
<目次>
1.確定申告が必要か確認しましょう
1-1.確定申告とは
1-2.確定申告が必要な人は?
1-3.法人税について
1-4.投資信託・現物ETFとトライオートETFの違い
2.課税対象は取引損益と分配金、金利調整額
2-1.1月1日から12月31日までに確定した損益が課税対象
2-2.課税対象は「取引損益」「分配金」「金利調整額」
3.覚えておきたい損益通算
3-1.トライオートETFはFXと損益通算OK!株式や投資信託とは損益通算できないので注意
3-2.インヴァスト証券のすべてのサービスの損益は通算できます。
4.必要経費で賢く節税
4-1.勉強するほどお得になるかも?
5.損が出てしまったら繰越控除を活かしましょう
5-1.過去の利益と相殺することはできない
5-2.利益と相殺せずに3年過ぎると、繰り越した損失は消滅する
1.確定申告が必要か確認しましょう
1-1.確定申告とは
確定申告とは、1年間のすべての所得と納税額を税務署へ申告し、払い過ぎた税金や払い不足の税金などを過不足なく清算する作業をいいます。大まかなポイントは以下のとおりです。
- 1年間のすべての所得を申告する
- 申告期間は、通常、2月16日から3月15日(3月15日が土日、祝日の場合は翌平日)までにする
- 現住所の区市町村を管轄する税務署へ届け出る
- 申告最終日までに納付する
1-2.確定申告が必要な人は?
利益が出れば確定申告は必ず必要です。
ただし、利益が出ていても確定申告が免除されたり、利益が無くても確定申告が必要なケースがあります。
1-3.法人税について
法人口座では、トライオートETFの利益は益金として法人税の対象となります。
1-4.投資信託・現物ETFとトライオートETFの違い
これまでに既に株や投資信託、現物ETFの取引を行ったことがある方の中にはNISAや特定口座の利用をされている方も多いかと思いますが、トライオートETFではどちらもご利用いただくことができません。トライオートETFは、ETFへの投資であるものの、CFD(差金決済取引)の形態をとるため、税法上は一般的な投資信託・ETF・株式と一線を画した取引です。
トライオートETFで生じる損益は「先物取引に係る雑所得等の金額」となり、一般的な投資信託・ETF・株式とは税制の取扱いが異なります。
税法上の体制がまだ整っていない新しい金融商品(CFD)のため、一般的な投資信託・ETF・株式などの金融所得とみなされていないというのがその理由ですが、同様の理由で、トライオートETFはNISA口座および特定口座にも対応しておりませんので、原則、確定申告が必要なお取引になります。
- NISAとは
- NISA(ニーサ)とは、株や投資信託の配当金や値上がり益を非課税にする制度のことです。 別名で「少額投資非課税制度」とも呼ばれます。NISA(ニーサ)口座で取引することで毎年100万円(2016年より120万円)を上限に、投資で生まれた利益や配当に税金がかからなくなります。
- 特定口座とは
- 特定口座は、上場株式等の譲渡益課税における個人投資家の申告・納税手続きを簡素化するために、2003年1月から導入された制度です。 特定口座を利用して上場株式等の譲渡をした場合、証券会社が、1年分の損益を取りまとめた年間取引報告書を作成し、翌年の1月末までに交付します。
2.課税対象は取引損益と分配金、金利調整額
2-1.1月1日から12月31日までに確定した損益が課税対象
個人の所得税の確定申告について、課税対象となるのは、1月1日から12月31日までの損益です。
トライオートETFでは、1月1日から12月31日取引終了時(1月1日5時55分)までに確定した損益が課税対象になります。もう少し具体的な言い方をすると、1月1日から12月31日までのトライオートETFの取引報告書の入出金履歴で確認できる金額(取引損益、分配金、金利)が課税対象になります。
なお、法人口座では、トライオートETFの利益は益金として法人税の対象となりますので、法人の決算月で決算処理を行ってください。
2-2.課税対象は「取引損益」「分配金」「金利調整額」
トライオートETFで損益を表す金額は、以下の4つです。「評価損益」は課税対象にはなりません。
取引損益
「取引損益」とは、一般的な投資信託でいう「償還による差益」や「途中解約による差益」にあたる損益です。取引していた銘柄を決済して損益が確定した金額を、トライオートETFでは「取引損益」といいます。取引画面〔HOME〕で確認できる損益は最大6ヶ月分となりますので、ご注意ください。1年間の損益は、画面右上の四角アイコンをクリックし取引報告書や期間損益報告書を必ず確認してください。
評価損益
「評価損益」は、まだ銘柄を保有して損益が確定していない状態の見込みの損益を指します。「評価損益」は課税対象にはなりません。
- ①1月1日以前に保有した銘柄を12月31日よりも前に決済して生じた取引損益=その年の課税対象となる損益
- ②1月1日以降に保有した銘柄を12月31日よりも前に決済して生じた取引損益=その年の課税対象となる損益
- ③1月1日以降に保有し12月31日を越えて保有している銘柄の評価損益=その年の課税対象とはならない損益
分配金
「分配金」は、株式でいうところの『配当』にあたる利益です。「分配金」は課税対象となる利益です。この画面で確認できる分配金は稼働以来の累積額です。年をまたぐ場合、注文・仕掛けをごみ箱に移してしまった場合などは正式な金額が分かりませんので、必ず取引報告書や期間損益報告書で確認してください。めったにありませんが、権利付き最終日が12月31日の分配金は取引口座に入金されるのが翌年1月2日になるため、翌年分の課税対象になります。発生日をベースに考慮しておりますので注意してください。
- ④1月1日以前から保有していた銘柄の分配金=1月1日~12月30日の間の分配分が課税対象となる
- ⑤1月1日~12月31日の間保有していた銘柄の分配金=1月1日~12月30日の間の分配分が課税対象となり、12月31日分の分配金は翌年の課税対象となる
- ⑥1月1日以降に銘柄を保有し、12月31日を超えても保有している銘柄の分配金=1月1日~12月30日の間の分配分が課税対象となり、12月31日分の分配金は翌年の課税対象となる
金利調整額
「金利調整額」は、株式にはありませんが、信用取引における『貸し株料』に近いコストです。トライオートETFはCFD(差金決済取引)の形態をとる特性上、円を担保にドルを借りている取引がベースとなりドルの調達コストとして金利が発生します。
そのため、トライオートETFを取引すると、午前5時55分(米国サマータイム期間午前4時55分)を超えて建玉を保有している場合、金利調整額の支払いが発生します。 詳細記事はこちらをご覧ください。
この画面で確認できる金利調整額は稼働以来の累積額です。年をまたぐ場合、注文・仕掛けをごみ箱に移してしまった場合などは正式な金額が分かりませんので、必ず取引報告書や期間損益報告書で確認してください。
3.覚えておきたい損益通算
3-1.トライオートETFはFXと損益通算OK!株式や投資信託とは損益通算できないので注意
トライオートETFの損益と通算する事ができる取引には、FX、日経225先物、商品先物などがあります。一方、上場株式・ETFや一般的な投資信託とは税制の扱いが異なるため損益通算することができませんので、ご注意ください。
3-2.インヴァスト証券のすべてのサービスの損益は通算できます。
4.必要経費で賢く節税
ある目的を達成するために必要とした費用を「必要経費」といいます。トライオートETFでは、取引によって得られた損益と、この「必要経費」を差し引いて、税金を少なくする事が認められます。
4-1.勉強するほどお得になるかも?
トライオートETFで利益を得るために勉強すればするほど、その努力は税金でお得に利用することができます。
これは、上場株式やETF、一般的な投資信託にはない概念です。
“トライオートETFのためにかかった費用”と思われるものは、必要経費として計上して確定申告していただけます。
例えば下記のようなものです。
- トライオートETF関連の書籍代
- セミナー参加費や交通費
確定申告時に添付する不要はないのですが、レシート・領収書などは税務調査などで指摘された際の説明に必要になるので、念のため、残しておきましょう。書籍のタイトルや一目でトライオートETFと関連するものと分かる方が、後々の調査でも困らないのでお勧めです。
※詳しい内容につきましては、所轄の税務署にお問合せ下さい。
5.損が出てしまったら繰越控除を活かしましょう
トライオートETFでは、損失が生じた年の翌年から3年間、確定申告をすることで損失を繰り越すことができ、翌年以降にトライオートETFで利益がでた際には、その利益と繰り越した損失を差し引きすることで課税所得を少なく申告することができ、税金も少なく抑えることができるものです。
繰越控除の適用を受けるには、毎年、必ず確定申告して損失の申告をします。これは取引がないなど確定申告が必要ない年でも、損失の繰越控除をしたいなら確定申告をし続ける必要があります。
※損失申告は、通常の確定申告書のほか、損失専用の申告書を提出します。
5-1.過去の利益と相殺することはできない
損失を繰り越し、利益と相殺することができるのは翌年以降3年間です。過去の利益と相殺することはできません。
5-2.利益と相殺せずに3年過ぎると、繰り越した損失は消滅する
仮に、毎年、繰り越す損失が増えていき、利益と相殺することなく3年が過ぎてしまった場合は、その損失分は消滅します。
6.トライオートETFと現物国内ETF・米国ETFの課税の違い
トライオートETFと、現物の国内ETF・米国ETFとは課税方法に違いがありますので、注意してください。
現物の国内ETFと米国ETFの課税は、原則、同じと捉えていただいて構いません。
米国ETFの売買益は、租税条約により原則課税はありません。配当については、現地にて10%課税され、さらに国内にて20%源泉徴収されます。二重課税となりますが、外国税額控除制度を受けられますので申告することで一部を取り戻すことができます。
一方、トライオートETFは、売買益は現地で課税されることはなく、国内にて20.315%の課税となります。分配金相当額は、まず現地で30%課税され、国内において20.315%課税されます。二重課税となりますが、外国税額控除制度は利用できないため、合計で50.315%課税されることとなり、現物ETFに比べると享受できる分配金は少なくなります。