2025年注目したい 人気3銘柄

日経225・ナスダック・S&P500 2024年の振り返りと2025年の相場予想

日経225

○2024年の振り返り

2024年の日経平均は33464円から39894円へ、+6430円(+19.2%)と好調なパフォーマンスを記録しました(数字は日経平均指数)。高値は42224円(7月11日)、その瞬間においては+8760円(+26.2%)という素晴らしい数字でした。

年初から振り返ると、1月はいきなり+8.4%高のスタート。上昇を後押ししたのは新NISA(少額投資非課税制度)。オルカン等、多くの資金が海外投資に向かったと推測されていますが、一部は日本株購入に回り日経平均を支えました。そして東証による「PBR 1倍割れ改革」は、時代に対応し変化する日本を象徴するスローガンとなり、海外投資家の資金を引き付けました。1月の外国人投資家による日本株買い越し額は2兆円となり、これは2013年のアベノミクススタート以来の大きさでした。

2月に入っても日本株は好調で、AI期待から米ハイテク株が上昇し、日本でも東京エレクトロン等、半導体関連が積極に買われ、2月22日には1989年の史上最高値38915円を34年ぶりに更新しました。

買いの勢いは続き、3月には4万円の大台突破、7月に42426円の最高値に達しました。

ところが、日経平均はその後変調します。 7月31日の政策決定会合において日銀は0.1%から0.25%への利上げを実施、 その日の日経平均は上昇して終わったものの、8月2日の米雇用統計において失業率が4.3%(予想4.1%)と急上昇、週明け8月5日の日経平均は4451円安(-12.4%)とブラックマンデーを超える大暴落となりました。

それでも、翌8月6日は+10.2%と過去最大の上昇幅で反発、米国は9月FOMCにおいて0.5%の大幅利下げを実施し、米国株は最高値を更新、日経平均もサポートされました。9月の衆議院選挙では自民・公明与党連合が過半数を割り込みましたが、下落は限定的にとどまり、結果的に日経平均は夏の暴落にも関わらず、4万円近いレベルで2024年を終えました。

○2025年の相場予想

2024年の上昇率は19.6%でしたが、2023年は28.2%(26094⇒33464、+7370円)上昇しました。2年連続して高い上昇率となっています。3年連続上昇できるか注目です。

株価の基礎となる企業業績は引き続き好調と予想されています。米証券大手ゴールドマン・サックスは日本企業のEPS(一株当たり純利益)が11%伸びると予想しています。株価=EPS✕PER(株価収益率)なので、PER(おおよそ14ぐらい)で変わらないとすれば、11%株価が上昇することになります。そうなると44,000円前後でしょうか。

市場関係者、企業経営者が予想する2025年の日経平均高値は平均44156円と日経新聞は報じています。EPSの伸びにおおよそ沿った予想になっています。

しかし、リスク要因も考慮しなければなりません。もっとも重要なのはトランプ大統領が就任することです。トランプ大統領は多くの政策を掲げていますが、

(1)関税の引き上げ、
(2)減税、
(3)ドルの水準訂正

と言ったところがメインポイントです。ドルの水準調整は、米経済が好調でインフレがむしろ問題になっている状況なので、すぐに行なわれることはないでしょう。問題は(1)関税です。

他国からの輸入に対し一律に関税をかける(ユニバーサル関税)と言われています。ただ、多くの市場関係者は、口では関税をかけると言っても、実際に大規模関税を課すことはないのではないかと考えています。トランプ氏は株価を非常に気にかけるからです。しかし、本当のところはどうなるのか、わかりません。

トランプ大統領が関税を課す地域の株を敢えて買う必要はないと、世界中の投資家は考えるはずです。欧州や日本の企業より、米企業に投資した方が、関税のリスクがありません。

また、トランプ大統領はメキシコに対して25%の関税を課すとも言っています。メキシコでは、日産、マツダ等の日本の自動車会社が大規模に生産しています。

ただ、日本に課せられる関税が10%程度に留まるなら、あまり大きなインパクトはないかもしれません。ドル円が10%上昇すると、輸出企業のある程度帳消しになります。

次に、日銀の利上げもリスクといえばリスクです。0.25%の利上げが企業業績にインパクトを与えるかといえば、それはほとんどないでしょう。しかし、それが円高につながれば、日経平均は大きく影響を受けます。

昨年8月5日の大暴落は、日銀利上げと米雇用統計悪化があいまって、必要以上に株価を下げました。

海外ヘッジファンドの中には、昨年8月5日の暴落で痛手を被ってから、日本株に対しトラウマを抱えている投資家もいると聞きます。


まとめると、日経平均は44000~45000円前後へ上昇することが見込まれますが、トランプ政権の不確実性、円高リスク(トランプ政権が政策として円高圧力をかける可能性と、日銀の利上げで円高になる可能性)を考慮すると、昨年のようにどこかである程度の調整が起こる可能性があり、調整時に狼狽せずに買い増しできるようなリスク量でロングを持ちたいところでしょう。

レンジとしては36,000円から45,000円で、押し目買いスタンスです。

ナスダック

○2024年の振り返り

ナスダック総合指数は、全米証券業界(NSDA)が開設・運営をしている電子株式市場「NASDAQ」に上場している全ての銘柄を対象に、時価総額加重平均で算出した指数です。指数を構成する上位銘柄に大型テック企業が多いので、最近ナスダックの動きとSP500の値動きが連動しやすくなっています。

2024年のナスダック総合指数は+28.6%と快調でした。2023年は+43.4%です。2年連続して好成績でした。

米国株の場合、例年11月のパフォーマンスが最も良好ですが、ナスダックも2023年11月をスタートに上昇相場を開始し、4月に小緩みましたが、5月、6月も好調を維持しました。

7月高値から、調整が始まりました。 高金利が米経済に及ぼす影響が懸念され始めました。その時、8月2日発表となった米7月雇用統計が予想外に悪い数字だったことから世界的に株価が急落し(特に日経平均は4451円安とブラックマンデーを超える大暴落)、ナスダック総合指数も8.8%の下落となりました。

しかしながら、ナスダック総合指数は8月5日を大底にして上昇を再開し、12月には2万を越えて来ました。


背景にあるのは、やはりAI。エヌビディアは2024年1年で171%も上昇しましたが、エヌビディアの上昇が周辺銘柄への買いを誘発し、ナスダック全体をお仕上げました。28.6%というパフォーマンスはSP500の上昇率19.2%を越えています。

○2025年の相場予想

ナスダックは新興企業が多いので、PER等、株価のバリュエーションとしては高く出てきます。よって、そのことを理由に割高、割安を論じても方向性を見誤る可能性があります。

リスクとしてはIT企業、新興企業が多いインデックスなので、金利動向に敏感という点はあります。

2025年はトランプ大統領も就任します。リスクとしては、

(A) AIブームの継続性、半導体市況
(B) トランプ政策
(C) 米金利上昇リスク

こうした点が重要なのではないかと思われます。

AIブームの継続性に関しては、誰もわからないところではありますが、大手テック企業のAI関連投資に関しては、その投資額の大きさには驚かされます。今後も巨額投資を続ける方針であるとは聞こえてきます。

しかし、中国Deep Seekという新興AI企業がありますが、米政府による半導体輸出制限により、最新の速いコンピューターチップを使うことはできないのですが、従来の遅いチップでも、しかも非常に安いコストで(米国勢の1000分の1)Chat GPT並のAIを作りました。技術開発によって、エヌビディアが作る最新半導体への猛烈な需要が一段落してしまう、そういうリスクはあります。

あまりにも最新のテクノロジーなので、突然の変化が起きやすいと言えます。


1月20日に就任するトランプ新大統領の政策に関しては、いろいろ物議を醸していますが、不法移民対策や、関税、そして減税といった政策はいずれもインフレ率を上昇させる可能性があります。インフレ率を上昇させないように、一気に関税を引き上げるのではなく、少しずつ引き上げる案等が、ベッセント時期財務長官周辺からアイデアとして出ている様ですが、トランプ大統領が承認するかどうかわかりません。

インフレが再加速してしまうなら、それが政権にとっても大きなリスクですし、金利の上昇はナスダックにとっては由々しき事態です。

米長期金利が4.8%という水準に来ていますが、5%を越えてどんどん上昇していくことになると、ナスダックのダウンサイドリスクは高まります。

先読みは難しいですが、相応のダウンサイドリスクは覚悟しておくべきと思います。2024年8月安値である15700前後、4月安値15200前後が良いサポートとなりそうです。ロングを維持しつつもリスクは抑え、15000辺りへの押し目を狙って買う方が良いのではないかと考えます。

一方、アップサイドの方ですが、トランプ大統領がインフレ抑制に成功し、FRBも利下げを再開できるようになってきたら、そのときは積極買いでしょう。規制緩和が好きな大統領なので、上手く噛み合った場合には25000といったレベルも見えてくるのだと思います。

S&P500

○2024年の振り返り

2024年のSP500は+23.3%と素晴らしいパフォーマンスを発揮しました。2023年の+24.2%に続き、2年連続で20%を超える成長でした。

特筆すべきは、年間を通して大きな調整がなかったということです。好パフォーマンスであった2023年でも7~10月の3ヶ月間調整局面となり、-10.9%下落しましたが、2024年は8月に悪い雇用統計発表後に-9.4%となりましたが、月間のパフォーマンスは+2.28%でした。

2024年と過去73年の平均の比較表

米国株には明確な季節性(アノマリー)があり、2月、それから8,9月に調整する傾向があります。2023年も夏の期間調整したのですが、2024年は踏みとどまりました。

相場を牽引したのは、今年もマグニフィセント・セブン(アップル・マイクロソフト・アルファベット・アマゾン・メタ・エヌビディア・テスラ)で代表される大型IT株でした。マグニフィセント・セブンの昨年のパフォーマンスは52.1%です。

何よりも、「AIブーム」が相場の中心でした。AIにはより速いコンピューターチップが必要で、それを生産しているのがエヌビディアということで、エヌビディア株は+171%という猛烈な上昇を見せました。

銘柄とリターンの表

テック株中心の相場の中、SP500のパフォーマンスは、いわゆる「オルカン」と言われたMSCIオールカントリーや日経平均、新興国株を上回り、非常に良い1年だったと言えます。

○2025年の相場予想

2年連続良好なパフォーマンスを実現したSP500ですが、2025年はどうなるでしょうか。

多くの金融機関の予測を見ると、過去2年ほどではないが、一様に強気です。過去平均(+8.7%)を少し超えるぐらいのリターンはあるのではないかとの予測が多く見受けられます。2024年の終値が5881でしたので、+8.7%となると6392となりますが、各社の予測は6500を越えてきます。

金融機関と予測値の表

最も大きな理由は引き続き良好な企業業績です。SP500を構成する企業のEPS(1株当たり純利益)の伸びは14.3%となっています。情報技術(アップル、エヌビディ等)が+21.1%、ヘルスケア20.4%、一般消費財(アマゾン等)が+11.9%、と予想されています。EPSの伸びがそのまま反映されるとすれば、SP500の予測値は6722となります。

マクロ環境的にも、良好と考えられています。2025年の米GDPは+2.3%程度の伸びが予想されています(FRB予測は2.1%ですが、多くの金融機関は高めの予測です)。そして、2024年12月FOMCではタカ派方向へのサプライズがあったものの、金融政策の方向性は穏やかながらも緩和方向と想定されています。

しかしながら、ダウンサイド・リスクも当然考えられます。

何と言ってもSP500の水準が歴史的も割高という点です。PERは24倍を越えます。歴史的に見たSP500の過去平均PERは19倍なので、25%程割高に評価されているとも言えます。

SP500は2年連続して20%を超えるリターンとなりましたが、過去75年を振り返ると、2年連続2桁の伸びを見せたあとのパフォーマンスは+3.2%と、8.7%程度の過去平均を大きく下回ります。ただ、1990年代後半、1995年から19999年にかけて5年連続二桁成長でした。こうしたケースもあります。

もう一つのリスクは、過度なAIへの期待感です。このところの相場はマグニフィセント・セブンが作り出した相場です。昨年マグニフィセント・セブンのパフォーマンスが52.1%で、SP500全体が23.3%だったということは、マグニフィセント・セブンを除いたSP493のパフォーマンスは程々だったということです。マグニフィセント・セブンが崩れることがあれば、SP500は大きく失速することになります。

特に昨年171%も上昇したエヌビディアが崩れることがあれば、相場全体に与える影響は大きくなります。

そして何より、トランプ大統領の政策が最大のリスクでしょう。
・不法移民対策
・関税引き上げ
・減税
こうした政策はいずれもインフレ率を引き上げる可能性があります。そうなると、FRBも緩和を断念せざるを得ないということになります。

現状、米10年金利は4.7%を超える水準まで来ています。SP500全体の益利回りはPER24とすると4.17%となります。無リスク資産である長期債の利回りがリスク資産である株式より高いというということは、めったにありません。

まとめると、割高であることと、過去2年連続して20%を超えるパフォーマンスだったことを考慮すると、2025年は過去2年と同じ様な高いパフォーマンスは期待し難いと言えますが、企業業績が順調に伸びることから、2025年も強気の年になると予想されます。リスクはトランプ大統領の政策にあり、突発的な政策変更で株価が急落するケースも無きにしもあらずということになり、過度なリスクテイクは抑えて、押し目では買い迎える程度のスタンスが良いのではないかと思われます。