アメリカ中間選挙特別レポート アメリカ中間選挙特別レポート

アメリカ中間選挙とは

米国中間選挙とは、4年ごとに行われるアメリカの上院の3分の1議席と下院の全議席、およびいくつかの州の知事を選出する選挙の事です。大統領選挙の中間に行われる事から大統領の仕事ぶりを評価する選挙とも言われています。

中間選挙結果

2018年アメリカ中間選挙の結果、上院はトランプ大統領所属の共和党が51議席、民主党が46議席を獲得し、現状のまま共和党が多数派となりました。一方で、下院は共和党が201議席、民主党が224議席を獲得し民主党が多数派となり「ねじれ状態」となったことで、これまでのように政策を可決することが厳しくなるとみられています。この結果により、トランプ政権は今後難しい政権運営を迫られることが予想されますが、今後のマーケットにどのような影響を与えていくのか注目する必要があります。

武者 陵司(むしゃ りょうじ)

株式会社 武者リサーチ 代表
ドイツ証券株式会社 アドバイザー
ドイツ銀行東京支店 アドバイザー

1949年長野県生まれ。1973年横浜国立大学経済学部卒業後、大和証券に入社。
1988年大和総研アメリカでチーフアナリストとして米国のマクロ・ミクロ市場を調査。
1997年ドイツ証券調査部長兼チーフストラテジスト、
2005年ドイツ証券副会長を経て、2009年株式会社武者リサーチを設立。

主な著書
『日本株大復活』(PHP研究所)
『新帝国主義論』(東洋経済出版社)
『「失われた20年」の終わり地政学で診る日本経済』(東洋経済出版社)
『超金融緩和の時代』(日本実業出版社)
『結局、勝ち続けるアメリカ経済一人負けする中国経済』(講談社+α新書)
『史上最大の「メガ景気」がやってくる 日本の将来を楽観視すべき五つの理由』
(KADOKAWAより2018/6/29発売)

「終わりが見えない、米国の歴史的経済ブーム」

アメリカ経済の独り勝ち色がますます強まっている。3~4%の経済成長率が視野に入っているのは先進国の中ではアメリカだけである。失業率は4%をきり、完全雇用をほぼ実現している。低迷していた物価もFRBの目標の2%がほぼ達成された。日本と欧州はゼロ金利にもかかわらずインフレ率が高まらず、長期金利の低迷が続き、銀行の利ザヤが極小となり、信用創造が事実上停止する「流動性の罠」に陥ったままである。
その中でアメリカだけは、長期金利が上昇に転じ十分な長短利ザヤの下で、銀行貸し出しが増加し、金融機関の収益体質は大きく強化されている。株価はトランプ大統領が当選して以降一年余りで40%上昇し、2月のVIXクラッシュで12%下落したものの、すでにほぼ下落を取り戻し、過去最高記録を達成している。
年初来の主要国株価を比較すると、中国-15%、欧州(ストックス50)-2%、日本株式+4%に対して米国株式は+9%と突出している。
この好況に終わりが見えない。好況なのに物価も金利も抑制されている、だから景気を殺す金融引き締めも、バブルの崩壊も起きようがないのである。2019年6月にアメリカは10年という戦後最長の景気拡大記録を更新することはほぼ確実であろう。
この好都合すぎる現実の根本原因は2年で2.5倍、5年で10倍、10年で100倍という半導体・通信技術の発展にある。技術進化は空前の生産性上昇を労働生産性と資本生産性の双方にもたらし、企業はそれにより膨大な富を生み出している。企業は儲かり、使い切れない資本が金利を引き下げている。また生産性の上昇が供給力の天井を押上げ、物価下落圧力を定着させているのである。
ただ、資本余剰、供給力余剰が放置されれば、深刻なデフレをもたらす、という問題がある。故に余剰資本を有効需要に転換する政策が決定的に重要なのであるが、トランプ政権の積極的財政政策とFRBの市場フレンドリーな金融政策はその要請にぴったり一致している。
30年ぶりの抜本的税制改革は5年間で1兆740億ドル、10年間で1兆4560億ドルという史上最大の減税規模である。またその先が法人税減税(35%から21%へ)、投資減税(5年間にわたり設備投資の100%即時償却)など、企業活動支援に集中していることも際立っている。この野放図とも見られる大胆さに対して、財政赤字拡大、格差拡大を招くとの批判も大きいが、当面の経済効果は甚大である。
また金融、エネルギー、環境などの規制緩和を実施し、起業家精神を大きく鼓舞した。オバマ政権は政治と企業との癒着を嫌い、規制を大きく強化し企業家心理を抑圧した。アメリカの企業開業率が劇的に低下し、アニマルスピリットが損なわれたが、トランプ政権下でこれが劇的に改変された。
企業経営者の景気楽観指数がトランプ大統領当選とともに跳ね上がり、今それが史上最高水準に達していることからも、経済政策の成果がうかがわれる。トランプ政権の積極的リフレ政策は、いずれ需給ギャップを解消させ、やがて物価と金利上昇圧力を高め、景気を転換させるだろうが、その可能性は未だ地平には現れてはいない。
米中貿易戦争の影響が懸念されるが、一方的受益者であった中国は全面的譲歩を迫られるだろう。他方米国経済に対する影響は限定的とみられる。
関税引き上げは対中輸入価格の上昇をもたらすが、それは、①最終消費価格に転嫁される、②高価格となった中国から他国へ輸入先が変わる、③中国が輸出船積み価格を引き下げる、④米国の総需要が減少する、という4つの可能性を引き起こす。懸念されるのは④の需要押し下げであるが、現在の好況下では深刻にはなるまい。また物価上昇圧力が抑制されている現在の環境下では、玉突きによる消費者価格上昇の影響は大きくはない。ちなみに最大見積もって、対中輸入額2500億ドル×25%=625億ドルの関税引き上げがすべて米国消費に転嫁されたとしても、それは個人消費額14兆ドルの0.4%である。
また物価上昇圧力が抑制されている現在の環境下では、玉突きによる消費者価格上昇の影響は大きくはない。ちなみに最大見積もって、対中輸入額2500億ドル×25%=625億ドルの関税引き上げがすべて米国消費に転嫁されたとしても、それは個人消費額14兆ドルの0.4%である。
では、来る中間選挙は米国株式の懸念要因になるかといえば、それも限定的であろう。世論調査では民主党支持52%、共和党支持40%と民主党優勢(WSJ9月24日)であるが、それでも上下両院を民主党が制することにはならないであろう。上院の改選議席数は共和党8、民主党26なので、上院の共和党優勢は揺るがない。
投票に際して最も重視する項目である経済に関して、69%の有権者が満足していると回答していることは、共和党の優越要因といえる。最も高い可能性は上院共和党多数、下院民主党多数と、それぞれ分け合う形であるが、その場合、懸念されるトランプ弾劾は実現しない。トランプ政権の政策成立は困難になるだろうが、すでに大方の政策は実現しており、大勢影響はないだろう。経済と株価に対する大きな影響はないと思われる。
それにしても、この米国の圧倒的経済力を支えているものがインターネット、クラウドコンピューティング、スマホ、AIなどを駆使した新産業革命における圧倒的リーダーシップである。新産業革命にまつわる新ビジネスとイノベーションが世界的に巻き起こっているが、その多くもアメリカ発である。
アメリカ経済のシェアは第二次世界大戦直後に世界GDPの5割を占めていた時代をピークに、趨勢的に低下し、今では24%と半減した。産業競争力の衰弱と対外経常赤字の拡大、ドルの長期下落趨勢がアメリカのプレゼンスを引き下げ続けた。
これが多くの人々に共有されている長期趨勢観測であるが、それが根底から転換しつつあるのである。産業競争力の大復活を如実に示しているものがアメリカ経常収支赤字の大幅な縮小である。
1970年代から続いたアメリカの産業競争力の弱体化、企業の海外への工場シフトとアメリカ空洞化は、アメリカ製造業の基盤を蝕んだ。また、物資・財の海外依存が高まり、アメリカの貿易赤字は急拡大し、それとともにドルが弱体化した。アメリカの経常赤字は2006年に8060億ドル、対GDP比5.8%を記録した。それと軌を一にしてドル(実質実効レート)は2011年にかけて、過去最安値を記録した。
しかしアメリカ経常赤字はその後着実に改善されている。サービス貿易と海外企業活動からの分け前である第一次所得の黒字が10年前の数百億ドルから4000億ドル強へと大幅に増加したためである。2017年の赤字は4662億ドル、対GDP比2.4%と半減している。知的所有権ビジネスやインターネット・プラットフォーマーが世界を股にかけて稼ぐモデルが確立されためである。
アメリカ経常赤字の半減はアメリカの債務増加額が半減したことを意味し、それは直ちにドル供給の減少をもたらす。2010年代に入りドルが趨勢的に強まっているのは、このアメリカ産業が大きな果実をもたらしているからであり、その趨勢は続くだろう。
by Musha Research 9.26.18

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