米国大統領選 トランプ氏に軍配!為替に与える影響は

出口調査ではヒラリー候補優勢との報道の後、まさかの大逆転で大統領選を制した共和党のトランプ氏。予想外の展開にマーケットは大きな動きを見せました。
勢いの良い発言の多い中、政策や陣営などまだ不明瞭な点も多く、今後の動向には目が離せません。
トランプ大統領になったことで、株や為替などマーケットは今後どのような影響を受け展開されていくのでしょうか。インヴァスト証券では株・為替のプロによるの予想、情報を交えてお届けします。

 

大統領選の結果と今後の展開

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(出所)各種報道よりインヴァスト証券作成(2016年11月11日14時時点)

今後の展開

トランプ氏の掲げている政策において、注目する項目とドルの動きに着目します。
トランプ氏が推奨する企業減税、米国投資法(HIA=ホーム・インベストメント・アクト)と言いますが、これが実施された場合、大きなドル買いに繋がる可能性があります。
つまり、トランプ氏が勝利した場合に、短期的にドルが売られても、この政策が決定されるなら、その後ドルが、大きく買い戻されるリスクがあることは覚えておいて頂きたい点です。

政策 内容 ドル 米株価 米長期金利
通商 TPP及びNFTAに反対
財政 家計・企業減税(HIA)
経済 インフラ投資拡大
移民問題 規制強制
金融政策(1) ドットフランク法廃止
金融政策(2) FRB批判
医療 オバマケア廃止・改善
軍事 日本に軍事費負担要望

(出所)インヴァスト証券トライオートFX公式サイト、だいまん氏記事より

 

専門家による今後の為替展望

政策決定まで先行き不透明、レンジ相場続く

水上紀行氏

バーニャ マーケット フォーカスト代表 水上紀行氏

大勢の予想に反して、昨日、ドナルド・トランプ氏が大統領に選ばれました。
そして、このビッグ・イベントにも関わらず、この7月からのレンジ、ざっくりと言って、100円~106円を、上にも下にもブレイクしきれていないことの意味は大きいと思います。
つまり、ビッグ・イベントでも簡単にはブレイクできないレンジは、普通のマーケットであれば、なおさらブレイクできない可能性が高いということです。
結論的に申し上げるなら、当分レンジは続くものと思われます。
世界の投資家達の投資判断にかかる時間からも言えると思います。
ここでいう投資家とは、政府系ファンド、ペンションファンド(年金運用機関)、日系生保など機関投資家、そして中央銀行などを言います。
彼らは、お堅い人たちですので、十分な分析をしてからでないと投資判断は下しません。
つまり、トランプ新大統領が、来年1月20日に就任して以降、新政権の政策方針が決まっていくわけですから、投資家はそれまで判断を下せないということです。
つまり、結構長い間、中ぶらりん状態が続くことになりますので、相場はレンジを外れて大きくは動けないものと思われます。
その後、形勢がはっきりしたところで、投資家は動き出すものと思われます。
動かざること山の如し、しかし動き出したら怒涛の動き方をするのが、こうした投資家達の習性です。・・・続きを読む

トランプ次期大統領の政策でドル円は上昇に

バカラ村氏

FXトレーダー・テクニカルアナリスト バカラ村氏

トランプ次期大統領の政策である大規模減税や規制緩和から、リスク回避の動きが落ち着けば反転してくるイメージはありましたが、想定したリスク回避よりもかなり小さいものに終わりました。
今年はサプライズの出来事が多く、市場参加者もそれに備えてポジションを落としていたようで、そのため下落の動きが大きくならなかったようです。
ここからですが、トランプ氏はドル高を望んでいないことから、ドルが上昇すれば牽制発言が出てくると思いますが、米長期金利が上昇し、リスクマネーもアメリカ本国へ回帰していくことになるので、ドルは買われていきそうです。・・・続きを読む

実際の就任は来年1月、相場を追いかけるのは避けた方が無難

だいまん氏

だいまん氏

11月8日に実施された米国の大統領選では、事前の世論調査で有利と言われた民主党候補のクリントン氏を破り、共和党候補のトランプ氏が勝利しました。
直前では、クリントン氏のメール私用問題をFBIが訴求しないと明らかにしたことで、クリントン氏が優勢との見方が強かっただけに、一時市場に、大きくショックが走りました。
ただ、米国市場では、この結果を好感する形で、株式市場が大幅に反発。またトランプ氏が主張する政策は、インフレを強めるとの見方から米長期金利が大幅上昇したことで、ドル円相場を押し上げる形となりました。
相場の動きは市場の想定通り、ファースト・アクションはリスク・オフとなりましたが、この巻き戻しがあまりに早いことは、強い驚きとして捉えられています。
ただ、注意しておきたいことは、大統領に決まっても、実際のトランプ氏の就任は、来年の1月20日であること。また、その後の大統領教書や予算演説などが行われるまで、トランプが掲げた政策が、本当に実行に移されるのかは不透明で、今回議会選挙において共和党が上下院で過半数を獲得したことで、政策が通り易くなるとの見方がある一方、一部の共和党議員は、トランプ氏に対して、反旗を翻しており、共和党内での軋轢が、「あらわに」なると議会運営も難しくなるリスクが残っていることは留意しておきたいと思います。
大統領選での勝利宣言が、比較的温和であったことが好感されているようですが、流石に現時点で、過激な発言をする必要もないと思われます。ただ、未だ閣僚人事も決まっておらず、今後も同氏の性格を考えると、はみ出した発言も飛び出しそうです。少なくとも相場を追いかけるのは避けて置いた方が無難だと考えます。・・・続きを読む