】
2025年の相場環境を踏まえて、2026年のトルコリラ円相場の注目点をまとめてみました。
・米中間選挙
・トランプ相互関税の違憲判決と債務上限問題
・トルコ中銀と日銀の政策スタンス
・高市トレードと円買い介入
・2026年のトルコ圏経済
・トルコの政治
〇 米中間選挙
今年はトランプ大統領2期目で米中間選挙の年となります。この行方はトランプ政権の最大の関心事となりますが、現状の見通しは、下院は民主党有利、上院は共和党が票を維持すると見通しが主流となっています。3月の一部予備選からスタートしますが、この話題は夏場以降まで、市場の大きな関心とはなりづらいでしょう。
ただ、その場合は昨年の「トリプル・レッド」から議会に捻じれが発生します。捻じれとなった場合、米下院でトランプ大統領の3回目の弾劾裁判が行われる可能性が一部指摘されています。この話題も問題となるのは来年以降となるでしょうから、年内の相場に影響を与えることはなさそうです。ただ、またぞろ相場の混乱となることは、一応念頭に入れておきましょう。
尚以下は米国の中間選挙の年の相場傾向を1990年の価格を基準に調整したNYダウ、ドル・インデックス、ドル円の年初からの動向を比較したチャートです。
総じてNYダウは、中間選挙前に調整を強める傾向があることは覚えておいてください。また、ドル自体やドル円はあまり上昇傾向が見えていないことも注目しましょう。
確かに毎回そうなるとは断言できませんが、現状の株価高や円安を考慮するとこのような展開となる可能性も考慮しておきましょう。



〇 トランプ相互関税の違憲判決と債務上限問題
昨年トランプ大統領が、議会の承認を得ないまま、IEEPA(国際緊急経済権限法)を根拠に、合成麻薬フェンタニルの国内への流入を理由としてカナダとメキシコ・中国への追加関税を発令したことをスタートに、世界的に相互関税を発動させた行為が、大統領権限の逸脱に当たると米司法の第1審と2審で、「大統領権限を逸脱している」などとして違憲とするとの判断が示されています。
これに対して、今年1月以降最高裁が最終判断を示します。違憲と判断されれば政権側が1335億ドル、日本円で約20兆円の関税収入を企業に返還する必要に迫られる可能性があると報じられています。一方トランプ政権は、敗訴しても法的な根拠を差し替えれば同様の関税を徴収しつづけることができるとしています。この結果がどうなるかはわかりませんが、トランプ大統領は、この関税収入を当てにして、様々な税制優遇や財政政策を既に発表しています。もし、この関税収入の返還を迫られた場合、現状既に米国の債務上限法 の上限にまで達している財政赤字に、更に赤信号が灯ります。
米国の債務上限法では、政府が国債発行などで借り入れできる金額の法的な上限を定めていて、これは政府支出の予算編成とは異なる枠組みで定められています。上限に達すると、議会の承認がない限り新たな借入ができなくなり、国債の元利払いが滞る「デフォルト(債務不履行)」が発生します。
ご存じの通り昨年10月には、これに抵触する形で、史上最長の政府閉鎖となっています。現在は、一旦引き延ばしの形で政府閉鎖は解除されていますが、今後も財政出動の状況次第では、また上限を上回る可能性が高く、前述のトランプ関税の違憲判決と絡めると考えると本年も大注意の話題となりそうです。その場合、FOMCが利下げを段階的に実施しても、国債の増発から米長期金利が下げ止まらず、これが米経済を圧迫し、米国の格下げのリスクにもつながるかもしれません。その場合米金融市場に大きな悪影響を与える可能性も想定されそうです。
今年もこういったリスクが最大の注意ですが、参考に下記に米10年物国債利回りの、月足チャートを掲載しておきます。テクニカル面からは、若干揉み合い気味ですが、下値はサポートが支えています。こういった状況が続くなら、下段のスロー・ストキャスティクスが既に反転の兆しを示しており、金利が再度5%方向への「悪い金利」上昇リスクとなることは考慮しておきましょう。

〇 トルコ中銀と日銀の政策スタンス
トルコ中銀は、2024年3月に50.00%、まで強烈な引き上げを実施してきました。ただ、一定のインフレ率の低下が見えたことで、その後は2025年1月と3月に2.50%利下げ、ただ、4月にはインフレの下げ止まりもあって、予想外に3.50%の利上げを実施。この判断は不透明ですが、結果的にその後も利下げを再開、最終的には38.0%まで政策を金利まで引き下げて、2026年を終了しています。
尚、2026年最後のトルコ中銀の声明では、「インフレ率の実績および期待値、その基調的なトレンドを考慮して、中間目標に沿った予測ディスインフレ経路に必要な引き締め水準を確保する形で政策金利を決定する」、「調整幅はインフレ見通しを重視しつつ、会合ごとに慎重に見直す」、「インフレ見通しが中間目標から大きく乖離した場合、金融政策スタンスは引き締められるだろう」、「委員会は中期的に5%インフレ目標を達成するにあたって必要な金融環境を整備するため、政策決定を行う」としてます。
従って、2026年もトルコ中銀は、インフレ率を慎重に見極め、政策金利を決定していくと思われますが、インフレ次第では再利上げもあるかもしれないことは注意です。
以下はトルコの消費者物価指数の前年同月比を示したチャートです。
直近のトルコの消費者物価指数の前年同月比では、最も高かった75.5%から30.9%まで低下しています。今後もトルコのインフレを示すかが焦点ですが、少なくとも過去の10%程度への低下はなかなか難しいことは、考慮しておきましょう。

一方日銀は、昨年1月に0.25%の利上げ後、12月まで金利を据え置いたことから、日銀が利上げに消極的との見方から、円安をフローしました。現状日本の政策金利は、0.75%まで上昇していますが、高市政権のプレッシャーや日本経済自体が総じて強い状況とは言えず、今年も利上げには慎重な姿勢を続けそうです。もし利上げがあっても0.25%の利上げが1回、最大でも2回程度が限界となるでしょう。
通常円相場は、日本と各国の金利差の影響を大きく受けます。また、比較的高金利通貨には、投資資金が集まり易いですが、日トルコ金利差が、一時50%まで拡大しても、トルコリラ相場を全く支えていないことは注意しておいた方が良いでしょう。
つまり高金利であるから投資資金が集まり、その通貨が買われると必ずなることはないということです。そうなるとこれは逆説ですが、トルコリラ相場の場合は、逆に政策金利を引き下げても、下落要因にはならないと考えられます。
2026年もトルコのインフレの状況ですが、もし、インフレの落ち着きが見えれば、政策金利の引き下げを続けるかもしれません。以前から申し上げていますが、トルコ経済の見通しは不透明が続くも、トルコ中銀が、利下げモードに入るということは、トルコのインフレの鎮静化が実現したことを意味します。これは逆説的ですが、そういった局面が、トルコリラ買いの好機となる可能性もあるかもしれません。

≪トルコ中銀金融政策決定会合≫
現在トルコ中銀は、毎月金融政策決定会合を実施しています。現在日程は全て公表されていませんが、正式に決定後、実際段階的に中銀HPに発表します。トルコ中銀の政策金利やインフレの見通しには、注意を払っておきましょう。
以下が2026年の日銀金融政策決定会合や議事録の公表日です。日銀の政策の行方が、来年のドル円相場を左右するでしょう。しっかりと押さえておきましょう。
≪日銀金融政策決定会合≫
(議事録公表日)
01月23日+展望リポート公表(03月25日)
(01月28日:12月18-19日開催分の議事録)
03月19日(05月07日)
04月28日+展望リポート公表(06月19日)
06月16日(08月05日)
07月31日+展望リポート公表(09月28日)
09月18日(11月05日)
10月30日+展望リポート公表(12月23日)
12月18日
〇 高市トレードと円買い介入
昨年高市総理就任前後から、円売り株高や日本の長期金利上昇が強まっています。市場の理解としては、高市氏のこれまでの発言や政策姿勢から、一般に以下のような政策スタンスを持つと認識されています。
・積極的な財政政策(大型補正、国防・産業投資)
・デフレ脱却を重視、金融引き締めに否定的
・安全保障・防衛関連支出の拡大志向
・トランプ政権に対する迎合
これらを前提に、高市政権の支持率の高さもあって、期待感から特定の資産が有利になるとの思惑で株買い、円売り、国債売りが行われる取引が「高市トレード」と呼ばれています。
ただ、注意しなければならないことは、高市政権に、未だこういった実績がある訳ではありません。自民党自体の支持率は低く、今後予想される衆院解散総選挙でも、連立の混乱もあって政権維持も確定的ではありません。期待感先行の取引であって、ファンダメンタルズというより、政治イベントドリブンのテーマ取引として理解するのが適切です。
一方では国民の間から円安による物価高に不満が高まっています。前述の「高市トレード」から円安が拡大していることにも物価安定を目指す高市総理に批判が見えています。どうにか政権としては、人気取りもあって円安を止めようと片山財務大臣や財務省から円安牽制発言が続いていますが、全く効果は見えていないようです。
そうなるとやはり財務省の「伝家の宝刀」、円買い介入は現実味を帯びてきます。
ただ、実際2022年や2024年も、財務省が強力な円買い介入を実施しましたが、需給面の円売りニーズが強く、効果は一過性で終わっています。
過去、当局の介入は「短期的には効果があるが、中期的には効果はない」と指摘されるように、相場のトレンドを変えることはありません。ただ、一方では超長期で考えると1995年の超円高時期の円売り介入、2003-4年の溝口介入と結果的に効果を示したと言えます。ですがこういった介入は全て「円売り介入」であって、自国通貨である円は、無尽蔵に介入が可能ですが、他国通貨である「円買い介入」には限界があると言えます。
それでは「ドル売り(円買い)」介入の原資となる日本の外貨準備の状況を見てみましょう。
以下は直近介入前の2022年からの外貨準備と「円買い介入」の状況をプロットしたチャートです。
2022年の介入後外貨準備はある程度増額しています。また、2024年も959億ドル程度の介入を実施しましたが、それほど外貨準備額は減少していません。若干決済の時差やスワップ取引などを利用していた場合、増減の具体的な要因は把握できませんが、外貨準備のほとんどが米国債で運用されています。つまり、「円売りドル買い介入」を実施しない場合でも、米国債からの運用益で外貨準備は増加します。これはざっくりとした計算ですが、もし年2%の運用利回りと仮定した場合で、毎年200億ドル程度、3%なら300億ドル程度外貨準備が増える計算になります。2022年の介入額は約426億ドル、2024年は959億ドルで、これを短期で続けながら1兆ドルレベルを維持するのは難しいとしても、現在は2023年レベルまで外貨準備を回復しており、この運用利回りを考慮すれば「円買い介入」の余地はあると思います。
一方介入レベルに関しては、「急激な変動を避けるため」と言っても、財務省や財務官がどういうレベル感や論理でタイミングを決めているか根拠は不透明です。ただ、実際の介入実績から2022年は恐らく150円の防衛、2024年は160円の防衛が主眼となっているように感じられます。そうたびたびできるわけではありませんが、少なくとも次の161.95の高値を脅かす状況となれば、間違いなく介入してくるとみています。
実際この点に関しては、想像しても意味はありませんが、少なくとも円安が一過性に進んだ場合も、安易にドル円の上値を追いかけるのは避けておいた方が良いでしょう。
近年「円買い介入」が実施された場合、一気にドル円相場では、4-5円の円高が進むケースが多いようです。ユーロ円の現状相場からは5-6円円高に進む可能性もあります。
あくまでこういったタイミングで、円が上昇した場合に円を売る姿勢の方が、メリットが大きいことは覚えておいてください。

〇 2026年のトルコ圏経済
2026年のトルコ経済ですが、トルコ政府の中期経済計画では、2025年の3.3%から2026年の実質GDP成長率を3.8%程度としています。OECDや国連のリポートでも3.9%程度の成長、観光収入の増加、労働力供給や財政バランスの改善などが寄与して、持続的な成長が想定されています。また2027年も4%前後の堅調な成長が続くと指摘されています。
労働市場は、OECDの統計予測では、トルコの失業率は2026年に8.3%程度へ改善する見込みです。輸出は前年比で増加、観光収入も拡大する見通しです。これらが外需サイドでプラスに寄与する可能性があります。また中国系の電気自動車会社が、トルコへの投資姿勢みせています。一昨年には、国内初の電動車ブランド「TOGG」が設立され、中国の「BYD」、昨年も「チェリー」が自動車工場の建設を目指しています。こういったトルコ投資が、今後続くのか注目しておきましょう。
一方引き続きトルコ経済の最大の課題は長期の高インフレです。政府発表の中期経済計画では、2026年の消費者物価上昇率は、16%を目標としています(トルコ中銀のインフレ目標は5%)。ただ、実際の実現には相当な政策運営が必要です。OECD予測では、2026年のインフレ率を17-21%前後と比較的高い水準で推移すると見込んでいて、IMFの見通しでも、インフレは2025終盤から漸減し、2026年までに低下するとしつつも、依然として目標水準を上回る可能性が指摘されています。
従って、今後もトルコのインフレ率の低下基調が予想されるものの、単年度内の大幅な低下は不透明で、トルコ相場の試金石となります。
こういった見通しを背景に、トルコ中銀の金融政策は、緊縮的な金融政策が継続する可能性が高いでしょう。高インフレ抑制のため引き締め的な政策金利を維持しつつ、段階的に利下げ余地を模索する局面が想定されています。
参考にトルコの製造業PMIの状況を見ておきましょう。下限の「44.3」から上昇傾向を示しています。2026年景気の分水嶺となる「50」以上への回復が見えるかは注目されます。

〇 トルコの政治
過去トルコの問題点として、大きく指摘されているのは政治の問題です。
エルドアン大統領が、常にトルコ中銀のインフレ抑制姿勢を批判してきたことが、市場の信頼を失っています。
トルコは、アジアとヨーロッパの2つの大州にまたがり、北は黒海、南は地中海に面し、西でブルガリアとギリシャ、東でジョージア、アルメニア、アゼルバイジャン、イラン、イラク、シリアと接しています。
古代から東西交通の要となっており、国家としても過去いくつかの支配の変遷がありましたが、13世紀からは「オスマン帝国領」となり、1923年にケマル・アタチュルクによって、現在のトルコ共和国が生まれています。
トルコには、トルコ人以外にもクルド人、クリミア・タタール人、アラブ人などの少数民族が多く、住民の97%がイスラム教徒ですが、地理的な特殊性から不安定な政情が続きました。
第二次大戦後は、ソ連と国境を接することで、トルコは冷戦の最前線基地となり、その後も中東紛争の重要な拠点として、近隣諸国との軋轢や民族紛争など常に対立や混乱が続いています。その政変や軍事クーデターが続いていたトルコで、安定政権の樹立に成功したのが、現トルコ大統領の「レジェップ・エルドアン氏」です。
2002年には、同氏が率いる公正発展党(AKP)が単独与党の座を獲得するや落ち込んでいた経済の立て直しに着手しました。2004年にEU加盟交渉国となり、海外からの投資が相次ぎ経済も大きく発展しました。
しかし、エルドアン大統領が率いる公正発展党はもともと親イスラム政党であり、政教分離を快く思っていなかったエルドアン氏と政教分離を守ろうとする軍部との対立が次第に激化し、遂に2016年には、エルドアン大統領の追い落としを狙った「軍事クーデター」が発生しました。この時も、トルコリラ相場は、大きく調整しました。公正発展党による低所得者対策などが功を奏し、国民がクーデターを支持しなかったことでクーデターは、失敗に終わりました。
2025年も、3月に次期大統領選の有力候補で、最大野党・共和人民党のエクレム・イマモールイスタンブール市長を、汚職やテロ組織支援の容疑で拘束する大きな政治事件が発生しました。これは、エルドアン大統領が、次の選挙を睨んで政敵排除を企んだものと指摘されています。この事件は野党や国民の大きな反発を誘発し、一時トルコリラ売りにつながっています。
現在は比較的政治面では、安定しているようですが、一部に2028年に予定されている次期選挙の前倒しの可能性も指摘されています。選挙の前倒しの場合政治混乱やストなどのリスクがあることは注意です。一方でイスラエルとのガザ問題、クルド人の弾圧に絡んだ地政学リスクもトルコリラ相場の懸念で、今後もエルドアン大統領の独裁的・強硬姿勢から政権の不安定さが、常にトルコリラ相場の懸念として、意識されることは注意しておきましょう。
【テクニカル面】
≪ドル・トルコリラ≫
テクニカル面からまず、トルコリラ円を構成するドル・トルコリラ相場の月足をチェックしておきましょう。
流動性不足もあって一過性の上昇が続いています。歴史的な高値圏にあって、テクニカル面でどこまで上昇してしまうのか不透明感が強い状況が続いています。
現状は2023年4月の19.1667から6月の20.7103で窓を開けて、43.1739まで上昇していますが、どこまで更に上昇するのかは全く想定できないことは注意しましょう。一応サイコロジカルからは45.000や50.0000などがポイントとなると考える程度しか方法はありません。
一方下値は、37.8596から34.4159の窓が維持すると強く、33.0442や31.8349を割れるまでは、調整は進まないでしょう。あくまでこういった位置を割れても、20.7103や19.1667の窓がは強い位置となります。
従って、上値の不透明感が強いですが、2026年のドル・トルコリラ相場の想定レンジを、35.0000から45.0000としておきます。

≪ドル円≫
テクニカル面からまず2011年からの月足チャートをみてみましょう。
75.31の歴史的な安値から125.86まで反発後、102.59が下値を支えてサポート形成から、151.95の高値、127.23を支え、161.95まで上値拡大しています。
エリオット的な波動の観点から見ると、まず長期波動からは75.31から125.86を第1波、125.86から102.59を第2波、102.59から151.95を第3波、151.95から127.23を第4波と仮定するなら、次の第5波の位置が焦点となります。ただ、この位置は151.95と161.95の可能性が指摘されますが、その後は高値圏で保合となっており、第5波の確定は139.58-89のネック・ラインをしっかりと割れるまでは確定できません。
一方より短い期間として102.59からの上昇波動から見ても、161.95の高値が第5波のトップにならない限り確定は難しい状況です。しかも、161.95から158.87の高値を結んだレジスタンスを現状は上抜けています。
これを前提に考えるとまだ高値付きは確定できておらず、下段に示したスロー・ストキャスティクスの面からは、既にゴールデン・クロスが示現していて、今後も上昇波動が続く可能性が示唆されています。その場合で161.95の高値を超えるなら、上値は161.95から139.58の下落幅22.37を161.95から上げた184.32までの上昇が指摘されることになります。辛うじて上昇が止まるとしても、最低でも2026年も140-162円レンジでの揉み合い相場とみるしかなさそうです。

一方1989年からの超長期のドル円相場の月足チャートを見てみましょう。
ドル円相場は、1990年の160.35の高値から、2011年10月の75.31まで下落後、2022年10月には、160.35の高値と、147.66や125.86の高値を結んだレジスタンスを越えて、上下しながらも151.95まで急反発しました。ただ、この位置から127.23まで急落。チャート形状から「D」の75.31をボトムとして、「C」と「E」をアームとした「リバースH&S」が一旦確定したと見られました。
ただ、下値は「D」をベースとしたネックラインが逆サポートして、更に反転がこの高値を超えて、161.95まで上昇しています。つまりこのリバースH&Sの前提が崩れた形となっています。
また、日柄からは「C」から「D」の経過日数が13年2ヵ月で、この「D」から同日数の結果を考えると2024年12月が次のピークとなるべきです。これは実際には2025年1月の158.87がこれに該当する形で、日柄からみたピークは「E」の位置となります。
この「E」がピークとなるのか、そうでないのかは、2026年の相場を見る上で重要となります。
もし、この「E」がピークとなるなら、「G」への下落は、3年4か月経過の2028年4月まで続く形が想定されます。一方「E」がピークとならない場合は、逆に「F」への方向への上昇が、「A」からの経過を考えると2032年4月まで続く可能性が指摘されます。その場合の次のターゲットは、1978年の安値177.06、更には1981年の安値199.06となります。

つまり結論的には、テクニカル面からだけでは、2026年の相場を見通すことは難しいと思われます。基本は買いも、残念ながらあくまで今後の動向を確認しながら対応することをお勧めします。
従って、ドル円の2026年の想定レンジを140円から162円とします。
≪トルコリラ円≫
それでは、2020年10月からのトルコリラ円の月足を見てみましょう。
15.26を高値に、2021年11月に8円台まで水準を変えた後は9.01を高値にじり安が続いています。現状3.50まで一時下値を拡大しましたが、どうにか維持しています。
テクニカル的には、歴史的な安値水準で不透明な位置です。また、一時6.17と4.99を結んだサポート・ライン「B」と15.26と7.48を結んだレジスタンス・ライン「A」で、一種のウェッジ・フォーメーションを形成していました。このブレイクに注目していましたが、これも「C」での上抜けに関わらず、全く上昇できず逆に更に下値を3.50まで拡大しています。またスロー・ストキャスティクスは売られ過ぎでダイバージェンスしており、全く下げ止まりは確認できません。今後下落が更に拡大した場合、どこまで下落するか推察するのは難しいですが、恐らくサイコロジカルからは3.00や2.50などがターゲットとなると想定するしか方法はありません。
一方上値は、3.96を上抜けることができるか大きな焦点です。超える動きがあれば、明るさが見えるでしょうが、それでも5.82-6.69、7.48-9.01が上値を抑えるでしょう。あくまでこういった位置を越えて、9.01から12.02の窓が焦点となりますが、これも長期のレジスタンスから上値を抑える要因となるでしょう。

≪マトリックス・チャート≫
加えてドル・トルコリラとドル円の想定レンジから、マトリックス・チャート(価格帯によるクロス円の位置)をチェックしておきましょう。
ドル・トルコリラを35.0000~45.0000、ドル円を140.00~162.00としましたので、これから算出されるトルコリラ円の最大想定レンジは、3.11から4.63となります。

【予想レンジと戦略】
それでは、以上を踏まえて、トルコリラ円相場の来年の戦略についてお話します。
マトリックス・チャートも参考に、2026年のトルコリラ円の想定レンジを3.00から5.00とします。
≪2026年の注意点≫
・表題を「長期低迷する相場に夢はあるのか?」としましたが、確かに「期待感や夢」が
なければ、投資も面白くないでしょうが、以下に指摘した点には注意を払っておきましょう。
・米中間選挙や地政学リスクを睨んで荒れた展開となる可能性を考慮しましょう。
・テクニカル的には買いは難しいですが、逆に高金利通貨や歴史的安値で売りから入ることも難しい
でしょう。
・介入が入った場合の下落では買いから攻めてみるのも一考です。
・ウクライナや中東情勢、政治不安にも常に注意を払っておきましょう。
・高金利であることだけで、トルコリラへの投資を考えるのは止めましょう。あくまでトルコ経済の
回復や政治的な安定が見えてから投資を考えましょう。
・トルコ中銀が、利下げモードに入るならトルコのインフレの鎮静化が実現したことを意味します。
これは逆説的ですが、そういった局面が、トルコリラ買いの好機となるか注目しましょう。
・クロス円の場合、ストレートの動き次第では、テクニカル的なポイントと合致するとは
限りません。オーバー・シュート的な騙しの動きも留意してください。
≪2026年の具体的な戦略≫
トルコリラ円の中長期のスウィング・トレードの戦略ですが、流石に歴史的な安値圏であり、スワップ・コストの負担を考えると売ることは得策とは見ていません。強いて言えば、レバレッジを高めず、押し目での慎重な買い下がりとなります。
ただ、テクニカル面からは前述の通り、オーバー・シュートに注意して、3.96の上抜け実現するケースです。ただ、その場合もその後の押し目を確認してから対応しましょう。ターゲットは3.96やそれまでの高値を超えないなら利食い、越えても5.82-6.69ゾーンは利食い優先。更に7.48-9.01ゾーンへの上昇は想定していませんが、何かのイベントがあって、こういった上昇があって、しっかりと利食っておくのが安心でしょう。
以上一応テクニカルやファンダメンタルズからシナリオをたてましたが、ひとつの例として考えてください。この通りとなるほど、相場は簡単ではありません。あくまで私個人の35年来の経験則から想定したイメージ的なものですので、ご理解頂ければ幸いです。
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だいまん氏 |
| 1957年生まれ。青山学院大学英米文学科卒。アジア系外銀にて、外国為替の貿易事務に5年、マネー、債券、為替ディーラーを10年歴任。ディーリングおよび決済関連業務に精通。2002年の資金部次長時代に、20年間勤務した同銀行を退職。銀行在籍時より運営していた為替予想サイト「円を救え」をベースに、個人の為替証拠金取引の拡大を支援するために、相場予想および為替取引の個人向け実地教育を中心とした(株)FXSCを設立。著書に「外貨建て投資入門&実践ガイド」エム・ケイ・ニュース社佐藤利光・だいまん共著がある。ホームページ:「円を救え」短期為替予想サイト |

