スウェーデンクローナの特徴

スウェーデンクローナとは?
スウェーデンクローナは、スウェーデン王国の法定通貨であり、北欧の中でも高い信用力を持つ通貨の一つです。
発行・管理を担うのは、同国の中央銀行であるリクスバンク(Sveriges Riksbank)です。
本記事では、世界通貨セレクトの中でも人気のある「ノルウェー/スウェーデン」の片翼を担うスウェーデンクローナについて、歴史から経済の特徴、為替に影響を与える要因までを解説します。
スウェーデンクローナの歴史

スウェーデンクローナの歩みをたどると、そこには時代ごとの決断と変化が織りなす物語が浮かび上がります。
物語の始まりは、17世紀にさかのぼります。
1668年、世界最古の中央銀行のひとつとしてリクスバンクが設立されました。
通貨の安定と金融制度の健全性を担うこの機関が、後のクローナの礎となります。
20世紀初頭、国際経済は大きな揺らぎを迎えます。
1914年、第一次世界大戦の勃発とともに金本位制は崩壊。
1931年には、スウェーデンはクローナに対する投機の後、金本位制を放棄し、新たな通貨運営の時代に踏み出しました。
同年、リクスバンクが世界で初めて物価安定を公式な政策目標として掲げ、中央銀行の役割を一段と明確にしました。
1939年、第二次世界大戦が始まる直前に、スウェーデンは自国通貨クローナの価値を米ドルに固定しました。
これは、戦争に巻き込まれない中立国としての立場を反映したものでした。
時は流れ、経済統合が進むヨーロッパに歩調を合わせる動きも見られます。
1991年、クローナは欧州通貨単位(ECU)に価値を固定しました。
これはスウェーデン側の一方的な決定で、固定レート義務は伴わず、一定の信頼感をもたらしたものの、その効果は限定的でした。
そして近年、日常生活にも小さな変化が訪れます。
2010年、50オーレ硬貨(100オーレ=1クローナ)が廃止され、1クローナが最小単位の硬貨となりました。
オーレは計算上の単位として残り、現金取引では四捨五入による端数処理が行われています。
スウェーデンクローナは、このように制度や為替の仕組みを変化させながら、時代ごとの経済環境に合わせた歩みを続けています。
スウェーデンの経済
スウェーデンはその国土が日本の約1.2倍、面積は約45万平方キロメートルに及び、人口は約1,055万人と日本(約1億2,344万人)のわずか8.5%ほどにとどまります。
人口密度は低く、ゆとりのある国土が特徴です。
経済の拠点とも言える首都ストックホルムには、およそ99万人が生活しており、全国で最も人口が集中する都市です。
産業構造を見れば、スウェーデンは「機械工業」「化学工業」「林業」「IT」といった多様な分野を基盤にしており、これらが国家経済の柱としてしっかり支えています。
経済規模については、2023年の名目GDPは約5,933億ドルで世界第25位に位置します。
また、1人あたりGDPは56,225ドルという高水準です。
スウェーデンは国際市場との結びつきが強い国です。
輸出額は1831億ユーロ、輸入額は1783億ユーロと、ほぼ拮抗したバランスで、輸出の内訳は「輸送用機器」「工業機械」「電気機器」「医薬品」「食料・飲料・たばこ」、輸入は「電気機器」「輸送用機器」「工業機械」「食品・飲料・たばこ」「原油」が主要項目です。
こうした重工業や製造業が経済を支える一方で、スウェーデンはシンプルで機能性を重視したデザイン文化を背景に、ライフスタイル産業でも国際的に存在感を示しています。
2011年にストックホルムで創業した腕時計ブランド「ダニエル・ウェリントン」は、広告に巨額を投じることなく、創業当初からインスタグラムなどのSNSを主軸としたデジタル戦略を展開し、インフルエンサーへの商品提供を活用して支持を広げました。
2017年には「ヨーロッパで最も成長が早い民間企業」と評価されています。
その成功は、スウェーデンがデザイン力とデジタル技術を組み合わせ、新しい産業価値を創出できる国であることを示す好例といえます。
このように、スウェーデン経済は伝統的な工業製品の輸出に加え、デザインやデジタルを融合させた新興ブランドの台頭によって、多様な分野で国際競争力を発揮しています。
政策金利推移
リクスバンクが決定する政策金利は、国内銀行がリクスバンクに預け入れや借り入れを行う際の基準金利となっています。
足下の政策金利は、2024年5月から段階的な引き下げ局面にあり4.00%から2.00%と段階的に引き下げられています。(2025年8月22日現在)
以下のグラフは、スウェーデンにおける政策金利の推移を示したものです。
利上げ局面から利下げ局面への転換が、数値の変化とともに視覚的に確認できます。

(出典:Sveriges Riksbank 「Historical policy rate statistics」より、1995 年~2024 年の年末
値を基にインヴァスト証券が作成)
金融政策決定体制
スウェーデンの金融政策は、リクスバンクの執行理事会が担い、ここで政策金利を含む金融政策を決めています。
理事会は現在5名で構成されており、決定は多数決で行われます。
インフレ率を2%で安定させるという目標に沿って意思決定を行っています。
会合は年8回が原則で、2024年以降は従来の年5回から年8回へ増回されました。
また必要に応じて臨時で開催もされています。
スウェーデンクローナの影響要因
スウェーデンクローナの価値は、スウェーデン経済の堅牢な基盤と国際的な関係性によって支えられています。
スウェーデンは高度な技術力と教育水準を背景に、機械工業や化学工業、林業、IT分野といった多様な産業を誇ります。
これらの産業の安定的な輸出がクローナの価値を下支えしています。
主要取引品目には「輸送用機器」「工業機械」「電気機器」「医薬品」が並び、輸入側では「電気機器、輸送用機器、化学製品、食品、原油」が挙げられます。
このように、多岐にわたる分野との取引が、為替の振れ幅を抑える安定性の要因となります。
国際的な位置づけと強み
スウェーデンはいずれもS&P、ムーディーズ、フィッチなど世界の主要格付け会社から最高位の「AAA」を維持しています。
これは世界の国々のなかでもごく限られた存在であり、財政の健全性や経済運営の信頼性が極めて高いことを示します。
そのため、カントリーリスク(国家信用リスク)が非常に低く、スウェーデンクローナは国家信用リスクの観点では非常に安心感のある通貨ペアです。
為替相場の動きは外部要因に左右される場面もありますが、通貨自体の信頼性は世界でも高い水準を誇ります。
出典
Sveriges Riksbank
外務省