≪どうなる?2026年の豪ドル円相場~年間相場見通しと戦略≫
“RBAの利上げペース次第か?”
※本記事は2025年12月末時点に作成しております。文中の内容は作成時点の情報に基づくものとなっております。
【2025年の豪ドル円相場を振り返って】
2025年の豪ドル円相場は、堅調に上昇を続けました。
年初は97.41からスタート。ただ、日銀が半年ぶりに政策金利を0.25%引き上げ、0.50%としたこと、RBAが0.25%の利下げを実施、トランプ大統領が、カナダとメキシコに対する関税を25%に引き上げ、その後も世界的に関税を引き上げることを次々と発表、特に対抗措置として中国が、レアアースの輸出規制を発表したことなどから、世界的な株価の大幅下落を伴って、大きなリスクオフの動きが一時広がり、豪ドル円相場は86.05の年間安値まで下落しました。
ただ中国の対応が強固だったことから、米政権が対中関税を緩め、主要諸国もトランプの相互関税に対して、迎合的な態度を示したことから、株価が年初来安値圏から反転に転じたこと、豪総選挙で与党が勝利しアルバーニ首相の続投が決まり、安定政権への期待などから、RBAが5月と8月に0.25%の利下げを実施するもリスク回避の動きに巻き戻しの動きが優勢となりました。
その後も中東やウクライナ情勢の不安が続きましたが、RBAは9月に政策金利を3.60%で据え置きを決定。ただ、米国が債務上限法の問題から米政府が史上最長の政府閉鎖となったことから、米雇用統計など重要な経済指標の発表が滞り、市場に警戒感が残りました。また豪州第2四半期GDPが回復、第3四半期も堅調を維持、第3四半期消費者物価指数が急騰したことなどから対NZドルでの豪ドル買いも強まりました。
一方日本では、参院議員選挙で、自公民が過半数割れとなり、石破首相が辞意を表明、自民党総裁選で高市氏が勝利、公明党が連立から離脱を表明するも、想定外に日本維新の会が新規に連立を組むことになり、高市総理が実現。高市氏の政策が財政拡張や低金利政策を目指していることから日本株高、円売りの「高市トレード」が強まりました。日経平均株価が年末に向けて5万2千円台まで上昇、日本の長期金利の上昇にも豪ドル円相場は、2024年7月の高値109.37に迫る105.22まで上値を拡大しました。

【2026年の主な材料】
以下が現在、知り得る2026年のイベントや材料です。注目度の高いものは赤字で表示しています。ただ、あくまで予定ですので変更される可能性があることは、ご了承ください。

【2026年の注目点】
2025年の相場環境を踏まえて、2026年の豪ドル円相場の注目点をまとめてみました。
・米中間選挙
・トランプ相互関税の違憲判決と債務上限問題
・RBAと日銀の政策スタンス
・高市トレードと円買い介入
・2026年の豪州経済
・原油価格との連動性
〇 米中間選挙
今年はトランプ大統領2期目で米中間選挙の年となります。この行方はトランプ政権の最大の関心事となりますが、現状の見通しは、下院は民主党有利、上院は共和党が票を維持すると見通しが主流となっています。3月の一部予備選からスタートしますが、この話題は夏場以降まで、市場の大きな関心とはなりづらいでしょう。
ただ、その場合は昨年の「トリプル・レッド」から議会に捻じれが発生します。捻じれとなった場合、米下院でトランプ大統領の3回目の弾劾裁判が行われる可能性が一部指摘されています。この話題も問題となるのは来年以降となるでしょうから、年内の相場に影響を与えることはなさそうです。ただ、またぞろ相場の混乱となることは、一応念頭に入れておきましょう。
尚以下は米国の中間選挙の年の相場傾向を1990年の価格を基準に調整したNYダウ、ドル・インデックス、ドル円の年初からの動向を比較したチャートです。
総じてNYダウは、中間選挙前に調整を強める傾向があることは覚えて置いてください。また、ドル自体やドル円はあまり上昇傾向が見えていないことも注目しましょう。
確かに毎回そうなるとは断言できませんが、現状の株価高や円安を考慮するとこのようなら展開となる可能性も考慮しておきましょう。



〇 トランプ相互関税の違憲判決と債務上限問題
昨年トランプ大統領が、議会の承認を得ないまま、IEEPA(国際緊急経済権限法)を根拠に、合成麻薬フェンタニルの国内への流入を理由としてカナダとメキシコ・中国への追加関税を発令したことをスタートに、世界的に相互関税を発動させた行為が、大統領権限の逸脱に当たると米司法の第1審と2審で、「大統領権限を逸脱している」などとして違憲とするとの判断が示されています。
これに対して、今年1月以降最高裁が最終判断を示します。違憲と判断されれば政権側が1335億ドル、日本円で約20兆円の関税収入を企業に返還する必要に迫られる可能性があると報じられています。一方トランプ政権は、敗訴しても法的な根拠を差し替えれば同様の関税を徴収しつづけることができるとしています。この結果がどうなるかはわかりませんが、トランプ大統領は、この関税収入を当てにして、様々な税制優遇や財政政策を既に発表しています。もし、この関税収入の返還を迫られた場合、現状既に米国の債務上限法 の上限にまで達している財政赤字に、更に赤信号が灯ります。
米国の債務上限法では、政府が国債発行などで借り入れできる金額の法的な上限を定めていて、これは政府支出の予算編成とは異なる枠組みで定められています。上限に達すると、議会の承認がない限り新たな借入ができなくなり、国債の元利払いが滞る「デフォルト(債務不履行)」が発生します。
ご存じの通り昨年10月には、これに抵触する形で、史上最長の政府閉鎖となっています。現在は、一旦引き延ばしの形で政府閉鎖は解除されていますが、今後も財政出動の状況次第では、また上限を上回る可能性が高く、前述のトランプ関税の違憲判決と絡めると考えると本年も大注意の話題となりそうです。その場合、FOMCが利下げを段階的に実施しても、国債の増発から米長期金利が下げ止まらず、これが米経済を圧迫し、米国の格下げのリスクにもつながるかもしれません。その場合米金融市場に大きな悪影響を与える可能性も想定されそうです。
今年もこういったリスクが最大の注意ですが、参考に下記に米10年物国債利回りの、月足チャートを掲載しておきます。テクニカル面からは、若干揉み合い気味ですが、下値はサポートが支えています。こういった状況が続くなら、下段のスロー・ストキャスティクスが既に反転の兆しを示しており、金利が再度5%方向への「悪い金利」上昇リスクとなることは考慮しておきましょう。

〇 RBAと日銀の政策スタンス
豪準備銀行(RBA)は、2026年2月、5月、8月には0.25%の利下げを実施ましたが、9月からは利下げを停止、12月のRBA会合では、声明で「インフレは最近再び上昇している」、「データはインフレのより広範な上昇の兆候を示しており、その一部は持続的で、密接な監視が必要」、「労働市場は依然としてやや逼迫している」、「インフレ圧力の持続性を評価するにはもう少し時間がかかる」、会合後ブロック豪準備銀行総裁は、「理事会は金融引き締めが必要となるシナリオを議論した」、「今後のインフレ・労働市場データが次回2月の政策会合で重要な役割を果たす」、「下振れリスクが緩和し、上振れリスクが増大したと判断」、「経済は強い基調的な勢いを示している」、「さらなる利下げは必要ないだろう」と発言している。
これを参考にするなら、今後も指標の状況次第だが、次回2会合では、据え置きを検討しても、2026年インフレ指標の結果次第で、5月以降利上げに転じる可能性もありそう。その場合豪ドル相場を支える可能性に注目したい。
一方日銀は、昨年1月に0.25%の利上げ後、12月まで金利を据え置いたことから、日銀が利上げに消極的との見方から、円安をフローしました。現状日本の政策金利は、0.75%まで上昇していますが、高市政権のプレッシャーや日本経済自体が総じて強い状況とは言えず、今年も利上げには慎重な姿勢を続けそうです。もし利上げがあっても0.25%の利上げが1回、最大でも2回程度が限界となるでしょう。
通常円相場は、日本と各国の金利差の影響を大きく受けますが、特に豪ドル円相場は、以下のチャートの通り、過去比較的豪日金利差との連動性が高い状況です。
現在は若干離れていますが、今後日銀は、当面据え置きを継続しながらも最低でも1回の利上げを実施する見通しも、豪州も5月以降利上げに転じるなら、日豪金利差の再拡大が、豪ドル円相場を支える可能性に注目しておきましょう。

また以下は、2023年の豪準備銀行の政策会合及び政策金利の発表予定日です。
1月を除いて毎月ありますので、必ず声明や2週間後に発表される議事録も合わせてチェックしておきましょう。
≪豪州準備銀行政策金利公表≫
(議事録公表)
02月03日(02月17日)
03月17日(03月31日)
05月05日(05月19日)
06月16日(06月30日)
08月12日(08月26日)
09月29日(10月13日)
11月03日(11月17日)
12月08日(12月22日)
理事会は年8回、議事録は2週間後に公表
≪日銀金融政策決定会合≫
(議事録公表日)
01月23日+展望リポート公表(03月25日)
(01月28日:12月18-19日開催分の議事録)
03月19日(05月07日)
04月28日+展望リポート公表(06月19日)
06月16日(08月05日)
07月31日+展望リポート公表(09月28日)
09月18日(11月05日)
10月30日+展望リポート公表(12月23日)
12月18日
〇 高市トレードと円買い介入
昨年高市総理就任前後から、円売り株高や日本の長期金利上昇が強まっています。市場の理解としては、高市氏のこれまでの発言や政策姿勢から、一般に以下のような政策スタンスを持つと認識されています。
・積極的な財政政策(大型補正、国防・産業投資)
・デフレ脱却を重視、金融引き締めに否定的
・安全保障・防衛関連支出の拡大志向
・トランプ政権に対する迎合
これらを前提に、高市政権の支持率の高さもあって、期待感から特定の資産が有利になるとの思惑で株買い、円売り、国債売りが行われる取引が「高市トレード」と呼ばれています。
ただ、注意しなければならないことは、高市政権に、未だこういった実績がある訳ではありません。自民党自体の支持率は低く、今後予想される衆院解散総選挙でも、連立の混乱もあって政権維持も確定的ではありません。期待感先行の取引であって、ファンダメンタルズというより、政治イベントドリブンのテーマ取引として理解するのが適切です。
一方では国民の間から円安による物価高に不満が高まっています。前述の「高市トレード」から円安が拡大していることにも物価安定を目指す高市総理に批判が見えています。どうにか政権としては、人気取りもあって円安を止めようと片山財務大臣や財務省から円安牽制発言が続いていますが、全く効果は見えていないようです。
そうなるとやはり財務省の「伝家の宝刀」、円買い介入は現実味を帯びてきます。
ただ、実際2022年や2024年も、財務省が強力な円買い介入を実施しましたが、需給面の円売りニーズが強く、効果は一過性で終わっています。
過去、当局の介入は「短期的には効果があるが、中期的には効果はない」と指摘されるように、相場のトレンドを変えることはありません。ただ、一方では超長期で考えると1995年の超円高時期の円売り介入、2003-4年の溝口介入と結果的に効果を示したと言えます。ですがこういった介入は全て「円売り介入」であって、自国通貨である円は、無尽蔵に介入が可能ですが、他国通貨である「円買い介入」には限界があると言えます。
それでは「ドル売り(円買い)」介入の原資となる日本の外貨準備の状況を見てみましょう。
以下は直近介入前の2022年からの外貨準備と「円買い介入」の状況をプロットしたチャートです。
2022年の介入後外貨準備はある程度増額しています。また、2024年も959億ドル程度の介入を実施しましたが、それほど外貨準備額は減少していません。若干決済の時差やスワップ取引などを利用していた場合、増減の具体的な要因は把握できませんが、外貨準備のほとんどが米国債で運用されています。つまり、「円売りドル買い介入」を実施しない場合でも、米国債からの運用益で外貨準備は増加します。これはざっくりとした計算ですが、もし年2%の運用利回りと仮定した場合で、毎年200億ドル程度、3%なら300億ドル程度外貨準備が増える計算になります。2022年の介入額は約426億ドル、2024年は959億ドルで、これを短期で続けながら1兆ドルレベルを維持するのは難しいとしても、現在は2023年レベルまで外貨準備を回復しており、この運用利回りを考慮すれば「円買い介入」の余地はあると思います。
一方介入レベルに関しては、「急激な変動を避けるため」と言っても、財務省や財務官がどういうレベル感や論理でタイミングを決めているか根拠は不透明です。ただ、実際の介入実績から2022年は恐らく150円の防衛、2024年は160円の防衛が主眼となっているように感じられます。そうたびたび出来るわけではありませんが、少なくとも次の161.95の高値を脅かす状況となれば、間違いなく介入してくるとみています。
実際この点に関しては、想像しても意味はありませんが、少なくとも円安が一過性に進んだ場合も、安易にドル円の上値を追いかけるのは避けておいた方が良いでしょう。
近年「円買い介入」が実施された場合、一気にドル円相場では、4-5円の円高が進むケースが多いようです。ユーロ円の現状相場からは5-6円円高に進む可能性もあります。
あくまでこういったタイミングで、円が上昇した場合に円を売る姿勢の方が、メリットが大きいことは覚えておいてください。

〇 2026年の豪州経済
豪州の2026年の成長率見通しは、堅調なプラス成長が予想されています。
IMFは、2026年のGDPを2.1%(2025年1.8%)、OECDは2.3%、民間シンクタンクの予測でも、2.00から2.3%の成長と、民間需要の回復が成長の原動力となり、成長が持続するとと予測しています。
雇用や労働市場は底堅く、失業率は低水準を維持、高い労働参加率を背景に労働市場は比較的タイトな状態が続く見込みです。また消費者センチメントはやや慎重な動きが報じられているものの、家計支出は底堅く推移しています。
一方インフレは、2026年もおおむね2.0%から3.0%のターゲットレンジ付近で推移すると見込まれています。ベースインフレ(基調的な物価上昇)も同レンジ近くで安定的に推移するとしていますが、一部の民間予測では、2026年のヘッドラインインフレ率は約3.0%前後と予想する分析もあります。以下は豪州の四半期CPIの推移ですが、一時の7.80%からは調整のインフレ・ターゲットの下限で下げ止まっており、今後上昇圧力となるか注目されています。

〇 原油価格との連動性
豪ドル相場は、資源国通貨ということもあって、資源価格と連動性が高い通貨です。
以下は2000年からの豪ドルの対ドル相場とWTI原油価格の推移を比較したチャートです。総じて連動している形が見て取れると思います。ただ、直近は、若干整合性が見えていません。恐らくトランプ政権の原油安政策の影響を受けているようですが、今後原油価格が想定以上の下落を強めた場合、豪ドルの対ドル相場にも調整が入る可能性には注意しておきましょう。

原油価格の動向が豪ドル円相場に大きな影響を与えるなら、原油価格のテクニカルもチェックしておきたいところです。
2020年からのWTI原油先物の月足チャートです。130.50ドルで高値をつけて、調整を強めています。ただ、現状は54.809-55.12ドル、フィボナッチ・リトレースメントでいうなら61.8%戻しが支えています。そのため更に下落が拡大するとは断言できませんが、上値は今後もレジスタンス圏が押さえて、このネック・ラインを割れると33.64-43.78ゾーンで、フィボナッチ・リトレースメントの76.4%戻しまでの調整リスクとなります。
原油相場は、ウクライナや中東情勢、トランプ政権の政策次第の面がありますが、若干広めですが、2026年40-80ドルぐらいの推移を想定します。

【テクニカル面】
まず、豪ドル円相場を形成する、豪ドル/ドル相場の月足からチェックしておきましょう。
豪ドル/ドル相場を大きく見ると0.4775の史上最安値から上昇が、1.1083で史上最高値をつけて、0.5510で下ヒゲを描いた後は、反発も0.8008で抑えられて再調整気味です。
ただ下落は0.4775から0.5510を結んだサポートを維持しており、1.1083からのレジスタンスを越え気味です。今後この動きがはっきりとするか注目ですが、一応下段のスロー・ストキャスティクスも反転上昇気味で、しっかりと上抜けて来るなら、0.8136-0.8008のダブル・トップの再トライもありそうです。ただ、これは過去のネック・ライン的な位置であり、フィボナッチ・リトレースメント(0.4775-1.1083)の50%となる0.7329に近いレベルであり、上抜けは厳しい位置となります。あく超えて、0.8542-0.8661などがターゲットとなりますが、こういった位置も売りが出易いでしょう。
下値は、もし0.5915や0.5510を割れるとサイコロジカルな0.5000まdpがターゲットとなります。
従って、2026年の豪ドル/ドル相場の想定レンジを0.6000から0.7700とします。最大でも0.6000から0.8000で見ています。

次に豪ド円を構成するドル円相場を見てみましょう
テクニカル面からまず2011年からの月足チャートをみてみましょう。
75.31の歴史的な安値から125.86まで反発後、102.59が下値を支えてサポート形成から、151.95の高値、127.23を支え、161.95まで上値拡大しています。
エリオット的な波動の観点から見ると、まず長期波動からは75.31から125.86を第1波、125.86から102.59を第2波、102.59から151.95を第3波、151.95から127.23を第4波と仮定するなら、次の第5波の位置が焦点となります。ただ、この位置は151.95と161.95の可能性が指摘されますが、その後は高値圏で保合となっており、第5波の確定は139.58-89のネック・ラインをしっかりと割れるまでは確定できません。
一方より短い期間として102.59からの上昇波動から見ても、161.95の高値が第5波のトップにならない限り確定は難しい状況です。しかも、161.95から158.87の高値を結んだレジスタンスを現状は上抜けています。
これを前提に考えるとまだ高値付きは確定できておらず、下段に示したスロー・ストキャスティクスの面からは、既にゴールデン・クロスが示現していて、今後も上昇波動が続く可能性が示唆されています。その場合で161.95の高値を超えるなら、上値は161.95から139.58の下落幅22.37を161.95から上げた184.32までの上昇が指摘されることになります。辛うじて上昇が止まるとしても、最低でも2026年も140-162円レンジでの揉み合い相場とみるしかなさそうです。

一方1989年からの超長期のドル円相場の月足チャートを見てみましょう。
ドル円相場は、1990年の160.35の高値から、2011年10月の75.31まで下落後、2022年10月には、160.35の高値と、147.66や125.86の高値を結んだレジスタンスを越えて、上下しながらも151.95まで急反発しました。ただ、この位置から127.23まで急落。チャート形状から「D」の75.31をボトムとして、「C」と「E」をアームとした「リバースH&S」が一旦確定したと見られました。
ただ、下値は「D」をベースとしたネックラインが逆サポートして、更に反転がこの高値を超えて、161.95まで上昇しています。つまりこのリバースH&Sの前提が崩れた形となっています。
また、日柄からは「C」から「D」の経過日数が13年2ヵ月で、この「D」から同日数の結果を考えると2024年12月が次のピークとなるべきです。これは実際には2025年1月の158.87がこれに該当する形で、日柄からみたピークは「E」の位置となります
この「E」がピークとなるのか、そうでないのかは、2026年の相場を見る上で重要となります。
もし、この「E」がピークとなるなら、「G」への下落は、3年4か月経過の2028年4月まで続く形が想定されます。一方「E」がピークとならない場合は、逆に「F」への方向への上昇が、「A」からの経過を考えると2032年4月まで続く可能性が指摘されます。その場合の次のターゲットは、1978年の安値177.06、更には1981年の安値199.06となります。

つまり結論的には、テクニカル面からだけでは、2026年の相場を見通すことは難しいと思われます。基本は買いも、残念ながらあくまで今後の動向を確認しながら対応することをお勧めします。
こういった面を考慮して、ドル円相場の2026年の想定レンジを、140.00から162.00とします。
≪マトリックス・チャート≫
以下は豪ドル/ドル相場とドル円相場の想定レンジから算出したマトリックス・チャート(価格帯によるクロス円の位置)です。
豪ドル/ドルの想定レンジを0.6000~0.7700、ドル円の想定レンジを140.00~162.00としましたので、これから算出された豪ドル円相場の最大想定レンジは、84.00~124.74なります。ただ、広すぎることで、この中心値104.37を基準に過去の平均年間レンジの20円を参考に、適正値として94.37から114.37とます。

それでは最後に豪ドル円の長期の月足チャートです。
豪ドル円相場は、以前から指摘していましたが、「C」をトップとして「B」と「D」をショルダーとした超長期のH&Sを形成していましたが、これが「E」の59.91の下ヒゲで、アームを形成して一旦大きなH&Sを完了しました。
その後再度「E」を起点として、より小さな「H」をトップとした若干変則的なH&Sを形成し直しています。(「G」の位置で2段階のショルダーを形成している可能性がある)
H&Sの基本からは、本来「I」でショルダー部分を2026年8月前後まで形成後、ネック・ラインとなる87.31-87.02-88.47ゾーンを割れて「G」への2段階ショルダーへ向かうことが想定されましたが、実際は「I」のトップを越えて、その通りになっていません。
この上抜けが、単なる騙しに終われば良いですが、下段のスロー・ストキャスティクスは、既にゴールデン・クロスから反転しており、今後も上昇を継続する可能性が示唆されています。その場合「H」のトップを目指すことが想定されます。また、この位置を超えた場合、未知の領域からどこまで上昇するのか、想定は難しくなります。
一方前述の通り、もしこの上抜けが騙しで終わるなら、再度91.51-96.26ゾーンの戻り安値圏まで調整も、サポートが控えており維持では堅調が続きそうです。ただ,維持出来ない場合も、87.31-87.02-88.47のネック・ゾーンまで調整しますが、その場合もこの位置は当面維持しそうです。
リスクはこれを割れるケースですが、その場合「G」のゾーンでの動きを継続する型となります。
従って、2026年の想定レンジを、マトリックス・チャートも参考にすると95.00から115.00、最大で見ても90.00から115.00とします。

【予想レンジと戦略】
それでは以上を踏まえて、豪ドル円相場の2026年の戦略についてお話します。
2026年の想定レンジを、マトリックス・チャートも含めて95.00から115.00とします。
従って基本的なスウィング・トレード戦略は、押し目買いですが、高値圏にあって、上値追いは避けましょう。理想は95-100.00ゾーンの買い下がりです。利食いはこの場合、それ以前の高値が抑えると利食い優先です。超えても110.00-115.00ゾーンは利食いを優先しましょう。また、こういった位置では売りも狙ってみましょう。ただ、高値圏でレベルが設定しづらいこともあって、サイコロジカルなレベルを睨みながら、しっかりとストップを対応しましょう。その利食いも逆サポートとして、100円前後が維持されると利食い優先で、割れても91.51-96.26ゾーンではしっかりと利食いましょう。更には87.31-87.02-88.47ゾーンへ方向への押し目では買い下がりですが、ストップはこのネック・ラインを割れるなら止めるスタンス。また、こういった下落の場合、利食いは100円前後が抑えると利食い優先です。
また、タイミング的な注意点は以下となります。こういった面も勘案しながら、戦略を立てて頂ければと存じます。(詳細は、ドル円相場の2026年見通しの「ドル円の季節性」を参照ください)
注意点は
①1-3月期は、本邦のレパトリ・シーズンで円高気味となり易いこと。
②株価面では、来年前半は今年の流れを引き継いで弱い可能性があり、リスクオフが広がり易い。
ただ、年後半に向けては、FRBの利上げ停止などが株価を支え、リスクオンの動きが期待される。
③ドル円は、例年アノマリー的に、8月中旬に瞬間的な円高が示現することが多いことは注意です。ただ
逆にこの時の急な円高は、年末に向けて絶好の円の売り場となることも、覚えておいてください。
④9月のレイバーデー明けからは、年末に向けて方向性が出易い時期です。この時期に一定の動きが見え
た場合、逆張りで向かわないようにしましょう。
以上一応テクニカルやファンダメンタルズからシナリオをたてましたが、ひとつの例として考えてください。この通りとなるほど、相場は簡単ではありません。あくまで私個人の35年来の経験則から想定したイメージ的なものですので、ご理解頂ければ幸いです。
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だいまん氏 |
| 1957年生まれ。青山学院大学英米文学科卒。アジア系外銀にて、外国為替の貿易事務に5年、マネー、債券、為替ディーラーを10年歴任。ディーリングおよび決済関連業務に精通。2002年の資金部次長時代に、20年間勤務した同銀行を退職。銀行在籍時より運営していた為替予想サイト「円を救え」をベースに、個人の為替証拠金取引の拡大を支援するために、相場予想および為替取引の個人向け実地教育を中心とした(株)FXSCを設立。著書に「外貨建て投資入門&実践ガイド」エム・ケイ・ニュース社佐藤利光・だいまん共著がある。ホームページ:「円を救え」短期為替予想サイト |

