
目次
1.FXの仕組みは意外と簡単
1-1.少額から取引できる仕組み(レバレッジ)
1-2.最低5,000円程度から取引できる
1-3.値段が1円変動すると1万円のプラスマイナスが生じる
1-4.値段が下がっても利益を狙える
1-5.FXの売買手数料は無料が一般的
2.FXはここに注意すれば安心して取引できる
2-1.値段が大きく動きやすいのは日本時間の夕方から夜間
2-2.失拡大を防止するロスカットルール
2-3.保有し続けると増えるスワップポイント
3.FXと他の金融商品との違い
3-1.店頭FXと取引所FXの違い
4.知っておきたい税金のこと
4-1.確定申告が必要か確認しましょう
4-2.株式・投資信託とFXの違い
4-3.課税対象は為替損益とスワップポイント
4-4.覚えておきたい損益通算
4-5.必要経費で賢く節税
4-6.損が出てしまったら繰越控除を活かしましょう
4-7.税金関連リンク
1.FXの仕組みは意外と簡単
FXの名前は認知度が高く投資に興味のある方なら聞いたことがあると思いますが、いざ取引しようとすると証拠金取引、スプレッド、レバレッジと難しい言葉が並びます。この章ではそんな方のためにFXの仕組みについて紹介しています。ある程度概要をおさえた上で、取引後に読み直すとさらに理解が深まるようになります。
1-1.少額から取引できる仕組み(レバレッジ)
証拠金取引とは、対象商品の代金全額を支払うのではなく、総代金の一部を担保として預けることで差額のみを取引できる仕組みです。この担保金のことを「証拠金」と呼び、FXでは個人の場合総代金の4%の金額が最低証拠金として法律で定められています。
例)「1米ドル100円」のときに1万米ドル買う場合
- 総代金 100円×1万=100万円
- 証拠金 100万円×4%=4万円
為替相場は常に変動しますので証拠金も価格に応じて変動します。そのため、1米ドル95円から100円の範囲の時は1万米ドルあたり4万円と変動範囲によって証拠金を決めているのが一般的です。
1-2.最低5,000円程度から取引できる
では、最低いくらから取引できるかと言いますと、通貨ペアや最低取引単位(※)によって異なりますが下の表のようになります。※最低取引単位は取扱業者により異なります。
○主要通貨ペア取引単位による最低資金例
最低資金の2倍以上の資金を用意する
取引口座に最低資金しか入金せずに取引した場合、買うとすぐに担保割れとなり取引を続けられなくなります。実際に利用する際には少なくとも最低資金の2倍以上の資金を取引口座に入金して取引することをお勧めします。「少額からできるから安全」と思う方もいますが、あくまで担保金が少額なだけであって損益とは別です。価格変動と損益の関係については次の章で詳しく説明します。
1-3.値段が1円変動すると1万円のプラスマイナスが生じる
では、1米ドル100円で1万米ドル買った場合に発生する損益を計算してみましょう。
1万米ドルあたり40,000円の証拠金に対して1円の値動きで±10,000円、つまり±25%の損益が発生します。米ドル円など対円通貨ペアの場合、取引単位ごとの1円の値動きで発生する損益は以下のとおりです。
取引単位が大きくなればなるほど、同じ1円の値動きで発生する損益も大きくなります。同じ1円の値動きなら利益を大きくとれるようにと最初から大きな単位で取引する人もいますが、初心者の方は最初から欲をかかずに小さい単位から始めましょう。
1-4.値段が下がっても利益を狙える
FXの特徴は少額から取引できる他に、値段が下がると予想する時には「売り」から取引できることです。基本的な売買方法は上がる!と思ったら買うところを、相場が下がる!と思ったら、売り注文を入れることになります。物を持っていないのになぜ売れるのかと思う人もいるでしょう。FXは売り値と買い値の差額をやりとりする差金決済が中心の取引です。ざっくりと言うと利益の分だけまたは損した分だけをやりとりするのです。その取引をするための担保が証拠金であり、証拠金を差し入れることで買うことはもちろん物をもっていなくても売ることができる仕組みなのです。
売り取引の損益計算
売り取引で生じる損益は買い取引の反対となります。
初心者は売り取引には注意
値下がりでも利益を狙えるといっても、初心者の方は「売り」取引には気をつけてください。値段が下がると予想すれば「売り」から取引するのは当然かもしれませんが、初心者の方は取引しようと思う通貨ペアの動きに慣れるまでは、過去の水準と比較して安いと思う時に「買う」ことから始めるほうが分かりやすいでしょう。上がる相場を予想することは難しいですが、下がっていく相場を予想して、どこまで下がったら決済すればよいのかと決めることは初心者の方にはもっと難しいです。
1-5.FXの売買手数料は無料が一般的
FXでは、株式などとは異なり売買手数料無料が一般的です。じゃあ業者はどこで利益を得ているのかと気になる方もいるでしょう。その仕組みを説明します。
為替レートは「買値」と「売値」の2つの価格表示
為替レートは、通常、下の図のように「買値(Ask)」と「売値(Bid)」の2つの価格が提示されています。
右側の価格「買」が「投資家が買うことができる価格」で、左側の価格「売」が「投資家が売ることができる価格」になります。この2つの価格の差をスプレッドといい、これがそのままというわけではありませんが業者の収益に相当します。投資家にとっては潜在コストであり、スプレッドが狭いほどコストが小さくなり売買がしやすくなると言えます。
スプレッドが狭いといっても頻繁な売買には注意
スプレッドが狭いからといって頻繁に売買することが投資家の利益につながるとは限りません。特に初心者の方はスプレッドにあまり気を捉われずに、まず大枠を理解していただくことが大切です。
2.FXはここに注意すれば安心して取引できる
この章では、初心者の方が安心してFXを取引できるように、FX取引を行う上で注意しなければならないことをご紹介します。FXに限らず楽して儲かる投資は存在しませんが、少なくとも知っているのと知らないとでは心持ちがまったく違います。暗記する必要まではありませんが、大まかに理解していただければと思います。
2-1.値段が大きく動きやすいのは日本時間の夕方から夜間
為替相場は24時間変動していますが、特に大きく変動しやすい時間帯があります。下の図は各国の株式市場の取引時間帯(標準時間)で、よくマーケット時間などと言われます。FXは各国の日中に取引が多くなります。こうした時間帯には各国の経済指標などが発表され、為替の動向にも大きく影響します。日中働いている人が深夜まで起きて取引することはお勧めしませんが、寝ている間に値段が大きく動いて損失が発生しないように、各国の指標発表を把握しておくことや口座資金に余裕を持っておく等、あらかじめ準備しておくことが大切です。
2-2.損失拡大を防止するロスカットルール
FXでは評価損失が大きくなった時に、取引の担保資金(必要証拠金)を上回る損失発生を防止するためにロスカットルールが設けられています。評価損失が一定水準以上となった時に、取引継続の意志に関わらず全ての保有ポジションを決済するルールです。為替相場が予想と反対の方向に動いた場合、そのまま保有してれば評価損失が大きくなり、場合によっては口座に預けている資金を上回る損失が発生する可能性もあります。ロスカットルールはそうなる前にシステム上で判定して決済し、それ以上の損失拡大を防止するためにあります。ロスカットされたくないという場合は、保有する量を少なくするか取引口座に取引に使わない余剰資金を多く預けることで、実質のレバレッジを小さくする等自分自身でコントロールすることができます。
インヴァスト証券で提供する各FXサービスのロスカットルールは以下のようになります。
※サービスによって、意味は同じですが計算方法が異なりますのでご注意ください。「シストレ24」では評価損益を加味した有効な資金に対して、ポジションを保有するのに必要な証拠金を何%使用しているかにより判定します。一方「トライオートFX」「FX24」「くりっく365」では、ポジションを保有するのに必要な証拠金に対して何%の有効な資金があるのかにより判定します。
※「トライオートFX」「FX24」「くりっく365」では、ロスカットルールとは別に、1日の取引終了時に有効証拠金が必要証拠金を下回った場合証拠金不足が発生します。証拠金不足が発生した場合、新規注文は制限され、インヴァスト証券の指定時間までに証拠金不足額以上の入金がない場合、保有するポジションをすべて決済することになります。
2-3.保有し続けると増えるスワップポイント
FXの損益は売買損益の他にスワップポイント損益があります。スワップポイントとは、取引する通貨ペアを構成する2つの通貨の金利差のことで、金利の高い通貨を買って金利の低い通貨を売った場合、その金利差をスワップポイントとして受け取れます。反対に、金利の高い通貨を売って金利の低い通貨を買った場合には支払いとなります。高金利通貨といえば、以前は豪ドルやNZドルでしたが世界的な金融緩和傾向に伴い金利は低下しています。現在の高金利通貨といえばトルコリラや南アフリカランドとなります。それぞれ、1万通貨単位で1年間回保有した場合のスワップポイントは現在価格から計算すると凡そ以下のようになります。
- 1年間保有する場合、スワップポイントによる利益よりも為替変動により生じる損失が少なければ利益となります。
- 売りで保有した場合、スワップポイントはマイナスとなり証拠金預託額より差し引かれます。
スワップポイントはポジションを翌日に持ち越すことで発生する
スワップポイントは、ポジションを翌日(翌営業日)に持ち越すと発生します。でも、スワップポイントが付く日と付かない日があったり、また金額が多く付く日もあります。為替取引では、実際のお金のやりとりを売買のあった日の2営業日となっています。この日を受渡日または決済日といいますが、営業日なので土日を含みません。スワップポイント自体は365日分付与されますが、この受渡日の関係上、例えば水曜日から木曜日にポジションを持ち越した場合には、土日を挟んで翌月曜が受渡日となるため3日分のスワップポイントが付与されます。また、海外の祝日やクリスマス、年末年始なども付与日数が変則的になります。
3.FXと他の金融商品との違い
では、FXと他の金融商品はどう違うのか、外貨預金、株式投資と比べてみましょう。
3-1.店頭FXと取引所FXの違い
インヴァスト証券では店頭FX(シストレ24、トライオートFX、FX24)と取引所FX(くりっく365)の大きく分けて2種類のFXサービスを提供していますが、その違いも見ておきましょう。
※手数料、スプレッド等のコストは店頭FXの方が一般的に有利な傾向がありますが、スワップポイントは通貨ペアにより異なるものの取引所FXの方が有利な傾向にあります。
4.知っておきたい税金のこと
4-1.確定申告が必要か確認しましょう
確定申告とは
確定申告とは、1年間のすべての所得と納税額を税務署へ申告し、払い過ぎた税金や払い不足の税金などを過不足なく清算する作業をいいます。大まかなポイントは以下のとおりです。
確定申告のポイント
- 1年間のすべての所得を申告する
- 申告期間は、通常、2月16日から3月15日(3月15日が土日、祝日の場合は翌平日)までにする
- 現住所の区市町村を管轄する税務署へ届け出る
- 申告最終日までに納付する
確定申告が必要な人は?
利益が出れば確定申告は必ず必要です。
ただし、利益が出ていても確定申告が免除されたり、利益が無くても確定申告が必要なケースがあります。
法人税について
法人口座では、FXの利益は益金として法人税の対象となります。
※平成20年3月31日以前終了した事業年度において生じた損失は7年間損失繰越となります。
4-2.株式・投資信託とFXの違い
これまでに既に株や投資信託、現物ETFの取引を行ったことがある方の中にはNISAや特定口座の利用をされている方も多いかと思いますが、FXではどちらもご利用いただくことができません。
FXで生じる損益は「先物取引に係る雑所得等の金額」となり、株式・投資信託等とは税制の取扱いが異なります。また、FXはNISA口座および特定口座にも対応しておりませんので、原則、確定申告が必要なお取引になります。
- NISAとは
- NISA(ニーサ)とは、株や投資信託の配当金や値上がり益を非課税にする制度のことです。 別名で「少額投資非課税制度」とも呼ばれます。NISA(ニーサ)口座で取引することで毎年100万円(2016年より120万円)を上限に、投資で生まれた利益や配当に税金がかからなくなります。
- 特定口座とは
- 特定口座は、上場株式等の譲渡益課税における個人投資家の申告・納税手続きを簡素化するために、2003年1月から導入された制度です。 特定口座を利用して上場株式等の譲渡をした場合、証券会社が、1年分の損益を取りまとめた年間取引報告書を作成し、翌年の1月末までに交付します。
4-3.課税対象は為替損益とスワップポイント
1月1日から12月31日までに確定した損益が課税対象
個人の所得税の確定申告について、課税対象となるのは、1月1日から12月31日までの損益です。
1月1日から12月31日取引終了時(1月1日5時55分)までに確定した損益が課税対象になります。もう少し具体的な言い方をすると、1月1日から12月31日までの取引報告書の入出金履歴で確認できる金額(為替損益、スワップ)が課税対象になります。
なお、法人口座では、FXの利益は益金として法人税の対象となりますので、法人の決算月で決算処理を行ってください。
シストレ24・トライオートFX・FX24の場合
為替差損益は12月31日取引終了時点までに決済により確定した損益が課税対象なります。スワップポイントは決済、未決済に関わらず課税対象となります。ただし、12月31日のスワップポイントについては「トライオートFX」「FX24」では翌営業日の取引報告書に記載されるため翌年分となりますが、「シストレ24」では12月31日の取引報告書に記載されるため当年分となります。
くりっく365の場合
為替差損益、スワップポイントともに、12月31日取引終了時までに決済により確定した損益が課税対象となり、未決済の損益は課税対象外となります。
4-4.覚えておきたい損益通算
インヴァスト証券のすべてのサービスの損益は通算できます。また、同じ「先物取引にかかる雑所得」内の金融商品の損益は通算することができます。一方、上場株式や投資信託、現物ETFは税制の扱いが異なるため損益通算はできませんので、ご注意ください。
4-5.必要経費で賢く節税
ある目的を達成するために必要とした費用を「必要経費」といいます。FX等では取引によって得られた損益とこの「必要経費」を差し引いて、税金を少なくする事が認められます。
勉強するほどお得になるかも?
FXで利益を得るために勉強すればするほど、その努力は税金でお得に利用することができます。
これは、上場株式や投資信託にはない概念です。
“FX等取引のためにかかった費用”と思われるものは、必要経費として計上して確定申告していただけます。
必要経費の例
- FX関連の書籍代
- セミナー参加費や交通費
確定申告時に添付する不要はないのですが、レシート・領収書などは税務調査などで指摘された際の説明に必要になるので、念のため、残しておきましょう。書籍のタイトルや一目でFXと関連するものと分かる方が、後々の調査でも困らないのでお勧めです。
※詳しい内容につきましては、所轄の税務署にお問合せ下さい。
4-6.損が出てしまったら繰越控除を活かしましょう
FX等取引では、損失が生じた年の翌年から3年間、確定申告をすることで損失を繰り越すことができ、翌年以降にで利益がでた際には、その利益と繰り越した損失を差し引きすることで課税所得を少なく申告することができ、税金も少なく抑えることができるものです。
4-7.税金関連リンク
ここでは、FX等の税金に関する国税庁ホームページ等の必要情報をご紹介いたします。
・国税庁ホームページ(http://www.nta.go.jp/)
・電子申告納税システムe-Tax(http://www.e-tax.nta.go.jp/)
・申告書類(申告書B)(http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/yoshiki01/shinkokusho/pdf/h25/02.pdf )
・申告書第三表(分離課税用)(http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/yoshiki01/shinkokusho/pdf/h25/03.pdf )
・先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書(http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/yoshiki02/pdf/019.pdf)
・平成 年分の所得税の申告書付表(先物取引に係る繰越損失用)(http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/yoshiki01/fuhyo/26.pdf )
※詳細は、お近くの税務署、税理士にお尋ねください。