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来年は景気後退へ?米国株の「ショート」を考える

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トライオートでは先月、ETFの新ロジックとして「ショート」をセレクトに追加しました。この記事では、なぜ今ETFの売り戦略なのか、米国株がおかれている状況を考察しながら、ショートの活用方法をご紹介します。

ショートってなに?

ロングとショート

「ロング」とは、買いポジションを保有することで、買建とも言います。投資対象の価格が上がると利益を得ることがきます。

「ショート」とは、売りポジションを保有することで、売建とも言います。投資対象の価格が下がると利益を得ることができます。

図:インヴァスト証券作成

ロング、ショートという呼び方の由来は諸説ありますが、ポジションを持つ時間の長さを表しているというのが有力です。一般的に、価格の上昇は長い時間をかけてゆっくり(Long)発生し、価格の下落は短い時間(Short)で発生すると言われているためです。

トライオートETFはロングもショートも同じように取引できる

ショートは、売りから相場に入る取引であるため、株式の世界では空売りとも言われます。空売りを行うためには、売るための株を金融機関から借りて、それを株式市場で売る。その後、買い戻したときにその株を返却するという流れになります。株は借りられる期間が決まっており、費用も発生するため、空売りは投資の初心者にはハードルが高いものになっています。

FXと同じように株価指数や商品を取引できるトライオートETFでは、ショートもロングと同じように取引することができます。ロングは新規が「買い」、決済が「売り」であるのに対して、ショートでは新規が「売り」、決済が「買い」になります。一見「持っていないものを売るってどういうこと?」と混乱してしまいそうですが、単純にロングの反対と考えると理解しやすくなります。

複雑な手続きを必要とせずにショートの取引できることはトライオートETFの特長のひとつです。価格が上がると思えばロング、下がると思えばショートと予想にあわせた取引を簡単におこなうことができます。

株価と変動要因

株価は上昇・下降のトレンドがでやすい

「トレンド」とは相場が上向き(上昇)か下向き(下降)か、または横ばい(レンジ)で推移しているか、といった大局的な値動きの傾向を指します。

トライオートETFで主要な投資対象となっている株式指数は、FXなどに比べて、一度発生した上昇・下落のトレンドはしばらく継続する傾向がみられます。株価は変動要因として「金利」と「景気」の影響を強く受けますが、これらはほぼ全ての会社の業績に影響すると考えられているためです。

図:インヴァスト証券作成

金利

金利水準の上昇や低下は株式市場に影響を与えます。
金利が上昇すると企業の資金繰りが悪化することと、投資家は、株式に投資するよりも(金利が上がって)安定した利子を得られる預貯金に預けようとすることで株式は買われづらくなります。一方、金利が低下する場合には、株式は買われやすくなります。

この金利の上昇、低下を国の政策としてコントロールするのが政策金利といわれるものです。

図:インヴァスト証券作成

景気

株価は景気と密接に関連しています。
好景気は会社の活動を活性化させ、収益をふやします。その影響が株価の上昇につながり、さらに会社の活動へ反映されるという好循環が続きます。逆に、不景気になれば、会社の活動は鈍くなり、悪循環が発生することになります。

景気が良いというと、株価があがっていることを連想する方は多いと思います。

現在の米国株の状況は?

上記の変動要因から現在の米国株を見てみます。

株式市場は米国を中心に動いているといえます。「前日の米国株式市場の下落を背景に、日経平均が安い」などニュースでもよく見かけますが、米国の景気は世界に影響をあたえるため、その動向は大いに注目されています。

【金利】インフレで急速な引き上げ

先にご説明したとおり、金利上昇時には株価の動きは低下する傾向があります。

米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)は、今年急ピッチで金利の引き上げをおこなってきています。

米国ではインフレ(物価上昇)が高い水準が続いており、FRBは景気を冷やしてインフレを抑える姿勢を明確にしています。この米国の金融引き締め政策は、米国ひいては世界の景気を悪くする可能性があり、その確率は高くなっています。

11月1〜2日に開催した金融政策を決めるFOMC(連邦公開市場委員会)でも0.75%の利上げを行いました。通常の利上げは0.25%のため、0.75%は「3倍速」の金融引き締め。この急速な利上げは、6月、7月、9月に開催されたFOMCに続き、今回で4回連続となっています。

【今年のFOMCと結果】

  • 1月26日ゼロ金利を維持 
  • 3月16日:0.25%の利上げ ⤴️
  • 5月4日:0.50%の利上げ ⤴️⤴️
  • 6月15日:0.75%の利上げ ⤴️⤴️⤴️
  • 7月27日:0.75%の利上げ ⤴️⤴️⤴️
  • 9月21日:0.75%の利上げ ⤴️⤴️⤴️
  • 11月2日:0.75%の利上げ ⤴️⤴️⤴️[今月]

今回の0.75%引き上げ決定によって、FRBの政策金利の誘導目標は、「3.00〜3.25%」から「3.75〜4.00%」に引き上げられ、2008年以来の高水準となりました。

図:インヴァスト証券作成

次の焦点は、12月13〜14日に開催されるFOMCで、FRBが利上げのペースを減速できるかどうか。そして、2023年に向けて政策金利の「天井」(利上げの最終到達点)が何%になるかに移っています。

現時点で、市場参加者のあいだではFRBの政策金利は、2023年に「4.75〜5.00%」が「天井」になると予想されています。

【景気】来年、景気後退が予想される

急激かつ大幅な金利引き上げが、これから実体経済(景気)にマイナスの影響を与える可能性が高まっています。

10月に行われたインタビューで、米金融大手J.P.モルガンのジェイミー・ダイモンCEOは、米国経済および世界経済が「深刻な」逆風を受けて来年半ばまでに景気後退に陥る可能性が高いとの見方を示しました。

また米金融情報サービスのブルームバーグは、2023年10月まで(向こう1年間)に米国が景気後退に入る確率は100%という予想を報じています。同社の予想は経済と金融に関する13の指標を用いた予測モデルに基づいたもので、経済・金融の指標で幅広い悪化がみられているとのことです。

このように徐々に景気後退を予想する声が高まっています。

景気後退で株価は一段と下落か

景気後退時に株価はどうなるのでしょうか。過去を見てみると米国株は景気後退期間に底打ち、回復へ向かう傾向があります。米国の景気動向と株価の推移をグラフで確認してみましょう。

■米国の景気後退期と株価(S&P500指数)
・価格=折れ線グラフ   ・景気後退期=グレーの網掛け箇所

図:Macrotrends.netから引用

1949年(第2次世界大戦後)米国経済は景気後退期(グレー網掛け部分)を12回経験しその局面では株価(グラフ線)も大きく下落しています。一番最近では2020年に記憶に新しい”コロナショック”時に2ヶ月の短い景気後退が発生しています。

このように景気後退期の長さは、その時の状況によって異なりますが、この12回の景気後退の期間を平均すると、約11ヵ月と、1年未満となっています。そして、過去の多くの場合、この景気後退の期間中に株価は底値をつけています。

ここから、仮に2023年半ばに景気後退入りした場合は、2024年の半ばくらいまで続く。株価がこの期間に底打ちを迎えるとすると、向こう1年半は株価は下落トレンドが継続すると予想ができます。

米国株は昨年の歴史的高値からすでに大きく値下がりしていますが、来年は一段の下落へと向かう可能性が考えられます。

タイミングが難しい「売り」にトライオートを活用

米国株は長い目でみると下落を繰り返しながらも上昇し続けています。そのため長期投資の観点からは、下落を「買いの好機」と捉えて、ロングを増やしていくことが考えられます。

長期投資としてのポジションは無理なく増やしつつ、短期的にはショートで利益を狙うことがトライオートの特性を活かした効率の良い運用といえます。

前述したように相場は値動きは上がるときにはゆっくりで、下がるときには速いという特徴があり、下落トレンドにおいても、価格が大きく下がって、ゆっくり上に戻るという繰り返しが見られます。
そのため、どこで売るか(ショートポジションをもつか)というタイミングが大切になります。価格が上昇する中でこつこつと売っておき、下落するときに大きく利益を取るという戦略が適しているといえます。

トライオートは上昇、下落、横ばい(レンジ)それぞれのトレンドに対応した取引のルールをつくり、自動的に売買をくり返すサービスです。下落トレンドで売りのポイントを逃さないように、あらかじめ売買のルールを設定して指値を仕掛ける。そして下落したら機械的に利益を獲得していく。このようなショートの取引戦略が可能になります。

まとめ

💡ショートは下落相場で利益をねらって売りから入る取引

💡株式市場は米国の景気後退により今後下落の可能性がある

💡トラオートでは下落相場に対応した売買を自動でおこなうことができる

今後の米国経済の動向に注目しながら、ぜひトライオートでショートの取引をご検討ください。

次回はトライオートで具体的なショート戦略の組み方をお伝えいたします。